「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

ロボットものという感じだが、作中において「レイバー」は自動車と同等の扱いで登場しているので、登場人物には「ロボット」を操って戦っているという認識は希薄だろう。
つまり警棒なんかと同じで「戦うための道具」といった位置付けだろうか。(ただし、主人公の野明はそれ以上の思い入れがあったが)
この漫画の見所は派手な「レイバー」を使っての格闘戦ではなく、首都を守る「お巡りさん」の近未来の日常的風景ではないか。
少年雑誌で女の子が主人公というのも珍しいが、見事に成功している。
右肩あがりで成長してきたバブル期ならではの漫画と言えなくもない。

サンデー連載作品では「うしおととら」が横綱とすれば十分に「大関」の位置を取れる作品。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-21 19:26:09] [修正:2010-11-21 19:26:09] [このレビューのURL]

矢沢あいの出世作とも言える本作だが、この頃からもう独自の世界をちゃんと確立していたのだと判る。

とにかく彼女の絵は他の「りぼん」連載作家たちとはまるで違った。
喩えて言うなら「ジャンプ」でいうところの荒木先生の「ジョジョ」のようなものだと思う。
スタイリッシュとでもいうか、美術的とでもいうか、「アート」(芸術)の類と言ったほうが適当かもしれない。
そんな作風だから後年「りぼん」が陥る雑誌自体の幼稚化にも染まることはなかった。
「染まりようもない」絵柄であり作風だった。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-09-12 20:35:50] [修正:2010-09-12 20:35:50] [このレビューのURL]

大人の鑑賞にも堪え得る作品とはこういう作品を言うのです。

特筆は画の美麗さにある。全漫画家中でも1・2を争うだろう。「キャッツ・アイ」のときはまだ発展途上といった感じだったが、この作品でほぼ完成期に入った。
ストーリーは毎回が美女絡みばかりで都合がいいが、だからこそ女好きの主人公が依頼人に手を出そうとする→香が怒る→百トンハンマー(笑)という黄金パターンが確立されたので笑って許す。
印象に残っている話は
富豪の遺産相続問題から命を狙われる少女・紗南を警護する話。
お忍びで来日した外国の王女とのロマンスが描かれる話。
怪盗一族の娘の婚約者となって怪盗勝負をする話。
などかな。初期の「鐘とともに運命が・・・」や、恋人を失い死のうとする女優から殺しの依頼を受けた海坊主との初対決を描く話もなかなか。終盤は主人公の「過去」と「香の主人公に対する想い」が大きなキーワードだったかな。

ところで続編の「エンジェル・ハート」は・・・この作品とはいわゆるパラレル・ワールド的扱いになっているのかな?美樹ちゃんも出てこないらしいし・・・。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-07-31 07:47:27] [修正:2010-07-31 07:47:27] [このレビューのURL]

ジョジョ第七部ともいうべき本作。
ジョジョシリーズは、もはや荒木先生の「ライフワーク」と呼んで差し支えあるまい。

・・・どういう切り口で来るのかと思ったら新大陸での大レースときたもんだ。
「レース漫画」をジョジョワールドで展開したらこうなるんだな!と、思わず納得。
正直、第六部の「あの何か一線を飛び越えてしまった複雑な世界」に拍車がかかる(←想像も付かないが・・)んじゃないかという不安感はとりあえず小さくなった。

時代設定を随分と遡りましたからね。現代的な視点で見ると「常識的」なことでさえも舞台となっている年代では「まだ未知の事象」であったりして、不安感を煽るには効果的かつ自然だと思います。

スタンド自体はもう「ネタ切れ」なんじゃないかな・・・とも思っていたのですが、シンプルなものに立ち返ったようで好感が持てます。複雑にすればいいというものでもありませんからね。

思ったんですが、ジョジョシリーズでも主人公たちと敵との対決は、
「主人公たちが何気ない日常を送っているところを突然、敵から攻撃を受ける」→
「敵の一方的な攻撃を受け、傷付き逃げるしかない」→
「敵の攻撃の正体が判らず、心理的にも肉体的にも追い詰められる主人公たち」→
「戦いの中の僅かなヒントから敵の正体や弱点につながる情報を得る」→
「その場にあるものを利用したり、敵の能力を逆手に取ったり、追い詰められたと思わせて逆に罠を張ったりして、逆転の一撃を喰らわす」

・・・っていうパターン化がされてますよね。
でも読者側から見たら上記のパターンこそが最も緊迫感を感じ、面白いと感じる「黄金パターン」なのかも。

「人間の知恵」が感じられる展開と言ってもいいかも。革命的だ!!!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-31 07:31:58] [修正:2010-07-31 07:31:58] [このレビューのURL]

8点 砂時計

まず「タイトル」がいいと思う。
「砂時計」。
「現在」「過去」そして「未来」の時間の移ろいを象徴する作品のキーワード。

全10巻(それも本編は8巻までで、残りの2巻は番外編。)で主人公が「小学生」から「1児の母親」となるまでを描いているため、時間の経過がスゲー早いんです。
両親の離婚を切っ掛けに母親の実家である島根に戻ってきた杏が好きになったのが近所の「大吾」。
相思相愛かと思われた2人の関係も、杏の母親の自殺が常に杏の心にのしかかってくることでギクシャクし始める。

自分が大吾の重荷になる・・・と思い、別れを選んだ杏。
時の流れと共に多くの恋を経験するも、どうしても大吾の事が杏の心の奥底からは離れず、いずれも破局を迎える。
(中には婚約までいったものもあった)

友人・肉親・知人、周囲の多くの人たちが「それぞれの幸せ」を見つけていく中で、未だに自分の幸せを見つけることが出来ずに
「人生という大海原を漂流するかのようにして生きる杏」。

流れてしまった時間を取り戻すことは叶わず、後悔は日々増えていくのだけれど、それでも「何かを期待して」今日も踏み出す一歩。

過去の後悔も過ちも、全ては今の自分を作っている分子だとそれぞれが理解できるようになったとき、
読者も全ての登場人物をいとおしいと思えるようになる。

そんな作品。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-07-16 06:37:01] [修正:2010-07-16 06:37:01] [このレビューのURL]

アニメ化の帯と表紙の絵が上手かったので買ってみたのが出会いです。そんな漫画。
出版が決して漫画作品としてメジャーではない徳間書店ですから、不安はあったものの1巻読んだら気に入りました。
喫茶店で働くメイド女子高生(メイド喫茶とは似て非なる)の送るちょっと、いやかなり不可思議な日常を綴る。

事故に遭って死に掛けたり、商店街が作品の舞台でありながら「宇宙人」が登場したりと展開が微妙にシュール。
それでいて「絵」は上手いというギャグ漫画とも言えない不思議な作風。
敢えて言うなら「よつばと!」に近い作風なのかもしれない。「癒し系」とまでは言わないけれど。

もっと言えば彼の「鳥山明」先生が「ドラゴンボール」前に連載していた「ドクタースランプ」を現代版にした感じか?
ペンギン村のような仮想空間を想像して、その中での一風変わった登場人物たちの日常を綴るという作品。

アニメはむしろ全く期待していません。アニメでこの作風を表現するのは「ドクタースランプ」のアニメという先例はあっても
難しいのではないでしょうか。
ですが、アニメ化で増刷が掛かって書店で目立っていたからこそ、この漫画の存在に気付いたという恩恵もあります。
アニメとは別に「漫画」は好評価でオススメさせていただきたいです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-07-08 21:31:30] [修正:2010-07-08 21:31:30] [このレビューのURL]

8点 LIAR GAME

善人・神崎直の元に届いた1億円と「ライアーゲーム」というイベントへの招待状。
30日後に預かった1億円をそのままの形で返却する。それだけがルール。但し、対戦相手がおり、相手も自分と同額を持つ。
つまり、欲にかられた対戦相手が金を奪いに来ることが考えられ、その場合奪われた側は奪われた金額がそのまま「負債」となり、
奪った側にはそれが「賞金」として支払われることになる。

途中離脱不可能なこのゲームは人間の欲望を映し出す鏡のようなもの。
一度は対戦相手に金を奪われた直は、刑務所から出所した天才詐欺師・秋山深一とコンビを組むことで奪還しようと考える。
果たしてこの「ライアーゲーム」を主催する者の意図とは何なのか・・・・・・?

ギャンブル系の漫画に一応は属していますが、福本先生の「カイジ」のような人間心理を突いた駆け引きがメインです。
しかも基本的には「男」しか出てこない前者に対して、こちらは男女が同じ土俵上で戦うなど比較的洗練されたというか、
スタイリッシュな印象。

どこまでも正直かつお人好しな直と、世の裏表を知りぬいた切れ者の秋山とのコンビが海千山千の兵たちを撃破していく爽快感こそが作品のキモ。
参加者は皆、いずれも借金のある人間という共通点が見える。(よって返済のためにゲーム参加せざろう得ない)。
しかし、直には元々の借金はなし・・・・・・。
では直が選ばれた理由は???
単なる偶然と片付けるよりも、選出にも裏があったと読んだほうが面白そうな作品です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-08 21:30:29] [修正:2010-07-08 21:30:29] [このレビューのURL]

センゴクの第1部完結に続く仕切り直しの新シリーズ開幕。

将軍・足利義昭を中心とした「信長包囲網」も姉川の戦いの後、浅井・朝倉両家が滅亡。
東西の両面作戦を強いられている織田家といえどもこの勝利は大きく、義昭も京都を追放。
室町幕府もここに滅んで、形勢は信長優勢へと傾き始める。

残るは石山本願寺と信玄亡き後の武田家が当面の敵。
長島に立て篭もる門徒衆を騙し撃ち同然の焼き殺しにて死者多数。
門徒の数を頼りに信長を「詰将棋」が如く追い詰めるはずだった顕如の目算は狂い始める。

羽柴・柴田・丹羽・佐久間・明智・野々村・前田・佐々・滝川・・・・
信長配下には有力武将が揃い、唯一の同盟者が東の武田家の抑え・家康。

最早、単独の勢力で織田家に対するは難しく、
関東の北条家・
中国の毛利家・
四国の長宗我部家・
越後の上杉家等の連携なくしては「信長包囲網」は画餅に過ぎなくなる・・・。

「反信長勢力の連携の拙さ」と、それに対する信長軍のまとまりの良さ。
兵農分離が進み、堺などの自由都市を押えての交易で多大な富を得ていた織田家。
新兵器・鉄砲は命中率が動かぬ的でさえ6割未満と言えども、
三千丁を超える保有数で諸国の大名を圧倒していた。

我らが主人公・仙石権兵衛秀久は、そんな革命軍団の歯車のひとつと言えど、
徐々に出世街道を駆け上っていく。

一瞬たりとも見逃せぬ、新戦国絵巻に酔え!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-07-03 09:48:11] [修正:2010-07-03 09:48:11] [このレビューのURL]

「戦国」=「センゴク」=・・・・「仙石秀久」と連想ゲームみたいだが、秀吉・家康・信長といった有名どころではなく敢えてこの淡路国洲本五万石の城主を主役に抜擢したのは面白い試みだと思う。

確かに天下人の3人はもう描かれ尽くした感もあるし(それでも、やり方次第では違った切り口から十分面白い話を構築できるのではないかとも思うが)、新鮮味に欠けるだろう。思えば戦国漫画は上記の3人ばかりに偏り過ぎていて、「横山作品」を除いては他の武将にはなかなかスポットライトが当たらなかったように思うので、これを契機として風向きが変わることを激しく希望。
西国にも面白い武将は多くいた。「毛利元就」「長宗我部元親」「島津義弘」の3武将は特に主役を張らせてみたい。東国では後北条の3代目「北条氏康」を挙げたい。武田信玄・上杉謙信と合わせて「3人の中から1人でも長生きしていれば信長の天下は無かった」と言われた程の名将が何故今に至るまで冷遇を???
続編もこの先かなり期待して読んでいきたい作品ですな。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-07-03 09:25:28] [修正:2010-07-03 09:25:28] [このレビューのURL]

ロト伝説で大魔王・ゾーマが倒されてから、竜王がアレフガルドを支配するまでの空白期間に地上世界アレフガルドで何があったのかを描いたほぼオリジナルストーリー。

ガンガン創刊時の目玉連載だが、後にガンガンを共に支えることになった「ハーメルン」「パプア」「グルグル」らはいずれも初連載の新人作家だったため、最初はいい雰囲気でも長期に連載が続くと「初めて故」の作家としての底の浅さが隠せず、広げた風呂敷を上手く包み込めないまま終わった印象がいずれも強い。

カムイ先生は唯一、ガンガンが育てた作家ではなく他から連れてきた一応キャリアのある方だった。
その点でやはり他の方と比較しても画力にしても構成力にしても見せ方にしても抜きん出ている。
ドラクエ漫画はこれと「ダイの大冒険」が双璧だと思うが、月刊誌連載だったこともあって巻数では「ダイの大冒険」の半分程度だが、面白さでは甲乙付け難い。

山場はやはりアレフガルドでの獣王・グノン率いる数十万の軍団に立ち向かっていく場面。
保身のために勇者を街から追い出そうとする民衆を守るための戦いは、ともすれば「投げやりにさえなりかねない」危ういものだった。四天王と聖戦士たちの対決も苛烈で「死闘」の名に相応しい。

異魔神の強さはドラクエの世界観すら破壊させかねない凄まじいものだった。
何よりも「りゅうせい」(流星・・・つまりはメテオ)が絵的にも威力も凄まじい!
倒せたことが未だに信じられないのだが・・・・・・(笑)。
そして、アステアは・・・・やはり女の子だったのだろうか?

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[投稿:2010-07-03 09:12:58] [修正:2010-07-03 09:12:58] [このレビューのURL]