「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

久米田先生の最新作。

前作の「せっかち伯爵と時間泥棒」が残念な結果に終わりましたが、やはり「下ネタ復活」させたのは時代に逆行していたんでしょう。
もうそういう時代ではないし、そもそも久米田先生はそんなことしなくてもちゃんと描ける方なので何故今更そんな作風に回帰したのか謎。

さて、新作は「漫画家の男性」を主人公にして可愛い娘に自分が漫画家であることを知られないように奮闘する日々が描かれます。
「隠し事」=「描く仕事」なわけです。
あるあるネタの機関銃攻撃はこの作品では出さないようです。

冒頭と巻末とで本編の十数年後を挟む構成は完結への壮大な布石のような気もしますね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-12-29 21:56:32] [修正:2022-05-14 10:08:38] [このレビューのURL]

近未来の日本の横浜で、喫茶店を営む雇われ店長のアルファさん(女性型アンドロイド)を主人公に、
何気ない日常風景を描いた「紀行漫画」?

何と未来の日本は今よりも水面が上昇して低地は海に飲み込まれてしまっているらしい。
そのため、神奈川県の横浜も今よりずっと海岸線が後退して来ている。
女性型アンドロイドのアルファさんは外見は人間の女性と変わらない。
普通に食事だってするし、車やバイクの運転もこなすし、お風呂にだって入るし泳ぎもOK。
でも彼女は歳をとらないから、外見がずっと変わらない。

近所に住んでいる人間たちは皆、時間経過と共に年齢を重ねていく。
だけど、アルファさんたちアンドロイドはそのまま・・・・・・・・・。
それはアンドロイドと人間が同じような生活をしながらも
「別の時間軸」に生きていて、やがて決定的な別れが来ることを微かに意識させる。

おそらくは大都市であったはずの関東沿岸部も大きなビル群の描写は見られず、
人口は現在よりも大きく減少していると思われる。

作品としてのテーマは「時の流れ」だと思う。
どんなに日常が何気なく、何も起こらない1日が続いたとしても、
時間はその歩を止めることはなく、確実に流れているのだと意識される。
「その残酷さや儚さをオブラートに包み込んで」私たちに見せ付けてくれる。

とにかく「他に類を見ない作風」の独特の漫画。
メジャーな週刊誌では絶対にこういう作品は生まれなかったであろうと感じられる。
「特別な何かが起きる!」と期待して読むなかれ。
この作品は「そういう期待」を持って読む漫画に非ず。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-06-19 00:04:09] [修正:2022-05-14 10:06:50] [このレビューのURL]

格闘漫画の最高峰・・・とは言いませんが、それに近い位置にはいると思われる作品です。

実在の人物をモデルにしたと思われる異種格闘技の戦士たちと主人公の戦いの数々は、紙一重の差で勝利したと思われる者が、次の試合でアッサリと「それ以上の力を持つ者」によって倒されたりする贅沢な展開。

父と子の「宿命の対立」という縦軸も、格闘という横軸と共に作品世界を構築する上で効果的だ。

問題点は・・・その「主人公の父親」が強すぎること・・・。
「地上最強の生物」だのホッキョクグマを素手で倒すだのと、生命を持った核兵器のような扱いで、倒しようがない。

だからサンデー連載の「うしおととら」と同じく「最強の敵」が当初から決まっているはずなのに・・・なぜか連載がいつまでもダラダラと続いてしまい、終結の糸口が見えてこない。

次シリーズ、その次・・・と続いているようだが、いつの間にか読むのを止めてしまった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-07-03 10:02:57] [修正:2022-05-14 10:06:07] [このレビューのURL]

7点 SLAM DUNK

バスケ漫画の頂点でしょう。少なくとも現状では画力・構成力・見せ方ともにこの作品を超えるものは無い。

人気を考えても、もっと連載を続けられたはずだが・・・全国大会の優勝なんてまだまだの段階での終了。
だからストーリー的に「中途半端」な印象は避けられませんが・・「井上先生の英断」が、ジャンプの引き伸ばしに次ぐ引き伸ばしでの「見る影もない駄作化」を回避したと好意的に捉えています。
一応、「一区切り」にはなっていますので。

続編は・・・望む声は多くとも描かないほうがいいと思います。評価を下げる危険が大きい。
ファンは空想の中で「それぞれのその後」を楽しむのが「吉」と出ております。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-07-31 07:21:26] [修正:2022-05-14 10:05:07] [このレビューのURL]

中学生男子の隣の家に転校してきた無口な女の子。
同じクラスで隣の席だから話し掛けてみたけどなかなか会話が続かない。
どうしたものかと思っていたらその女の子からある日呼び出しが。
愛の告白ではなく・・・私と幼馴染設定やって下さい!だって。

幼馴染の男女が繰り広げるボーイ・ミーツ・ガールは恋愛の定番だが、実際はそんなに都合よく幼馴染の男女にはならない。
漫画やアニメでは都合よくお隣同士・・・なんてことはない。
それならば「幼馴染設定やってみよう!」というのがこの漫画。
どことなく男女の雰囲気が「からかい上手の高木さん」に似たものがあり、派生系とも言えなくもない。
ここから関係が深まり恋人同士にという流れか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-05-10 10:14:55] [修正:2022-05-12 23:40:11] [このレビューのURL]

7点 球詠

百合漫画を多く描いている著者による「女子野球漫画」。
女子野球は現実では最近ようやく陽が当たるようになってきましたが、まだまだ女子は「ソフトボール」が現実的な話で、
競技人口は少ないし、チーム数も限られる。

なので、「女子野球漫画」自体が完全にファンタジーな中で、全国に4,000高校を超える女子野球部があるという女子野球隆盛時代を舞台にしたこの作品は手探り感が強い。
名門野球部が休部状態の埼玉県の新越谷高校で幼馴染の女の子二人が再会しての立て直し。
2年生が二人しかおらず、残りは全て1年生でのスタートです。
女の子しか登場しないのでやっぱり「百合の話」っぽくなってしまいますが、主題は「野球」のはずなので、
著者の今迄の作品とは違わないといけないはず。
そういう意味で野球の試合の場面がテンポ良すぎでドラマがあまりないっていうか、ほぼないのは惜しい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-07-05 13:35:26] [修正:2022-05-12 23:39:09] [このレビューのURL]

7点 血の轍

[ネタバレあり]

「惡の華」で知られる押見先生の最新作。
冒頭、母親とおぼしき女性に手を引かれ散歩する幼子。途中で道路に横たわる猫を見付けるのだが・・・・。

場面は変わり、夢が覚めて母親に促されて朝食をとる少年。その朝食が「肉まん」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?
朝食が「肉まん」?平凡な日常の描写の中に違和感のある描写が混じる。
物語の舞台は日本の群馬県。
少年の名は「長部静一(おさべせいいち)」。
生年月日は1981年3月19日。
学年は中学2年生で早生まれだから年齢はまだ13歳。
時代は昭和から平成へと移ってから6年が経過しようとしていた・・・・。
でもそれはそれ。日本の一都市にある平凡な核家族の何処にでもあるような風景のひとつに過ぎない・・・・・はず。

静一には父の兄弟の子供で従兄弟に当たる男の子がいてよく遊びに来ていた。
夏休みに入る前にも毎週のように遊びに来る従兄弟とその母親。
清一と母親は毎週のように歓迎した。
そして、夏休みに双方の家族で山登りに行く。それが悲劇の引き金になるとは誰も思っていなかった。
思っていなかった・・・・・・・・・・・・はず・・・・・。

母親にとって息子とは自分の胎内から出でた異性。
それは親としての範疇を逸脱した愛情を注ぐ存在か?
母親のセリフからは全く母親の真意が汲み取れず、表情や仕草や態度で母親の心情を表すという構成が見事!
1巻では母親の親族は全く登場せず、母親の実家での育成環境は察し難い。
「日常生活で忍び寄る恐怖」は足音さえ立てない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-07-18 22:56:25] [修正:2021-07-18 22:56:25] [このレビューのURL]

7点 惡の華

中学生の心の闇を暴き出すような作品。
ポードレールの「悪の華」を愛読する少年・春日。
中学のクラスメートで才色兼備の佐伯を密かに想っている読書好きの少年。

そんな佐伯の体操服を盗み出してしまう。それを問題児の女子・仲村に目撃されてから、
仲村に付きまとわれる日々を送る。仲村は春日と「契約」を結び、春日を服従させようとする。

仲村の意図が読めず、戸惑う春日・・・・。
そして、春日と付き合うことになる佐伯もまた「優等生として見られる自身」に耐えられず悲鳴を上げていた。

とにかく「見たくないものをこれでもかと見せつけるような作風」です。
作風が闇に迫るようでありながら、絵柄は非常に見やすくて綺麗というギャップが凄い。

中学生男子が持つ心の暗部が、仲村という異端(起爆剤)に触発されて爆発し暴走するという話。
それは周囲の人間をも巻き込み、坂道を転げ落ちていく。

「青春」なんて決して明るくて楽しいだけではないという話。
むしろ、こっちのほうが現実的なのかもしれないが・・・・、
印象的ではあっても「あこがれ」はしないという、そういうお話。

但し、春日が佐伯さんとセックスした際に佐伯さんが妊娠して出産していたら「佐伯さんEND」あったと思います。
再会した佐伯さんが年の離れた妹を連れていたら・・・・
戸惑う春日の前で赤ちゃんを抱き自らの乳房を赤ちゃんに吸わせ始めたら・・
春日はその子が佐伯さんの産んだ子だと気が付く。
そうなるとその子の父親は・・・・・
春日が最終的に佐伯さんの元に戻ってこなければいけない理由が出来るわけです。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2012-11-17 15:38:14] [修正:2019-12-31 15:01:14] [このレビューのURL]

著者の父親がシベリア抑留の当事者であり、その伝聞について綴った作品。

太平洋戦争末期に学徒出陣になった著者の父親は北方の満州国とソ連との国境に配備された。
当時の日本はソ連と「日ソ中立条約」を結んでおり、不可侵の関係だった。

だから本格的な戦闘などとは無縁の比較的恵まれた環境かと思われた。
だが、終戦直前にソ連が日ソ中立条約を一方的に破棄して満州国に攻め込んできた。
脆弱な装備の日本軍がソ連軍に太刀打ちできるわけもなく多くの人々が捕虜になってしまい、そのまま終戦。

日本に帰国できるかと思われた捕虜たちだったが、連れて行かれたのは北方。永久凍土の極寒の地であった。
ナチスの収容所にも近い環境で劣悪な労働に従事させられる。
マイナス30度という想像を絶するような冬の寒さに食料も乏しく、多くの日本人兵士たちがバタバタと倒れていった。

さらにロシア兵からのイジメ、日本人同士の食べ物や待遇を巡っての争い・・・・・。
過酷な環境下では誰もが他人の身を案じることなど出来ず、人間の心を無くしていくのだった。

死者については30万人を超えるとも言われているが、社会主義のソ連は情報が外に漏れず、未だ不明な部分が多い。
祖国に帰ることを願って果たせなかった者たちの身は永久凍土の下に眠るとも、その魂は靖国へ導かれたことを祈らん。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-06-05 13:54:28] [修正:2019-06-05 13:54:28] [このレビューのURL]

伝説のヤクザがヤクザを辞めて結婚し専業主夫に転身した日常を描く。
家事を必死にこなす傍ら、元抗争相手のヤクザや元仲間のヤクザがやってきて話に絡む。
絡むが・・・・血みどろ寸前で主夫の培ったテクニックで華麗に解決!
一体、この男どういう経緯でヤクザを足抜けして専業主夫へと転身したのか?
問題だらけであることが確実なその過去が語られる日は・・・多分ないだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-06-04 18:12:31] [修正:2019-06-04 18:12:31] [このレビューのURL]

<<前の10件
123456789