「臼井健士」さんのページ

理由不明でモーニング連載からライバル雑誌に移籍して仕切り直しの「ブラック・ジャックによろしく」。

「新」が付いても、相変わらず斉藤クンは理想と現実のギャップに苦しんでいる。
新シリーズでは初っ端から私生活でも恋人の看護婦と「結婚」を意識させられつつも、どうにも煮え切らない態度しか取れない。
医師としても半人前の彼は、まだ夫となって1人の女性を幸せにしていく覚悟も、ましてや父親となるような覚悟も持てていない。

「理想」と「現実」とのギャップを意識して、その隙間を埋めきれずに苦しむ・・・なんてことは誰しもにあることで、別に斉藤クンに限ったことでは当然ないのだけれど、この漫画は「医療の最前線」が舞台なため、より雰囲気が重苦しくなる。
病状についての説明も淡々としており、逆にそれが恐ろしい。
読んでいる自分もその病気に身体を知らないうちに蝕まれているのではないか・・・?などという被害妄想がついつい働いてしまう。
「忍び寄るホラー漫画」と仇名したい。
ただ・・「絵」が下手になった・・・・・・普通は上手くなっていくのに・・。なぜ・・・・?

「爽快感」とは程遠い作風は読者にも作者にも「逃れ切れない現実の悲惨」を付き付ける。

くれぐれも「一刀両断易し」と思うなかれ。

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[投稿:2010-12-18 12:39:25] [修正:2010-12-18 12:39:25]