「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

5点 蟲師

「蟲」という超自然的な存在と、人とが関わることで起こる不可思議な事件の数々。
「蟲師」という蟲と人との所謂「トラブル解決屋」である男・ギンコの視点から語られる
物語を描く。

時代設定は不明です。舞台は大抵「山中」だったり「海辺」だったりします。
が、文明の利器など全く出てこないため正式な特定は出来ません。
語り部であるところのギンコがかろうじて洋装をしていることから、
(おそらくは)明治以降の日本であるだろうことが推察できるくらいです。

蟲という古来から日本に住む精霊とも妖精とも言えるような存在。
彼等はときに人間に寄生というか、人間の生活圏に入ってくることで
様々な問題を引き起こすことがある・・・・。

それは大抵「不幸なこと」であるので、蟲師と呼ばれる蟲について精通している
プロが問題解決に乗り出すのである。

ほぼ事件絡みの物語ですが、意外なほどに「淡々とした雰囲気」で
物語は進んでいきます。

まるで「昔話」や「童話」を読み終えたような、読後に独特の満足感に
包まれる他に類を見ない作品ではあります。

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[投稿:2010-09-12 20:12:43] [修正:2012-01-03 10:03:10] [このレビューのURL]

5点 ライフ

イジメを題材にした、そんじょそこいらのホラーなんかよりもよっぽど恐ろしい作品。
主人公の年頃の女の子が恐怖で失禁(おもらし)してしまうような展開は少女漫画として通常は有り得ない。

とにかく異様。常に自分が1番可愛がられていないと満足しない安西愛美を中心とする女子一派によるイジメの数々は「そこまで出来るもんかッ?」ていうくらいの激しさで主人公の少女・歩を心身ともに追い詰めていく。集団でたった1人をいたぶるという構図はまるで「麻薬のように」加害者である少女たちを快感に酔わせ、顔を歪ませ、そして狂わせていく。

舞台は御伽話の世界ではない。主人公は特殊な能力を持っているわけでもなく、ましてや伝説の勇者でも有り得ない。力は弱く、成績も下位、失意の内に入学した高校で「仲間外れにされること」に怯え、周囲の顔色を窺って生きてきた一般人。只の、そう、おそらくはどこにでもいるような「弱い女子高生」でしかない。

その彼女が立ち向かわなければならない敵は、現実世界に存在していた。
これは勇者でも英雄でもない女の子が、現実世界で最も恐ろしい敵に立ち向かうお話なのだ。
誤解と愛美の策略によって周囲の全てが「敵」に回る絶望的な環境の中では、自分が一人ぼっちになったような感覚に陥る。
けれど、本当にそうか?多数の人間が存在し、それらの人々のひとりひとりが別の人格を持ち、違う親から生まれ、異なる環境で生育されてきているというのに、その全ての人間が考えなく「暴虐に手を貸し、非道を看過するものなのか?」

「否」。

集団は多数になればなるほど統率することが困難になる。本来ならばクラスの「異分子」として扱われ、友情など育むことはなかったであろう羽鳥が歩の最も力強い味方となる。
最初は彼女の強さに憧れているだけだった歩が、彼女の強さに惹かれていくうちに「あらゆる困難に立ち向かう戦士の顔つき」になっていく様はたとえて言うならば「暗雲を切り裂く一筋の雷光」のようだ。

人は困難に出遭ったときに革命的に変わることがあるという。
歩の手首に残るリストカットの傷跡を「恥」と思わずにさらけ出せる日もそう遠いことではあるまい。

「茨の道を切り裂く女戦士の物語」です。

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[投稿:2010-11-27 14:20:38] [修正:2012-01-03 09:25:22] [このレビューのURL]

掲載雑誌「りぼん」が幼児化していくのに水沢めぐみ先生と並んで吉住渉先生にも罪があった。
それが「この作品」から見え始めて、「ミントな僕ら」では完全に幼児化。
アニメ化もされたりした点で大衆受けを気にするようになってしまったのだろうか?
「ハンサムな彼女」と同じ作者とは思えない。

原作では最初、主人公カップルはラストで別れることになっていたのを(兄妹だったことが理由で)作者自身がコミックスの巻末で告白したが、なにか「編集に話したら反対されたのでやっぱり止めた」ラストはお決まりのカップル同士でめでたしめでたし・・・・って、それじゃ「ただの御都合漫画」じゃん。
自分の意思を曲げてしまった作品がたとえ高評価を得たとしてもそれはもう何の意味も持たない。

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[投稿:2010-12-04 09:38:43] [修正:2012-01-03 09:24:07] [このレビューのURL]

数少ない「剣道漫画」の中でも「女子剣道部」に特化した作品として他と差別化を図っている・・・のかどうか全く判らない(笑)作品。
ただ、オリジナリティは十分出てる。

普通なら「女子」・・・というところで「萌え狙い」か?なんていうような穿った物の見方をしてしまうのだが、
この漫画に限っては「それはないッ!」と断言してよさそうだ。
なにせ「作画担当の画力がおせじにも高いと言えるレヴェルではない」からだ。
この絵じゃ、画力に頼って売ることは出来まい。同人作家のほうが上手い人がいる。
「萌え」云々という話になるには、作者の画力のみが突出して高いことが必須だと分かった。
よって、この漫画には「当て嵌まらない」。

剣道部なんだが、肝心の試合の描写には「駆け引き」や「戦略」はない。勢いのみで決着が付く。
ホントはすぐに終わるはずだったのだが、人気が出たらしく原作者曰く「もう少し続けなければならなくなった」とのこと。
「けいおん!」の剣道部バージョンとも言えるか?

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[投稿:2010-12-04 18:38:06] [修正:2012-01-03 09:23:09] [このレビューのURL]

明治初期に幕末の京都で伝説の人斬りとして名を馳せた「緋村抜刀斎」を中心とした新時代になっても続く事件の顛末記。

フィクションだから幕末を舞台にしてしまうと描くのが逆に難しくなってしまうから・・・という理由で
新時代の「明治」を舞台に持ってきた。だから架空の事件をバンバン起こせるし、入れられる。

主人公の過去の人斬りとして倒幕派に加担していたという因縁があちこちで事件の呼び水になるという大まかな話の流れです。
新撰組の生き残り3番隊組長・斉藤一が登場したりと幕末ファンを多く取り込んだと思われます。
但し、2番隊組長・永倉新八は作者本人も登場させたいと言っていたにも関わらず未登場に終わりました。

連載当時に流行していた「エヴァンゲリオン」を作中でキャラのモチーフに何度も使うなど、
作者に初連載作品として「経験の少なさ」「余裕のなさ」を露呈しているかのような箇所が多々見受けられます。

「人誅編」はとにかく暗い話で、薫を殺したような描写を出しておきながら、
「結局は生きていました」で終えてしまったのは作品としての限界でしょうか。

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[投稿:2011-04-17 21:08:29] [修正:2011-04-17 21:08:29] [このレビューのURL]

「放浪息子」「青い花」の連載で知られる志村貴子氏の短編集。
「放浪息子」の初期とも言える2004年頃から2009年にかけての漫画になりますので、作品ごとの絵の変化が見て取れます。

彼女の行間を読ませるというか、全てを語らないという手法は「短編」よりも「長編」でこそ発揮されるような気がします。
だから、一編一編はあまり記憶に残らない出来栄えかも。

最近の著書の巻末の後書きに「スケバン風女の子」が度々登場していることから、
次回作でテーマにしようと考えているのかもしれませんね。
要チェック!です。

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[投稿:2011-02-13 20:07:26] [修正:2011-02-13 20:07:26] [このレビューのURL]

20世紀初頭の欧州が舞台。アパートの大家さんをしている少女「ジゼル・アラン」。
お嬢様育ちの彼女が気まぐれで始めた「何でも屋」。
探偵ごっこ・・・・かと周囲の住人は困惑するも、意外や意外で事件は起こり、依頼人はある・・・・。
住人で家賃滞納者のエリックを相棒にして、少女の一風も二風も変わった日々を綴る。

森先生のエマと時代は近く、絵柄も似ていますね。
こちらのほうがより細かい感じはしますが。
キャラもまだ顔見せに近い状態で、背景もよく判りません。
あくまで「今後に期待」という段階。

長期連載出来るのかどうか?この1冊だけで判断するのは難しいですね。
とりあえず、一応「第1巻」と帯にありますので。
2巻以降に「乞う、ご期待!」ですね。

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[投稿:2010-12-18 12:45:18] [修正:2011-01-17 21:48:33] [このレビューのURL]

冴えないように見えながらも犯人検挙率ナンバーワンの刑事と暴力団の若頭の男。
実はこの2人は幼馴染。自らの恩師を殺害した事件を隠蔽した警察組織の男に裁きの鉄槌を下すため、
協力して犯人を追っていた・・・・・。
そう・・奴等は復讐に燃える「二匹の龍」(ウロボロス)だったのだ・・・・。

最近では珍しい刑事ものの漫画です。昔はよくあったと思う題材ですが、最近は流行らないのか
パッタリと見掛けなくなりましたね。
絵は綺麗で確かに見やすいです。ですが、「謎解き」を主題にしているわけではなく、
理不尽な犯罪を起こすものたちに裁きを下す内容の為、有無を言わずに「撃ち殺す」率高し!

そのため、コミックスがすぐに読み終えてしまえます。
内容があまり感じられず、復讐しても「爽快感」もない。
掲載誌の作品中では読めるほうではあるんでしょうが・・・イマイチ。

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[投稿:2011-01-08 18:52:37] [修正:2011-01-08 18:52:37] [このレビューのURL]

とにかく巻数が多すぎるため、初期と中盤さらには後半ではキャラは同じでも雰囲気は大きく異なる。

部長・麗子・中川も初期のほうが結構無茶をやっていた。
ピークは100巻達成したところだろう。

100巻突破したら急に絵が雑になるわ、キャラの性格がおかしくなるわで作品としての評価が急落した。

私もコミックスは100巻以降は買っていない。
100巻で終了していれば9点。続けたため結局のところ評価を下げただけなのは非常に残念。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-31 13:27:47] [修正:2010-12-31 13:27:47] [このレビューのURL]

理由不明でモーニング連載からライバル雑誌に移籍して仕切り直しの「ブラック・ジャックによろしく」。

「新」が付いても、相変わらず斉藤クンは理想と現実のギャップに苦しんでいる。
新シリーズでは初っ端から私生活でも恋人の看護婦と「結婚」を意識させられつつも、どうにも煮え切らない態度しか取れない。
医師としても半人前の彼は、まだ夫となって1人の女性を幸せにしていく覚悟も、ましてや父親となるような覚悟も持てていない。

「理想」と「現実」とのギャップを意識して、その隙間を埋めきれずに苦しむ・・・なんてことは誰しもにあることで、別に斉藤クンに限ったことでは当然ないのだけれど、この漫画は「医療の最前線」が舞台なため、より雰囲気が重苦しくなる。
病状についての説明も淡々としており、逆にそれが恐ろしい。
読んでいる自分もその病気に身体を知らないうちに蝕まれているのではないか・・・?などという被害妄想がついつい働いてしまう。
「忍び寄るホラー漫画」と仇名したい。
ただ・・「絵」が下手になった・・・・・・普通は上手くなっていくのに・・。なぜ・・・・?

「爽快感」とは程遠い作風は読者にも作者にも「逃れ切れない現実の悲惨」を付き付ける。

くれぐれも「一刀両断易し」と思うなかれ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-18 12:39:25] [修正:2010-12-18 12:39:25] [このレビューのURL]