「臼井健士」さんのページ

9点 寄生獣

突如、地球外(?)から飛来した謎の生命体。彼らは人間に寄生し、宿主の身体を乗っ取って同族のみ、つまり人間を喰らった。寄生生物に右手を喰われた新一は「ミギー」と名付けた寄生生物と共に他の寄生生物との戦いを余儀なくされる。

人間と人間以外の生命の共存、種の存続などをテーマにし、後発の漫画にも絶大な影響を与えたと思われる問題作だ。
自分の身体の一部と会話して、1人なのに「2人で1人」のコンビが成り立っているという設定がユニーク。
描写は「容赦ない残虐な場面」が日常生活中にありながら、いきなり場面転換して挿入されてくる。
ついさっきまで何事も無かったように普通に生活を営んでいた、ごく普通の人たちが突如として「有り得ないような」死に方をする・・・・・。
この漫画内においては、「日常の中にこそ恐怖が潜んでいる」のだ。

でも・・・・待てよ・・・これって「表面的には平和な日本」に生活する我々にも言えることではないか?
そして我々の平和な日常も突如として破られる。多発する地震などの災害・見知らぬ人間から言われも無い理由で受ける暴力・気付かないうちに身体を蝕む数々の病・・・・。
寄生獣に喰われることほど非日常的ではないにしろ、多かれ少なかれ我々の日常の中にも「生命を脅かす恐怖」は潜んでいるのだ。
そしてそれらの恐怖は、知能を持ち学習することで理性すら身に付けていく・・・・・可能性のある寄生生物よりも「話し合いの余地が無い」という点では遙かに恐ろしい存在かもしれない。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-06-27 11:09:56] [修正:2010-06-27 11:09:56]