「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

5点 神の雫

「ソムリエ」に次ぐワイン漫画ですね。
「酒」と言うとビールが大衆的なイメージにあるのに比して、ワインはやはり高級なイメージがあります。
昔なら「こんな漫画」はまず有り得なかったんでしょう。ワインは西洋では生活の一部ともいえる存在として人々の中に深く関わってきていたのでしょうが、日本では「贅沢な趣味」と取られても仕方なかったことでしょう。つい最近までは。

日本人の生活レヴェルが上昇して、ワインに親しむ人間が増えて、大衆的なものになってきたからこそ「この漫画」も生まれたはず。そういった背景もこの漫画の成立という点で見逃すことはできません。

「画力」に関してはSランクだと思います。後はストーリー。
ワインの道に入るのが嫌で、父親に反発してビール会社に就職した主人公。
けれど、父はすでに息子が幼い頃から「ワインの探求者」としての道を歩むべく英才教育を施していた。
その道を踏み外すことはできず、「知識は素人」ながらも感性と技術は超一流となっていた男は、父の死に際して初めて「父の意志」を継ぐことを決意する。

父の遺産といえる「ワイン」を継承するためには、ライヴァルと争わなければならないという「お約束」の対立構図も加わって、探す至高のワインは13本。
まるで「キリスト(聖人)の使徒」を探求するかのような道程は・・一滴のワインの雫を口にする度に、世界各地の至上の風景へと誘われるデジャヴ・・・・。

「ワインの良さは値段で決まるものではない」という真理は、ブランドに目が眩みがちな日本人に対する「痛烈な皮肉」と読んだ。

「真に良いものを見分ける目を持つのは難しく、持てれば百万の富に勝るもの」である、と知った。
但し・・・外国産のワインは添加物として「亜硝酸塩」を加えているものがほとんど。
決して身体にいい・・・わけはないので「無添加ワイン」が増えてほしい。

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[投稿:2010-12-18 12:01:10] [修正:2010-12-18 12:01:10] [このレビューのURL]

アトランティスをテーマに考古学を絡めた漫画として、このサイトでも高評価の「MASTERキートン」の後釜のような作品になるかと期待していた。
連載開始時には確かに。

でも完結した今では、その期待は「肩透かし」に終わったと言わざろう得ない。

「家栽の人」のヒットで知られる作者だが、絵柄で人物が「ずんぐりむっくりした印象」が強く、どうにも滑らかではない点。

そして戦闘もこなせるキートンに比して、体力的には弱い主人公はトラブルに巻き込まれるであろう展開が判っているのに、非常に弱い。

他の方も言う様にラストシーンも問題があり、上手くまとめたとは言い難い。

「キートン」とテーマは似ても比較するのは無理だった。残念。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-11 18:17:18] [修正:2010-12-11 18:17:18] [このレビューのURL]

評価するのが一番難しい漫画だ。

良い点は医療の現場に潜む「暗部」を白日の下に晒したという点。それまでは「医療漫画」と言うと、天才的な医師による痛快な活躍を描いた感動ストーリー・・・・ばっかりだったのだから。
逆に悪いのは主人公が「見習い医師」のため、広く問題提起はするのだけれど「根本的な解決策」が提示されず、結論は「それは、これからの我々が考えていかなければならないのだ・・・・・・・」(完)、で終わってしまう点だ。
確かに「現実の問題」を題材にしている以上、そんなに簡単に解決策が出るわけ無いということは百も承知なのだが。

タイトルに「ブラックジャック」を出したのは「哲学的なテーマ」を盛り込んで、光の部分も闇の部分も含めて「人間賛美を謳い上げた」手塚先生の作品に相対するという意味を持たせたかったからだと私は捉えているのだが。
ただ・・・このタイトル故に「医療漫画中では最もメジャー化」したと言えなくもないので、そこは賛否両論あるところだろう。
私はより多くの人間に対して「問題提起」を促すために役立ったのでOKと許容。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-11 18:08:09] [修正:2010-12-11 18:08:09] [このレビューのURL]

「星の瞳のシルエット」の後に連載され、りぼんでの実質の作者の最後の連載作品と言ってよいもの。

画は前作から格段に進化して見易さに加えてシャープになった印象。
心情表現も前作が乙女チックが過剰だったのに対して、今作はさほどなので読みやすい。
幼い頃に出会った男の子との再会ネタでもなく、主人公の女の子の出生にも謎はなかった。
・・・・と思ったら、出生の謎は相手の男にあった(笑)。従姉弟同士って大した謎じゃないよね?
ただ無意味なキャラもいたような。ライバルの女の子と昔ピアノ教室で出会っていたその兄貴。
ライバルの女は1人で勝手に追いかけしてただけだし、その兄貴も結局のところ話に絡んでこなかった。
後にジブリ原作の「耳をすませば」を描くことになるが、幼児化路線に巻き込まれずに済んだとはいえ、もう下り坂ですな。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-05 00:20:26] [修正:2010-12-05 00:20:26] [このレビューのURL]

現在、連載中の唯一の「ドラクエ漫画」であろうか?

少年誌から青年誌に連載が移ったこと。前作でひとつの騒動が終わり、世界に平和が訪れたこと。
などの理由から、前作と比して話のスタートが「極めて静か」な印象を受けます。
異魔神が滅びた世界に起こる異変の数々。その裏側に潜む新たなる動乱の火種を追って、前作の3人の勇者のうち「アラン」と「アステア」夫妻の息子に当たる主人公が記憶を失ったまま旅立つ。

キラとヤオの息子が2人の資質を受け継いで「戦闘熟練者(バトルマスター)」となっているというのも極めて自然な設定。

だが、話がスローペース過ぎるのと、前作ほどの吸引力がないため、
「ドラゴンクエスト」という下地と前作のファンという前提があったとしても読み続けるに辛い作品。
一応は10巻を突破したのですが・・・作品としてあまりにも盛り上がりに欠けます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-04 19:02:14] [修正:2010-12-04 19:02:14] [このレビューのURL]

ちょっとエッチな各回完結「ターザンギャグ漫画」・・・だった頃から、なぜかストーリーバトル漫画にシフトした。しかし・・・バトル漫画はジャンプでは他に山ほどあるので、この漫画までシフトする必要があったのか、今考えてもはなはだ疑問。

「ギャグ漫画」だった頃だけなら、歴代のジャンプ連載のギャグ作品と比しても上位に位置していいと思うが、総合的に見るとどうしても評価が下がってしまう。
「ストーリーバトル」で唯一、感動した描写は戦いで傷つき、意識を失うターちゃんにエテ吉が駆け寄り、「仲間たちが、待っているのだよ・・・・・」と囁いたシーン。あそこの演出は作品中、随一の見せ場だと思う。
ターちゃんには「戻るべき場所」があったのだ・・・・・・・。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-03 12:30:36] [修正:2010-12-03 12:30:36] [このレビューのURL]

まず、こちらの作品を読んだ事のない方に対して言わせていただくならば、
「動物のお医者さん」
「おたんこナース」
等の作品で知られる佐々木さんの絵は「殺人事件が起こるような作品」に対して全く似つかわしくないということ。

「絵」と「雰囲気」がミスマッチ。

さらに登場人物も「異常」。
所謂「テツ」(鉄道マニア)ばっかりとはいえ連続殺人事件が発生していながら、
呑気に鉄道談義で言い争うような人間ばかりで呆れかえる。

乗り込んだはずの列車が実は・・・・という展開と、冒頭の過去の死亡事件は主人公の過去かと思いきや・・・という展開には意外性は感じつつも、ラストは呆気なく、コミックスは上・下巻で高い!

と、原作の出来栄えは置いても「漫画化」が成功しているとは言い難い。
「並」の作品でしょう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-27 11:23:18] [修正:2010-11-27 11:23:18] [このレビューのURL]

読み切りで最初に連載された短編のコメディ調の雰囲気は少女漫画にしては珍しいくらいの男性でも読みやすい漫画。
「見得」と「他者からの羨望の眼差し」だけが生き甲斐だった雪野が有馬と出会って、恋を知り愛へとステップアップしていく過程は決して平坦な道のりではなかった。
そこに周囲の友人たちの存在が加わり、当初は敵対関係だった相手でさえも「雨が降った後には」頼れる味方になった。

連載が続いていく以上、最大の山場が「有馬の過去」であろうことは連載当初から示唆されており、避けては通れない問題だったが、やはり初期のコメディ路線は影を潜めシリアスな展開の数々は正直見てて息苦しかった。
能力や個性ではどの登場人物も優れていたという漫画も珍しいが、彼らは彼女らは皆「それ以外の大切なもの」を求め、悩み、葛藤し、激しくのたうった。いつも常に前向きな気持ちを失わなかった。だからこそ全ての登場人物が大きく成長できたのだと思う。決して能力の高さだけで手に入れた幸せではない。

最終回のラストで「ああ 面白かった。疲れた-」って言って死ぬのが夢なんだという雪野のセリフ。
手に入れた幸せも永遠のものではなく、「いつか終わりが来るもの」と意識して生きていることがよく分かった。別れを恐れない強さは多くの愛を知っている故ではないかなとも思うのです。

ただ・・・成功・成功ばかりの仲間たちの人生は読んでる側には薄っペらいと感じられるのは確かだし、前半と後半の雰囲気がまるで別物なので初期の作風に惚れた多くの人をガッカリさせたことは否めまい。

津田先生は「長編」より「短編」のほうが上手い方ですね。
長編になると「初連載」というハンデを除いても「風呂敷を上手くたため切れていない」。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-11-18 23:51:57] [修正:2010-11-18 23:51:57] [このレビューのURL]

この漫画の掲載雑誌「LaLa」は少女漫画雑誌にしてはちょっとクセのある、所謂普通の男女の恋愛が主題ではないSFや伝奇などを絡めた、男性でも読みやすくてしかも面白いという漫画が多かったのだが、これはその連載陣にあって1番普通の漫画である。

とにかく絵柄から見ても、「爽やか系純愛路線」であることは分かり、ドロドロや嫉妬などはおよそ似合わない天然系のキャラたちによって物語は紡がれていくのだが、「それ故」の欠点も同時に存在していて、なかなか大ヒットには現在に至るまで繋がっていない。
確かに特徴の薄い漫画だから、起爆する要素に乏しい。
新しい作品をスタートさせて、舞台を変化させても作風は変わらないわけだし・・・。
それと、この「絵柄」で男女の肉体関係を描写なんかしても、まるで
「小学生同士でセックスしたような」
有り得なさ感が広がるだけです。止めたほうがいい。

ただ、この作品は一応10巻を超えるほどに連載が続いたので「なかじ作品」の中では1番のヒットと言ってよかろう。
でも、それでも「普通」の評価は変わらず・・・・。
絵柄が見やすいくらいしか誉めるところはなく、と言って「どこが特筆して悪い」ってわけでもない・・・
っていう何とも歯切れの悪くなってしまう漫画。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-12 20:37:18] [修正:2010-09-12 20:37:18] [このレビューのURL]

サンデーで連載してた地味なバスケ漫画。

小さな主人公が名門バスケ部に入部して、徐々に活躍していく・・・という、確かにサンデーで連載してた「健太やります!」と設定でも画の雰囲気においても類似点を多く感じさせられる作品。

バスケ漫画は「SLAM DANK」を頂点として、「ディアーボーイズ」が追撃して、「ハーレム・ビート」、そして新鋭の「あひるの空」辺りが続く・・・っていうような勢力地図になっている印象あり。
サンデーは「ダッシュ勝平!」なんていう古典もあるんだが・・・この作品共々、大ヒットを出したとは言えないジャンルになってしまいます。

この作品は全11巻という「小ヒット」で終わってしまった辺り、やや「小粒にまとまり過ぎ」の印象は間違いではないでしょう。画の見やすさなんか結構お気に入りだったんですが、「起爆する要素」が足りなさ過ぎた作品ではなかったかと思います。残念。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-12 20:27:05] [修正:2010-09-12 20:27:05] [このレビューのURL]