「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

「放浪息子」「青い花」の連載で知られる志村貴子氏の短編集。
「放浪息子」の初期とも言える2004年頃から2009年にかけての漫画になりますので、作品ごとの絵の変化が見て取れます。

彼女の行間を読ませるというか、全てを語らないという手法は「短編」よりも「長編」でこそ発揮されるような気がします。
だから、一編一編はあまり記憶に残らない出来栄えかも。

最近の著書の巻末の後書きに「スケバン風女の子」が度々登場していることから、
次回作でテーマにしようと考えているのかもしれませんね。
要チェック!です。

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[投稿:2011-02-13 20:07:26] [修正:2011-02-13 20:07:26] [このレビューのURL]

本屋で平積みされていて目立っていたので読んでみました。
意外なほどに面白かった。

これといって美人でもなく、取り得もない普通の女子高生の「七美」が高校に入学してから出会った矢野はクラスの中心的存在。
「お調子者」を絵に描いたような彼を当初は苦手に思っていた七美だが、彼が抱える心の傷(昔付き合っていた女性が別の男と事故死した)・複雑な家庭環境を知り、徐々に惹かれていく。

両思いになって付き合い始めるものの、矢野の心にはかつての彼女が居続けて、一度は「別れ」を選ぼうとする七美。
矢野の親友で七美を密かに思い続けていた生真面目な「竹内」も巻き込んでの三角関係。
やっと2人には幸せが・・・と思う間もなく、今度は母子家庭の矢野の母親の離婚による転校・遠距離恋愛、矢野の母親の闘病生活の末の(矢野の言動が引き鉄となっての)自殺・・・・・・・と、「外部からの要因」によって2人は引き離されそうになる。矢野に次々と困難が襲い掛かる中、傍に居て欲しい「七美」はいない。

で、現在は高校・大学を経て「社会人編」に突入中。
それぞれに大人となった中で矢野は行方不明の音信不通。
七美は自分の事を5年以上も想い続けてくれていた竹内と付き合うようになるが・・。

読みやすかったのは、90年代以降の少女漫画にありがちな「セックス」を前面に打ち出していないため。
実際、矢野と七美は高校時代を通して一度も結ばれてはいない。(二度失敗)

でもそこが穿った見方をするならば、七美が結ばれる最初の相手が「矢野」と最初から決定しているようで不満点。
どっちかというと、報われて欲しいのは「竹内」のほうなんで。

「竹内に大切にされることの幸せを七美が知る」
・・・というラストも悪くないんじゃないかなと。
竹内が七美に振られた後に、「余った他の女」とくっ付くなんてのは勘弁願いたい。

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[投稿:2011-02-13 19:55:20] [修正:2011-02-13 19:55:20] [このレビューのURL]