「臼井健士」さんのページ

9点 7SEEDS

まずは「恐るべし、田村由美。」
内容的には「少女漫画」なんていう括り自体が「無意味」に思えてくるSF巨編。

舞台は「BASARA(バサラ)」と同じく、文明の滅びた未来の日本。
いや、時代としてはもっと先で、文明どころか人類そのものが滅亡したといってよい未来の地球。
こうなることを予想していた現代の各国政府首脳は、「春・夏・秋・冬」という季語の名前を持つ人間をそれぞれの季節ごとに数名ずつ集め、冷凍冬眠させて来るべき「人類滅亡後の世界」で目覚めるように手を打っていた・・・・・・。

さいとうたかを氏の「サバイバル」の未来版というと分かり易いか?。
あれをもっと原始時代風にして「少女漫画」と「SF」のエッセンスをミックスするとこうなる。
生き残った人々を襲う自然の猛威・野生の動物(怪物?)・地殻変動に火山噴火・・・そして・・チームの仲間が次々と死んでいくことによって「ひとりぼっち」となる孤独。

相変わらず田村先生は「少女漫画」でありながら、そんな枠組みを軽くブチ抜いていくような作品を描かれる。とにかく先の展開が全く読めない。置かれている立場からして、登場しているキャラたちにもそれは全く読めないだろうし、ひょっとしたら描いている田村先生ですら読めていないかもしれない。

それにしても現代における「人類の天下」なんて「地球の寿命」から考えれば、ごく僅かな期間に過ぎず、あれほどまでに発展していた文明が滅びたらまた原始時代に逆戻りする・・・っとていう正に「栄枯盛衰」の持つ不思議さ。

そして・・・・それ故に、「再度栄えることもできるのかもしれない」と、胸の奥に湧き上がる大いなる「希望」!。
「希望持たずに生きるは、生ける屍に等しい」と理解する。

男性読者の方、田村先生の作品を読めば「並の少年漫画」なんてブッちぎる面白さに驚愕しますよ。
男性こそ「この世界」を体感するべきだと思います。
興味を持っていただけた方は「まずはBASARA」からどうぞ。

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[投稿:2010-12-18 22:23:22] [修正:2010-12-18 22:23:22]