「DEIMOS」さんのページ

総レビュー数: 126レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年01月14日

自転車という自分の趣味を漫画にしました的日常漫画。

鬼頭先生といえばSF、というイメージがあるが、本作には超科学的な存在は皆無。すべてが現実世界の描写。
作者は、自らの趣味である自転車をじっくり、丹念に描きたかったのだろう。薀蓄が前面には出ず、小出しになっているあたり、自転車にあまり明るくない人にとっても新鮮な気持ちで楽しめるように工夫されている。(ちなみに私はトレックのクロス乗りなので、ほどよく楽しめた。)

が、「シャカリキ」のような熱さMAXのスポーツマンガではなく、「大人の趣味としての自転車」というスポットの当て方。このアクのない作風は、拍子抜けの感もあるが、淡々と読めてしまうのは、同一作者の過去作品を知っているからだろう。

港区・世田谷区・中野区あたりに居住し、ロハスを実践するオサレでちょっぴりロリコンの大人には楽しめる漫画だろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-03-03 18:34:37] [修正:2013-03-03 18:34:37] [このレビューのURL]

また異星人退治系SFか、とうんざりさせられる無難な作品。

書店で平積みにされていた1巻を見てなんとなく購入したのだが、ストーリーは寄生獣というかウルトラマンというか鉄腕バーディーというか、、、よくある異星人退治系のSF設定。
主人公が女性で、虚無感溢れる、というのは新しいが、いかんせん魅力あるキャラクターがいないのは致命的。特段技巧を凝らすこともなく、バーッと話を広げて、よくわからん形で終結させるのも、もはや見慣れた光景。

眺める分にはサラサラと読めて無難なSFとして楽しめるが、全く思い入れを抱けないので、直ぐに記憶から消失するだろう、と断言できる。事実、ブックオフの100円棚で本書は大量に溢れている。そんなに売れてないだろうに―。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-03-03 18:23:20] [修正:2013-03-03 18:23:20] [このレビューのURL]

ヒトラー出生に関する秘密文書を巡って、アドルフの名を冠する二人の少年による数奇な運命を綴った戦中譚。

第二次大戦下のドイツと日本を舞台に、ヒトラー出生に関する秘密文書を巡って人間がひたすらに「すれ違う」様は、もどかしくも滑稽で、数奇な運命の連鎖が読者を飽きさせない最大の仕掛けとなっている。あたかも「めぞん一刻」で五代君と響子さんの想いがすれ違い続けたように―。このモチーフの上に複数の小さなサスペンスや恋愛ドラマが折り重なりつつ、タイトル「アドルフに告ぐ」という名どおりの終結に向かって見事にストーリーが収束していく様は圧巻だ。

手塚治の晩期に非漫画雑誌で連載された本作。手塚作品の中でも異彩を放つ。同時期のブラックジャックの絵柄は、画線の「ブレ」が露見されるが、本作では、比較的しっかりとした筆跡を感じられる。それだけ作者の格別な思いが詰まっているということか。

なお、史実との関係については、秘密文書の存在も含め、多分にフィクションが混在していることに留意したい。しかし、ユダヤ人の迫害と彼らが世界の経済界・学界等で大きな存在感を示す現実の裏に何があるのか、人はなぜ人種差別をするのか等、歴史上の本質的問題について思索に耽るには十分すぎる歴史「小説」だといえるだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-03-03 18:05:27] [修正:2013-03-03 18:13:02] [このレビューのURL]

ヤクザ&政治両面からの世直し系劇画。

まだバブル期の名残ある時代に始まった漫画であるが、世直しの気風に満ちた若者たちがいわゆる「体制」側に戦いを挑むところは、今読んでも十分に楽しめる。昨今、世直し漫画といえば、キーチVSやデストロイ&エボリューションのように「テロ」に題材を移す傾向にあるが、本作は、「ヤクザ」と「政治」という光と闇の2つの統治機構を二人の若者が中から変えていこうとするもの。

その過程は、「暴力」と「権力者の弱味を握る」ことの繰り返しだ。細かいリアリティを追求すれば、ツッコミどころは多々あれど、その展開のテンポの良さは心地よい。お前ら、愛人とセックスするときくらいちゃんとドアのカギかけとけよ!、とか、ここでソイツ殺しちゃうの?!とか、そんなパターンも読み進めていくうちに楽しめるようになってくる。さすが武論尊先生。

絵は、静止画の劇画としては、秀逸。巧い。特に、女性は現代でも通用するエロさ。が、動きはないし、バタ臭さは否めないのだが、一時代を築いた池上先生の絵なのでそれはそれで楽しめる。

本作が連載されていたのは、90年代初期から中期。細川内閣や村山内閣等、連立工作によって目まぐるしく政権が交代していた時代だったからこそ、共闘体制を模索する「劇場型政治」のダイナミズムが注目されたのだろう。が、今や、日本は、国政選挙による2度の政権交代を2009年と2012年に目撃した。そういう意味で、改革の期待感と失望感の双方を既に経験した現代人にとって、この漫画は絵空事ではなく、よりリアリティのもった世直しバイブルとして受け止められて然るべきかもしれない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-02-25 01:58:15] [修正:2013-02-25 01:58:15] [このレビューのURL]

7点 銭ゲバ

金の亡者となった成金の人生の一部始終を簡潔に描いた問題作(?)。

この世はすべて金、と悟った人間の人生を一気通貫で描き出している。しかも、「少年サンデー」で。金、女、政治、権力、殺人・・・おぞましい所作の連鎖。金があれば何でもできる、そういった拝金主義が跋扈していた時代性を象徴する作品だろう。思うに、現代ではこの価値観は容易に許容されないのではないか。

絵は決してうまくないのだが、登場人物はほぼ全て心の汚い人間だからか、全く違和感がない。絵のブレが、心の歪みを形容しているかのように。

拝金主義の是是非非を押し付ける作風ではなく、問題提起している形になっているため、色々と考えさせられる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-02-25 01:23:43] [修正:2013-02-25 01:23:43] [このレビューのURL]

8点 度胸星

未知なる火星へ人生を賭けた日本人達の軌跡を描いたSFヒューマンドラマ。

一言でいえば、濃縮されたシンプルな「宇宙兄弟」。月面飛行を夢見て宇宙飛行士を目指す兄弟を描いたのが「宇宙兄弟」であり、目下大変な人気を獲得しているが、それよりも遥か以前に同系列の題材で同様のモチーフに焦点を当てている漫画があったとは、、、一種の衝撃。

登場人物はより少なく、ストーリーはよりシンプルであるが、候補生各々が自らの夢を抱いて、選抜試験や厳しい訓練を経て火星へと至る全体構成は酷似。超ひも理論などを交え、よりハードSFに近い部分もあるが、それはあくまで「未知なる火星」のエッセンスに過ぎないと思えば、この作品の本質は、主人公(度胸というより我慢強さを特徴とし、見た目はドカベンの山田太郎そのもの)とその周りの個性的な候補生達のヒューマンドラマとして見るべきだろう。

この作者の絵柄は妙な力がある。それはモブキャラの目を丸めるリアクションに象徴されるわけだが。力強さはあるのに暑苦しくない不思議な心地よさを感じられる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-02-25 01:10:06] [修正:2013-02-25 01:11:59] [このレビューのURL]

不死のバンパネラと人間との交流を時系列に短編小分けして描いた耽美系雰囲気マンガ。

24年組の中心的存在たる萩尾望都によって、不死の美少年による人間との関わりあい、特に、恋や妹愛等が淡々と描かれる。山なくオチなく意味なく―。
不死の美少年という題材は、世の女性達の妄想ターゲットとしては垂涎ものだろう。同性愛的なシーンもチラホラとあり、BLの萌芽を垣間見ることもできる。
が、それ以上に、この本が出版された当時においては、「時を超えて生き続ける人間ならざるもの」の神秘性と美麗なる描出力こそが一種の衝撃だったのだろうと推察に難くない。
が、現代に改めて読むと、この「雰囲気」だけでは正直楽しめない。もう少し山谷が欲しい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-02-25 00:57:22] [修正:2013-02-25 00:57:22] [このレビューのURL]

リアル描写による学園バトルサバイバル系の元祖的作品。

一時期、小説や映画、漫画等メディアミックス展開によって有名となった作品であり、ひとまず漫画から入ってみたが、正直馴染めない。
というのも、登場人物は、中学生なのに、どうみてもオッサン&熟女で、かつ、筋肉ムキムキで知識レベルが高すぎる。なのに倫理観は皆無。学生の純朴さ・無垢さありきでの感動演出だと思うが、こんな頭のネジの抜けたおっさん達の殺戮ゲームに感情移入は出来ない。
また、ゲームの存在意義や社会の倫理観が無視されている無茶苦茶な設定は、マンガ読みからすれば大幅減点ポイント。読み流すジャンクフード以上でも以下でもない。「狩猟本能による生存競争」という人間の本能を充足するだけの「麻薬的快感」だけを提供するアダルトビデオみたいなものだろう。

さりとて、以後、閉鎖空間におけるサバイバルゲーム、という後続作品を次々と生み出す下地を築き上げた功績には疑う余地はないだろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2013-02-23 16:54:12] [修正:2013-02-23 16:54:12] [このレビューのURL]

浦沢流映画手法がふんだんに盛り込まれた昭和ノスタルジー漫画。

この漫画が連載された当時、三丁目の夕日やオトナ帝国の逆襲等とともに、昭和ノスタルジーブームを形成した著名作品。

こうした時代の流れを確実に掴みつつ、週刊連載にて読者を飽きさせない絶妙の「ひき」と「ため」のテクニックを駆使。これぞ浦沢漫画の真骨頂。キャラは薄く、写実的。ミステリー調のホラー的雰囲気は独特である。そして、着実に回収する伏線の数々。練りこまれた全体構成の素晴らしさでは、漫画界に右に出るものはいないだろう。

が、いざ単行本で一気通貫に読むと、「ひき」が多すぎて、「引っ張った割にこんだけ!?」とがっかりする展開が頻繁に登場。正直、冗長感は否めない。このストーリーなら20巻以上も必要ないだろう。オチもあっけない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-02-16 01:11:30] [修正:2013-02-16 01:11:30] [このレビューのURL]

島本和彦による学園SF異能バトル漫画。

島本ファンだからこそ、本作を酷評せざるをえない。島本が輝けるのは、おそらく、こういった真面目なSFバトル作品ではないだろう。パロディや自伝などのメタ的作風こそが彼の本分。本人は楽しんで書いていたのかもしれないが。正直、こういう作品の中に一々ギャグを入れられたら、読みづらくて仕方ない、というのが読後感だ。「バカなことを大真面目でやる」という方がしっくりくる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-02-14 00:14:17] [修正:2013-02-14 00:14:17] [このレビューのURL]