「臼井健士」さんのページ

7点 咲-Saki-

数あるテーブル遊戯の中でも「麻雀」は大人向けというイメージで括られてしまい、漫画も「劇画調」のものか「青年誌向け」のものしかないのが現状でした。

理由は何か?・・・・と考えていくと、第一に、
「囲碁や将棋に比してギャンブル性が高く(世間一般でのイメージのうえで)、少年誌で子供向けには連載が成り立たない」という事情があったのだと思います。
ジャンプで囲碁を題材にした「ヒカルの碁」を連載しても苦情は寄せられなかったでしょうが、麻雀を題材にした漫画を連載したらおそらくは苦情が殺到したと思うし。

第二には、ルールの複雑さにあるのではないかな?と思います。
ハッキリ言って、自分も麻雀のルールは全く知りません。
だから、福本先生が連載している「カイジ」という漫画が第三部で麻雀を始めたときはサッパリ分からず投げ出した口です。
カイジ第三部を私と同じ理由で投げ出した方はかなりの数に上るのではないかなと思われます。

上記二点の逆風が吹き荒ぶ中に切り込んできたこの漫画は、
「中学生・高校生が当たり前のように麻雀に親しんでいる世界」という設定を持ち出し、そこに可愛い女の子が「部活動として」麻雀に打ち込むという展開にした点が、既存の作品との大きな違いです。
さらに作品としての大きな魅力のひとつが「絵の可愛らしさ」にあることは否定できない。
自分も最初はこの絵に惹かれて見始めたので、今まで高かった「麻雀漫画における敷居」が一気に低くなったと言えます。
「萌え麻雀漫画」の肩書きも麻雀漫画の敷居を低くするためには許容範囲・・・かなあ?

ルールを知らなくてもある程度は読めますが、やっぱりルールを知っていないとツライ点はどうしようもないのが麻雀漫画の抱える宿命でしょうか。
ただ・・・この漫画の登場で前述したように「間口」は広がりました。
後は「青年誌連載」ではなく「少年誌」連載の漫画が今後登場するようになったら・・・・「麻雀の社会的地位」も大きく上がるような気がします。

まだ、この先十年は掛かりそうですが。

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[投稿:2010-06-18 22:09:28] [修正:2010-06-18 22:09:28]