「ITSUKI」さんのページ

総レビュー数: 639レビュー(全て表示) 最終投稿: 2005年08月10日

この作品を手に取ったのは「古事記だから」なんて理由ではなく、「こうの史代先生だから」です。

読む前の自分の「古事記」に対する知識といえば、クイズとかで「日本最古のうんちゃらかんちゃら?」って出てきたら「古事記!」と答えられるけど、
「実際どんな内容なの?」と訊かれたら一切答えらない、位のレベルしかありませんでした。

そんな程度の知識で読み始めたので、もう何が何やら。
この作品は漫画というより「絵物語」なので、基本はあくまで「古事記」の文章そのもの。
古事記の原文を読んだことはない(あっても忘れてる)ので断言できませんが、こうの先生は古事記の文章自体はそのままにし、変に現代語訳したりという事をしていません。
もちろん現代人が初見で理解できる文ではないので、欄外に大量の解説があります。
そこと絵と文を何度もいったりきたりして少しづつ読み明かしていく感じになります。

普通の漫画に慣れてる人、古文が苦手な人、序盤でくじけそうになると思います。自分もそうでした。
ストーリー的にも序盤は「日本の誕生」を描くので、イマイチどこを楽しめばいいのかわかりづらいし、「神」がどんどん増えて覚えきれないです。
自分はこうの先生の手書き感あふれる絵柄が大好きなので読み進められましたが…

「その二」になってイザナギ、イザナミという某忍者漫画できいたことがある二柱の神が中心となってくるあたりから「おや?」と印象が変わってきました。
「会話」が出てくるようになってちょっとづつストーリーが見えてきて、内容がわかってきます。
あと「とにかく何やっても神が産まれるんだな」っていう設定も把握しはじめられます。
ここらまで読んでいくとちょっとづつこの「ぼおるぺん古事記」の自分なりの読み方がわかってきました。
作中にはもうとにかく沢山の(しかも名前が長い!)神が登場するのですが、無理に全部覚えたり、理解しようとしたりする必要はないのです。
せっかくこうの先生の魅力的な「絵」があるのですから、内容の理解が半分くらいでもなんとなくわかります。頭の中で現代語訳する手間を絵が補ってくれます。

序盤を乗り切れば一気に「古事記」の世界が楽しくなってきます。自分でも最初読んだときは想像できないくらいハマれました。
アマテラス、ツクヨミ、スサノオ、オオクニヌシ、タケミカヅチ、スクナビコナなど、ゲームやアニメでは散々みたことあるような名前のキャラクター達が登場しだすと、「あの名前の元ネタはこんな奴だったのか」と今更ながら面白い発見をした気分。
「天岩戸」「因幡の白ウサギ」「スサノオの八岐大蛇退治」なんかの有名な話も全部「古事記」からの話だったとは…
そんな基礎的なこともすっかり忘れていたので、「あ、これ知ってる!」って話が意外と多く、上述の「慣れ」と合わさってすらすら読めるようになります。

そんな感じで第一印象以上に面白く、続きが待ち遠しい作品になりました。
こうの先生自身の趣味もかなり入った作品だと思いますが、是非気になってる方は手にとってみて下さい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-10-30 00:14:01] [修正:2012-10-30 00:15:36] [このレビューのURL]

ひぐらしのなく頃に本編最終章。
7章(皆殺し編)までで明かされた謎に対する一つの正解例というか、全てのサイコロの目がうまく出た時の話というか。
PS2版ではこれとはまた別のストーリーが最終章になっていたりするのであくまで「正解の一つ」なのでしょうね。

原作ですとこの最終章は「カケラ紡ぎ」といって「ひぐらし」の謎を解き明かすキーパーソン達のストーリーがそれぞれ語られるオムニバスがあり、最後にそれがまとまっていくような構成となっています。
なので、話の量は今までと比べると更に多く、様々なキャラの視点から描かれるのでこの「カケラ紡ぎ」は果たしてちゃんとコミカライズされるのか…?と思っていました。
まぁとはいえここまで概ね忠実にコミカライズされていただけあって、カケラ紡ぎも余すことなく漫画化されていてよかったです。
その所為で巻数が過去最長の全8巻という長さで、ひぐらし漫画版(原作分)全8章全30巻(礼を含めると全31巻)なので、四分の一以上を占めるボリュームとなってます。

祭囃し編の特徴は圭一や梨花達「子供」ではなく今までそこまで深く語られることのなかった、大石・赤坂・富竹・入江・葛西等の「大人」達の葛藤と活躍が非常に多い点です。
祭囃し編は大人のカッコよさが魅力です。

「すべてがうまくいく」章なので出題編を読んでいた時のようなハラハラ感よりは、やってくる敵をことごとく打ち倒すワクワク感が得られます。
たかだか小中学生が特殊部隊相手にあれやこれやとやっちゃうのはリアリティがどうとかそういうのは勢いでねじ伏せられます。
ただ相変わらずグロいシーンもあります(特に序盤)。

最終章ということもあって絵は一層気合が入っているというか豪華になっているといか。
最後の方はトーンが物凄いです。
「鬼隠し編」開始から6年も経過しているだけあって本当に見違える様です。
まぁこの作者特有の癖というか変なトコロというかそういうのは相変わらずなんですけどね。

一つの作品のコミカライズを複数の雑誌で複数の作家によって同時展開し、無事最後まで描ききられ、本当に恵まれた作品だなと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-01-24 23:28:16] [修正:2012-01-24 23:34:36] [このレビューのURL]

素直に続きが待ち遠しい!
今回は鶴田先生オリジナルの作品という事で、初期作品の頃の様なSF要素を交えたストーリーです。

祖父の遺品から見つけた幻の島「エレキテ島」の謎を暴き発見してやる、という所謂「ラピュ●は本当にあったんだ!」です。

書き溜めで掲載しているとはいえ、作画のクオリティはさらに上がっています。背景から小物に至る隅々まで細かく描かれいます。

SF要素がそこまでいきすぎという程でもなく、そこがやりすぎちゃってなんだかよくわからない感じだけど絵は凄いなーで終わってしまいがちがった過去作と比べると俄然内容が頭に入ってきやすく、わかりやすい。

話の導入も、主人公・みくらの目的も単純明快だからってのもあると思いますけど。
徐々にエレキテ島の謎が解けていく王道展開はついワクワクさせられます。

1巻が非常に良いところでおあずけをくらってしまい、続きが何年後になるのかと思うと非常に悔しいです笑

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-25 00:57:18] [修正:2011-10-25 00:57:18] [このレビューのURL]

面白いよとちょびっと話題にあがっていたので購入。
作者は藤田和日郎先生の元アシ・ジョーこと片山ユキヲ先生。

温かみのあるほんわかとした絵です。正直上手とは言えませんがまだまだこれから上達するでしょう。

最初にこの作品は「朗読」がテーマと聞いて、なんて無茶な事をするんだ、と思いました。漫画では声が聞こえないのに。
でもこの作品には意外な程面白かったです。

作中で最初に朗読に使われる本は宮沢賢治の「やまなし」です。
「読み手が文の意味を全て理解しないと出来ない」という朗読の重要な点を巧く広げています。
主人公が朗読を成功させるために、一層作品に対する考察が深まり、読んだことあるはずの本なのに自分は何も理解していなかったんじゃないかって感じました。真相を知ったような気分です。

そして声が届かないかわりに、作中の聞き手が朗読を聞いて想像した内容を絵とする事で一気に迫力が増し、声のない朗読にしっかりと惹きこまれていました。
そんな訳で朗読が本格的に始まる一巻後半からは怒涛の勢いを感じました。
二巻以降も楽しみです。

※7→8
全く面白さが衰えない良い感じなので上げます。
絵の上手い・下手はともかく魅せ方が抜群です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-11 23:50:22] [修正:2011-10-15 10:50:06] [このレビューのURL]

前作同様あまり長すぎずにまとめてくれたら…と今非常に期待している作品です。

メインキャラはスポーツが得意な男の親友と、面倒見の良い女の幼馴染との3人と、ボーイ・ミーツ・ガールな出会いを果たしたメインヒロイン・かをりの4人で構成され、かをりとの出会いから話が動きだします。
王道なキャラ構成と導入かもしれませんが、非常にすんなりと話に入り込む事ができます。

絵柄が地味というのが前作を読んだ時に感じた惜しい点だったのですが、かをりが出るだけでぱっと画面が明るくなるような派手さと存在感があるのでその点が解消されてます。
「モノトーンだった世界が色づき始めた」という主人公とかをりの出会いを文字通り感じる事が出来て自分でも驚いてます。凄い。

失われていた音楽への情熱が出会いをきっかけに取り戻されていくという青春ストーリーになりますが、音楽的な要素よりも青春してるキャラクター達が活き活きしてます。
作者が描きたかった場面をどんどんつぎ込んでいるかの様。
1巻からすでにクライマックスみたいな盛り上がりを感じました。。
オススメです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-10-05 23:56:27] [修正:2011-10-05 23:58:48] [このレビューのURL]

都会から男の子が転校してきた、という所からはじまる少女漫画。
東京からきた都会っ子・大沢君と田舎育ちのそよ達。
それによって生じる田舎と都会のギャップ等は最後まで描かれますが、
それよりも登場人物達の直接言葉(台詞)に出さずとも伝わってくる
本当に些細な・微妙な心情の変化の描き方が独特。
絵柄と構成の良さなのか、行間を読ませられます。
シゲのKYぶりとか親父のうっとうしさなんかもキャラの顔と台詞とがマッチしすぎてもうウザくてウザくて(笑

少女漫画らしく恋愛もありますが、ドロドロな恋愛とか三角関係とかそこまでディープにはならず、作風の所為もありますがさらっとした印象。

自分が読んだ事のある所謂少女漫画の数は、少年漫画や青年漫画と比べればまだまだかなり少ないのですが、こんな絵柄ありなんだって感じです。
絵が上手い!って絶賛するタイプではなく、癖もありますが個性バッチリです。
作中で結構絵柄が変わるので大沢君は最後までどんな顔してるキャラなのかイマイチ掴めませんでしたけど汗

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-09-20 23:03:53] [修正:2011-09-20 23:03:53] [このレビューのURL]

トキワ荘だとかの頃ではなく、タイトル通り「ブラック・ジャック」を執筆していた頃の手塚治虫の逸話を描く作品です。

手塚先生と縁のあった方々にインタビューし、それを回想する形で話は進みます。

超多忙故の「締切」にまつわる修羅場のエピソードの数々は印象的。
手塚先生のスケジュールの多忙さのむちゃくちゃっぷりも、壁村編集長の破天荒ぶりもありえないと思ってしまう位です、現代の感覚なら。
手塚先生の凄さと共に締め切りに追われる編集者の辛さも理解できた気がします笑
特に最後のアメリカから原稿を描く話は正に神の所業。凄すぎます。
こりゃあネタにしたくなりますよね。

絵は割と癖があって濃い感じでしたが、表情の明暗が非常にはっきりしてわかりやすく、飽きません。
次の瞬間に手塚先生がどうリアクションしてどんな表情を見せてくれるのか・・読んでいてページめくるのにワクワクしました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-08-31 23:24:19] [修正:2011-08-31 23:24:19] [このレビューのURL]

サイトの存在を知ってからずっと単行本化が楽しみでした。

タイトル通り、中国人の奥さんをもらった作者の実体験を描いた4コマ漫画です。
外国人の奥さんという事で、当然ながらカルチャーギャップネタが多数。
それにプラスして若い奥さんなのでジェネレーションギャップなども絡んで来たり。

こういう題材が自分はとにかく好みなので、最後まで飽きずに楽しめました。
絵も良いです。日記系4コマにしては絵は手抜きではないですし、偶にかかれるリアルバージョンの奥さんもホントに魅力的にかわいくかけてていいなぁって思ってしまいます。

カルチャーギャップをネタにした作品を読むたびに思うのは、日本人っていろいろと考えすぎてて損してないか、もっとこれくらいシンプルに生きても良いんじゃないかって点です。
ひょっとしたら自分が正にそうだからこそ異国にあこがれるのかもしれません…汗

今月購入した作品の中では今のところ一番おすすめです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-08-15 23:38:40] [修正:2011-08-15 23:40:50] [このレビューのURL]

自分の体が透明になってしまう病気、透明病。
誰にも気づいてもらえず、鏡にも映らず、表情さえわからなくなる。

この奇病に罹った少女・白山しずかと、何かと彼女を気に掛けるプラモ好きで天然な少年・唯見マモルの青春ストーリー。

体が透明になってしまうという結構SFな設定なのに、今まで読んだ事無いくらいこの作品からは「純粋さ」を感じました。
キャラ達の心が羨ましい位、透き通ってて。

演劇部に所属しながら透明病に罹ってしまったしずかの悩みや、唯見への恋心なんかの心理描写が丁寧で感情移入しやすいです。
また、唯見の思春期前みたいなとても純真なキャラクターが大好きです。忘れてた何かを思い出させるようなそんな気になりました。

両者のキャラクターの内面はやっぱりすでに上がっている通り、中学生という設定がなんとも絶妙。
恋の悩み、病気の悩み、やりたい事への悩み。
透明病を通して、等身大の中学生を描いていると思います。

メインキャラクターなんて実質5、6人程度しかいないのにこの満足感はなんなんでしょうね。
全5巻という長すぎず短すぎずなので薦め易い作品です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-26 00:31:48] [修正:2011-07-26 00:35:47] [このレビューのURL]

8点 度胸星

文庫版(全3巻)で読みました。

打ち切りを嘆くレビューが非常に多かったので気になっていました。
そして実際に読んでみて、自分も打ち切りの悔しさを実感する事になりました。
どうしてここまで書いておきながら終わらせなければならないんでしょうか。

作者の作品は初めて手に取りましたが、表情のつけ方が独特で良いです。
ゴッドエネルの様な驚き顔が特にインパクトありましたw

宇宙飛行士を目指し、候補生となるために訓練・試験を仲間と共に乗り越えていくという展開はこういう作品なら王道でしょう。
仲間でありライバルであるキャラクター達が(見た目は絵柄の所為もあり地味ですが)個性的に描かれていて、飽きさせません。
「ドカベン」の山田太郎を彷彿とさせる主人公・度胸の地味っぷりも地味にインパクトありましたね。

それでいて火星でのテセラックの登場・謎の数々は斬新すぎて、リアル指向な地球上の出来事と非現実的な火星での出来事との対比がまたワクワクハラハラさせます。

惜しいところで終わってしまっていますが、作品としては最後まで面白く読めるのでそこまで評価を下げるには至りません。
けどやっぱり面白いだけあって残念だなぁという気持ちも強いです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-09 19:55:14] [修正:2011-07-09 19:55:14] [このレビューのURL]

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