「ジブリ好き!」さんのページ

総レビュー数: 343レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年12月10日

(2011年9月修正)
救いのない話は嫌いじゃないけれど、その「らしさ」があまりに前面に出過ぎてて押しつけがましく感じ、「現代社会にあるあるなかわいそうな物語」を終始演じている感が拭えなかった。

作品のダークさは好き、だけど、文章をどこまで残してどこまで画にするか?小説の漫画化には必ず問題が付き纏う。
基本的にはうまくまとまっていて、画も非常に綺麗だし雰囲気が出ていた。(ただ、藻屑をはじめ人物の心理描写がもう少し欲しかったけど。)
しかし伏線は、やっぱ叙述系トリックは漫画には合わないと思う。
漫画には画があるので、どうしても情報量が多くなる。情報の取捨選択が命取りとなり、入れ過ぎれば読者に気付かれビックリが薄れ、少なすぎれば後付け感や矛盾を生じかねない。
ミステリ(広義)と漫画、突破してほしい壁ではあるけれど、現状難しい課題だと思う。

救いのない話ほど、そこから自分なりに感じ取れるものがあるかないかが重要な気がする。ましてどんでん返しもなく、そのままストレートに救いのないこの話では、読み手がどれだけ物語世界やキャラの生き方・考え方に感じるものがあったかが評価をわけるだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-08-04 00:47:03] [修正:2011-09-22 18:43:11] [このレビューのURL]

一体全体、俺がりんを育ててるのか、俺がりんに育てられてるのか、ちょいちょいわからなくなる
的なダイキチのモノローグ
縄跳びの回で、子育てと自分の時間についての大人たちの見解
この二つを筆頭に、一部でも二部でも子育て・子と親についての話題が自分にとって非常に印象的な作品だった。

大人になるにつれ失われる自分の幼少期・子供時代の記憶は、子を持つことで取り戻されていくという。親が子の成長を見守るその瞳には、自分の幼い姿が重なる。
子の成長を通して初めて自分自身が補完されていくこと。
子に注いだ愛情が、子から自分に注ぎ返される瞬間。
子供を持つということに、少しだけ前向きな感情を抱いた。(ただダイキチ達が金銭的問題を抱えない比較的裕福な設定だったのは気にかかったけど。)

もちろんりんの恋路も見所だけど、正直自分には第二部やった時点でこれ以外の結末は考えられなかった。ネタとしちゃコクリコ坂と同じで、「年の差がありえない」って言うなら最初のじーさんの子供設定で拒否反応起こすのでは。

親は子の成長に自身の老いを見、子も親に自分の老いを見る。
うさドロの明るくほのぼのとした雰囲気の中でも、たまに感じられるこのことが、少し寂しい…
と言いつつ、第二部のダイキチとコウキママが好き過ぎてヤバい!
ダイキチは渋みと漢気が増し、再婚前のコウキママは美貌を保ちながらも寂寥感を纏い始める…40代過ぎのおじさんおばさんにここまで魅せられるなんて思いもよらず、二人の関係の方が終始気になったわ…
口癖は古臭いが、ダイキチのかっこよさは等身大の理想像です。りんの選択は正しい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-09-17 09:17:10] [修正:2011-09-17 09:17:10] [このレビューのURL]

ハチワンのように超ハイテンションで将棋をするわけじゃなく、
まさにとろっちさんのおっしゃる通りで、
冷たさと温かさが入り混じる3月のような緩やかさで
しかし心の奥底ではライオンのような闘士を燃やし
熱し過ぎず冷め過ぎず、静かに波をぶつけあう。

そしてそれは将棋だけじゃなく、零も同じ。
暗い過去と3姉妹との触れ合いで、彼の心は常に寒暖入り混じり
普段のおとなしさとは裏腹に、2巻ラストのような慟哭と憤怒をぶちまけもこともある。
まさに「3月のライオン」

サブキャラもまた良いです、おじさん萌えとか少し理解できちゃうかもってくらい渋い(でも熱い)おじさまが勢揃い☆
二海堂君も大好き!(森田じゃないぞ)
でも3姉妹は描き方が少し苦手…ただ、天真爛漫なだけかと思っていたひなちゃんもまた、3月のライオンだった。

羽海野節全開だけど、ハチクロより一般向け。
ただ少し、ポエムの質が落ちてないかい(文字数が、増え過ぎなよーな…)

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-03 01:48:19] [修正:2011-09-12 01:57:24] [このレビューのURL]

小学生の最後に密かにはまった思い出の作品。
8巻まで集めるのに苦労したなぁ。5巻が地元のどこにもなくて、親に頼んでおっきい本屋で買ってきてもらって。9巻がものすごく遅く出て、10巻は1年以上待たされたかな?
何年待ってもいいから読みたい!ってね、当時はインターネットなんて使える人のがマイナーだったから、後で終了したって知って愕然とした。

優しいほんわかなムードで続いていく冒険もの。
どこか懐かしい感じがするのは、ドラクエ3にインスパイアされた作品だからでしょう。とにかくノスタルジーが半端ない淡い画と世界

レヴァリアースの続きもので、敵・味方ともに主要登場人物は決まっています。

シリアスとほんわかが混じった流れや、十六夜のノリが嫌い・苦手な人もいるだろうけど、自分はむしろそこに癒しや単なる勧善懲悪ものからの解放感を感じた。この雰囲気こそがこの作者独自の魅力。
ストーリーにはだいぶやられまして、十六夜みたいに感情がぐるぐるしてた。イリアと十六夜の過度な平和主義とジェンドの葛藤が、ほんっと郷愁感と合わせて心に染みたの。

画は幼稚な感じというか子供向けな感じで描かれていますが、そんな画に癒され、作風にも合っているので好き。

皆さん大嫌いだという方はいないし、とりあえずレヴァリアースを読んでみて作風が合えば読んでみればいいかと。レヴァリアースは今赤松先生プロデュースのWebサイトでタダで見れます。(幻想大陸もこれまた懐かしい感じのギャグ漫画で、タダで見れます。)

でも正直お薦めはできない、未完で作者もTwitterでもう描けないって言い出すし。
8巻以降の未完となる展開は、正直作者の手にも余ったように感じる。

お気に入りは、唐突な入りでシリアスな6巻とノスタルジックな原野風景とイリアの軽業が見所の7巻
大人が古本屋で立ち読みできる感じの画じゃないので、買うしかないよ!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-12-22 02:39:00] [修正:2011-09-12 01:38:24] [このレビューのURL]

「空想科学読本」の柳田理科雄が立案し、カサハラテツローが描いた物語は、3巻途中まではよくあるRPG風の冒険活劇だったのに、最後の最後でとてつもないSFへ変わりゆく…

周りを壁に囲まれ、外界から流れ落ちる滝の底にある村。
その村を少女ミロが飛び出すところから始まるというのは、もはや王道ですかね。壁に囲まれ雪に埋もれゆく「きみのカケラ」、周りを滝が流れゆく「僕と君の間に」、いずれも外界と断絶された井の中から大海へ旅立つという、最高にわくわくする導入なんです。
冒険パートはジブリ的という意見が多いですが、柳田科学全開の世界にファンタジーはありません。
機械仕掛けの物理仕込み、ラピュタやナウシカ感もありますが、スチームボーイなんか近いんじゃないでしょうか。

冒険の中で少しずつ世界の謎に近付き、最後一気に収束していく様は本当に素晴らしい。
閉鎖された村から世界へ、そしてさらにスケールを広げ迎える結末。
無駄なく、破綻なく、そして、味わい深く。。

惜しむらくは冒険パートのブツ切れ、あの二行に一体どんな事情があったのか…

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-09-12 01:05:17] [修正:2011-09-12 01:05:17] [このレビューのURL]

学習誌掲載の作品ということで展開やギャグなどは子供向けに作られていますが、物語の内容は立派なSFです。
同じ理由で左綴じ左開きなのも珍しい。
あさり先生との対談も楽しめたけど、サイエンスで忙しくなかったらあさりさんがそのまま描いちゃえば良かった気も。。

ガイアのデザインと最後に仰ぎ見た空が、好き

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-09-11 23:54:52] [修正:2011-09-11 23:54:52] [このレビューのURL]

専門家批評家が少女漫画を語る時、十人いれば十人とも取り上げるであろう名作「トーマの心臓」
緻密で繊細な心理描写、美しい画、構成や展開の巧さ…
ギムナジウムで過ごす少年達の複雑な人間関係と心情を見事に描き切った傑作です。

しかしどうだろう、完成度の高さは間違いなく折り紙付きだけれど、多くの男性読者にとって少年愛というテーマをあまりにストレートに表しすぎたこの作品はとっつきにくいものではないだろうか。
自分は男子高出身なので、ギムナジウムでなくともこの男子生徒同士の生活の中で生まれうる怪しい関係、といったものを少しばかり理解できる気がするけど、そこに共感できても、面白いかどうかと聞かれると難しいところである。

この作品はフランス映画「寄宿舎(悲しみの天使)」の続きを妄想して作られたもの。
少年の自殺…それにより取り残された少年(ユーリ)の心を救いたい、そう思ってこの作品を描いたんだとか。
救いと再生の物語としては非の打ちどころがない。今日人気を誇るBL系作品とは似ても似つかないと思う。

時代を超えた普遍性、この短さで深く重く、それでいて優しい救いの物語に仕上げた萩尾望都は天才だと言える。あとは、BL的雰囲気をどこまで受け入れられるかです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-07-01 00:06:08] [修正:2011-09-04 00:20:26] [このレビューのURL]

7点 BUYUDEN

やはりこの人の序盤はめちゃ面白いです、今のサンデーのオススメはこれと荒川さんの2つ。ボクシング漫画は多いけど、女子ボクシングも混ぜてくればかぶらないはず。

萌花と主人公がどれくらい大人になるまでやるのか…そこだけが心配。。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-22 12:27:03] [修正:2011-07-22 12:27:03] [このレビューのURL]

いっそ青年漫画でじっくりやってほしかったなぁ
無理に少年漫画のノリでやってる感があって、わざとらしい部分が多々。でも少年漫画だからこその展開の速さも捨て難い。

工業漫画はいくつか知ってるけど、農業漫画は荒川作品くらいしか知らないです。面白い。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-22 12:16:05] [修正:2011-07-22 12:16:05] [このレビューのURL]

原作ファンの中には、ジブリのアニメ化により、高橋作品ではなくジブリ作品になってしまうことが嫌な方もいるでしょうが、僕自身は非常に映画化が楽しみです。
というのも、僕の生まれるずっと前に作られたこの作品に思い入れのない僕にとって、この漫画の魅力を十分に感じとることができなかったから。

学生運動なんて、村上龍の小説で(おちゃらけた感じのを)ちょっと読んでみたり、ノーベル賞もらえるレベルの人だったのにそれをしたせいで某予備校講師におさまっているという噂を聞いたり、あとは青春映画で何度か見た程度のものです。
そんなわけで前半は、ただ読んでいるだけでした。
後半の恋愛パートや海と風間の出生の秘密は楽しめましたが、雑誌側の都合もあったのか、駆け足でまとまってしまったのはもったいない。

この時代の少女漫画な画よりもあのジブリジブリした女性画の方が好きなことも含め、この原作を駿氏がどうアレンジして脚本を作るのかが楽しみです。
そして吾朗氏がどうまとめるのか…怖い。

誤解のないよう、この漫画自体は、非常によくまとまった良作です。
話の展開、入り組んだ人間関係や父親の設定、それ故の叶わぬ恋と葛藤、そしてそれを乗り越えた先にあるラスト…
密度が濃く、読み応えがあるのは間違いないです。ただ、(画も話も、)いかんせん古い作品なんです。

(映画鑑賞後追記)
試写会で見させていただきました。皮肉(?)なことに、ジブリ映画をみてようやく、原作の魅力に気付けました。
ジブリ側が「漫画的すぎる」と削ってしまった設定(特にキャラ)が、この作品の魅力でもあった気がします。(試写会に来てた人たちの反応からも)同じ青春ものの土俵なら、耳すまの方が高クオリティだった気がします。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-27 16:05:24] [修正:2011-07-20 20:32:00] [このレビューのURL]