「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

「赤い彗星」のシャアは誰でも知っている。おそらくはガンダムについてさほど知識を持ち合わせてはいない人間でも。
だが、一年戦争の同時期にシャアと同じ「真紅のカラーリング」に染められし専用機に乗って戦場を駆け抜けたエースパイロットがジオンにもう一人いたことはあまり知られてはいない。

「ジョニー・ライデン」

彼はまるでシャアに対抗するかのようにシャアと同じ機体「ザク」そして「ゲルググ」を専用機としていた。
そして一年戦争終結から10年の歳月が流れようとしていた頃、まるで亡霊のようにその男の名は再び歴史の表舞台で囁かれはじめるのだった。

陸戦高機動型ザクのテストを実行しようとしたレッドの目の前に現れる「青いゲルググ」。
ジオンの一年戦争末期の傑作機体として知られ、もう少し投入が早ければ戦局さえも覆したのではと囁かれるガンダムにも匹敵する性能のモビル・スーツである。
主力武器はジオンで初めてビーム・ライフルを標準装備とし、他にビーム・ナギナタとシールドを持ち合わせた、確かにガンダムにも劣らぬ機体であった。
しかし・・・・一年戦争終結から10年が経ち、モビル・スーツの開発技術も日進月歩。今では過去の思い出話の中に登場する機体となっていたはずだが・・・?

既に一年戦争で活躍した人物の多くが歴史の表舞台から去り、伝説は遠い記憶の彼方に消え去ろうとしていた中で
「ジョニー」の名が再び囁かれたのは何を意味するのか?
「亡霊」と「ザビ家の財宝」。キーワードはいかなる怪物を世に解き放つのか?活目して見よ!

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[投稿:2011-06-07 12:53:58] [修正:2011-06-07 12:53:58] [このレビューのURL]

10点 石の花

第二次大戦中の旧ユーゴスラビアを舞台に、祖国をナチスドイツに侵攻されたひとりの少年が解放軍に身を投じて戦う姿をナチスによる強制収容所の虐待と合わせて描いていく・・・・。

とにかくナチス関連の漫画では手塚治虫の「アドルフに告ぐ」と並ぶ傑作だと思う。
画の上手さといい資料を元にした歴史的事実の詳細さも特筆。村で平和に暮らしていた少年がいかにして非日常的な戦いに巻き込まれていったのか?、巻き込まれねばならなかったのか?現代日本で日常的生活を送る我々に警鐘を鳴らしているようにも感じる。

「ナチスドイツの蛮行」を強制収容所を舞台にして描いている数少ない作品です。

手塚先生の「アドルフに告ぐ」は強制収容所の様子についてはほぼ触れていませんでしたから。
それを知る意味でも、一読の価値のある作品と思われます。
それにしてもナチス将校の外道ぶりは・・・正に「人の皮を被ったケダモノの如し」です。

現在ではそれぞれが独立したことで「完全消滅」してしまった旧ユーゴスラビアの複雑な立場。
これじゃ・・争いが起こるのもやむなし・・・と納得させるものがあります。

「人が人として扱われないこと」がいかに悲しいことであるのか。いかに悲惨なことであるのか。
そしてこの漫画はこれがつい半世紀ほど前にあった事実なのだと読者に突き付ける。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-06-07 12:36:45] [修正:2011-06-07 12:36:45] [このレビューのURL]