「Scrooge」さんのページ

総レビュー数: 182レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月10日

7点 ARIA

ベネチアみたいに船で街を観光するのって優雅でいいよねーという漫画。
話らしい話はなく水の惑星での心地よい生活を短編形式で描いた漫画。

街のあちこちにこんな面白いところがある。
今日はこんなお客さんが船に乗った。
季節のお祭り。同僚や先輩との交流などなど。
平和な暮らしに安らぎを見出すエブリディマジックの系譜に連なる作品。

その安らぎや優等生ぶりは非現実的でうっとうしいほどではあるが、
舞台を別の惑星にしたことで、どうにか折り合いをつけた。

毎話ごとにキレイな風景が決めゴマとして登場する。
そこに説得力を感じるならば、高く評価できるだろう。
1巻から12巻までテーマを外すことなく高いクオリティで描ききった良い作品だと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-21 00:09:28] [修正:2013-05-21 00:09:28] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

ラブコメサスペンス漫画。
離島の中学校に少年西神くんが転入する。
突然ヒロイン若苗さんが死亡。そして蘇生。
蘇生には、島の蛇神ハハネ様が関係しているらしい。
次から次にやってくる災難トラブルその他諸々。
西神くんと若苗さんは数奇な運命を乗り越えてハッピーなカップルになれるか?というお話。

ラブコメ部分は、西神くんと若苗さんが互いに少しずつ心を開いていくところがいい。
サスペンス部分はツジツマの会う推理モノになっている。
ラブコメの緩い感じとサスペンスの緊張感が上手くあわさって読んでいて気持ち良い。

残念ながら原作者急病により物語の中盤で中断。再開が待ち遠しい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-11 13:16:00] [修正:2013-05-11 13:16:00] [このレビューのURL]

桜庭一樹の同名小説のコミカライズ。
少女が世界の残酷さと向き合っていく話。


 山田なぎさは、家庭に問題があり早く自立したい。
収入、職業、資格、そういったものを「実弾」と
彼女は呼んでおり、生きていくための「実弾」を欲しがっている。
 転入生、海野藻屑(もくず)は虚言癖の美少女で、
自分を人魚の姫だという。
藻屑はクラスに受け入れられない。
なぎさは藻屑に反感を抱きながらも、懐いてくる藻屑を拒否できない。
 なぎさの兄は、そのような藻屑の言動を、何も打ち抜けない砂糖菓子の弾丸のようだと評する。


田舎町の穏やかで心地よい閉塞感、少年少女の頼りなさや純粋さなどが
よく描けている。
周囲で見守っているつもりで子供を救えない大人たちとの距離感もいい。
かなり重たいテーマなので、気軽に読める漫画ではないが、
好きな人にはたまらないだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-12 14:29:03] [修正:2011-07-12 14:30:19] [このレビューのURL]

前作ナツノクモと比べて判りやすい事に力を入れている。
次から次に何かが起こり飽きさせない。
が、一方で明示した為にメッセージ生の弱まりも感じる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-07-11 14:50:56] [修正:2009-07-11 14:50:56] [このレビューのURL]

高校の女子ナギナタ部を主人公にしたスポ根漫画。
設定やキャラクター、物語の展開はお約束の連続。
泥臭さと可愛らしさを両立しつつ、勝負を忠実に描くのが高評価。

スポーツ漫画は物語の序盤・中盤は素晴らしいが終盤が苦しい。
展開は繰り返しが多いし、キャラクターの因縁が掘り下げられてテンポが悪い。
新キャラを入れざるを得ない一方で割り込む余地が少ない。
この作品でも情熱は衰えていないにせよ、落とし穴にはまりつつある。

ダレる前に強引に終わるのでなければ、何がしかの工夫が必要であろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-05-06 08:54:00] [修正:2018-05-06 08:54:00] [このレビューのURL]

舞台は現代日本の京都。主な登場人物はミュージシャン。
青年ヨタカと少女コトが出会い、2人の音楽的大冒険人生が始まって、という漫画。

音楽と漫画は意外と相性が良い。
漫画には音や動きがないので、かえってどんな表現も可能になる。
思いがけないタイミングで聴いた音に全身が震えるほどに感動してしまう。
そんな衝撃を漫画に落とし込んだ作品。
音楽の凄さを視覚化するために作画上の工夫が盛り込まれている。

物語の主軸であるボーイミーツガールも良くできている。
音楽以外に何もいらないと未熟なヨタカとコトが、少しずつ成長して人と関わる事を学んでいく。

音楽をただ美しい芸術や他者との勝負にするのでなく、人の行為として描くのが最も優れた点。
人生の辛さ、不安や苦しみ、悦びや衝動を直接ぶつけられる形式。
それがこの漫画の音楽。

キャラクターの掘り下げや漫画への向き合い方が誠実な作家で次回作が楽しみ。

全4巻も手ごろな分量。ぜひ手に取っていただきたい。
読み始めは超不愛想なヨタカと狂ったコトに面食らうだろうが、
そのうちに判ってくる。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-03-23 08:50:17] [修正:2018-03-23 08:50:17] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

危険とお宝がいっぱいの大穴アビス。
深く踏み込めば生きて帰れないアビスに少年と少女が潜る冒険マンガ。
元気少女リコと記憶喪失のロボット少年レグ。2人はアビス最下層へたどり着けるか?
そしてアビスの底には何があるのか?という漫画。

着想と情熱はすばらしい。
描きたいものを描き切る気迫があって好感が持てる。
練り込んだ展開も読者を引き込む力がある。

ただ、やはり欠点も大きい。根本的に漫画の技術が不足している。
主人公たちにスポットが当たり過ぎて、アビス自体が描けていない。
アビスの歴史、アビスの広がりは詳細な設定がある事を匂わせつつ、ほぼ描かれない。
おそらくは物語がスピード感を失わないために、
主人公たちがまっしぐらに下層へ向かう事にしたのだろう。
だが、急ぎすぎた印象だし情報を盛り込む構成力に物足りなさを感じる。

その結果、展開のバリエーションが少なく、冒険譚でなく子どもが酷い目に会う話になっている。
下へ進む、上には戻れない、底まで突き進むという明快なルールのおかげで読者はついていきやすいが、
作者の狙いというよりは幸運だろう。

諸々の欠点はおそらく作者もわかっている。
それでもなおこの作品を描きたかった理由はなんだろうか。
アビスの底にその答えがあると期待している。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-09-16 21:35:55] [修正:2017-09-16 21:35:55] [このレビューのURL]

魔法使いの嫁というタイトルが良いし、絵もキマっている。
人の社会からはじき出された主人公の少女が人ならざる者の社会でゆっくり成長していく物語。

事件の繰り返しでなく細々とした日常の積み重ねなので、
漫画らしいドラマチックさには欠ける。
漫画表現としてもただただ丁寧で地味な作風。

読者的にこれを楽しむには、ただページをめくるだけでなく、
描かれていないことを想像しなければいけない。
枠の外に何があるのか、あるいはセリフのないキャラクターの心情など、
読者側で補う必要があり、正直めんどうくさい。

作中、その生い立ちから心を閉ざしがちな主人公を、
周囲の人ならざる者たちが控えめに労わり、
時間をかけて心のわだかまりを解いていく場面が多い。

この主人公と周囲の関係は、なんだか作品自身と読者の相似形になっている。
読者の側でこの作品が何を伝えたいのかを考えさせるのはダメではないが、
この作品では作者の力不足のような印象で、もうちょっと頑張って伝えてきて欲しいと思う。

後日追記
序盤を過ぎて登場人物が出そろったあたりで恐ろしい敵があらわれ、
いよいよ話が動いて面白くなってきた。
ぎごちなく、どことなく浮ついていた主人公も自らの決断で行動するようになる。
漫画表現も上達し力強くなってくるので、ここでも主人公の成長を作者の成長として感じられる。
この先が楽しみ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-09-25 13:53:06] [修正:2017-03-10 22:12:30] [このレビューのURL]

庶民とセレブが派閥にわかれて争う学園が舞台。
庶民のロミオはセレブのジュリエットと恋仲に。
二人はいつか庶民とセレブが仲良くなれる事を願いながらも
周囲に隠れて交際を続ける、というラブコメ。

設定や話はあまり面白くなる要素がないが漫画としては非常に丁寧でバランスが良い。
微笑ましかったり、ドキドキしたり、熱血要素もあったり、読みやすくて楽しい。
ダラダラと読んでいるとついつい読んでしまうタイプの漫画。
良い作品だが、作者の能力を考えるとコメディが逃げになってしまっている節もある。
言い訳のない漫画を読んでみたい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-02-14 16:33:45] [修正:2017-02-14 16:33:45] [このレビューのURL]

宇宙を舞台にした未来の青春サバイバル漫画。
惑星キャンプに来た高校生の一団が、事故で宇宙船に取り残されてしまう。
彼らが力をあわせて生き抜く様を描く。
星々で水や食料を補給しながらの旅。次から次に起こるトラブル。
高校生は一人も欠ける事なく帰れるか?
そして彼らはなぜこのような状況に追い込まれたのだろうか?

非常に上手な少年漫画。
シリアスとギャグのバランスがよくテンポよく話が進む。
宇宙空間に放り出されて船に戻れない、多数が毒で瀕死になるといった
絶望的な状況をどうにかこうにか切り抜けつつギャグを織り交ぜてくる。
しょうもない漫才が緊張をうまく緩和しているし、
トラブルの解決も、正攻法、奇策、ラッキーをうまく使い分けているし、
各キャラクターの立て方もいい。
彼らの冒険を見ていると自然に彼らが好きになる。
宇宙船をホームにしながら星をめぐる設定も旅の面白さがある。
アニメ向きの作品だと思う。

順調に話が進んでいるが、この類の作品は冒険が軌道に乗ると難しくなる。
水、食料、墜落などの物理トラブルを使いつくすと敵との勝負になって、
大抵はそこから詰まらなくなる。
予想を超えるアイディアを期待している。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-12-11 11:02:27] [修正:2016-12-11 11:02:39] [このレビューのURL]