「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

「戦国」=「センゴク」=・・・・「仙石秀久」と連想ゲームみたいだが、秀吉・家康・信長といった有名どころではなく敢えてこの淡路国洲本五万石の城主を主役に抜擢したのは面白い試みだと思う。

確かに天下人の3人はもう描かれ尽くした感もあるし(それでも、やり方次第では違った切り口から十分面白い話を構築できるのではないかとも思うが)、新鮮味に欠けるだろう。思えば戦国漫画は上記の3人ばかりに偏り過ぎていて、「横山作品」を除いては他の武将にはなかなかスポットライトが当たらなかったように思うので、これを契機として風向きが変わることを激しく希望。
西国にも面白い武将は多くいた。「毛利元就」「長宗我部元親」「島津義弘」の3武将は特に主役を張らせてみたい。東国では後北条の3代目「北条氏康」を挙げたい。武田信玄・上杉謙信と合わせて「3人の中から1人でも長生きしていれば信長の天下は無かった」と言われた程の名将が何故今に至るまで冷遇を???
続編もこの先かなり期待して読んでいきたい作品ですな。

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[投稿:2010-07-03 09:25:28] [修正:2010-07-03 09:25:28] [このレビューのURL]

いわゆる「硬派の喧嘩漫画」なのだが、迫力のある描写で月刊誌掲載ながら長期連載になった。
等身大のヒーロー「速水」と渋い大人の男「鷹山」のコンビも小気味良い。
横浜のフェミニスト・竜崎も加わり三者三様のキャラ立てが出来た。
速水の決めゼリフ「お前にはできないかもしれない・・・」は嫌味を感じさせない。
ところで・・・「殴り屋」。ホントに裏の職業としてありそうですね。

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[投稿:2010-07-03 09:24:12] [修正:2010-07-03 09:24:12] [このレビューのURL]

「りぼん」一筋の連載でな・な・なんと!コミックス30巻という「別格」漫画。

吸血鬼や狼女が登場するファンタジーにコメディ要素を加えた下地に、少女漫画的な恋愛と若干のシリアス要素を上手く組み込んで「りぼん」最大のヒット作の地位を手に入れた。

話は大きく分けて三部。初代主人公・蘭世。二代目主人公で蘭世の弟の恋人・なるみ。三代目主人公で蘭世の娘・愛良。話のスケールが一番大きかったのは第1部で、2部は学園もの。そして3部はなんと「魔法少女もの」と時代に合わせて(笑)、作風を変えてきた。
しかし、オーソドックスな設定の多い「りぼん」連載の作品の中で1部はやはり異色の存在。
基本的に敵も味方もみんな「いい人」という展開は・・・・どうかと思う部分もあるのだが、女の子が読者ということを考えれば無難な展開ではあるかと思う。
3部に入る頃には流石に往年の勢いは無くなってきている・・・が、そこはやはり「この作品」らしく最後は大団円で終わらせている。
しかし、設定上で少し苦しいのは主人公一家が基本的には不死身で不死だということ。その恋の相手が人間だったら・・・・片方は生きてもう片方はいずれは死ぬ・・・ということになってハッピーエンドは有り得なくなってしまう。この設定は作品の長所であり、大きな「足枷」になった部分もあったのではないかなと。
それに・・・不老不死なんて設定として不幸だと思う。永遠の時があるなんて・・・堕落するだけのような。

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[投稿:2010-07-03 09:17:39] [修正:2010-07-03 09:17:39] [このレビューのURL]

ロト伝説で大魔王・ゾーマが倒されてから、竜王がアレフガルドを支配するまでの空白期間に地上世界アレフガルドで何があったのかを描いたほぼオリジナルストーリー。

ガンガン創刊時の目玉連載だが、後にガンガンを共に支えることになった「ハーメルン」「パプア」「グルグル」らはいずれも初連載の新人作家だったため、最初はいい雰囲気でも長期に連載が続くと「初めて故」の作家としての底の浅さが隠せず、広げた風呂敷を上手く包み込めないまま終わった印象がいずれも強い。

カムイ先生は唯一、ガンガンが育てた作家ではなく他から連れてきた一応キャリアのある方だった。
その点でやはり他の方と比較しても画力にしても構成力にしても見せ方にしても抜きん出ている。
ドラクエ漫画はこれと「ダイの大冒険」が双璧だと思うが、月刊誌連載だったこともあって巻数では「ダイの大冒険」の半分程度だが、面白さでは甲乙付け難い。

山場はやはりアレフガルドでの獣王・グノン率いる数十万の軍団に立ち向かっていく場面。
保身のために勇者を街から追い出そうとする民衆を守るための戦いは、ともすれば「投げやりにさえなりかねない」危ういものだった。四天王と聖戦士たちの対決も苛烈で「死闘」の名に相応しい。

異魔神の強さはドラクエの世界観すら破壊させかねない凄まじいものだった。
何よりも「りゅうせい」(流星・・・つまりはメテオ)が絵的にも威力も凄まじい!
倒せたことが未だに信じられないのだが・・・・・・(笑)。
そして、アステアは・・・・やはり女の子だったのだろうか?

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[投稿:2010-07-03 09:12:58] [修正:2010-07-03 09:12:58] [このレビューのURL]

まず、読む前に誰もが思ったことだろう。
「ドラえもん」+「野球」って、一体どんな漫画だよ???、と。
このサイトの方の多くもおそらくはそうだし、自分もそうだった。

確かに藤子先生の原作「ドラえもん」にも野球のシーンは出てくる。
けれど、原作においてそれをやるのは「ジャイアン」であり「スネ夫」であり「のび太」で、ドラえもん自身が野球をプレイしていたシーンは自分が思い出す限りではなかったはずだ。

つまりドラえもんと野球なんて、原作においては全くと言っていいほど接点のないもので、その2つを融合させて「ひとつの作品」としようなんて通常の発想では思い付かない。それをやったのが「この作品」だ。

しかし、原作はこのサイトでも評価の高い、知らない人を探すほうが難しいくらいの知名度を持った名作。
その世界観を使って「別作品」を描こうなんていろいろな意味で「冒険」だ。
下手したら「原作の知名度を利用して売っている」くらい平気で言われかねないと思う。
そうなったら、おそらくは「作者は一生言われ続けるだろうし」、「編集部もその存在が続く限り叩かれ続けた」ことだろう。
事実、そうなる危険性もあった。

それを回避できたのは、弱小チームが少しずつ強くなっていくという王道的なストーリー。
「ドラえもん」というロボットキャラでありながらも、各キャラの見事な顔の描き分けと性格付け。
そして「普通の野球」に「ドラの世界の秘密道具」を試合に使用できるという独自のルールをプラス。
「友情」「協力」「仲間」という原作と同じキーワードを踏襲しつつ、原作には有り得なかったライヴァルたちとの「対決」と、それに伴うスポーツ漫画ではある意味常識の「熱血」という要素を加えた(むしろ、この2要素が前面に押し出されている)ことにより、「原作とは違う立ち位置」で「もうひとつのドラえもん」として読者に認知されたことにある。

画力も高く、原作とは違った意味で「非常に見やすく、上手い」。
コロコロ連載作品では「歴代でも上位」だろう。
アニメ化されれば・・・「1話完結式のドラ」しか知らない多くのファンに、劇場映画ではないテレビシリーズで「全く違った長編ドラの魅力」を広く認知させることは確実だ。

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[投稿:2010-07-03 09:11:07] [修正:2010-07-03 09:11:07] [このレビューのURL]

前作よりも雰囲気が硬派になったのが何より良い。絵はほぼ完成期に入っていて安定して上手い。
主人公の多喜子が大正時代の人間なので、この漫画の世界観に入ってきても違和感が少ないのもいい。
相変わらず男ばっかりで七星にも敵にも女性が出てこなそうなのが難点だが、美朱と違って多喜子は戦えそうなので「戦い」の悲惨さや辛さを身を以って体験できそうなのには好感。
さらに美朱よりも背景につらいものを背負うことになったので、精神的な成長面でも大きな期待ができる。

こうして見てみると、前作で挙げた欠点を改善してきてるな・・・という印象だ。やはり読者からの指摘が多かったのだろうか?期待を込めて評価は「良い」としたい。今回は第二部とかは勘弁願いたいのだが。

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[投稿:2010-07-03 09:09:14] [修正:2010-07-03 09:09:14] [このレビューのURL]

ボクシング漫画の頂点と言っていい。画力が他の漫画家を大きく引き離している・・・っていうか、ブッちぎりで独走体勢ですな。
ただ長い。長すぎます。今まででもう50巻以上コミックスがあって、一歩もチャンピオンとしてもう長いはずなんだけれど、世界チャンピオンになるまではまず止めないので最終的には何巻になることやら。
こんなに長いのは一歩だけでなく、鷹村とか青木とか宮田とか脇を固めるボクサーが魅力的で、そういったキャラたちの試合も省略せずに全部描こうとしているからですね。
そこをひとつひとつ丁寧に描いていくと、そこからまた世界が広がっていって、さらに詳しく描かなければならなくなる・・・・・(以下、前の行の最初に戻って、延々続く)。

最終回は・・・宮田と一歩の対決になるのではないかとは思うけれど、自分の頭に浮かぶラストページは・・・・防波堤に座って1人で釣りをしている一歩の姿、奥さんである久美ちゃんの昼食に一歩を呼ぶ声に応える・・・・。

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[投稿:2010-07-03 09:05:05] [修正:2010-07-03 09:05:05] [このレビューのURL]

医療漫画最近の御三家は「ブラックジャックによろしく」「ドクターコトー」と「医龍」だ。

タイトル並べてみて判るのだが、この中で「医龍」が一番地味っぽい印象。
ところが実際に読んでみると、意外にも一番面白かったのは医龍だった。
「医療」+「政治の世界」という切り口は「ブラックジャックによろしく」でもやろうと試みていることだけれど、研修医が主役の「ブラックジャックによろしく」では結局のところ問題提起はしたものの何の解決にもなりませんでした・・・・で終わってしまっている。(それもある意味、当然ではあるのだが・・・)
こちらではどうかというと、主人公はブラックジャック並の天才医師。しかし、本来は組織に属さない「一匹狼」。その一匹狼を「新しい術式の論文」を確立させるためのチームの一員に引っ張り込んで他の医師たちと共にひとつの「運命共同体」となって立ち向かっていく。
医学界の体質にイヤ気を感じつつも「どうにもならい」と投げやりになっていた脇役の研修医がチームに引き込まれ、最高峰の医療の現場に立ち会うことで医者としての腕・そして「精神」も身に付けていく展開は、「経験」こそが何よりの「成長への糧」になるのだということを示唆していて興味深い。
やっぱり経験を積まなきゃ使い物にならないよね。

小学館漫画賞「青年部門」の受賞はさらなる賞賛を呼ぶと確信しています。

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[投稿:2010-06-27 11:18:21] [修正:2010-06-27 11:18:21] [このレビューのURL]

5点 獣王星

樹先生の作品はどれも少女漫画とは言えないようなスケールの大きな作品が多くて、男性でも読みやすいことは確かなんですが・・・
どうもこの作品はスッキリしない。

人類が宇宙へと進出して幾星霜の月日が流れた時代。
政争に巻き込まれたことで両親を殺された双子の兄弟が流刑として未開の惑星に落とされるところから物語は始まる。

怪物が蔓延り、食料すらまともに無いような環境で幼い子供が生き延びることは難しく、主人公の双子の弟はすぐに死んでしまう。
家族の復讐を誓って成長する主人公だが、過酷な環境の中でやがて支持者を集めていきボスとして君臨していく。

星の最高権力者「獣王」となることが、母星の最高権力者と出会う唯一の道・・・と知っての行動だったが、隠された真実はそんな期待を裏切って・・・・・

双子の弟の死・ティズの死はやっぱり失敗だったのではないだろうか?
連載期間が中断をたびたび挟んだせいもあって、作品自体がブツ切りの印象が拭えず、滅亡は回避したものの幸せなラストとは言い難い。

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[投稿:2010-06-27 10:57:17] [修正:2010-06-27 10:57:17] [このレビューのURL]

9点 ARIA

水の惑星となった未来の火星を舞台に、
地球からゴンドラ漕ぎとなるべく1人やって来た少女の日常を描く
「AQUA(水)」の続編とも言うべき新シリーズ。

まず驚くべくは「恐ろしいまでの絵の美麗さ」。建物・空・水にそれが顕著!
イタリアのベネチアというモデルはあるものの、これほどまでに繊細な筆で、
かつてベネチアの水上都市と、そこに暮らす人々の日常を紙面上に再現することが出来た作家はいなかった!

前作「AQUA」でもその絵の美麗さは際立っていたが、新シリーズに移行して
それにさらに磨きが掛かったのがスゴイ。

まるで異国の地に足を踏み入れ、自身がそこに滞在して共に日常生活を営んだかのような
錯覚に読者を陥らせるのはあたかも「作者の振る杖で魔法に掛けられるが如し」。

ストーリーは少女の日常と時に起こる火星のイベント・不思議な生き物たちとの交流と、
争いなどとは無縁な(主に)3人の少女たちの成長物語である。

永遠に続くと思われた楽しい日々・・・・。
が、それも終わる日が必ず来る・・・・・・・。
灯里がそのことを自身の成長と共に意識したそのとき!
読者も彼女と同じ目線で「人生における出会いと別れの意味」を
読前よりも成長した心を以って受け止められることだろう。

「アリア(詠唱)流れるとき、水(アクア)満ちて、全ての人の心、優しさに包まれる」

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[投稿:2010-06-27 10:52:50] [修正:2010-06-27 10:52:50] [このレビューのURL]