「アルゲマイネ原野」さんのページ

総レビュー数: 131レビュー(全て表示) 最終投稿: 2008年01月18日

ある日突然精神が6歳の子供に戻ってしまった女子高生、七華をめぐるハートフルストーリー。
デフォルメの効いたかわいい絵柄なので選り好みされそうですが
子供に戻った「ななか」の純粋無垢な感じがうまく表現されており
何よりこれが作品の温かな雰囲気作りに大きく貢献しています。

前半は精神が子供に戻った「ななか」と、彼女に振り回される
周囲のドタバタコメディが大部分を占めていますが
後半、話の核心に近づくにつれメインキャラの七華、稔二、雨宮を中心にしながら
徐々に重く、シリアスさが増していきます。
第二部冒頭の展開など最初戸惑いましたが、全体を通してみると
メインテーマである七華の大人としての成長が丁寧に描かれています。

作品の素晴らしいところは、この手のジャンルに必要不可欠な要素である
ストーリー構成と、テンションの強弱が非常にしっかりしている点。
だれず、ぶれず、読み手をどんどん引き込ませてくれます。
地味ながら隠れた名作。


ほら泣け!といわんばかりの感動モノとは一味違った
「心温まる」や「切ない」感情を伝えてくれる作品群って
最近の少年誌ではめっきり減ったなあ…と改めて読み返しながらしみじみ思いました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-08 01:32:35] [修正:2010-05-08 01:33:12] [このレビューのURL]

マッドドクター斑木ふらんが巻き起こす人体改造系スプラッタホラー。

絵柄がかわいく、基本的にノリがコメディ調であるため
ゾクッとするような怖さはあまり無いのですが
コマいっぱいに描かれる手術シーンと臓器の山、精神的にかなりキツいネタや
(個人的には体外妊娠・出産の話がやばかった)
医療技術の発展のためにとメスを振るうふらんの決定的な感覚のズレなど
いろんな要素が生み出す後味の悪さが秀逸。
コミックスの表紙も一見すればエロ漫画だし(笑)
この詐欺っぷりメチャクチャ悪趣味。

この種の一話完結ものだと勧善懲悪や一般的な良識感が
盛り込まれてもよさそうだし(ある意味医療系漫画でもありますから)
この作品自体名作に進化しうる可能性も充分に秘めていると思うんですが
そんな期待を鮮やかに裏切る辺り、ある意味ホラーの領分に徹しているともいえます
(そんなこんなでこのままずっとB級カルト的な扱いなのでしょうが)

唯一ストーリーの落とし方に力を注ぐあまり詰めが甘く、
読んでると置いてけぼりを食らうような箇所がちらほらあるのが惜しい。

到底人にオススメできる作品ではないけれど他作品には無い刺激は確実にあります。
あとヴェロニカはこの作品の良心であり萌え要素。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-04-19 00:08:02] [修正:2010-04-19 00:08:02] [このレビューのURL]

独特の作風でカルト的な(?)人気を誇るギャグ漫画家、尾玉なみえの現在連載作。
数年前より温めてきた魔女っ娘変身ギャグです。
シリウスがなかなかマッチしていたのか軌道に乗った連載を続けており、
作者自身の掲載記録最長を更新中(3巻)。

作品のテンションは今のところ安定しており、相変わらずのなみえ節も健在、
変に下ネタが輝いていたりと持ち味が上手く引き出されており作者のファンなら読んで損は無し。
特筆すべきキャラは魔女ザイアー。「ジャガー」のハマーもそうですがどうしようもない駄目大人が
作品全体のいいアクセントになってますね。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-11-10 22:13:06] [修正:2009-11-10 22:13:06] [このレビューのURL]

今でいうとこの「素直クール」というとこでしょうか
違うか

超がつくほど馬鹿正直な星野君に告白された根岸さんが
彼と周囲に振り回されながら愛をはぐくんでいくラブコメディ
絵柄も独特ですが、それがかえってこのジャンルにありがちな媚臭がなく
男女問わず楽しめるラブコメです

星野君(ボケ)と根岸さん(ツッコミ)の漫才のような掛け合いをメインに
コメディ色を強く出していますが、
それと平行して二人の恋人のステップを積み重ね
最終的に「みかん」に至るまで恋愛模様を描ききったのはえらいですね。

全体を通して微笑ましい気持ちになります。

星野君みたいな人がたくさんいれば世界も平和になるのかな〜

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-09-29 20:51:53] [修正:2009-09-29 20:51:53] [このレビューのURL]

ベルセルク、ホーリーランドと共に長らくヤングアニマルの柱を担ってきた本作品。
作者の地力を感じさせる緻密かつ丁寧な描写が魅力的。
ただあまりキレイにまとまっているので格闘シーンの迫力を求める場面で
少々落ち着きすぎる点があるかなと感じた。
(ただ格闘シーン自体、インパクトで引っ張るでなく説明主体の理論的スタイルで
話を進めているためしょうがないかなと言う面はある。)

しかしこの作品の醍醐味はむしろ登場人物が織り成す人間関係にあり、
ローマ宮廷内で繰り広げられる、まるで昼メロのような愛憎劇(ルスカ編)が非常に面白い。
そういう意味では男性向けであるけれど、どことなく女性的な雰囲気も漂わせている。
また随所随所に挿し込まれる説明やコミックスの巻末の他、
目立たないとこだが細かい背景なんかも古代ローマの時代描写が上手く再現され
史実+フィクションストーリーのための地道な土台作りの努力に好感を覚える。

これから歴史に名高い皇帝ネロの暴虐さがいよいよ表面化されていくようなので
加速度的に面白くなることは確実。
遅筆だが今後の展開が最も待ち遠しい作品のひとつである。

しかしこの漫画、登場するイケメン男性陣が女性キャラよりずっとセクシーで何だか笑えますなw

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-12-01 21:35:17] [修正:2008-12-01 21:35:17] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

中日時代の落合、北別府、亀山、伊藤智仁などなど…90年代前半に活躍した往年の
プロ野球選手が実名で出ており、またちょうど少年ジャンプ黄金期と重なっていることも
あり、当時野球少年だった20〜30代の世代には幅広く読まれていると思われる作品。

内容は「努力・友情・勝利」三拍子そろったスポーツ(少年)漫画の王道的展開。
野球理論やキャラの過去エピソード、セリフに至るまでなど小難しくなりそうな箇所は
極力単純明快に描かれており、上でも書いたがまさに家で漫画読むより外で野球やるのが好きな
野球少年のためにあるような作品作りをしている。
そういう面では現在のジャンプ読者でも小学校低学年ぐらいの層までが抵抗なく
歓迎されるだろうが反面、理屈を受け入れてしまうそれ以上の年齢層にはキツイかな。

ただ熱い場面はしっかりと描かれてあり、キャラ達がよだれ鼻水垂らしながらも奮闘し、
勝利を勝ち取る姿は現在の少年誌のスマートかつカッコよさ、センス第一なスポーツ漫画を
読み慣れている人に新たな見方を提示してくれるかもしれない。主人公がピッチャーやりだした
辺りから少々パワーダウンした印象を受けたが、きっちり1シーズンで連載終了しているので
そこまでグダグダせず量的にもすっきり読める。

矢島の引退試合が個人的なベストシーン。
ベタなんだけどここだけはいつみても泣ける。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-07-04 00:15:07] [修正:2008-10-13 00:31:54] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

どのスポーツ漫画にもいえるが、一つのスポーツでも楽しみ方は様々あり、
それに応じて、題材を扱う漫画はいろいろな切り口からその魅力を引き出していく。
野球漫画はその性質上、特に最近の傾向として、戦略性や心理戦などの「静」の魅力に
ウェイトをおいたものが多く、逆に気合、熱闘、説明不要な迫力プレイなどの「動」の部分で
魅せる作品は少なくなってきたように思う。

「やったろうじゃん!」でも序盤は喜多条監督を主人公に据えて、選手の育成を中心に
ストーリーを進めていたがが、どうもパッとせず非常に地味な印象だった。
しかし新入生江崎が入部してから、方向性を変え、江崎のピッチング能力を伸ばす=江崎のピッチング
の凄さがクローズアップされるようになり、一球一球に力の入る、どの野球漫画よりも熱気のこもった
描写が描かれるようになった。
基本的に朝霧と対決する周辺が陰気というかドロドロとした高校球児達ばかり(笑)で、
朴訥な江崎がそれらをねじ伏せるように投げる対比が素晴らしい。朝霧VS成京戦でこの作品の
最高潮に達しており「あと一球!」コールが連呼されるシーンは漫画に引き込まれる圧巻の迫力。

が、
ここを過ぎた後の展開は正直評価が難しい。
この後江崎は苦難の道を進むことになり、むしろ野球外のドラマに主眼がおかれるが、
これがなんとなく重苦しく閉塞感があり前半のピークと比べてちょっと…といった感じ
そして終盤の「アレ」
確かに並々ならない江崎の完全復活→物語のシメを描ききってしまうために「アレ」は
理由付けにちょうど良い題材かもしれない。
けど必要不可欠なものでも無い。だからこそなんとか回避できなかったものかなあ…と思ってしまう。
読了後は感動もしたが少々の後味の悪さも残った。結局監督は空気になっちゃったし

野球のシンプルな面白さと青春群像劇としてどっぷりと漬かりたい場合にお勧めかな
ただし終盤は確実に欝入りますので(まあラストは救われるか?)それでもよいという人に

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-09-27 01:38:22] [修正:2008-09-27 01:38:22] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

もはや原作が参考程度になってしまっている大胆すぎるアレンジ、
独特のファンタジー感あふれるキャラデザインや世界観、
重くなりがちなストーリーを調整する適度なコミカル描写など作者のセンスが爆発している作品。
ゆえにそのセンスをしっかりキャッチしてしまった人は本当にハマるし
合わない人はとことん合わないでしょう。

太公望と妲己、善悪二人のトリックスターを柱に物語を進めており、
周囲の脇キャラだけでなく読者も適度にはぐらかしながら物語の結末を簡単に読ませてくれない。
であるから終盤の女禍の存在を明かすシーンではそう持ってきたかーと驚かされた。
更にそれが最終回のラスト1コマの鮮やかなシメに活きてくるのだから、
これが連載当初からの構想であるとするなら相当なもんである。
(途中からの軌道修正だとしてもここまで辻褄合わせたのはそれはそれで凄いが)

物語の進展により二人は他よりひとつ次元の違う存在として映えているのであるが
特に妲己の扱い方が凄い。
この作品、コレといったメインヒロインがいないのを良いことに好き勝手やりまくった挙句、
最後には勝ち逃げまでやっちゃう始末。
作者はホント妲己ちゃん好きなんだなーwそれでいて読んでいても何故かムカつかないのは
キングメーカー的な立場にまで突き抜け、昇華させてしまってるところが大きいのかも。
昨今の少年漫画でもここまでインパクトに残るラスボスはそうそういないでしょう。

個人的には大満足な作品だが、短所としては序盤に比べると後半以降
トーンをバリバリ活用した絵柄がちょっと見づらく感じられるかな?
また上で挙げたように、太公望の魅力がむしろストーリー全体の展開にかかるもので、
本来目立つべき頭脳戦のシーンがむしろショボく見えてしまうのは悲しいとこである。
まあ毎回毎回ジョジョみたいな知略戦を繰り出す漫画などそうそう出来るものでもないので…

なお、他のレビュアーの方も言われてるようにコミック版、新装版とも
表紙のデザインが非常に素晴らしい。シンプルかつ洗練されたコミック、
豪華カラーの新装版どちらも集める過程が楽しめちゃうファンサービスが嬉しい所。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-07-28 01:05:42] [修正:2008-07-28 01:05:42] [このレビューのURL]

『ライジングインパクト』『Ultra Red』などでまさに少年誌らしい
さわやか漫画を描いていた鈴木央初の青年誌作品。
いろんな意味で作者の描きたいもの描いちゃってる自由さが出てる。

冒頭の主人公の旅立ちとラストのシーンも見事ながら
個人的には中盤の『銀河鉄道999』を思わせるような
冒険展開がお勧め。読者をグイグイ引きこませる内容はもちろんの
こと、『ライジング〜』などでちらほら見せていたお得意の
ショタ×セクシーお姉さんのラブロマンス(コメディ)が
実によく描けており以前の作品で作者のそこらへんの性癖?に
惹かれてた人には非常に満足できると思う。
また特有の緻密で暖かいタッチの背景描写もSFファンタジー
ならではの世界観が出ており◎

これだけ良作品に仕上がっているが欠点はなんといっても短い!
中盤をもっと描いてくれてたら(個人的には)
8点にも9点にもなっただろうに3巻で完結してしまったのが
本当に本当に惜しまれる作品。

でもまあ自分としては作者の描くエロシーンが(間接的ではあるが)
読めたので非常に満足だったりする。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-04-08 22:00:09] [修正:2008-04-08 22:00:09] [このレビューのURL]

個人的に、同誌で連載されてる『ジャガー』とキャラ設定・構成が
モロかぶりしてると思うんだけどそこら辺どうなんだろうか…
ギャグ・ネタについては特に目を見張るような奇抜さは無し。
絵も顔とかバストアップのコマがやたら多く画力としては正直ギャグ漫画だから許せるレベルかなあ。

ただ毎回のギャグの安定感はなんというか的確に小技を
ヒットさせてる感じで結構がんばってるとは思う。
ゆえにジャンプをなんとなーく流し読んだりするとなんとなーく
読み進めてしまういい意味で空気な作品になってる。

画力の無さを改善して動きのあるギャグや表現の多彩さで笑いを
取り入れられればまだまだ面白くなる可能性はある…はず。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-03-18 00:36:01] [修正:2008-03-18 00:36:01] [このレビューのURL]