「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

[ネタバレあり]

百年の伝統を誇る超名門の「紅華歌劇団」。毎年1,000人を超える女の子が受験して合格者は40名という狭き門。
元アイドルの奈良田愛はその狭き門を突破して40名中22番の成績で合格する。
記念すべき第100期生に名を連ねたのである。

だが、この年。最終合格者の第40番目の最後の席を獲得したとんでもない女の子がいた。
初対面であまりにも目立つ178センチの長身。カモシカを思わせる長い手足。卓越した運動神経。
歌も踊りもまだ未熟でこれまでの歌劇団の選考規定であったならば落選していたであろう規格外の存在。
そして何もよりも印象的なのは緊張など無縁で、選考の面接で審査員を驚かせた「星の煌きを宿す瞳」である。
その少女「渡辺さらさ」はそのスター性のみを評価されて入学を許されたといって良かった。

当然に全国から集まり厳しい審査を通過した他の39名のクラスメイト達は奇異と戸惑いの視線を彼女に向ける。
楽器も弾けず、基本的な音楽の知識もない、さりとて入学に繋がるような縁故もない彼女が何故試験を突破できたのか?
同級生たちですら首を傾げるのだった。

入学後も型に嵌らない彼女の存在は次々と騒動の火種となっていく。
とある理由からアイドルグループを辞めさせられ、行き場をなくしていた愛にとってもさらさは理解不能な存在だった。
クラスメイトたちは共に学ぶ学友であると同時に将来の職場で役柄を争う好敵手でもあるのだ。
・三代続けて音楽学校入学を果たしたサラブレッド。
・バレエの名手で海外への留学の話を蹴ってまで歌劇学校に入学した優等生。
・昨年も受験したが双子の妹が不合格だったので再受験の末に姉妹で合格した双子。
その他にも地元では才女として知られていた娘や幼い頃に劇団に所属して子役として活躍していたなど多彩なメンバーであった。

そのクラスメイトたちが何故かいつもさらさを気にしていることを当の本人たちは気が付いていない。
そしてそれは「愛も例外ではなかった」。
それは時に反発し驚嘆する出来事の連なり。
星の煌きを瞳に宿す太陽のようなヒロインの物語。
みんなみんな「太陽がまぶしかった!」

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[投稿:2016-04-16 22:58:54] [修正:2016-04-16 22:58:54] [このレビューのURL]

自衛隊が突如、東京の銀座に開いた異界からの軍隊と戦いつつ、異界と東京を結ぶ「門」をくぐって異界に侵攻し、多くの住民を助けていく。
過去作品で自衛隊が登場する作品は大体「過去へのタイムスリップ」ものだったように思う。
それだと、最初は強くて無敵の自衛隊も弾薬やガソリンが尽きると無力化してしまうという「弱体化」という問題が避けられず、終盤に失速する危険があった。

この作品は「門」で現在日本と繋がっているため、常に日本政府からのバックアップを受けて補給線が途切れないので主人公側の強さが続くのがいい。
敵側は中世的な軍隊・世界観のため「圧倒的な力を持つ龍」を除いては対抗しようがない。

作風としては「虐殺」「強姦」などの描写も出てくるので、そういった世界観の中に自衛隊員が同じ絵の中で並ぶのは本来違和感がある。
しかし、そんな世界観にあっても現地の民衆を助ける行為は「自衛隊の職務そのもの」であり、そういった行為の数々で人々から信頼を徐々に得ていくのは良い。

初巻はプロローグ的に「主要登場人物」が揃い、政治的な背景が語られる。原作は未読で不明だが、結構強引な冒頭の導入部だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-02-06 05:51:02] [修正:2016-02-06 05:51:02] [このレビューのURL]

1985年の名古屋近郊を舞台にした小学生の少女の日常を描いた作品。

主人公の家村優子は小学六年生の女の子。元気でちょっとおバカ。
家族は両親と父方の祖父母と双子の弟と妹の7人家族。

父親がやたらとサボテン好きで家中がサボテンだらけという家庭。
そろそろ年齢的に思春期の入口に立つ優子だが・・・・毎日は騒々しく、優子自身は「色気より食い気」。

作品の端々から漂う「昭和の香り」が目立つが、昭和はもう後3年ほどしかないのである。
平成という世の節目は世間的には「バブルの崩壊」という事件があった。

ちょうど時代は好景気に沸き立ちバブルの崩壊から日本は「失われた20年」へと長い冬の時代へ突入する。
けれど作品にそんな気配は微塵も見られない。

ホームドラマと少女の成長に時代がどう合うか見届けたい作品。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-01-03 23:11:52] [修正:2015-01-03 23:11:52] [このレビューのURL]

男女の恋愛に独特の宗教観を加えた?摩訶不思議な世界が展開される異色の恋愛漫画。

話の面白さは冥界編がピークだったような気もするが、学園編はトンデモキャラ多数登場で違う意味で盛り上がる。
絵はむしろアニメ系で、後半では戸川が「おもらし」したりとか、作者の趣味が色濃く出たようなシーンが多い。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-07-03 09:19:29] [修正:2013-08-18 20:25:00] [このレビューのURL]

主人公はゲームオタクの男子高校生。
しかし熱中するゲームジャンルは「恋愛シュミレーション系」のみ。
格ゲーやRPGはやらない!ある意味、非常に男らしい性格(笑)。

で、そんな彼が地獄からやってきた見習悪魔の「エルシィ」の駆け魂という悪人の魂を捕獲するための協力者にさせられたことから始まるトンデモストーリーです。

駆け魂は女性の心にのみ憑依して、いずれはその女の子の子供として現世に転生しようとする。それ故に、憑依した女子の心の内側を暴き出す必要があり、抱えている悩み・願望・欲望などを吐き出させるための触媒として主人公の存在がクローズアップされたというわけ。

バーチャル女子の攻略はプロでも、リアル女子の攻略なんてしたことがない・・・と断ろうにも自分の命を人質にとられて、強制的に事件に介入させられていく悲惨。

見習悪魔のエルシィは主人公の腹違いの妹として自宅に同居することになり、最早逃げ道は塞がれた。さて・・・今後はどうなるのか?

この手の漫画にしては珍しく「女の子の裸」を出さず、毎回のヒロインの抱えている心の闇をクローズアップさせて読ませるという姿勢には好感が持てます。
画は当然に可愛らしい!でも「非エロ」というのは明らかに異色!

ただ・・・これだと「長期連載」するには設定がやや弱いのではないかな?と心配になるのですが。その辺、今後に明かされる裏設定でどこまで長期連載に出来るかが勝負の分かれ目かと思います。

コミックスの売り上げは良いようですね。打ち切りは勘弁な方向でお願いします。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-12-11 18:05:19] [修正:2013-08-18 20:19:01] [このレビューのURL]

水沢めぐみの初連載作品だが、同時期に同じ雑誌で連載していた柊あおいの「星の瞳のシルエット」と設定自体は似たもので、幼い頃に出会った初恋の男の子と再会して・・・というもの。

ただこちらは作者の次作「空色のメロディ」でも続けて使用された「主人公の出生に謎がある」の分だけ「星の瞳のシルエット」よりも印象を残す。山場は終盤ではなく、結が養女だったと判る2巻辺りだった。
しかし、全体的にさわやかな印象の作風が後年幼稚化するとは想像もできなかった。

庫版を買いなおしてみました。やはり水沢作品で一番の作品ですね。

「家族愛」と「少女の成長」が大きなテーマだったと思うのです。
その片方「家族愛」が結が自分が両親の実子でないと知り、自分が存在するための基盤(所謂、アイデンティティ)を失ってしまった時に前面に押し出されて彼女の心に「血縁」以上の基盤を再認識もしくは再構築させた。
亡くなった実父の描いた絵本が結の精神状態と重ね合わされていることも効果的な演出と思います。
自分の居場所を失くして街を彷徨う結が育ての両親との十数年に亘る思い出を回想して、義父と義母が実親以上の愛情を注いでくれていたことを改めて認識し、自分はやはり育ての両親(正しくは叔父夫婦)と兄弟(正しくは従兄弟になる)が好きなのだと再認識して自分の意思で家に帰ることを選んだ場面が作品中で1・2を争う名シーン。片想いの相手「郡司」が何も言わずに寄り添い、親友のくうこは「もう家に帰れない・・・」と泣く結を抱いて「元気を出して」と励ました。
自分の意思で家に戻った結を待っていたのは家族からの温かい抱擁。実父の描いた絵本の中で失くしたお気に入りのビー玉は家の机の下から見つかる。「探していた大切なもの」はすぐ近くにあったのだと、ここでも結の精神状態と重ね合わせる演出が効果的に結んでいます。

まさに前半の山場でした。こういう感動的なシーンはなぜか(作者の)後の作品になるほどなくなっていくのです。大ヒットした「姫ちゃんのリボン」にしてもぬいぐるみが話したり、魔法が出てきたりとコメディ色が強くなり「姫ちゃんのリボン」以降はもうメチャクチャ・・・。絵も話も幼稚化しています。
家族崩壊の大きな危機を乗り越えた後半も悪くはありません。後半は郡司への片想いが成就していく過程が彼女の前向きな姿勢(生き方)に反映されてもうひとつのテーマ「少女の成長」がラストまで上手く話を牽引しました。結の恋に対する前向きな姿勢にテーマソングを選ぶとすればリンドバーグの「Over the top」(ベストアルバム・フライトレコーダー収録の別バージョンの方)が似合うと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-23 20:31:29] [修正:2013-08-18 20:06:42] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

ギャグ漫画として私が他人に薦められる数少ない作品のひとつ。
とにかくギャグ漫画で、ある意味常識になっている「下手な下ネタに走って、(主に)小さな男の子に気に入られようとする」作風が全く見受けられない。これは作者様のポリシーだと信じているのだが、貫徹しているギャグ漫画がいくつあるのか?。

所謂、一般人とは少々毛色の違った「個性的な登場人物たち」を「属性」ごとにいくつかのチームに振り分けて登場させ、それぞれの集団同士もしくはその集団と一般人たちとの間に巻き起こる「騒動の顛末のおかしさ」を学園を舞台に展開させていくというスタイルがヒットの理由だったと思う。

問題に挙がっている「最終回」の実は・・・これまでのお話は全部、中学時代の唯ちゃんの空想だった・・・は誰も予想もしていなかったラスト。しかししかし、私はこのラストのコマは「奇面組」の登場へと続く布石だと考えます。つまり空想・・・だと思っていたけれど、廊下を曲がったら「空想と同じように」奇面組の面々と出会いました・・・・っていう明るい未来(楽しい未来)を暗示した終わり方だ。決して「あんな楽しい面々」も実は存在していなかったんです・・・・なんていう絶望的な雰囲気では有り得ない。
「ギャグ漫画の終わり方」ってストーリー漫画以上に難しいと思う。それを考えるとラストシーンもなかなかの締め方ではなかったかな、と。まあ奇面組は正確には「ストーリーギャグ漫画」でしたか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-08-03 22:19:46] [修正:2013-08-03 22:19:46] [このレビューのURL]

近未来の地球。温暖化の影響か世界の低地は海に沈み、それにより各地は現在よりももっと海によって分断されていた。
そんな世界に突如として現れた「霧の艦隊」と呼ばれる超兵器を装備した艦隊。
人類は敗北し完全に制海権を握られてしまう。

だが、それから17年後。世界の海を我が物顔で闊歩する霧の艦隊に敢然と立ち向かう潜水艦が一隻あった。
霧の艦隊を離脱・裏切ったイ401艦である。乗り込むのは5人の日本人クルーと、潜水艦の意思の具現化とも言うべき人体化(メンタルモデル)の
千早であった。イ401艦の戦いは続く・・・・・・。

まず乗っけから「海洋戦記もの」として引き込まれる。思えば地球は「水の惑星」なわけで、舞台設定としては「海」はこれ以上ないほど適しているはずなのに、
何故か採用される作品は少ない現実。まさか近未来の時代設定で見られようとは思わなかった。

戦記ものと書くと堅苦しい、「男ばっかりの世界」と連想する人多数かと思うが、この作品は敵方の戦艦が個々に擬人化した
女性形態を取ることで上手く作品の本来持つであろう「堅苦しさ」を中和。
結果としてファンタジー要素を上手く絡めた「海洋SF戦記」として昇華された。

90年代に放送されたTVアニメ「ふしぎの海のナディア」の海戦に近い雰囲気ではないかなとも思う。
1巻から「専門用語連発」なので、意味が分からない箇所多数かと思うが、雰囲気で押し通す力技。
疑問点は「巻末に付属の用語集」をご参照。
アニメ化も決定したようなのでブレイクする年になるようだ。先んじてイ401艦に乗り込んで日本人6番目のクルーとして戦うのならば今しかあるまい。
ね?そう思うでしょ?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-06-08 10:39:14] [修正:2013-06-08 10:39:14] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

「ゆるゆり」でお菓子系の可愛らしい女の子を描くことで知られる著者の百合短編集。

5組の百合カップルのお話。基本は片方のアプローチでもう片方の女の子が相手を好きと気付いていくという流れ。
さらに5編の短編を見た後は、1?4話までの4組のカップルのその後の話まで収録していてお得!
何で最後の「5」だけないのだろうか・・・・・・?

「ゆるゆり」と異なり、全編基本はシリアスで、ギャグはなしです。
次回作は連作で長編百合物語をお願いしたいなと期待させる内容ですね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-26 20:36:55] [修正:2013-05-26 20:36:55] [このレビューのURL]

ガンダム1年戦争末期。アー・バオア・クー要塞への補給ルートに当たる
「サンダーボルト空域」の制圧を目指す地球連邦軍と、それをスナイパー部隊で阻止しようとするジオン軍。

宇宙空間を舞台に繰り広げられる両陣営の人間模様。
制宙権を得ようとする連邦はエースパイロット用の「ガンダム」を一機配備する。
待ち受ける連邦のスナイパーとの対決の行方は・・・・
遠距離攻撃VS接近戦。

コロニーや戦艦の残骸が無数に漂う空間が墓場となるのは果たしてどちらか?

画力は申し分ないのですが、著者の「ムーンライトマイル」が未完のまま、
こちらのガンダムが終わるまで放置されるそうです。それはどうなんですか?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-11-01 06:48:21] [修正:2012-11-01 06:48:21] [このレビューのURL]