「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

水沢先生のメジャー化成功作品であると共に、凋落のスタートともなった作品。
アイテムを使って魔法世界になる・・・という設定自体は全く目新しくなどないのだが、この作品以前の作品がシリアス路線だっただけにギャップで驚かされた。それ以前の作品よりも小さい子供を読者に意識したのだと思う。ぬいぐるみのライオンが喋ったり、目覚まし時計が話したり、好きな男の追っかけをしているライバルの騒がしい女の子が出てきたりと「お約束」な要素がふんだんに散りばめられてアニメ化もされての大ヒット・・・・にはなった。確かに。しかしこの作品のコメディ調の雰囲気が今後に連載していく他作品にまで及んでしまうとは誰が思ったことだろう。絵柄も明らかに丸っこくなった。何よりも話の展開が「アホらしくなった」ことが大問題。そういう作品が掲載誌「りぼん」の看板だと必然的に雑誌自体も幼稚化していくことになった。
水沢先生の作品は「これ」しか知らないという人も多いことだろう。この作品よりも前の作品と、後の作品とでは全く路線が違ってきていることは続けて読んでいた方には一目瞭然だ。
「りぼん」を幼稚な雑誌に貶めたという点においては先生はA級戦犯です。

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[投稿:2010-07-17 22:59:14] [修正:2010-07-17 22:59:14] [このレビューのURL]

5点 ブッダ

「火の鳥」「アトム」「ブラックジャック」等と並ぶ手塚先生の代表的長編作品。

所謂「釈迦の生涯」を描いた作品です。
つまり・・・世界三大宗教のひとつ「仏教」がメインとして登場するわけです。

現在のネパールに王族として生を受け、何不自由のない生活を約束されていた聡明な王子が「社会の矛盾」「貧富の差」「身分差別」等の現代社会でも問題として挙がる現実を知って、人々の真の救いとなるべく、教えを探求すべく旅立つ一代叙事詩。

スケールの大きさ・テーマは流石の「手塚作品」なんだけれど・・・・この作品は厄介なことに「宗教」という普段の私に縁遠いものを主題としているためか、あまりにも独特で、登場人物の運命が悲惨な末路の者も多いため「とにかく読みにくい」のである。

作品としての完成度・フィクションとノンフィクションを絡めて描く仏陀の生涯・脇を固める登場人物たちの運命の流転・・・・等のドラマの構成は骨太で、手塚先生の実力の程はイヤというくらいに知れますが、やっぱり上記の他作品と比して読み辛い「独特の雰囲気」があることを否定できません。

よって私は「普通」評ですが、図書館に置いてあって何の不思議も無い「名作」であることもまた「間違いの無いところ」だと思います。

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[投稿:2010-07-17 22:55:39] [修正:2010-07-17 22:55:39] [このレビューのURL]

8点 砂時計

まず「タイトル」がいいと思う。
「砂時計」。
「現在」「過去」そして「未来」の時間の移ろいを象徴する作品のキーワード。

全10巻(それも本編は8巻までで、残りの2巻は番外編。)で主人公が「小学生」から「1児の母親」となるまでを描いているため、時間の経過がスゲー早いんです。
両親の離婚を切っ掛けに母親の実家である島根に戻ってきた杏が好きになったのが近所の「大吾」。
相思相愛かと思われた2人の関係も、杏の母親の自殺が常に杏の心にのしかかってくることでギクシャクし始める。

自分が大吾の重荷になる・・・と思い、別れを選んだ杏。
時の流れと共に多くの恋を経験するも、どうしても大吾の事が杏の心の奥底からは離れず、いずれも破局を迎える。
(中には婚約までいったものもあった)

友人・肉親・知人、周囲の多くの人たちが「それぞれの幸せ」を見つけていく中で、未だに自分の幸せを見つけることが出来ずに
「人生という大海原を漂流するかのようにして生きる杏」。

流れてしまった時間を取り戻すことは叶わず、後悔は日々増えていくのだけれど、それでも「何かを期待して」今日も踏み出す一歩。

過去の後悔も過ちも、全ては今の自分を作っている分子だとそれぞれが理解できるようになったとき、
読者も全ての登場人物をいとおしいと思えるようになる。

そんな作品。

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[投稿:2010-07-16 06:37:01] [修正:2010-07-16 06:37:01] [このレビューのURL]

「とんちんかん」とは全く別ジャンルで一応成功作と言えると思います。
ただ絵が稚拙というか、「とんちんかん」はギャグなので下手でもさほど気にならないのですが、シリアスな話だと話の真剣さと絵のギャップが酷いと感じてしまう。作者自身もその点は気にしていたのか文庫版では昔の絵を加筆修正していましたね。
好きな話は「老人たちの反乱」「砂漠のナイチンゲール」「娘泥棒」「兄弟のキックオフ」「コンクリートジャングル」など。後半のほうがいい話が多かった。最終話の「死神失格」もあわや消滅かというところで、死神くんを理解する上司から弁護が入ったのも良かった。月刊誌連載だったからこそそれなりの質で描けたのかも。これが週刊誌だったら連載自体続かなかった作品と思う。
続編を描くなら「とんちんかん」よりはこちらですね。

作者が読者受けを気にしすぎているのも、読者の側から見たらちょっと興ざめする原因。

作中である意味、連載漫画の恒例行事とも言うべき「キャラ人気投票」は行われなかったが、その代わりに「話自体の人気投票」が実施された。

コミックスによると、ネタに詰まった作者が「一体、どんな話が読者受けするのか知りたい」という目的の本に実施されたようだ。
作者&編集の予想を上回る数の投票があった・・・こと自体は企画自体の成功・・・と言えるのかもしれないが、その内情をわざわざコミックスで読者側に暴露せんでもなあ・・・。
「単に作者の都合か」と知ったら、少なからず落胆する人はいると思う。

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[投稿:2010-07-16 06:35:36] [修正:2010-07-16 06:35:36] [このレビューのURL]

ジブリのアニメ版の原作だが・・・・宮崎さんも言っていたが「連載作品としては中途半端」。
話も映画とは全然違う。映画も特別起伏のある話では無かったが、こちらは雫が幼すぎる上に映画よりもさらに「何もない」・・。
だから実質、打ち切り扱いだし宮崎さんが拾ってくれなかったら、誰も知らないまま歴史の片隅に埋もれていった作品だと思う。
あおい先生は絵は上手いのだが、話の作り方がイマイチで総合的には並・もしくはそれ以下になってしまうのは惜しい。
続編が短編として後に描かれたのだが、それだって映画化が無かったら有り得なかったことだ。
もっとも、宮崎アニメの大ファンというあおい先生にしてみれば「棚からボタ餅」どころの話ではなかっただろう。
何度も言うが、映画化されてなければとっくの昔に絶版作品だと思う。

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[投稿:2010-07-16 06:34:05] [修正:2010-07-16 06:34:05] [このレビューのURL]

マガジンは野球漫画を2本も連載させています。
「同じ題材」をわざわざひとつの雑誌でかぶらせる必要は・・・ないでしょ。

こちらは明らかに「巨人の星」の知名度を利用した売名・・とまでは言わないが、「話題作りだけ」のように思う。事実、そんなニオイがプンプンする作風だし。

連載開始時にヤフーのトップページに度々大きく「ニュース扱い」で登場したことを考えれば、確かに初動の狙いは成功と言えるかもしれないが・・・所詮、実力が伴わなければ「竜頭蛇尾」が関の山。

にしても・・・・・随分と大きな「竜の頭」を用意したものだよな・・・。

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[投稿:2010-07-16 06:32:35] [修正:2010-07-16 06:32:35] [このレビューのURL]

「250万の乙女の恋の教科書」なんてアオリが連載当時あったような気がします。
勿論、そこまでの作品ではありません。絵は中学生編は描きなれていない印象を受けましたが、高校生編に入ったら随分と安定するようになりました。
作者の初連載作品ということでストーリーも上手く消化しきれていない印象。
中学時代に香澄に告白した男が最後の最後でオマケみたいに登場したのには笑った。
真理子が日野と簡単にくっ付いてあれほど続いた問題がアッサリ解決って・・・・・。
そもそも久住がちゃんと香澄に最初から(昔、会った男だって)言っていたら、問題自体無かったはずだが。
中学時代は特に「乙女チック」路線が強すぎて読み辛いです。中学校の体育祭での香澄の久住に対する心情描写にそれが顕著。
高校に入ったら「年齢相応に」なって流石に乙女チック表現は抑えられましたが。

作者もわりかし早く「りぼん」を去りましたが、雑誌自体の幼児化の波を受けなかったのは幸いだったかも。

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[投稿:2010-07-16 06:31:05] [修正:2010-07-16 06:31:05] [このレビューのURL]

ダメです。何と言っても敷居が高くなって理解出来ない。
麻雀のルールを知らないと何が面白いのかさえ判断出来ない。

シリーズの流れからして「ある程度以上」は面白いのかもしれません。
ただ、「黙示録」からずっと分かり易いギャンブルだったのがだんだんと複雑化して・・・とうとう読者からも脱落者が出ました。毎回毎回、楽に大勝できるわけがないのに周囲の馬鹿の妄想を真に受けて「借金地獄」の門を叩くカイジには・・・学習能力が欠落しているのかと疑いたくなります。まだ続けるんですか?

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[投稿:2010-07-16 06:26:44] [修正:2010-07-16 06:26:44] [このレビューのURL]

前作の最後で会長に大敗北を喫し、耳と指を失ったカイジ。耳と指はくっ付いたものの、借金の額はさらに膨らみ、とうとう金融組織の手に落ちて(・・・つうか、自分から捕まりにいった・・・)、地下の強制収容所にて強制労働の日々となります。
期間は15年以上。劣悪な衛生環境とキツイ労働は死を招き、倒れていく亡者仲間を見て脱出のためにギャンブル勝負に身を投じていくのですが、プチ権力者の「班長」のイカサマでさらなる底辺に追い込まれてしまう。その班長のイカサマを逆手に取っての「大逆襲作戦」が前半。
そして・・・1人脱出してから自分と仲間たちの借金を完済するために裏カジノで「沼」と呼ばれる高額パチンコ台を攻略するのが後半です。

前半の「チンチロ」はまだ何とか読めましたが・・・・後半はかなりテンポが悪くなったという印象。
パチンコで引っ張りすぎです。後、これは自分がパチンコをやらないせいというのもありますが、ルールが良く判らなくなったのが楽しめなかった一番の原因。「黙示録」のジャンケンは誰でも理解出来たのが素晴らしかったのですがね・・・・。
あれだけの大勝をしながら、手に入れたのは「自由」のみ。お金はカイジの元には全く残らず・・・・で、最後には敵であるはずの金融機関の「手下の男」からも情けを掛けられる始末。ホント「大物」なのか「根本的にダメ人間」なのか判断に困る男ですね。

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[投稿:2010-07-16 06:25:06] [修正:2010-07-16 06:25:06] [このレビューのURL]

ガンガン草創期から「ロト紋」「パプア」「ハーメルン」とこれで4大看板だった・・・と思うのですが、完結は一番最後まで残りました。

それというのも、展開が遅いのと毎号のページ数の少なさに原因があると思うのです。
一応、魔王を勇者が討伐するというRPG漫画の形式は取っていますが、そこに今までの「勇者もの」では有り得なかった「強烈な(奇妙キテレツな?)キャラ」を多数配置しての笑いを入れた何とも奇妙な間が魅力の漫画になった。

連載を続けていくにつれて、最初はこなれていなかった画も上手くなっていったものの、画が丸っこくなった影響で主役キャラが幼児化した。
ギャグも前半のほうが好きなので、バランスの悪さも気になる。
最初はキャラにも魔法にも「レベル」があったはずだが・・・・最終的には「無視」ですか・・・。

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[投稿:2010-07-16 06:23:12] [修正:2010-07-16 06:23:12] [このレビューのURL]