「Scrooge」さんのページ

総レビュー数: 182レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月10日

零細街金の冴えないサラリーマン春居。
日々店長や同僚に舐められながら顧客の為に汗をかく。
しかし、それは世を忍ぶ仮の姿。
その真実は法で裁けない悪を裁く魔術師ドクター・フー。
散りばめられたマジックの小ネタが楽しく、お裁きではさらにド派手なマジックが映える。
サラリーマンの日常編とドクター・フーのお裁き編のコントラストは陳腐とはいえ解りやすくて面白い。

中盤からはドクター・フーの背景設定が明かされていき、
彼が悪を裁くのには理由があり仲間がいることがわかる。
彼らはクロブチ機関を名乗る一味で、政界の黒幕クロブチという男が、
日本を掃除するためワケアリの男女を集めた、
暴力と犯罪による正義の執行を旨とした組織であった。
ドクター・フーはその一人というわけ。

終盤では春居でもなくドクター・フーでもない。
彼自身の戦いを描く。

基本的には大した話ではないが、そこは細野不二彦。
人間の醜い部分を嫌にならない程度に織り交ぜて読んでいて飽きない。
強引な結末もキャラクターに感情移入できていれば許容できる。
良い意味での娯楽漫画と言える。

*雑考
主人公ドクター・フーははっきり言って気持ち悪い。
3億円の豪華マンションに住み夜景を見ながら裸で筋トレしている。
キメ台詞「この債権有効なりや?」もどうかしているとしか思えない。
しかし、それでもなお言動に憎めないところがあって、それが作品全体の救いになっている。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-11-29 22:12:32] [修正:2011-11-29 22:16:03] [このレビューのURL]

一戦毎にパイロットの命を消費する巨大ロボットで子供たちが戦うアクション漫画。
敵はパラレルワールドの地球を代表する巨大ロボット。
こっちの地球と向こうの地球が勝負して負けた側の地球は消滅してしまう。
回避できない戦いであることだけが要点。
子供たちは自分の使命をどう考え、限られた時間をどう使うのか?
そして周りの大人たちは?というのが本作品のテーマ。

最大の問題は感情移入と状況把握のし辛さ。
1)テーマが非日常的。
2)キャラクターの行いが突飛。
3)顔の見分けがつかない。
かなり早い段階でどうでもよくなり、後は最終回を確認したいだけで読み進めた。
1)巨大ロボットで戦う。
2)毎回勝つ。
3)勝ったら死ぬ
といった単純明快なルールがなかったらどうしようもなかったろう。

最終的なメタメッセージは、自分の命は他の命の犠牲で成り立っているので、もうちょっと頑張って生きろといったもの。

1)主人公と世界の運命が同一化されている。
2)成熟を促す時間の経過や多様性の源になる空間の広がりがない。
といったセカイ系の条件に忠実な作品で、
これを受け入れられない読者には、何もかも理不尽に感じられるだろう。
スピード感を優先した為か、セカイ系作品に親しみのない読者を作中に引き込む工夫がほとんどない。

*2点は個人的に世界観が好きになれないという意味での評価。
 漫画作品としては作画は丁寧だしセリフ回しも周到で欠点が少ない。
 好きな人なら高得点を与えることも十分ある。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-11-27 20:20:28] [修正:2011-11-28 13:37:32] [このレビューのURL]

人付き合いの苦手な女子高生2人組みを主人公にしたドタバタコメディ。
タイトルは、彼女らが背が高くて気弱で同級生と会話できないことから。

周囲から浮いてしまう2人の繊細な内面や、
どうにか友達をつくろうとして水泡に帰す努力が作品の面白さ。
絵柄はデフォルメが利いており、動きも滑らかで気持ちいい。

しかし、紙面がごちゃごちゃして情報が整理されておらず
漫画として非常に読みづらい。キメゴマが弱いのも気になる。



ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-26 17:03:07] [修正:2011-10-26 17:03:07] [このレビューのURL]

ゴッサムシティで記念日ごとに人を殺す殺人鬼ホリデイは誰か?
ハードボイルド探偵小説のようなバットマンコミック。
は、良いのだが、漫画としての可読性が低すぎる。

誰に対し何を表現しようとしてるのかが不明で、全編を通し首尾一貫しない。
派手なキメゴマの多用は食い違いの違和感を助長し、読む側の徒労感をいや増す。
瑣末なエピソードがやたら多いのもマイナス。
苦労して小さな文字を読んでも作品の理解の助けにならず、
キャラクターへの感情移入を強めもしない。
バットマンとキャットウーマンの恋の鞘当てなどどうでもいい。

クライマックスも酷い。
ホリデイの正体はひねりがない上に、バットマンによる看破でなく本人が自ら登場してしまう。
何のために正体を隠していたのか。
さらに記念日と殺人に全く関係がないと来ては、根本的に貧しい作品と言わざるを得ない。

バットマンシリーズに長く親しみ、キャラクターの人格設定や背景、動機付けなどを熟知した読者なら(詰まらないなりにも)読むことは可能だろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-10-03 14:43:28] [修正:2011-10-03 14:52:59] [このレビューのURL]

並行世界を扱う有名なSF小説「非Aの世界」からタイトルをとったSFラブコメ。
非Aの世界はナルエーの世界と読む。
前半は面白い。
冴えない少年カズトが意中の女の子:成恵といかに仲良くなっていくかという話は
感情移入が容易だし、女の子の突拍子もない行動や秘密にドキドキできる。
カズトと成恵がカップルになった後も、互いに相手につりあう人間になるため
成長しようとするという描写は好感が持てる。

ところが、物語の後半になると並行世界設定が全面に押し出され
キャラクターがドンドン増えていく。
似たような顔、似たような体形の美少女が5.6人コマの中にいるのが当たり前になる。
誰が、いつ、どこで、何を、何のために、どのように、の5W1Hが読者に伝わらなくなり、
作品はすでに漫画ではなく、断片的なキーワードの集積になった。
美少女(人間)、メカ、美少女(非人間)、愛と勇気で人類を救う、宇宙の謎。
何をどうしろというのか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-03 11:33:06] [修正:2011-10-03 11:33:06] [このレビューのURL]

中世ファンタジー世界での小国イズァローン。
2人の王子、ティオキアとルキシュの数奇な運命を描く。

祖国を出て世界を放浪しながら魔族の世界に近づくティオキアと
国を継ぎ王として成長するルキシュ。

序盤の出来は抜群。
ティオキアなら国を出て旅がスタートするあたりまで。
ルキシュなら若輩の王として国をまとめていくあたりまで。

物語の最重要人物ティオキアは、男女同性体かつ半人半魔。
常に両極端に引き裂かれる彼の描写はどうしてもどっちつかずになる。
中盤以降は場当たり的に派手な魔法が紙面を埋めることになり、
ティオキアに関わる人物は全て彼に振り回されるだけになってしまう。

ルキシュは王であり男性として素性が定まっているため、話は整理されている。
しかしながら、こちらは独自の工夫がなくありきたりな印象。
(発表当時と現在の環境の違いは考慮すべきだが)

ラストは成長したティオキアとルキシュが出会い、
世界の秘密に到達する。これもオチとしては強引な感があり弱い。

ティオキアとルキシュがどうなってしまうの?という視点で見れば宝石箱のような作品。
2人が何者なのか、あるいは何者になろうとしているのかで見ればガラクタ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-09-22 16:43:11] [修正:2011-09-22 16:43:11] [このレビューのURL]

桜庭一樹の同名小説のコミカライズ。
少女が世界の残酷さと向き合っていく話。


 山田なぎさは、家庭に問題があり早く自立したい。
収入、職業、資格、そういったものを「実弾」と
彼女は呼んでおり、生きていくための「実弾」を欲しがっている。
 転入生、海野藻屑(もくず)は虚言癖の美少女で、
自分を人魚の姫だという。
藻屑はクラスに受け入れられない。
なぎさは藻屑に反感を抱きながらも、懐いてくる藻屑を拒否できない。
 なぎさの兄は、そのような藻屑の言動を、何も打ち抜けない砂糖菓子の弾丸のようだと評する。


田舎町の穏やかで心地よい閉塞感、少年少女の頼りなさや純粋さなどが
よく描けている。
周囲で見守っているつもりで子供を救えない大人たちとの距離感もいい。
かなり重たいテーマなので、気軽に読める漫画ではないが、
好きな人にはたまらないだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-12 14:29:03] [修正:2011-07-12 14:30:19] [このレビューのURL]

初期は短編形式。
持ち込まれる霊的事件をムヒョとロージーのコンビが魔法律の力で解決する。冷酷なムヒョの大岡裁きが面白さ。

中期は長編形式。
ムヒョの旧友を敵としたおおがかりなバトル。
強敵との超能力バトル。ジャンプお得意の展開。
魔法律もドンドン派手になり華やかだが話はスカスカ。

終盤で、また短編形式。
決戦の後で日常の業務に戻る・・・のだが、面白くない。
中盤で追加した設定に引きずられたのか、
ムヒョとロージーたちの描写が多い。
事件の鮮やかな解決が犠牲になり単純な力ずくが目に余る。
話の密度は上がらないままに事件が小粒になってしまい、
もはや手の施しようがない。
テンションの低下が覆い隠せなくなり、
より強大な敵との対決を暗示しながら終わった。

けっして駄作ではないが、力を出し切れていない印象が残念。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-12 14:13:02] [修正:2011-07-12 14:13:02] [このレビューのURL]

北欧の美少女工作員が現代日本で普通の女子高生として振舞うバトルコメディ。
可愛い女の子と残酷な暴力描写はいつものるるる漫画。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-07-06 14:17:43] [修正:2011-07-06 14:17:43] [このレビューのURL]

ほのぼのコメディから超能力バトルにシフト。
このまま敵を倒して終わりならハイパーあんなと同じ。
まさに可もなく不可もなく。

完結後の追記
嫌な予想のとおり、ただなんとなく敵を倒し日常を取り戻して終わり。
キャラが出揃った後のやる気のなさが隠しようがない。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-08-04 14:10:31] [修正:2011-07-06 14:15:26] [このレビューのURL]