「Scrooge」さんのページ

総レビュー数: 182レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月10日

少年、呪われた少女、殺人鬼の遺品、超能力、変な名前、怪しい組織、怪しい男。

底が浅く陳腐すぎて、漫画として誉めるところがない。
ただし、絵の力強さとリズムの良いネーミングは素晴らしい。
今後の成長に期待したい。

*30代男性読者の視点で酷く書いたが、
 掲載誌の想定読者は中学生ぐらいであろうから、
 これで良いのかもしれないとは思う。

完結後の追記

連載当初から著しく成長し、とても良い漫画として終わった。
冒頭を過ぎて一通りの設定説明が終わったあたりから、主人公を含めキャラクターたちの行動が力強くなってくる。
読み進めるにつれて作品のメッセージが明確になり、確かな終わりへ進む感覚が頼もしかった。

作品のメッセージとは成長への意志。
未熟な若者たちが、選択し自己決定し、協力して抗って、弱い自分と決別していくこと。
作中このモチーフが繰り返しあらわれる。というよりそれしか出てこない。
仲間の小さな勇気に励まされて、より困難な決断へ立ち向かう。
その連鎖が大きな物事を動かしていくのだ、というド真ん中のド真ん中。

正しいメッセージを説得力のある形で提示している。
よくぞ描ききってくれたと作者にお礼を言いたい。

ただし、漫画表現はあまり進化しておらず、慣れていないと読みづらい。
次回作に期待。






ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-12-11 13:02:07] [修正:2015-10-25 19:25:47] [このレビューのURL]

女性の労働基準監督官、段田凛(ダンダリン)を主人公に、
現代日本での労働基準監督官の仕事を描く漫画。
タイトルのダンダリン一〇一とは、労働基準法第101条(労働基準監督官の権限)から。

作品のテーマが掘り下げられる前に連載が終了してしまった。終了の経緯は不明。
熱心に働いてきたダンダが、ある事で自信を失い無断欠勤して自宅の布団に包まり
悲鳴をあげるという最終回。
日本全国の労働基準監督官が厳しい条件で働いているデータ(人数の不足)が示された。

ダンダは過剰に仕事熱心だが、それは彼女自身の余裕のなさが原因。
不器用で融通の利かないダンダは職場でやや浮きがち。
そのズレを埋めることも開き直ることもできず、すべてを誤魔化すためにガムシャラに仕事に打ち込んでいる。
その勢いが仕事上の成果につながり、ダンダはさらに頑張ろうとするのだが、
蓄積する疲れを癒すことができない。

ダンダは疲弊した自分をいたわる事すらできず、働く意欲をなくした自身を無能者と断じて壊れた。
その職務において、人間を労働機械として扱う雇用者を誅してきたダンダがまさに自分自身をそのように扱ってしまった。
漫画版は言うなれば、ダンダリンの敗北というタイトルが相応しいだろう。

ここで漫画は終わり、唐突な終了がかえって強い印象を残した。
作品のテーマは竹内結子主演のドラマ版に受け継がれた。
「山のあなたの空遠く、『幸』住むと人のいふ。」(ブッセ)
ドラマ版ダンダは「遠くかもしれないが幸せは在る」という意味で使っており、
漫画版ダンダが抱える苦しみに答えを出していることが示唆されている。

漫画版とドラマ版を比較することで本作品のテーマがわかりやすくなるだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-09-15 12:13:14] [修正:2015-09-15 12:14:39] [このレビューのURL]

舞城王太郎と大暮維人を足した漫画。
高校生の少年少女が世界の運命を賭けて異能バトルしながら恋と友情ですったもんだする話。

ありふれた物語、常軌を逸した過剰表現、緻密でスタイリッシュな作画。
いろいろと漲りまくってオーバーヒートした力作。

舞城と大暮の個性が良い具合に融合しており、好きか嫌いかはともかくお見事。
2人の作風が嫌いでないなら、一読の価値あり。

ただ、嫌みったらしく言えば、オッサンに読ませるためにオッサンが作っている青春漫画であって、
甘酸っぱい高校生活とは無縁だった人間の思い込みの寄せ集めという印象はぬぐえない。

だが、どうか怯まずに結末まで描ききってほしいと思う。
妄想と作り事の青春の向こう側までオッサン読者を連れていって欲しい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-09-14 10:41:33] [修正:2015-09-14 10:41:33] [このレビューのURL]

妙齢なのに恋愛に全く疎い女性を干物女と揶揄する言葉がかつてあった。
それを妹に適用して干物妹。ひもうとと読むらしい。

主人公タイヘーの妹はバリバリのオタク。
ゲーム漫画アニメジャンクフードに埋もれて生きる女子高生。
要はコアなオタクの痛い生活も、主体が美少女なら漫画にはなるという作品。

やってることは本当にダメな人だが描写の丁寧さが面白さの核になっている。
お菓子の旨さに感動したりゲームに夢中になっている干物妹の豊かな表情を兄視点で眺めていると確かに愛おしさを感じる。

オタクの日常行動からどれだけ魅力を引き出せるか。
シンプルで根気のいるテーマに挑んでいる。

後日追記

連載の中盤から、兄との関係をメインにしながらも風変わりで面白い友人と過ごす楽しい日常を描く漫画になった。
人気が出て奇をてらう必要がなくなったのか
ネタが苦しくなったのかはわからないが、
連載を長く続けようとすれば正しい路線変更だろう。
ただし、もはや干物妹ではない気がする。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2014-07-16 11:29:16] [修正:2015-04-24 14:32:40] [このレビューのURL]

桜庭一樹の連作短編小説のコミカライズ。
簡単に説明すると、舞台はマリみて。

良家のお嬢さん方がごきげんようと微笑み会う学園が舞台。
数ある部活動のうち、学園のはぐれ者が集まるのが読書倶楽部。
彼らは学園の表の歴史には決して残らない珍妙な事件の、
当事者であり観察者であり記録者である。
ここに、代々の読書倶楽部メンバーが書き残した倶楽部史があって・・・
というお話。

作品の主役は学校そのもの。
一つの場所をたくさんの人間が出たり入ったりして、最後には誰もいなくなる話、と著者インタビューで言っていた。まさにそのとおり。

原作小説はかなり濃い作品で、ページ数の割りに情報量が多い。
コミカライズにあたって原作の美味しいセリフや美味しいシーンを
つまみぐいするように並べ雰囲気を再現するようにしている。
タカハシマコの描く少女たちはかなり良い感じで、
儚い美しさ、傲慢さ、醜さを端的に表し目を奪われる。
雰囲気の表現には成功しているが、一方でどうしても物語は唐突な印象を受ける。

漫画はそれなりに面白いけど物足りないなと思われた方は原作を読むといい。
原作のみ読まれた方は、おお、こいつはこんな顔なのかという感じで本作をどうぞ。

2014年4月現在、最終回の一歩手前。
最終エピソードは複雑な構成になっており、
現役の読書倶楽部員と、卒業後に学園を訪れたOGが同時に別の空間で行動している。
原作小説ではこの複雑さをスムーズに処理しきれずに、何度か読み返したが、
漫画版の描写はなめらかで、テーマがより伝わりやすい。

本作は桜庭一樹のストーリーとタカハシマコの漫画力が見事に結晶化し素晴らしい作品になった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-04-03 17:28:04] [修正:2014-04-03 18:51:58] [このレビューのURL]

作者お得意の女性同士の恋愛を題材にしたコメディ。
女子生徒だけの学校で、2人1組のグループチャンバラ。

基本的にはキャラクターの面白さと可愛さだけの漫画。
ボケとツッコミの連鎖で場を繋ぎ、勢いがなくなってきたらチャンバラで打開する。

物語が上手い作家ではなく、キャラも数が多い割りに似たような設定が多い。
ただ、各キャラクターの外見は見分けがつくように上手くデザインを切り替えたり、
紙面での配置を工夫しており、全体的な読みやすさは抜群。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-07-22 12:45:16] [修正:2013-07-22 12:45:16] [このレビューのURL]

見ず知らずで倒れている瀕死の青年を助けた主人公(男)。
助けた相手は宇宙の王子さま。
是非妻になってほしいと熱烈に求婚される主人公(男)
男なので結婚できないと断ると、性別を男→女に変えられてしまう。
そのまま居候することになった王子と元男の主人公(女)を核に繰り広げられるドタバタラブコメディ。

ネタが盛りだくさんの漫画。
王位相続権の争奪戦。男→女と急な性転換による生活のギャップ。
実の弟との恋愛や、王子の許婚を名乗る王女を交えての大乱闘。
などなどやたらイベントが多い。
ハイテンションなスラップスティックの中に、話を引き締める決めゴマが気持ち良い。

話と言えるような話はなく、出来事の羅列でキャラクターの人柄を描いていく作品。
作者が好きなものを好きなように描いているという印象。

絵柄が好みならオススメ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-07-15 17:39:32] [修正:2013-07-15 17:39:32] [このレビューのURL]

6点 アカギ

マージャンの天才アカギの物語。
アカギという人物の天才っぷりを堪能する作品。
狡猾で抜け目なく勝利し危険に怯まない。
その悪漢ぶりにホレボレするのが楽しさ。

そこまでなら、9-10点でいいぐらいの名作なのだが、
どうしても発表の形態が足をひっぱる。
連載漫画としての体を為さないほどに連載が長期にわたっている。
休載が多く話が進まないうえに、稀に掲載されても勝負が進まない。
しょうがないから単行本でまとめて読もうと思っていると、明らかに無意味なエピソードが混ざり始めてファンは頭を抱えている。

面白さが目減りしても完結したら読むだろうが、やはり残念に思う。



ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-07-01 10:14:35] [修正:2013-07-01 10:14:35] [このレビューのURL]

男子高校生の主人公が不定期に異世界に召喚され、命がけのゲームに巻き込まれるという話。
スタート当初は主人公たちが無能力で謎を解いて生き残るギミックバトルの要素が強かった。
中盤で主人公たちに能力がつき力と力の純粋バトル漫画にシフト。

一人の少年が戦いで成長し才能を開花させて世界を救う。
ストーリー、キャラクター、設定は、ちょっと恥ずかしくなるようなお約束の連続。
しかし、そこから逃げず一つ一つを丁寧に描いており好感が持てる。

全16巻をダレずに描ききったのが素晴らしい。



ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-02-19 16:18:30] [修正:2013-02-19 16:18:30] [このレビューのURL]

ごく普通の女子高生が何の理由か魔界に迷い込み、死んでしまう。
彼女に一目惚れしたオタクの吸血鬼が彼女を生き返らせるために敵と戦う。
主人公はオタク吸血鬼。

ごく普通の超能力バトル+可愛い女の子の漫画。
目新しさはないものの、絵も話もバランスが良く読みやすい。
偉いと思うのはセリフ。
普段ちゃらんぽらんなオタク吸血鬼に要所要所で主人公らしく気のきいたセリフを言わせている。
この律儀さで主人公が主人公に見える。

絵柄が気に入った人はどうぞ。
2013年1月現在、アニメ化の企画が進められているとか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-02-19 15:59:30] [修正:2013-02-19 15:59:30] [このレビューのURL]