「ジブリ好き!」さんのページ

総レビュー数: 343レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年12月10日

小畑&大場のペアだけあって、流石にレベルの高い作品だと思います。

G戦場ヘヴンズドア同様、漫画家自体を題材にした漫画ですが、こっちの方が漫画家という職業に対して希望的な、目指してほしいといった描き方をしています。
また、リアルっぽさを追求した漫画の完成形でもあります。この漫画を読んで、「これがジャンプの編集法なのか」と本気にさせられた読者も多いはず。
「このマンガが凄い2009」をみるとわかりますが、あくまでほんとうっぽく見せてるだけのようです。凄い!

ただ、同時に人間関係も特殊ながらもリアルっぽく見せようとしていますが、正直共感できるものではない…
テンポは速いのですが、扱っているテーマの関係上のろのろした感じが拭えません。読んでてだれたり飽きたりしてくる恐れもあり。

途中出てくる「漫画の最高の参考書は漫画」という考えについて、作画は間違いなくそうでしょうが、原作については漫画より小説を読むべきだと斎藤隆夫先生が(昔、他の本で)述べていました。
なんでも弟子に対して、「漫画家のくせに漫画ばっか読んでたらだめだ。小説100冊読んでこい」と言ったとか。

画力も内容も安定した面白さがありますが、巻を重ねるごとに歯切れの悪さや停滞感が目立ってきます。なので漫画の漫画は他に傑作が多い分、最近では少しずつ評価が落ちてきてしまっている感が…
デスノートの二の舞にならぬよう、両先生の今後に期待!

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[投稿:2009-12-31 00:51:48] [修正:2010-09-24 23:58:51] [このレビューのURL]

オムニバスとしてみればバッドエンドで残酷な話の集まりだが、一連の流れとしてみれば微かな希望の光が徐々に輝きを増していく話となる。

反乱分子が一切通行できないとされる関所、『狼の口(ヴォルフスムント)』
各話の主人公達もあの手この手で通行しようとするが、関所の主・ヴォルフラムの目は鋭い。
結果処刑。…となってしまうのだが、回を重ねるごとに綻びが見えていく。最初はあえなく処刑されるも、次は中で反抗し自害、そして満身創痍で父を失いながらも通り抜けたなど、主人公達の屍が決して無駄にならず、徐々に革命の火が灯され始めていく。
しかし同時に、綻びをしっかり自覚しているヴォルフラムの不敵な笑みも恐ろしい…

画も世界観にマッチしていて、続きが気になる一作です。

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[投稿:2010-09-17 09:32:29] [修正:2010-09-17 09:32:29] [このレビューのURL]

つるっぱげのお坊さん方が本気でドロドロの昼ドラ恋愛してるのだから、面白くないわけがない。

痛い作品なのは毎度のことだけれど、今回は説教的な要素があるわけではなくて、各人の煩悩や欲望・不幸な展開が味となっています。

それぞれがぞれぞれの思惑や事情のためにめぐりを奪い合うけれど、本気で恋愛してるのは一円だけ。登場時、どうみても悪役の慈恩と明らか善人の恵春は、その第一印象を大きく変えていく方向へ…
この作者ペアの作品では、絶対の悪役も正義もいないんですけどね。悪役っぽく見えても性悪なだけで、きちんと自分をもっている人ばかり。一方、善人な見かけのキャラほど、煩悩にゆれ移ろいやすい。

各人の心理をしっかり描きながら展開されるストーリー。
信玄の死から始まったドロドロした跡継ぎ問題も、結局信玄に向かって収束していきます。
そしてもちろん、それはめぐりの問題でもあって…亡き夫を思う間もなく終始翻弄されるかわいそうな悲劇のヒロイン。それでも笑顔を作って話を引っ張ります。
そんな彼女の笑顔を一円が引き剥がした時が、問題も解決したクライマックス。
「私の愛は増すばかり」の花言葉とは裏腹に、「忘れていっちゃう」と語るめぐり。
変わらないものなんかない。
人も寺も愛も幸せも毎日変わるんだ。そんな諸行無常の物語。

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[投稿:2010-09-17 08:50:39] [修正:2010-09-17 08:50:39] [このレビューのURL]

巻を重ねるごとにじわじわと面白くなっていきます。
序盤は本当にありがちなストーリーで見切りたくなりましたが、読んでて良かったと思えます。

この作者さんなんてこのサイト来るまで知らなかったものですから、あまり大したことは言えませんが、和風の雰囲気はめちゃめちゃうまいですね。
「ACONY」も読んでますが、この作者さんは物静かな雰囲気の作品の方がマッチしていて好きです。

決して正義漢ではない主人公なので事件解決→諭しって流れになるとは限らないのが良い。どこかへたれな面もあり人間臭くて好きです。
それと正反対に、冷静で明晰な真夜。こちらもあくまで仕事として事件と向き合っているところが良いです。

事件そのもののアイデア以上に、時代や人物たちの雰囲気感に浸っていたい作品。
決して事件のクオリティが低いわけではないですけれど、どこかまったりほのぼのしたような雰囲気が魅力的なのは確かです。

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[投稿:2010-09-14 00:40:31] [修正:2010-09-14 00:40:31] [このレビューのURL]

6点 洗礼

怖い。

ホラーのような目に見える恐怖はあくまでグロテスクの代名詞な画が引き出しているのであって、その本質は人の心(特に女性の心理)の怖さを描き切っていることです。

「わたしは真悟」や「漂流教室」とはまた違った絵柄ですごいです。作風ごとに絵柄を変えられるとはなんという技量。でも今作はどちらかと言うとホラーよりの絵柄なので、静止の中で怖さを体現する楳図さんの技法では人の動きが弱くなり、かくかくな印象が目立ちました。
あと、オチが読めてしまった…もちろん、「今でこそ」だと思います。いくらか、同じパターンの作品を知っていましたが、たぶんそれらはこの作品より後の作品かと。この作品内でも、いくらか矛盾はありますが、そう長い作品ではありませんので勢いが勝ります。

人の心の闇の更に深淵…それがホラーをもしのぐ恐怖を生み出す物語。

エピローグは、プロローグの母親と娘をほぼそのまま神と人に置換えた言葉で締められます。

神にとって人とは何か?
人にとって神とは何か?
そして……
神は人に何を与えたか?

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[投稿:2010-09-13 23:48:47] [修正:2010-09-13 23:48:47] [このレビューのURL]

自分の人生をビデオ鑑賞できるという恐ろしい設定。
関わりさえあれば他人の人生もみれてしまう。

2話程度にまとまったオムニバス形式で、バッドエンドが多いけど、救いのある話なことが多い。
ホラー要素があるわけじゃないが、それに近い怖さが作品全体に蔓延している。他人の人生を覗いた時見えてしまう「真実」の瞬間が、ホラー映画とかの感覚に近いのかも。

オチありきの話なので、これからもこの面白さを保っていけるかは作者のアイデア次第。今のところダークな展開なものほど面白いです。

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[投稿:2010-08-26 15:30:49] [修正:2010-08-26 15:30:49] [このレビューのURL]

コロコロに比べると、ボンボンの作品は過激で暴力的なものが多かったと思いますが、その中で優しく柔らかくロックマンを描いた作者さんです。

素早い展開の中にほんわかモードを混ぜ、破壊ではなく和解を基本とする。ボンボン連載の他のシリアス過ぎるロックマンシリーズに比べ、児童向けに描かれてたと思います。方針が、であって、内容のクオリティは決して低くないですけど。

そしてもう一つの特徴は、この人の描くロックには妖しい魅力があります。俗に言うショタっ気ってやつです。。

この「ロックマン アンド フォルテ」は打ち切りで最後急な締め方になってしまっていますが、「ロックマン8」からの続き物としてみればスパンのある話になっているので満足。

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[投稿:2010-08-24 17:52:54] [修正:2010-08-24 17:52:54] [このレビューのURL]

ボンボンのギャグ漫画というとこれを思い出しちゃう
「クロちゃん」は自分的にはギャグ漫画じゃありませんので…

かなり下劣で下品なギャグ漫画だった記憶がありますが、結構シュールで、作品の根底には「不条理」が垣間見れます。
コロコロにはないタイプのギャグ漫画でしたので、ボンボンを読むときは楽しんで読んでいました。
完成された世界観と空気があり、登場人物も一発ネタにしか思えないのに応用させて話を作っています。

ただかなり長く続いたため、後半の失速は否めないです。それとこの人の漫画はどれも児童向けというには有害な面が多い気が…そこがまた好きだったんですけどねw

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[投稿:2010-08-24 17:28:46] [修正:2010-08-24 17:28:46] [このレビューのURL]

「めばえ」や「小学○年生」から始まった自分の漫画人生の中で、やっぱり一番大きな影響を受けた雑誌は「ジャンプ」ではなく「コロコロ」だったのだと思う。
もちろん、こうやって漫画に得点を付けれるような年齢になった今では、コロコロの作品など思い出補正の中でしか輝けないものばかりだけど、その溢れんばかりの輝きのおかげで今でも鮮明に子供時代を思い出せるのだ。

推理物好きだった当時のヒーローはコナンと金田一だったが、初めてのヒーローはこのホームズだった。
小学生のがきんちょ3人組が警察バッジも手帳も持ってて、見事な推理を披露し、力仕事は大人の警察にやらせて事件解決。
そんな設定にもちろん違和感なんて感じなかった。「秘密警察だから」、理由はそれで十分。
コナンや金田一のような長々とした説明も入り組んだ難しさもなく、スパッと解決。
終盤出てくる敵組織のライバル(の怪盗)もまた子供。今思えばバトルものならよくあるけど推理ものでは珍しかったなあ。

子供が楽しむには、それにふさわしいレベルの内容でなければならないが、
子供騙しでごまかせるほどコロコロ読者は甘くない。
それをクリアした高クオリティで連載していたことを多大に評価したいが、このレビューサイトの利用者年齢を考えればやはり思い出補正に留めておかなきゃいけないのだろう。


ちなみに内容や設定が「探偵学園Q」と似てるけど、こっちの方が先だよ!

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[投稿:2010-08-23 17:44:15] [修正:2010-08-23 17:44:15] [このレビューのURL]

色使い、構成、視点、どれもアバンギャルド過ぎて読み手の感性が問われるのかと思いましたが、本筋は思いの外ストレートな印象。
余計なものは極力排除し、ストーリーに必要なものだけを描く。けれど、比喩は多用する。

典型的なボーイ・ミーツ・ガール、若者の憧れる狂った恋愛、バンドにリストカット…材料を並べればありがちな内容になりそうだけど、表現の勝利でしょう。内容を絞ったのも良かったと思います。

…ですが楽しめたかと聞かれると別問題。
それでもこの後「CLOVER」などこの表現法を後世に残したことは非常に評価したい。

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[投稿:2010-08-18 17:38:18] [修正:2010-08-18 17:38:18] [このレビューのURL]