「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

9点 7SEEDS

まずは「恐るべし、田村由美。」
内容的には「少女漫画」なんていう括り自体が「無意味」に思えてくるSF巨編。

舞台は「BASARA(バサラ)」と同じく、文明の滅びた未来の日本。
いや、時代としてはもっと先で、文明どころか人類そのものが滅亡したといってよい未来の地球。
こうなることを予想していた現代の各国政府首脳は、「春・夏・秋・冬」という季語の名前を持つ人間をそれぞれの季節ごとに数名ずつ集め、冷凍冬眠させて来るべき「人類滅亡後の世界」で目覚めるように手を打っていた・・・・・・。

さいとうたかを氏の「サバイバル」の未来版というと分かり易いか?。
あれをもっと原始時代風にして「少女漫画」と「SF」のエッセンスをミックスするとこうなる。
生き残った人々を襲う自然の猛威・野生の動物(怪物?)・地殻変動に火山噴火・・・そして・・チームの仲間が次々と死んでいくことによって「ひとりぼっち」となる孤独。

相変わらず田村先生は「少女漫画」でありながら、そんな枠組みを軽くブチ抜いていくような作品を描かれる。とにかく先の展開が全く読めない。置かれている立場からして、登場しているキャラたちにもそれは全く読めないだろうし、ひょっとしたら描いている田村先生ですら読めていないかもしれない。

それにしても現代における「人類の天下」なんて「地球の寿命」から考えれば、ごく僅かな期間に過ぎず、あれほどまでに発展していた文明が滅びたらまた原始時代に逆戻りする・・・っとていう正に「栄枯盛衰」の持つ不思議さ。

そして・・・・それ故に、「再度栄えることもできるのかもしれない」と、胸の奥に湧き上がる大いなる「希望」!。
「希望持たずに生きるは、生ける屍に等しい」と理解する。

男性読者の方、田村先生の作品を読めば「並の少年漫画」なんてブッちぎる面白さに驚愕しますよ。
男性こそ「この世界」を体感するべきだと思います。
興味を持っていただけた方は「まずはBASARA」からどうぞ。

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[投稿:2010-12-18 22:23:22] [修正:2010-12-18 22:23:22] [このレビューのURL]

これも「発掘しなくていい才能を無理矢理発掘した」典型的な例。
結果として、ジャンプの質の低下を内外にアピールしただけだった。
読めても小学校の低学年までだろう。勿論、男の子限定・・・・。
そこから考えても掲載の雑誌を間違えていると思う。
「ボンボン」か「コロコロ」ならこんなに叩かれなかったと思う。
というか、無視されて消えた可能性も高い。アニメ化も「何かの間違い」だったと今でも信じている。

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[投稿:2010-12-18 21:31:12] [修正:2010-12-18 21:31:12] [このレビューのURL]

「エマ」の森薫先生の新作。相変わらず群を抜いて絵が上手い。
今回も森先生の趣味全開で興味の対象がメイドからシルクロードの遊牧民にシフトしました。

12歳の夫に嫁いだ花嫁はなんと20歳の姉さん女房。
現代で言うならば「小学生の男の子」に「高校生の女の子」が嫁いだようなもの。
草原での暮らしは毎日が平穏・・・で賑やかで家族の関係が強い。
家族関係が希薄になったという日本人とはかけ離れた生活だ。
外の部族から嫁に入った彼女はまだ夫とは性関係は持っていない。

つまり「乙女の嫁」≒「乙嫁」でありました。
8歳の年齢差のある二人が日々の触れ合いから少しずつお互いを慈しむ心を育てていく軌跡。
まだ肉体的に結ばれるには早いけど・・・・・・。その分、心からゆっくりと近付いていくのです。

森先生の趣味≒仕事は正に「好きこそ、ものの上手なりけり」の諺通り(笑)。
エマは「結ばれる(結婚する)まで」。これは「結ばれて(結婚して)から」のお話。

愛はどちらからでも育めるのだと知れる1冊!勿論、「森先生の愛情」もてんこ盛り!

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[投稿:2010-12-18 12:50:02] [修正:2010-12-18 12:50:02] [このレビューのURL]

理由不明でモーニング連載からライバル雑誌に移籍して仕切り直しの「ブラック・ジャックによろしく」。

「新」が付いても、相変わらず斉藤クンは理想と現実のギャップに苦しんでいる。
新シリーズでは初っ端から私生活でも恋人の看護婦と「結婚」を意識させられつつも、どうにも煮え切らない態度しか取れない。
医師としても半人前の彼は、まだ夫となって1人の女性を幸せにしていく覚悟も、ましてや父親となるような覚悟も持てていない。

「理想」と「現実」とのギャップを意識して、その隙間を埋めきれずに苦しむ・・・なんてことは誰しもにあることで、別に斉藤クンに限ったことでは当然ないのだけれど、この漫画は「医療の最前線」が舞台なため、より雰囲気が重苦しくなる。
病状についての説明も淡々としており、逆にそれが恐ろしい。
読んでいる自分もその病気に身体を知らないうちに蝕まれているのではないか・・・?などという被害妄想がついつい働いてしまう。
「忍び寄るホラー漫画」と仇名したい。
ただ・・「絵」が下手になった・・・・・・普通は上手くなっていくのに・・。なぜ・・・・?

「爽快感」とは程遠い作風は読者にも作者にも「逃れ切れない現実の悲惨」を付き付ける。

くれぐれも「一刀両断易し」と思うなかれ。

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[投稿:2010-12-18 12:39:25] [修正:2010-12-18 12:39:25] [このレビューのURL]

5点 神の雫

「ソムリエ」に次ぐワイン漫画ですね。
「酒」と言うとビールが大衆的なイメージにあるのに比して、ワインはやはり高級なイメージがあります。
昔なら「こんな漫画」はまず有り得なかったんでしょう。ワインは西洋では生活の一部ともいえる存在として人々の中に深く関わってきていたのでしょうが、日本では「贅沢な趣味」と取られても仕方なかったことでしょう。つい最近までは。

日本人の生活レヴェルが上昇して、ワインに親しむ人間が増えて、大衆的なものになってきたからこそ「この漫画」も生まれたはず。そういった背景もこの漫画の成立という点で見逃すことはできません。

「画力」に関してはSランクだと思います。後はストーリー。
ワインの道に入るのが嫌で、父親に反発してビール会社に就職した主人公。
けれど、父はすでに息子が幼い頃から「ワインの探求者」としての道を歩むべく英才教育を施していた。
その道を踏み外すことはできず、「知識は素人」ながらも感性と技術は超一流となっていた男は、父の死に際して初めて「父の意志」を継ぐことを決意する。

父の遺産といえる「ワイン」を継承するためには、ライヴァルと争わなければならないという「お約束」の対立構図も加わって、探す至高のワインは13本。
まるで「キリスト(聖人)の使徒」を探求するかのような道程は・・一滴のワインの雫を口にする度に、世界各地の至上の風景へと誘われるデジャヴ・・・・。

「ワインの良さは値段で決まるものではない」という真理は、ブランドに目が眩みがちな日本人に対する「痛烈な皮肉」と読んだ。

「真に良いものを見分ける目を持つのは難しく、持てれば百万の富に勝るもの」である、と知った。
但し・・・外国産のワインは添加物として「亜硝酸塩」を加えているものがほとんど。
決して身体にいい・・・わけはないので「無添加ワイン」が増えてほしい。

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[投稿:2010-12-18 12:01:10] [修正:2010-12-18 12:01:10] [このレビューのURL]

日本史の漫画として「最上作品」と思います。
全30巻にも及んだ「風雲児たち」を途中で投げ出すこともなく、ようやく当初の予定通りの「幕末編」に仕切り直して突入しました。

基本的にこのシリーズは「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズのように時代が変わる度に主人公も次々と代替わりするのですが、最終的な中心人物は「坂本龍馬」になると当初から決まっていたようです。

確かに昨今の龍馬ブームを置いても、シリーズの花道を飾るに相応しいと思います。

これほどの作品、もっと売り上げがあっていいと思いますね。
知名度の絶対的な不足・・・・・・・。
コアなファンでないと気付けない作品にこそ「いい作品」があるということなんでしょうか。

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[投稿:2010-12-11 18:47:45] [修正:2010-12-11 18:47:45] [このレビューのURL]

人気ゲーム「ドラゴンクエスト」の初作が誕生するまでの秘話。
ファミコン黎明期に初のRPG作品として発売されたドラクエは後のRPG作品に絶大な影響を与えた。

発売元のエニックスに「堀井ゆうじ」「中村光一」「すぎやまこういち」らの才能が結集され、多くの試行錯誤の末にシリーズ化される大ヒットに繋がっていくのだった。

伊豆大島への旅行がドラクエの世界観の構築に繋がったりだとか、
ゲーム音楽に作曲家のすぎやまこういち先生を起用するのは当初は反対意見が多かったとか、後半の展開が単調なので、完成間近の段階でモンスタープログラミングを全部組み直したとか、制作側の苦労が語られている。

「面白いゲームを世に送り出したい」という志がゲーム史上に大きな金字塔を打ち立てたのだと知れます。

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[投稿:2010-12-11 18:41:33] [修正:2010-12-11 18:41:33] [このレビューのURL]

アトランティスをテーマに考古学を絡めた漫画として、このサイトでも高評価の「MASTERキートン」の後釜のような作品になるかと期待していた。
連載開始時には確かに。

でも完結した今では、その期待は「肩透かし」に終わったと言わざろう得ない。

「家栽の人」のヒットで知られる作者だが、絵柄で人物が「ずんぐりむっくりした印象」が強く、どうにも滑らかではない点。

そして戦闘もこなせるキートンに比して、体力的には弱い主人公はトラブルに巻き込まれるであろう展開が判っているのに、非常に弱い。

他の方も言う様にラストシーンも問題があり、上手くまとめたとは言い難い。

「キートン」とテーマは似ても比較するのは無理だった。残念。

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[投稿:2010-12-11 18:17:18] [修正:2010-12-11 18:17:18] [このレビューのURL]

評価するのが一番難しい漫画だ。

良い点は医療の現場に潜む「暗部」を白日の下に晒したという点。それまでは「医療漫画」と言うと、天才的な医師による痛快な活躍を描いた感動ストーリー・・・・ばっかりだったのだから。
逆に悪いのは主人公が「見習い医師」のため、広く問題提起はするのだけれど「根本的な解決策」が提示されず、結論は「それは、これからの我々が考えていかなければならないのだ・・・・・・・」(完)、で終わってしまう点だ。
確かに「現実の問題」を題材にしている以上、そんなに簡単に解決策が出るわけ無いということは百も承知なのだが。

タイトルに「ブラックジャック」を出したのは「哲学的なテーマ」を盛り込んで、光の部分も闇の部分も含めて「人間賛美を謳い上げた」手塚先生の作品に相対するという意味を持たせたかったからだと私は捉えているのだが。
ただ・・・このタイトル故に「医療漫画中では最もメジャー化」したと言えなくもないので、そこは賛否両論あるところだろう。
私はより多くの人間に対して「問題提起」を促すために役立ったのでOKと許容。

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[投稿:2010-12-11 18:08:09] [修正:2010-12-11 18:08:09] [このレビューのURL]

確かにグルメ漫画・料理漫画に新風を起こした作品だと思う。
綿密な取材・確かな説得力がある。
けれど、キャラと展開には明らかに問題があるのでは?
とにかく、仕事上のトラブルから同僚の人生相談、さらには国際社会の問題まで最終的に「食」が解決してくれるという展開が我慢できない。
それなのに山岡と海原雄山の親子の対立はいつまで経っても解決できないという矛盾。
連載中の時間の経過によって栗田は年をとったが、山岡はなんと若返った(笑)
富井部長のダメぶりも見るに耐えなかった。社主もだが、無能な上司が多すぎ。リストラされないの?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-11 18:01:56] [修正:2010-12-11 18:01:56] [このレビューのURL]