「ITSUKI」さんのページ

総レビュー数: 639レビュー(全て表示) 最終投稿: 2005年08月10日

凄い面白い!ここまで読んでテンションあがった作品も久しぶりでした。
読んでいて期待するところをうまく描いてくれてます。
何度か見かけたレビューですが、週刊少年誌でやってる少年漫画に飽きてそこから離れた読者が「少年漫画っていうのはこれだよこれ!」と良いたくなるような、そんな作品です。

週刊少年誌の作品と比べて大きく違うのはテンポが非常に早い所。全10巻という長さは人気作品の引き延ばしにうんざりした方達にピッタリです。
全10巻ですがその倍のボリュームは感じられます。
テンポが早いのに日常描写とバトルとをうまく両立させられているのは、騎士達が全員登場してからは、夕日・さみだれ達は騎士達との日常を送っているからだと思います。
(逆に、騎士達が登場してからその他の登場人物はほとんど出てきません)
世界の危機の話の割に舞台は非常に狭いんです。
騎士達との日常交流を描いてく事でその関係がバトルの方にも影響するし、日常と非日常の両方が描写できる。
このバランスの良さは凄い。

絵柄も個人的に好み。「こういう絵でこういうバトルが描ける人がいたんだ!」って感じです。

※完結に伴い若干の修正をしました。
これまた見事に完結してくれて最高でした。
最終巻は作者が少年漫画の最後にのやりたかった事を詰め込んだ、という内容。
そして伏線の巧さに改めて気付きました。近い内(年末年始・・?)に読み返したいなぁと思ってます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-02-28 23:26:18] [修正:2010-12-09 23:56:57] [このレビューのURL]

無事完結したので書き直し。

作品のテーマ性の特徴等は他の方々のレビューで色々と語られているのですが、老若男女問わず楽しめる絶妙なバランス加減だったと思います。
難解すぎず、軽すぎず。
そうでなければ単行本が一巻あたり100万部を超えるような作品にはならないですよね。

この作品の凄いと思った点は長編作品にありがちな評価である「○○編までは良かった。以降は駄作」という風にならなかったその構成力です。(自分はそう感じました)
エルリック兄弟・マスタング大佐をはじめとする軍・シン国の面々・ホムンクルス達・そしてスカーなどの多くのキャラクターを動かしてストーリーを描いているので話が途切れる事が無く次へ次へと展開していきます。
次の巻へ行けば行くほど面白くなり、次々と話を展開しては着々と伏線を回収し風呂敷が畳まれていくその様は爽快でした。
また、全27巻という長さですがバトルに関してはダラダラと引っ張らずに一話でテンポ良くまとめるなどされています。(月刊連載ってのもありますが)

画力に関しては絶賛する様な上手さは無くとも、これほどの長期連載にも関わらず初期と後期であまり変化を見せなかった絵柄の安定度はとても初連載作品とは思えませんでした。

何はともあれ綺麗に完結してくれて本当に良かった。
間違いなく2000年代を代表する作品の一つです。
8→9

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-08-12 03:36:31] [修正:2010-11-23 01:32:48] [このレビューのURL]

文明が崩壊し、「人類」そのものの寿命を迎えようとしている終末の世界。

そんな世界の中で余命幾許も無い少年・イクルが、人造遺伝子人間の「あい」と残り僅かの生涯を過ごす物語です。
文明の崩壊後の世界の日常、という事で「ヨコハマ買い出し紀行」を連想しましたが、描いている内容は全くの逆を行っていると思います。
この「愛人[AI-REN」」では終わりゆく世界とともに消滅していく二人を描いているからです。

イクルとあいは傍からみたらただのバカップルです。
作者の絵の雰囲気もあいまって見ていてほほえましい限りです。
あいみたいなこんな子いないよ!ってツッコミはこの作品には褒め言葉です。
しかし二人の時間は着実に終わりに向かっていきます。
ベタなんですが、演出がとても巧いのでひきこまれてしまいました。
とにかくページを贅沢に使っていて作者の全身全霊を込めた様が伝わってきました。

人造人間を作れるようになり生殖が必要なくなった結果「愛する事って何なのか」、また「人って何なのか」を考えさせられます。
この作品で伝えたい事なのでしょうけれど、自分はイクルとあいの物語だけでも十分面白かったですよ。
設定の凝り様などはあとがきを読むと凄いのが伝わってくるのですが、それを作中で100%伝え切れているかというとそうでもないかもしれないのが惜しい点。でも凝った設定が好きな方は作品世界にどっぷり入り込めると思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-02 00:26:50] [修正:2010-11-02 00:26:50] [このレビューのURL]

かつて「鉄腕麗人」と呼ばれた女性投手・加納トメの人生を描いた作品。

戦後GHQの統治下にある日本の中で、女性の社会的自立が囁かれ始めた頃、「加納トメ」は現れます。
型破りで、粋で、美しくもあり、カッコ良くもある。
トメのカリスマ性が物凄いです。シビれます。
絵からも魂込めてプレイする様が伝わってきます。

全9巻 細かい設定より勢いで読まされる作品なので一気に読めてしまえます。
6巻の日米決戦までが、盛り上がりとしては最高潮。
ケイトがあぁいう奴になるとは思ってなかったので凄い熱い試合に感じました。

第二部にあたる後半ではトメの弱さや人間臭さも描かれるようになってきます。
なので最後まで読むと自然と、「戦後の女子野球を描いた作品」と思っていたのが「加納トメという一人の女性の生涯を描いた作品」という認識へ変化しました。
チームメイトのインパクトもイマイチ薄かったですし…多数のキャラを動かす「おおきく振りかぶって」の様な作品とは対極だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-10-05 00:59:59] [修正:2010-10-05 00:59:59] [このレビューのURL]

ジャンプ黄金期を支えた作品の一つです。
「DRAGON BALL」や「スラムダンク」とは違い連載時は読んでいないのでいわゆる「想い出補正」はほとんど無いのですが、それでも少年漫画の傑作のひとつだと思います。

この作品の魅力と思う点をいくつかあげていきます。順不同。

・ドラクエをベースとしたファンタジー設定の使い方の上手さ
本作はタイトルにある通りかの有名な「ドラゴンクエスト」の世界をベースとして作られています。
しかし歴代のゲーム作品と別に設定上の繋がりは無く、呪文・アイテム・モンスターなどのアイディアを利用しているだけのオリジナル作品となっています。
ドラクエ未読の方でもわかりやすく、たとえば「ホイミ」は「回復呪文」に「ホイミ」とルビが振られる等の工夫もされています。
むしろ「ダイの大冒険」からゲームの方へ逆輸入された技・呪文なんかもあります。
装備や衣装のデザインもファンタジーらしくて大好きです。

・ストーリーの大筋がはじめからぶれず、最後までそれを描き切られている。
最初から最後まで一直線なストーリーで、長編ですが無駄は少ないです。
これも「ドラクエ」だからこそ上手くいった事かもしれません。
普通の少年漫画で最初からラスボスがわかっていてワクワクできるでしょうか。
この作品がそれが出来たのは「ドラクエ=ラスボス撃破が作品の終り」というパターンが事前に出来上がっていたからです。
作中時間が3か月というのは確かに短いですけど。
多少被りますが、作中で張られた伏線が無理なく回収されているのも素晴らしい点です。特に打ち切り(あるいは引き延ばし)が多いジャンプでは奇跡的。

・極力納得できるパワーアップ
自分がこの「ダイの大冒険」の構成で一番感心したのはこの点です。
作中で三カ月しか経過していないのに、主人公ダイをはじめとした仲間たちの成長スピードは異常なレベルです。
しかし「竜の騎士」「竜の紋章」「ダイの剣」「アバンのしるし」「ゴメちゃん」等のキーアイテム・キャラクター・設定を違和感なくストーリーに盛り込む事でキャラのパワーインフレを極力納得できる様になっています。
これも「ドラクエ」という世界観を活かしていると思います。

・名言、名セリフの多いキャラクター達
本作の一番の見どころ。
序盤はどうしようもないヘタレであるポップの成長ぶり、同じく敵方の三流魔王だったハドラーの武人への成長ぶりには驚くばかり。
自分はなんだかんだでダイの純真な所が好きですけど。
「何かを守るのが自分の使命」…両親と同じ道を選んだダイには感動しました。
この作品のキャラ達は多少芝居がかったようなかっこいい台詞を連発するので後半はもう名言だらけです。

敵がただのどうしようもない悪党ではなく、いわゆる悪の美学というのが存分に描かれているのも魅力的な点。もちろん煮ても焼いても食えない様な悪党もいますが、そういうキャラにはそれなりの最後が用意されています。
大魔王バーンのラスボスとしての威圧感は圧倒的です。老バーンが人気ですが真バーンも「さあ 刮目せよ!」とか「魂などでは余は殺せぬ!」とか「爆発はどうしたああああ!」とかがあるので個人的には好きです。
ラストバトルのじょじょに仲間が減っていく中での攻防は必見。


自分の良いと思う点をいくつか挙げましたが、もちろん「う-ん」と思った点もあります。
それは後半になってからのキャラクターの連続しての復活です。
復活したキャラクターにはその後それぞれの活躍の場がしっかりとあったので復活後の扱いには文句ありませんが、流石に連続すぎて「おいおい」と思ったのも事実です。
作中時間が短い、というのもありますけどそこは自分は特に違和感はありませんでした。
あとヒュンケル…w不死身すぎて作者が死なせ時を逸してしまうという珍しいパターンでした。ジョーみたいになったシーンは流石に燃え尽きたと思ったので目を覚ましてびっくりしましたw
この二点があるので9点です。

※22 8/12
レビュー全文書き換え。点数は同じです。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2005-08-16 05:38:53] [修正:2010-08-12 17:26:03] [このレビューのURL]

良い作品でした。
大石先生の作品の中でも特に描き込みが細かく、SFと日常の両方を魅力的に描けています。

時系列や登場人物もばらばらのオムニバス、かと思いきや後で出てくる話で登場人物同士のつながりに気づけたりしてニヤッと出来ます。
「水惑星年代記 月娘」まで読んで時系列と家系図を整理してもう一度読むとまた楽しいでしょう。

SFなストーリーもありますが、基本的にはその時代ごとの人同士のかかわりだったりが多く、恋愛要素も多いです。
実に爽やかにそれが描けていて気持ちが良いです。

結構思っていた以上に幅広い時代を描いていて、「年代記」の名にふさわしい出来だと思いました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-08-03 00:10:45] [修正:2010-08-03 00:10:45] [このレビューのURL]

高評価につられて購入。
読後に残るなんともいえない感じが凄い。
決してハッピーエンドや教訓的なオチで終わらない、ブラックなネタ・風刺の様なネタも多数。

F先生のSF嗜好がとても表れていて、そのアイディアの豊かさに驚かされっぱなしです。
F先生の漫画を最後まで読んだのはこの作品が最初になるのであんまり大したことは書けませんが、扱う題材自体が他の漫画とは一線を画していると感じました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-29 23:41:31] [修正:2010-07-29 23:41:31] [このレビューのURL]

古代日本を舞台として、その雰囲気が百二十分出ている画風が非常に良いです。

フィクション・超常現象・ファンタジー的な要素を幻想的に踏まえながら実際の朝廷にあったような政治の権力闘争(昼ドラも有)も上手に描けていてどちらの面でも読み応えがあります。
ストーリーは濃厚で、全11巻(自分は文庫で読んだので7巻)といいつつその倍くらいの長さに感じました。

しかし、なんといってもこの作品の魅力は主人公・厩戸王子です。
序盤は謎の多い人物としてもうひとりの主人公である毛人の視点から描かれることが多いのですが、話が進むにつれてじょじょに王子の視点から心情が明かされていくのが上手い。

厩戸王子と蘇我毛人、何故二人は親しくなれたのか。
何故惹かれあいながら、何故お互い同じ男として生まれたのか。
終盤、湖で二人が語るシーンはなんとも印象的でした。

その設定に、こんな聖徳太子ありなの!?って誰もが思うはず。というか自分の漠然と持ってきた聖徳太子像と全く一致しませんでした。

表情の描き方に非常に神経が注がれていて、細かいです。
特に厩戸王子の中世的な顔立ちの描き方は凄い。
画力の話になると、「舞姫 テレプシコーラ」の20年前に描かれた作品ですが背景の描き込みの量や演出の巧みさは「日出処の天子」の方が良いです。
魑魅魍魎や鬼や仏の描き込みも凝っていてとても雰囲気が出ています。

買う際の注意としては、文庫サイズだと漢字の振り仮名が小さくてよみづらい点をあげておきます。
何しろこの作品は漢字の数に対して読み仮名の数が多いキャラクターが多いので。
穴穂部間媛(アナホベノハシヒトヒメ)とか額田部女王(ヌカタベノヒメミコ)とか菟道貝蛸皇女(ウジノカイタコノオウジョ)とか河上娘(カワカミノイラツコ)とかもうそういうのばっかりなので。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-18 00:35:50] [修正:2010-05-18 00:35:50] [このレビューのURL]

はじめてジョーを読んだのは高校の時。
スポーツ漫画としての描写のリアリティにはツッコミ所は沢山あると思います。
しかし、ジョーを読んでから数年経ちますがこの作品以上に読んでいて熱くなった、熱中できたスポーツ漫画は未だに出会っていません。

この作品の特徴として、作中通して雰囲気が暗く孤独感が漂う点があげられます。
ジョーは身寄りもなく、ボクシング以外にも本当に熱中するモノがない孤独な天才です。
恋愛にもうつつを抜かさないし、ライバルとの友情なんかも芽生えません。(ジョー自身がそういう事に関心がない)
それに加えて有名な力石徹との因縁や、カーロスリベラの変貌など周囲も少なからず不幸である為本当に暗い。
その分ジョーがドヤ街の連中と一緒に一瞬ホセ・メンドーサの事・ボクシングの事を忘れるあのカットなんかは非常に印象的。

その他印象に残る名シーンも多いです。
力石との戦い、紀ちゃんとの間に決定的に壁が出来てしまったあのシーン、カーロスとの熱戦、西のリタイア、チャンピオンホセ・メンドーサとの決戦の直前の白木葉子、そしてホセとの試合を終えた後からラストまでなどなど・・・
もちろんリング上でのジョーの熱い語りの数々も外せません。
感じた事、印象に残った場面などが他のレビュアー方とかぶりまくってしまったのは仕方ない・・・それだけの名作です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-30 00:24:59] [修正:2010-03-30 00:24:59] [このレビューのURL]

初連載とは思えない完成度。
どこか懐かしい哀愁漂う絵柄がとても魅力的です。
細部まで丁寧に描かれていて作者(とそれに協力した方々の)こだわりが感じられます。

「宇宙飛行士になる」という夢を追って友達と努力し、協力し、涙し、恋し、成長していく。
各キャラの掘り下げと成長がしっかり描かれていて、全16巻という長さをまったく気にせず読めました。
アツい展開とは無縁で本当に淡々としています。
人によっては泣ける場面も多々あるでしょう。フラグ立ちすぎですが、ベタで外れがないです。
滝のようにダラーッと流す涙ではなく、ポロポロとこぼれ落ちる様な涙の描き方は印象的でした。

明かされないままになった謎や伏線も存在しますが、読み進んでいくうえで重要なものでもないのであまり気にする必要はありません。
ストーリーの展開はぶれずに最後まで進んでいますので。
最終回、終わるのが名残り惜しく胸が締め付けられる様な気持ちになりました。
キャラ良し、ストーリー良し、絵柄超好みと思いっきりハマりました。
この作品に出会わせてくれたレビュアーの方々に感謝。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-15 00:05:15] [修正:2010-03-15 02:40:56] [このレビューのURL]

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