「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

5点 輝夜姫

「少女マンガ」という枠を超えた非常にスケールの大きなSF大作・・・になるはずだった無念の作品。

幼い頃、竹薮に埋められていたところを救出され息を吹き返した少女・晶。
長じてその美貌は周囲の注目(特に同級生女子の)を集めるようになっていた・・・。
捨て子だった彼女が引き取られた養子先で、義理の母親の実子である少女・まゆは彼女に異常なまでの執着心を燃やしていた。
そんな彼女の家にある日二人組みの少年が忍び込んだことを発端として判明する自身の出生の秘密。
そこには「かぐや姫伝説」にまつわる世界規模の陰謀が隠されていたのだが・・・・・・。

この作品最初から晶とまゆの関係に象徴されるような「少女同士の愛情」を強調された作風だった。
作者自身も5巻で「ボーイズラブが流行っている世間の風潮に対抗して描いた」とコメントしていた。

それなのに中盤から「サットンとミラーの男同士のボーイズラブ」がやたらと強調されるようになったのは
納得がいかない。作者が自分で言っていたことを自分自身で覆すとは!

しかも晶の相手役と思われた「由」とは結局のところ結ばれず、かと言ってまゆと結ばれるわけでもなく、
何と当初は本命でも何でもなかった「ミラー」と結ばれるという展開が訳分からない。

クローン人間・遺伝子・ウイルスなどの最先端の技術を反映した展開の数々は確かに
「少女マンガの枠組み」を大きく超えた男性でも楽しめそうな作品ではあったのだ。
絵も「画集」が発売されるくらいに美麗。

が、謎が結局のところ未解決のまま「放置状態」になってしまい終幕するなど、
広げた風呂敷を上手く畳み切れていない部分が多々見受けられます。

全27巻にも及ぶ長編となりながら、最終的には手放しで「名作!」と呼べるような作品には全然なっておりません。
作家としての実力のある方だとは分かっています。
が、この作品に限っては「大風呂敷を広げすぎて収集が付かなくなった」と言わざろう得ない。
スゲー残念です。

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[投稿:2010-07-25 08:08:58] [修正:2010-07-25 08:08:58] [このレビューのURL]

高校の野球部に只一人「女子部員」として所属する都沢さんの日常を綴る。
漫画専門誌や書評で高い評価を受けていたので読んでみました。

が、連続したストーリー漫画というよりは都沢さんの日常風景を毎回5ページ前後で描写したものだった!
という点で大きく肩透かしを食らい、裏切られもしたという作品です。(良くも悪くも)

男子の集団の中で女子が一人・・・ってだけで、さぞかし周囲の男子部員を惑わしているんだろうな・・・
なんていう予想も付きますが、ある意味その通りでもある訳です。

女子は公式戦には出場できないので、そういう意味では葛藤がイロイロとありそうなんですが、
ボーイッシュな雰囲気のザワさんにはイマイチそんな空気は感じられない。

かつては男子ではなく女子野球もあったはずの日本でしたが、いつの間にか姿を消して「男の独壇場」となりました。
が、近年になってようやく女子野球が復活しそうな気配。女子プロリーグも前途多難でありながらも船出しました。

この漫画だってそういう風潮あっての作品だと思います。
野球漫画。これから先は女子が主役となるか!

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[投稿:2010-07-25 08:06:37] [修正:2010-07-25 08:06:37] [このレビューのURL]

作品は「これ」のみの一発屋だが・・・・そこには事情があったようだ。

連載終了の頃に作者の知り合いが「もう漫画は描かないのか?」と聞いたところ、
「編集のほうからの注文が多く、描きたいモノが描けなくなったので、もう漫画家はやめる方向で話を進めている」と返答があったそうです。あれから十数年、確かに新作をお見かけする事はないようです。

とにかく「悪」を倒す「正義」のヒーローのはずが、馬鹿馬鹿しいまでの展開の数々。
読者に伝わるであろう「テーマ」や「主張」などは皆無と言ってよく、逆に言えば「そんなもの考える必要性すらなく(笑)笑い飛ばしてしまえる」ある意味「正しいギャグ漫画」だったかと思います。
全6巻はちょっと短すぎだが、ギャグ漫画は時間の経過でギャグが風化するなど賞味期限が早いので「止め時」であったかもとも思う。タイトルにしても内容にしても少年誌で連載し続けるには無理のあるギリギリラインの作品だったし。
ただ・・・ラストがちょっと納得がいきませんね。もう二度と再開は無いだけに余計にそう思います。

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[投稿:2010-07-25 07:58:16] [修正:2010-07-25 07:58:16] [このレビューのURL]

事実上、「史実無視」したと言って過言でない「異色の織田信長漫画」。

て言うかこんなのを「織田信長」漫画と呼ぶことさえ間違いのような気もしてきた。
信長がヤンキーの頭というか、猿山のボス猿になっております。

美濃攻めで、斉藤龍興の軍師に迎えられた「竹中半兵衛」が女中を集めて訓練を施し、重臣たちの前でその力量を示すというシーンがありましたが、これ孫子かなんかの兵法書にあることを「そのまんま」盗用していますよ。女中たちは最初、指揮官を馬鹿にして訓練を施しても言う事を聞かない。指揮官は最初は「言う事を聞かないのは、自分の教え方が悪いせいだ」と言って、自分自身に刑罰を与えさせる。
そして再度、今回は前回以上に優しく丁寧かつ判り易く女中たちに教え諭す。しかし、女中たちは相変わらず指揮官の言う事を馬鹿にして聞かない。すると、指揮官は「最初は自分の非だが、今度は私が出した指示を正しく伝達し、皆を従わせない(女中たちの中から選んだ)リーダーに非があるとして、リーダーを成敗した。
恐れおののいた女中たちは真剣な態度で指揮官の指示を受け、並の兵士以上に乱れのない行動を見せたという・・・。
で、それを見た斎藤家一堂は「半兵衛、スゴイ、スゴイ」(笑)状態になるのですが、中国のどこかの国であったという出来事が紹介されているその話をそのまま流用してはマズイでしょうに。

「本能寺の変」の理由自体は現在まで謎の部分が多く、真相は(なぜ、取り立ててくれた恩人の信長を襲ったのか?)闇の中なので「新説」を出しても文句を言われる筋合いは無いのかもしれませんが(ちなみに自分は信長に対する「怨恨」でも天下取りへの「野心」でもなく、朝廷(正親町天皇)が裏で糸を引いていたのではないか・・と考えております。本能寺の変の直後に朝廷に多額の献金をした光秀に「征夷大将軍」の地位が授けられているということからも)、理由が唐突すぎますね・・・。光秀が後継者って・・・確かに本能寺の変の直前は信長の「秘書」的な地位にいたし、織田家中でも古参の柴田勝家を追い抜いて秀吉と並んでトップだったかもしれませんが・・・所詮「秀才型」の光秀は(本能寺の変が起こらずとも)いずれは「天才型」の秀吉に敗れたのではないかな。

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[投稿:2010-07-25 07:57:02] [修正:2010-07-25 07:57:02] [このレビューのURL]

設定がぶっ飛び過ぎ。高校生の女子と小学生の男子が真剣に恋愛するなんて。
はっきり言って優れているのは画力だけだと思います。

前に何かの本で読んだのだが、女性は若いときは年上の男性に対して恋愛感情を抱く傾向が強く、自分よりも年下の男性に対してはある程度の年齢を経ないと興味がいきにくいとか。
確かにそういう傾向はあるんじゃないかなとも思ったものだ。

・・・・とするとこの漫画の存在は、その傾向に逆らった「超例外的恋愛」を描いたものということになる。
どおりで感情移入もしにくいし、のめり込みにくいわけだ。
「20歳と27歳。18歳と11歳。同じ7歳差で前者のカップルがありなら、後者もありでしょ?」
と作者は言いたいのだろうか。

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[投稿:2010-07-25 07:55:49] [修正:2010-07-25 07:55:49] [このレビューのURL]

ゴーレムと呼ばれる人型戦闘兵器が各国間の戦力を決める世界。
突如、戦端を切り開かれた2国間の争いと遺跡から発掘された古代文明の現代とは異なるゴーレム。
そして、それに纏わる人間模様。

主人公はこの世界の基本となる能力が使えない言わば「異端」と後ろ指差される存在。
だが、その主人公しか使えない「超兵器」の存在が戦局を左右するようになる。

各個人間の思惑や感情など吹き飛ばす現実の戦い。
友人同士家族同士ですら否応なく敵対関係とならねばならない。

主人公はそもそも「軍人」ではなかった。
だからまだまだ全くの素人だし、戦いに関する心構えも決められてはいない。
当然に甘さがある。それが今後の展開でさらなる死者を出す引き金になるような気もします。

「戦記もの」と分類してもいいのかもしれませんが、
一戦・一戦の戦闘の戦略および戦術がイマイチ読者側に判りません。
結局のところ、ゴーレムの大暴れで毎回毎回収集が着いたような着かないような・・・という展開。

絵も人物描写は上手いのですが、兵器関連はラフ画に近い印象がします。

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[投稿:2010-07-25 07:50:25] [修正:2010-07-25 07:50:25] [このレビューのURL]

後期手塚作品の大傑作。他の長編作品より短いが、メッセージ性の強い作品に仕上がっている。

ドイツの独裁者「アドルフ・ヒトラー」は実はユダヤ人だったという推論を採用し、同じ「アドルフ」の名を持つ2人の少年が辿った運命をさらに「第三者」の視点から語らせる。
ナチスの行った「ホロコースト」は断罪されねばならないと思うが、いかに「善良だった一少年」がそれに加担させられていくのかが分かる。誤った人間の謝った洗脳がいかに多くの悲劇を生み出したのか、いかに多くの犠牲と破壊を生み出したのか、これは虚構の世界の中ながら「現実に歴史として残っている事実」だと思う。

ヒトラーが現実にユダヤ人の血を引いていたという可能性は限りなくゼロに近いそうだが、別にヒトラーは近親相姦による出生だったという説があるそうだ。ヒトラーの兄弟は皆早死にし、戦後まで生き残った妹には障害があった。このことから、ヒトラー自身も近親相姦による影響があったのではないか・・・とする説だ。

ヒトラーはさて置いても、友情を引き裂かれた2人の「アドルフ」の姿が痛ましい。

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[投稿:2010-07-25 07:46:25] [修正:2010-07-25 07:46:25] [このレビューのURL]

どう良く見ようとしても「金田一の二番煎じ」でしょう。

イヤ、下手したら「それ以下」かもしれません。
いくらなんでも「絵」が変わらなさ過ぎですよ。
登場人物が全員「金田一」のほうに出ていたとしても「何の違和感もない」ことでしょう。

タイトルと舞台設定変えただけってこと・・・?
しかも、一度連載を終えているはずなのに、度々「金田一と交代で復活する」っていうのは、何なんでしょうね?

だったら「連載止める必要ないじゃないですか」。
性懲りもなく、過去の遺産(私に言わせれば明らかに「負の遺産」だが・・・)にすがろうとするマガジン編集部の「厚顔無恥な姿勢」共々、最悪評価させていただきます。

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[投稿:2010-07-17 23:36:18] [修正:2010-07-17 23:36:18] [このレビューのURL]

「うしおととら」と「鬼太郎」を別格としたら、妖怪もの漫画で一応のヒット作を出した・・・・という点は評価されていいはずです。

「学園もの」で主人公が先生。脇を生徒たちが固める・・・という点か、様々なお話のヴァリエーションを生み出しやすかったという「成功の要因」。

ただ・・・基本的に低学年?中学年向けのはずなのに、やたら「お色気」の描写が多かったり、結構気持ちの悪い描写もあったりしているところはどうなんでしょうか?

私の個人的な評価だと「普通」辺りに落ち着いてしまいます。

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[投稿:2010-07-17 23:34:32] [修正:2010-07-17 23:34:32] [このレビューのURL]

吉田秋生先生の「BANANA FISH」のアッシュと英二の2人が「東京BABYLON」をやる話(笑)
シャーマンとして類まれなる素質を持つも心の中に闇を抱える闇己と、一見善良なだけで何の力も無いようで周囲の人間を和ませる健。この2人を中心にして時折、2人の前世に当たる古代編を挿入して綴られていくストーリーは現代の暗部をも浮き彫りにしていく。
少女漫画ながら恋愛の要素は薄く、あくまで男2人を中心に話が展開していくのは異色。
ただ・・闇己がラストで健の甥っ子に生まれ変わりましたって・・・両親はどうすりゃいいのよ。(笑)

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[投稿:2010-07-17 23:01:56] [修正:2010-07-17 23:01:56] [このレビューのURL]