「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

「帯をギュッとね」で柔道漫画の新世界を構築し、その後に競艇をテーマにした作品を
これまたヒットさせた実力派の作者による新作は・・・なんと書道部を舞台にした作品!

おそらくは誰も事前に予測はできなかったと思われるが、果たして
「対決」がメインに出来る言わば「陽のあたる場所を舞台にした」体育会系部活を
テーマにした作品に比して「日陰に位置する」と言っていい文科系部活動で
物語をどうやって構築し、長期連載にするのか?
多くの方が疑問を抱いたことであろう。

主人公はカナダからの帰国子女になる男子高校生の大江縁(ゆかり)クン。
気弱で平凡。しかも押しが弱くて頼りなく見える。
部員が女子3人しかおらず、最低構成人数の「5人」を満たせないため、
廃部の危機に直面していた書道部に半ば強引な勧誘もあって入部することに。

そして同じく新1年生で女子柔道部に入部している望月結希サン。
柔道では凄い成績を上げての有名人だが・・・・字が汚いことにコンプレックスが。
大江クンに事故とはいえケガをさせてしまった負い目もあり、掛け持ちながら
書道部入部を果たして廃部の危機は去った。

さ、落ち着いて始めよう。「書道ライフ」を!
どんな物語が紡がれるのか?事前予測は不能だ!
「対決」と言ったって、書道は審査員の先生による第3者判定だから優劣は有っても、
客観的に分かり難い。

論より証拠。それは実際に見て、読んでみてのお楽しみ。
パソコン全盛の現代だからこそ、実は「綺麗な文字」を書きたい潜在的な人数は多いと
推定する。

DSのゲーム「美文字トレーニング」とリンクさせてみる展開なんてのもいいのでは?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-11 18:07:22] [修正:2012-01-03 10:07:12] [このレビューのURL]

5点 COPPELION

近未来の日本・・・・・・。
お台場にある原子力発電所で起きた事故により放射能漏れは関東圏から風に乗って東北まで北上。日本は深刻なダメージを受け、首都は京都に移転した。

それから20年の年月が経過し・・・・なぜか立ち入り禁止の放射能汚染エリアに侵入する3人の女子高生がいた・・・・・。彼女等は放射能を防ぐ防護服を着ることもなく、制服姿で被爆エリアを探索し、生存者の発見に奔走する。

彼女たちこそが政府によって生み出された遺伝子操作による放射能への耐性を持つ存在。
廃墟となった東京を舞台に彼女たちは何処へ向かうのであろうか・・・・・。

退廃的な近未来の都市を舞台にしながらも、絵柄が泥臭くない。
あまり悲惨な雰囲気を感じさせないため、比較的読みやすいですね。

でも・・・人の手が入らないと街ってやはり荒れてしまうのでしょうね。
生い茂る雑草・建物のひび割れ・汚れ・・・・・・etc.

汚染の原因である放射能さえ大丈夫なら探索は問題なし!と思いきやそうではなかった。
異形の怪物がいたり、生き残っていた人間に殺され掛かったりでサバイバル。

作中で読者には馴染みが薄いと思われる放射能に関する説明をしていますが・・・・
なんか「嘘っぽい説明」になってしまっているのが難点。
ベニヤ板で「アルファ線」や「ベータ線」は防げるんだ・・・・・・。全然知りませんでした。
なんかアニメ化されるそうですよ!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-11 18:00:32] [修正:2012-01-03 10:05:43] [このレビューのURL]

CLAMPの初期作品。最初の頃はまだ現在の4名以外のメンバーもいたせいか、絵柄がぎこちない。

スケールの大きな神々の戦いを描いて、お決まりの「最後のどんでん返し」もあるのだが・・・、結局のところ何が言いたいのかが分からなかった。
世界観も理解しづらい。人名も漢字ばかりだし。

つまらないというわけでは無いが、絵柄以外は特筆すべき点もないかなという感じか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-27 11:27:26] [修正:2012-01-03 10:04:22] [このレビューのURL]

5点 蟲師

「蟲」という超自然的な存在と、人とが関わることで起こる不可思議な事件の数々。
「蟲師」という蟲と人との所謂「トラブル解決屋」である男・ギンコの視点から語られる
物語を描く。

時代設定は不明です。舞台は大抵「山中」だったり「海辺」だったりします。
が、文明の利器など全く出てこないため正式な特定は出来ません。
語り部であるところのギンコがかろうじて洋装をしていることから、
(おそらくは)明治以降の日本であるだろうことが推察できるくらいです。

蟲という古来から日本に住む精霊とも妖精とも言えるような存在。
彼等はときに人間に寄生というか、人間の生活圏に入ってくることで
様々な問題を引き起こすことがある・・・・。

それは大抵「不幸なこと」であるので、蟲師と呼ばれる蟲について精通している
プロが問題解決に乗り出すのである。

ほぼ事件絡みの物語ですが、意外なほどに「淡々とした雰囲気」で
物語は進んでいきます。

まるで「昔話」や「童話」を読み終えたような、読後に独特の満足感に
包まれる他に類を見ない作品ではあります。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-12 20:12:43] [修正:2012-01-03 10:03:10] [このレビューのURL]

大災害によって日本が南北に分断された近未来を舞台に、中国とアメリカの支配を脱し「新しい日本」を創り上げようとする人々を「2人の指導者」を相対させながら描く。

阪神大震災・新潟中越地方地震・そしてインド洋の大地震による大津波・・・。
関東もそろそろ危ないなと意識せずにはいられないところにこの漫画である。
「天災は忘れた頃にやって来る」と名言を残したのは寺田寅彦だが、こういった大災害も普段の準備と用心で完全に防ぐことは無理としても多くの生命を守れるのではないか。
2人の異なるタイプの指導者の対比は「かわぐち作品」に共通するものだが、「沈黙の艦隊」よりもこちらのほうが現実になりそうだという点でより目が離せないのだ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-06-18 21:59:17] [修正:2012-01-03 10:01:07] [このレビューのURL]

著者の漫画を読むのは初めてです。
ゲーム「バイオハザード」の漫画版ですね。
鬱屈とした日常を送る青年もとい中年が陥る非日常。異変は自らの付き合っていた彼女の変身から。
突如、多くの人間が「ゾンビ化」し、人を襲い始める。
交通機関は乱れ、街はパニックになる。

原因は「T-ウイルス」の流出・・・・って訳ではなさそう。
何が感染の原因なのか?そもそも原因はウイルスなのか?
でもゾンビ化した人間に噛まれると、噛まれた人間もゾンビ化するらしい。

現実と自らの理想とのギャップに苦しむ男は妄想癖があり、夜は孤独で眠れなくなる。
猟銃の免許を持っているため、展開上では発砲は可能・・・とお膳立てはできたのか?

1巻ラストの引きは凄まじい鳥肌だが・・・今後の展開はどうなるのか?
未だ「手探り」かつ「期待」の部分が大きい。
「只管にパニック」という作風。今のところ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-17 21:18:19] [修正:2012-01-03 10:00:12] [このレビューのURL]

ギャグ漫画にしては絵が上手いというのは珍しい。
ギャグはそこそこ笑えました。部長さんの同性愛の雰囲気が前面に押し出されているため、読みにくいというのはあったのかもしれませんが、下ネタに走ることも少なかったので良かったと思います。

自分はジャンプで「奇面組」の後釜的位置に入るかと期待していたのですが・・・そこまでにはなりませんでした。
終わり方が「打ち切り」みたいな感じだったし・・・。鯉造ちゃん後半はほとんど出番なし。作者も忘れていたのでは・・・。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-06-18 23:54:28] [修正:2012-01-03 09:59:44] [このレビューのURL]

車田先生の原作で前フリがされていた前聖戦でのペガサスとハーデスの因縁を描く、聖矢のアナザーストーリー。
舞台を前作から遡ること2世紀。18世紀の欧州で、冥王・ハーデスの復活の兆しが見え始める頃。
孤児院で暮らす3人の少年・少女たちがいた・・・・・・。

絵が車田先生よりも繊細且つ細かいのですが、「エピソードG」の作者よりもよほど丁寧かつ上手いです。
車田先生の原作ではハーデス軍の「108星」いるというスペクターの大半が未登場だったり、自己紹介もなくやられたりしていたのですが、
この作品でしっかりと登場を果たしてくれるのは嬉しい限りです。
勿論、巻末の「分解装着図」も新規で多数追加。

物語としてはゴールドセイントたちの出番が非常に多く、
結末としては「牡羊座」と「天秤座」の2名しか生き残れないと前作から知れているのですが、
彼らがそれぞれ具体的にどのような最後を迎えたのかが判ります。

バトルがメインで文字数がページに少ないため、かなり早いスピードで読めてしまうのも特徴です。
少なくとも「同人漫画」レベルではありません。
本家とは別の立ち居地は既に獲得済みと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-03 09:28:09] [修正:2012-01-03 09:57:54] [このレビューのURL]

6点 BILLY BAT

浦沢先生の最新作。

今回は戦後の1947年を舞台に国鉄総裁「下山定則」の轢死にまつわる、所謂「下山事件」を縦軸に日系2世の漫画家「ケビン・ヤマガタ」を語り部として紡がれる。

乗っけからの引き込みの数々の謎の散りばめかたは見事。
けれど、浦沢氏の作品はこの散りばめたいくつもの謎が終局に向かって集結してくる段階で
謎同士が「頭をぶつけ合ってごっつんこ、ごっつんこしてしまう」ことが多い!

つまり仲良く最終の頂まで駆け上る仲間として並列して存在し合えないのですね。
だから最後付近で交通渋滞を起こしてグダグダなまま終了・・・というケース多し!

この作品もスタートダッシュは見事だが、多くのファンが心配しているのはそこだろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-25 08:20:24] [修正:2012-01-03 09:57:01] [このレビューのURL]

「うしおととら」と比較すると、どうしても見劣りしてしまいますね。
「うしおととら」のときのように素直に感動出来ないシーンが多いです。

鳴海がゾナハ病の発作を抑えるために、無理矢理にでも相手を「笑わさなければいけない」という設定にそれが象徴されていると思います。話の流れの中で素直に感動を受けるのではなく、強引に感動させられるような展開の数々・・・・。勝が属していたサーカスもそうです。「集団」としての存在意義が、人を自然と楽しませるのではなく、意図的に「人を楽しませようとすること」が目的というところに顕著。

主人公が別行動をとっているので展開が遅いのも難点です。鳴海の成長が比較的自然な流れなのに対して、勝の成長は強引。黒賀村でのモテまくりも解せません。小学生に中・高校生の女子が夢中になったりなんて山田南平先生の「オトナになる方法」だけで十分でしょう・・・・って感じですよ。ホント。

なにせ前作でいきなり「歴代漫画の頂点を極めるような作品」を出してしまったため、いくら藤田先生でもそれを超えるような作品を描くのは難しいだろうなと思っていました。だから他の漫画家たちのような、才能の枯渇が原因で「トンデモナイ駄作」になっていないだけでも十分評価出来ると考えたほうがいいですね。20巻以上続いているヒット作を2本持っている作家だって珍しいはずですし。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-31 07:29:52] [修正:2012-01-03 09:56:23] [このレビューのURL]