「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

著者についてもよく知らない状態で、表紙だけみて買ったような状態です。
音楽の中で「合唱」をテーマにした作品は見たことがない。

最近は「けいおん!」に代表されるような音楽漫画ブームなんですが、
これは日常系ではなく、青春本格系です。
中学生の男の子を主人公として、合唱部の仲間たちとの交流を中心としていく展開になりそう。

「音の中で息する男の子に私は出逢った」。
第一話の引きのセリフがこれ。

それはそのまま「読者の心情の投影」となって続くのである。

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[投稿:2012-01-15 12:33:11] [修正:2012-01-15 12:33:11] [このレビューのURL]

簡単に言うと「赤ちゃんと僕」(「花とゆめ」連載)の少女版。

お母さんが2番目の子供が小さいうちに亡くなって、お父さんと3人家族という設定は同じ。
ただ「赤ちゃんと僕」は男の子の兄弟なのに対して、こちらは女の子の姉妹になるというのが大きな違い。
内容も女の子が主人公のため、「赤ちゃんと僕」よりも断然、恋愛の要素が強くなっている。
小学5年生からスタートした主人公の「杏」がラストでは母親になるまで、掲載雑誌がマイナーな「デザート」だったため全10巻で非常に展開が速いのだが、テンポよく話は進む。

意外だったのは杏が結ばれた相手。
普通の少女漫画なら「初恋の相手とくっ付いてめでたしめでたし」という安易なラストで終わるだろうが、この漫画はラスト付近では現実的な展開になり、普通なら報われないまま終わるであろう当初の杏の初恋の男のライバルに軍配が上がった。

初対面では杏は好意的どころか「苦手」「怖い」とすら思っていた関川と中学校の3年間を通して少しずつ心を通わせていくという展開がいいと思います。
杏に彼氏(鮎川)がいることを知りながらも杏以外の女の子のことを考えられない関川の純情。
人の恋には敏感でも自分のこととなると鈍感で、関川の想いに気が付かない杏を見守り続けるうちに、気持ちには気付いてもらえないものの「苦手意識」と誤解からくる「恐怖」は消えて、安心して手を繋げるまでになった。このときに誤解が解けていたことと成就はしなかったものの「告白」で杏に気持ちを伝えていたことが、後の再会時杏の気持ちを変えることに繋がった。

杏にとっては「初恋の相手」でも杏に寂しい思いばかりさせる鮎川が杏の目の前から去ったとき、ずっと自分のことを大切に思い続けていてくれる男性がいたことに気付いた杏。
自分を愛してくれる人の気持ちに応えるのも「ひとつの恋のかたち」なのだと思えるようになったとき、自分を幸せにしてくれる「ただ1人の人」と出会えていたことを意識できるようになった。
不器用な表現しか出来なかった関川も再会後はストレートな気持ちを杏に伝えられるようになったところが成長の証。
関川は「一生大切にする」と誓って杏を妻としたことだろう。
杏は鮎川とは身体の結び付きはなかったので、関川が「初めてにして唯一の男性」となる。
昔、鮎川との肉体関係を「恥ずかしくて想像もできない」と言っていた杏が同じく初めてであったであろう関川と結ばれ、愛を知っていったのだ。

数年後に生まれた2人の間の子供は女の子か?。髪の毛の色から関川の血を引いていることが判る。
亡くなった杏の母親にとっては孫にあたるその子に「くじらの親子」の話をしてあげる杏。
両親の駆け落ちによる結婚から数十年の年月を経て世代を超えて語り継がれていく想いがそこにはあった。
妹・桃の「小さなお母さん」であった杏が本当の母親になるまでのお話。
鮎川を好きになると同時に関川のことも好きになっていた。
2人の男の子に同時に恋をしていたことを後年の杏は懐かしく思い出せるようになっただろう。
きっと娘にお父さんとの恋物語を語ってあげるのでしょうね。

杏は意識していないのだが、実は杏が好きになった2人の男性、鮎川と関川はいずれもお父さんに似ているのだ。
外見が似ているのは「鮎川」のほうだが、内面的に似ているのは実は「関川」のほう。
杏の母・真弓も当初はぶっきらぼうでしゃべらないお父さんを怖がっていたのだが、やがて少しずつ
「本当は怖い人ではない。優しい人なんだ」と知って好きになっていった。
その点でも、出会った当初は関川が怖くて震えていた杏が少しずつ普通に話せるようになり、やがて手を繋いだとき
「自分の心を覆っていた不安が淡雪のように溶けて安心できるようになった」ことと共通する。

これらが無理矢理な印象は受けず、かえって杏を1番幸せにしてくれる相手だったのだと読者に気付かせてくれたと思い、ベストエンドかと。
欲を言えばラストシーンに子供の父親と杏の妹である「桃」も登場させてほしかったことか。

杏の両親が出会い、愛し合って結ばれるまでを描いた番外編の感動は同じ題材で描かれた「赤ちゃんと僕」のそれよりも数段上だと思う。

とにかく作品自体が作者の最高傑作。

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[投稿:2012-01-14 18:08:03] [修正:2012-01-14 18:08:03] [このレビューのURL]

8点 CLOVER

CLAMP作品の中でも画の美しさにおいては他作品を圧倒する。
いつも不思議に思うのだが、もこなさんはどうして作品ごとにタッチをガラリと変えられるのだろうか?
他の漫画家にはまずそんな器用なマネは出来ないはずだが・・・・。
ストーリーは強大な力を持つ故に政府によって現世から隔離されている少女が自らの存在を消すために、護衛の男と「ある場所」を目指すというもの・・・・だったのだが、2巻ですでに話の山場は終わってしまい、それ以降は2巻までの番外編のような構成になっている。

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[投稿:2012-01-14 17:59:08] [修正:2012-01-14 17:59:08] [このレビューのURL]

話の大元のゲーム版はゲームとしては面白いし、戦闘システム・キャラも好感なんだが、ストーリーが理解しづらい欠点があった。
漫画版は、自分でキャラを操作して話に介入出来るわけじゃないから、基本的にストーリーがダメなら漫画化するべきではない。
どうせなら「エターニア」ではなく他のテイルズ作品にすれば良かったのだが。
絵は上手いほうだと思う。だから漫画として全くダメってわけではないのだけれど、何ていうのか・・・画面の描き込みが足らないような気がする。
なんかコマを見ても「必要最低限のものしか描いていません」と言いたげな雰囲気が拭えないのだ。
ゲーム版は戦闘が面白いのだが、この漫画は戦闘が迫力がなく淡々としているせいでゲーム未体験の人間には面白さが伝わらない難点がある。
ストーリー自体もページが少ないからか急ぎすぎの印象。10巻持たずに終わってしまいそうだが、オリジナルキャラを登場させたりして漫画版は独自の道を行っても良かったのではないかと思う。同じゲームの漫画化で「ドラゴンクエスト7」の漫画がゲーム版よりも面白くなったという「いい前例」もあることだし。
もともとストーリーに難点があるのでオリジナル路線を行ったほうがゲーム版よりも面白くなった可能性は大だ。ただ・・・作者はこの作品が初連載っぽいので、それに耐え得る漫画家としての実力が無さそう・・・・・・・残念!。

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[投稿:2012-01-10 03:49:03] [修正:2012-01-10 03:49:03] [このレビューのURL]

「キミキス」の漫画も描いている作者による「アマガミ」本。

前のキミキスよりマシかと思って購入してみましたが、やはり著者の絵がゲーム絵と比して
「滑らかさが全然ない」のに違和感があり、のめり込めません。特に「目がおかしい」です。
喩えて言うなら、元ゲームが爽やかさを感じさせるのに対し、こちらは「汗まみれ」という印象です。
つまり、画面のアチコチに余計な線を付け加え過ぎなんですね。

だから、「描き込み過ぎ」です。パッと見の印象で。
それと1巻で「アマガミ」とは別作品の「キミキス」の番外編を載せるのはおかしいでしょう。
作者は同じでも別ゲームで別作品でしょう。それを1つのコミックスにまとめるなんて編集の仕方聞いたこともありません。

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[投稿:2012-01-10 03:31:53] [修正:2012-01-10 03:34:05] [このレビューのURL]

「キミキス」漫画版。

ヒロインをそれぞれ主人公にした別ストーリーを繰り返す辺りは
元ゲームを漫画風に再現したような印象ですが、巻毎に別ヒロインを立てるので
よーするに「最初に戻る」的な感じで攻略をやり直しているかのようで、ゲームはともかく漫画でそれはどうなんですか?

さらにこの著者の絵柄は元ゲームのように美麗で滑らかではなく、
むしろ「泥臭くて、汗臭い」イメージです。
だから全然、話にのめり込めないです。
もうちょっと、まともな絵を描ける方いらっしゃらなかったんですか?

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[投稿:2012-01-10 03:33:29] [修正:2012-01-10 03:33:29] [このレビューのURL]

天然女子高生「天満」と、その天満に惚れる不良・播磨。
その二人の主人公と周囲の人間たちを描いた学園群像劇。

クラスメイトのほぼ全員にキャラ設定が用意されているという点では、赤松先生の「ネギま!」と同じだが、こちらは高校生でファンタジーは一応なし。

播磨の勘違い&お馬鹿さ加減で毎回毎回話が持っていけるだけの勢いがあったが、登場人物が次第に増大してからは明らかに収集が付かなくなった感があり、それがそれぞれのキャラ同士のカップリングを曖昧にしたままの終了に繋がってしまったのかもしれない。

最終的には「読者それぞれのご想像にお任せします」的な終わりで、
投げ出し感もあり、長期につき合わせておきながら釈然としない。

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[投稿:2012-01-09 15:05:56] [修正:2012-01-09 15:05:56] [このレビューのURL]

著者はいろいろなスポーツ漫画に手を出したものの、結局のところ
「キャプテン翼」しかヒットを出していません。ご本人もその事が分ったのか、完結した翼に戻ってきて続編をしつこく描いて「食い繋いでいます」が、正直見苦しいです。

これはその最初の「無印」とでも言うべきシリーズで、一応は出来はシリーズの中では一番いいです。
但し、中学生編以降は「只のロングシュート」が
・タイガーショット
・隼シュート
・イーグルショット
・ドライブシュート
・ファイヤーショット
・キャノンショット
等の「必殺シュートのオンパレード」となり下がりました。

さらに著者の画力はキャラの見分けがつき難い。
「少年漫画」というより「少女漫画との中間のような作風」です。

展開はとにかく主人公のいる「翼」のいるチームが負けなさ過ぎ。
困難に遭ってもアッサリ立ち直り克服。以下、その繰り返し。
後に全日本になってからはそれが「日本チーム」に引き継がれて、
不自然なまでの「1点差勝ちゲーム」ばかりの展開になります。

作者の日本びいきが強すぎますよ。
それが後の続編制作の過程でも「駄作化」に拍車が掛かったと思われます。

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[投稿:2012-01-09 14:52:20] [修正:2012-01-09 14:52:20] [このレビューのURL]

「りぼん」連載の作者の自伝的な日常漫画。

静岡県の清水市を舞台にしている模様。
最初は物語の展開に対して「自分で突っ込みを入れていく」という手法が珍しく、それが非常に面白かった。

だが、段々と人気が出て連載が長期化・アニメ化までされるようになったら、話が作者の昔の体験談ではなく、完全にオリジナルの創作にシフト。
そうしたら明らかに面白さがダウンしました。

漫画も続けるだけ続けたけど、そろそろ惰性になってきたかと思われたところで連載終了。但し、アニメは「サザエさん状態」となり、年をとらない主人公たち登場人物の活躍が延々とループすることになりました。

このヒットが意外なのは「りぼん」出身で、特に絵も上手くない著者が
「一番の出世頭になった」点だと思います。

矢沢あり・吉住渉・水沢めぐみ・柊あおい・池野恋という同時期活躍のメンバーでさえここまでのヒットは飛ばしていない。
「伏兵」の名に相応しいが、今やこちらが「本命」だ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-01-09 14:32:14] [修正:2012-01-09 14:32:14] [このレビューのURL]

7点 MONSTER

ハリソン・フォード主演の映画「逃亡者」をモチーフにしたのではないかと思われるサスペンス。

ドイツの病院に勤務する優秀な外科医として将来を嘱望されていた日本人医師のテンマが、上司の命令に逆らってまでして助けた男の子は「ヒトラーの再来」とまで言われるカリスマを持った怪物だった。

病院の院長殺害の濡れ衣を着る羽目になったテンマは、警察の追っ手を逃れながら自らが助けた怪物「ヨハン」を追跡していく!

若き日本人医師が自分の罪への決着を付けるべく放浪する。
だが、怪物ヨハンを巡る陰謀は欧州を股に掛けての大事件へとその姿を変える。
果たして、旅路の結末とは・・・・・?

冒頭から終盤まで極めて「ハリウッド映画的」な作品です。
映画をそのまま「漫画というフイールドに移行させた」と言っても過言ではない。

序盤から様々な謎・伏線が張り巡らされる中、ぐいぐいと引き込まれる手法は後の「20世紀少年」でも使われた作者お得意の手法です。

ですが、中盤から後半に掛けて中弛み感がし、結末へ。
結局のところ、謎は残った・・・・みたいな印象になってしまったのが惜しいです。

けれど、同じ漫画を他の作者に描けるか・・・と言われれば、やはり難しいということで、特別な位置を取る漫画なのかなんて思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-01-09 14:20:55] [修正:2012-01-09 14:20:55] [このレビューのURL]