「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

[ネタバレあり]

捨て犬が女の子に拾われて家族の一員になる。幸せな暮らしだった。
だが・・・時間の移ろいでその幸せがゆっくりと壊れていく。
自分を助けてくれた一人娘は不良少女と化して家に帰らなくなり、お父さんは病気がちで仕事も辞め、お母さんは娘の問題に無関心なご主人に離婚を突き付けた。
「ハッピー」と名付けられた飼い犬は家族がゆっくりと崩壊していく様を見届けさせられるがどうすることも出来ない。病気がちなお父さんに引取られたが、お父さんに行く当てはなく最後の旅路に出発した。

やがて身体の衰えから人知れぬまま車の中で死を迎えたお父さんの側に愛犬は最後まで寄り添い続けた。
何の救いもない、唯々只管に悲しい話である。お父さんが行政などで生活保護等の申請をしなかったとか、何で娘が不良化するまで放置し続けたのかとか疑問は多々ある。
ハッピーが生まれてから捨てられて箱の中で鳴いていたコマ。ハッピーの後ろに「もう1匹子犬が居る」ことに注目!
このハッピーの兄弟犬がハッピーと異なる運命を歩んだことが続編で語られます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-06-26 15:45:53] [修正:2019-06-26 15:45:53] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

日本では馴染みの薄い「フス戦争」を題材にした物語が遂に完結しました。
シャールカたちの戦争継続反対の声も掻き消され、遂に最後の戦いに赴く面々ですが形勢不利は明らか。
事前に降伏を勧められても拒否し、滅亡への道を進み続ける。
シャールカもそんな仲間たちに殉じて共に戦い玉砕しようとしますが・・・・・。

長きに渡ったフス戦争も集結し、新しい流れが起きます。
但し、それは「和平への道」ではなく、新しい勢力による新たな争いの道と言った方が正しいでしょう。
シャールカと共に長きに渡って戦ってきた仲間たちも命を落とし、生存できた人間は片手で数えるほどしかいません。
結局、「ヤン・ジェシカ」が掲げていた大義は実現できなかったのでしょうか?
九死に一生を得て戦場を脱出したシャールカはヨハンの元に残してきた愛娘・クラーラと十数年ぶりに再会を果たし、物語の幕は引かれます。
思えば物語の開始早々に家族を皆殺しにされ、強姦され、悲しみの淵に沈む暇さえなく戦いに身を投じねばならなかった少女・シャールカ。
多くの悲劇を乗り越え経験した果てにようやく離れ離れだった娘と再会できるのはせめてもの慰めでしょう。
そもそも漫画作品で主人公が妊娠・出産を経験する作品は一部のレディース向け作品を除いて「まず有り得ない」ことであり、大河ドラマのラストシーンとしても極めて異色である本作です。
娘・クラーラは少女時代のシャールカによく似た美しい少女に成長しました。
父親のヨハンの伝手でクラーラが貴族と結婚出来れば、シャールカが孫をその手に抱くことも叶いそうです。
最終巻の年齢はシャールカ30歳、ヨハン31歳、クラーラ15歳。
当時は平均寿命が短く、20歳まで生きた人でも45歳くらいが平均寿命になります。
シャールカもこれからは壮年を経て晩年に至るのでしょうが、家族と共にどうか平穏な後半生を送って欲しい、
そんなことを願わずにはいられない物語の帰結でありました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2019-06-12 17:05:14] [修正:2019-06-12 17:05:14] [このレビューのURL]

6点 外天楼

「外天楼」と呼ばれる建物に住む住人たちの悲喜交々を描いた連作短編集。
最初の話から最後の話まで一貫して大きな一つの流れの中に存在している。
冒頭の中学生的な性欲むき出しの男の子のエロ本獲得話は全体の流れの中では異色の話で、登場人物の顔見世的な印象。
そこから第2話に移り、いきなりロボットが登場するような近未来のSF的な話に移る。
このロボットに代表されるような人工的な生命体の存在がこの作品のひとつのテーマであり、それを生み出すための事件が徐々に明らかになっていくのであった。

第1話の雰囲気からは想像も出来ないような方向に話は進み、殺人事件が発生し犠牲者が多数出た。
ラストシーンはあまりにも悲しく、読後感は決して良くはなかった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-06-12 08:09:09] [修正:2019-06-12 08:09:09] [このレビューのURL]

著者の父親がシベリア抑留の当事者であり、その伝聞について綴った作品。

太平洋戦争末期に学徒出陣になった著者の父親は北方の満州国とソ連との国境に配備された。
当時の日本はソ連と「日ソ中立条約」を結んでおり、不可侵の関係だった。

だから本格的な戦闘などとは無縁の比較的恵まれた環境かと思われた。
だが、終戦直前にソ連が日ソ中立条約を一方的に破棄して満州国に攻め込んできた。
脆弱な装備の日本軍がソ連軍に太刀打ちできるわけもなく多くの人々が捕虜になってしまい、そのまま終戦。

日本に帰国できるかと思われた捕虜たちだったが、連れて行かれたのは北方。永久凍土の極寒の地であった。
ナチスの収容所にも近い環境で劣悪な労働に従事させられる。
マイナス30度という想像を絶するような冬の寒さに食料も乏しく、多くの日本人兵士たちがバタバタと倒れていった。

さらにロシア兵からのイジメ、日本人同士の食べ物や待遇を巡っての争い・・・・・。
過酷な環境下では誰もが他人の身を案じることなど出来ず、人間の心を無くしていくのだった。

死者については30万人を超えるとも言われているが、社会主義のソ連は情報が外に漏れず、未だ不明な部分が多い。
祖国に帰ることを願って果たせなかった者たちの身は永久凍土の下に眠るとも、その魂は靖国へ導かれたことを祈らん。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-06-05 13:54:28] [修正:2019-06-05 13:54:28] [このレビューのURL]

高校生たちが学園自体がギャンブルで階級が決まるという制度の中で戦う。

「カイジ」の女子高生版という表現で合っていると思います。
最近、TVアニメ化・劇場映画化もされました。映像版は未視聴。
舞台は共学の高校なのですが女性がほぼ登場人物の大半を占めます。
絵はそれなりに綺麗で福本先生のような泥臭い絵柄ではなく、洗練されています。
そうなると後は物語とキャラで魅力の大半が決まるのですが、イカサマが前提で主人公側はそれを見破るも最後は運任せとか滅茶苦茶な場面も多い。
今ならコミックス1.2巻くらいは半額で購入できるので試し読みしてみるのも有りかと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-06-05 10:08:56] [修正:2019-06-05 10:08:56] [このレビューのURL]

温泉街として草津などと並んで有名な静岡県の熱海を舞台にした物語。
クリーニング店を営む女主人とその周辺の人々とのエピソード。
単なる人情とお色気の話かと思いきやさにあらず。

女店主は二年より前の記憶がない。それまでは熱海におらず身寄りも親族も不明。
この設定がひとつの大きな伏線として物語を牽引していくと思われます。
絵は見やすく温泉街故に裸もそれなりに多い(笑)。
ぜひ長期連載していただきたい!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-06-04 19:33:46] [修正:2019-06-04 19:33:46] [このレビューのURL]

女子高生同士が周囲に隠れて恋人同士の所謂「秘密の百合」。
片や長身美少女。片や巨乳ツンデレ美少女。

周囲にバレないように恋人関係を続ける二人は大っぴらにイチャイチャ出来ないのがもどかしい。
「重要な場面で邪魔が入る」というのがコンセプトらしい。
つまり、読者も主人公カップル二人と共にヤキモキして下さいということです。
肉体関係を結ぶのはいつになりますやら。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-06-04 18:29:33] [修正:2019-06-04 18:29:33] [このレビューのURL]

伝説のヤクザがヤクザを辞めて結婚し専業主夫に転身した日常を描く。
家事を必死にこなす傍ら、元抗争相手のヤクザや元仲間のヤクザがやってきて話に絡む。
絡むが・・・・血みどろ寸前で主夫の培ったテクニックで華麗に解決!
一体、この男どういう経緯でヤクザを足抜けして専業主夫へと転身したのか?
問題だらけであることが確実なその過去が語られる日は・・・多分ないだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-06-04 18:12:31] [修正:2019-06-04 18:12:31] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

昨今、異世界に来た現代人の冒険ものはタケノコのように乱立している。
どうも「ブーム」のようで、冴えない男や女が異世界に来た途端、最強能力者になったりしてヒャッハー!な無双状態になる物語ばかりだ。
ハッキリ言って「タイトルだけはやたらと長い」ということしか特徴はないに等しい。
この漫画もそんな作品の亜流かと思いきや趣が異なる。
主人公は現代世界で「一国の大統領」である。しかも元軍人で格闘技にも政治力にも長け、人望も絶大。
そんな男がテロリストに襲撃されるが難なく撃退。但し、アクシデントが起きて異世界に飛ばされてしまう。
しかし大統領は「長めの休暇を貰ったようなもの」と前向きに捉えて異世界を冒険していくのだった。

異世界では住人の中には魔法などが使える者もいるが、大統領は勿論使えない。
しかし、鍛え抜かれた肉体はそのまま有効で、異世界の人の中でも身体能力は抜きんでていた。
よって格闘術でそのまま最強の戦士として活躍できる。
「元々強い男が異世界でも変わらず強い」という点で他の異世界物とは一線を画しています。
そしてこの男は幾多の修羅場を潜り抜けてきた信念を持つ男でもあります。
その信念が異世界でも貫けるものなのか、そして住民たちに信頼され尊敬を受けられるのか?
大統領の趣味である「様々な生物に騎乗する」という願いが叶うのか?
今後の注目作品であることに間違いはなかろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-06-04 18:00:56] [修正:2019-06-04 18:00:56] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

文芸部女子たちが部員の何気ない一言から性を意識する。
地味系女子の巣窟である文芸部では日々、性描写のある文学を読み解いていたが、同級生の派手系女子たちの中には
初体験をしている人間もいて決して興味のないことでないのに自分たちには遠い世界のように思えていた。
しかし、思春期は否応なく彼女たちを少女から女へ変える試練を与えるのだろうか。

「悪の華」に似た雰囲気でその「女子バージョン」とも言うような内容か。
流石に狂気的な部分や変態的な描写はマイルドに薄められているが背景に「文学」がある点など酷似。
セックスの相手、「女の子同士」も全然ありだと思いますよ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-06-04 03:09:30] [修正:2019-06-04 03:09:30] [このレビューのURL]