「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

料理系漫画の中でも変わった切り口。人生を終える直前の偉人たちがタイムスリップして現代日本のレストランに来るというもの。
基本は1話完結で、「テルマエ・ロマエ」がお風呂漫画とするなら、これはグルメ漫画というところ。

そういう意味では、テルマエ・ロマエが唯一無二の「風呂漫画」という時点でインパクトがあったのに対して、
こちらはグルメ漫画というジャンルでは変化球で、しかも食のウンチクを前面に押し出すような展開ではないため、
むしろ毎回のゲスト登場の世界各国の偉人たちの個性で成り立っている作品。

ヒトラー、織田信長、安徳天皇、土方歳三、坂本龍馬と全く統一性のない毎回のゲストの面々。
主人公が怠け者で悲観的な考え方の持ち主のため、彼を取り巻く女性陣の明るさも重要な要素か。
ゲストの偉人たちはいくらでもいるのでネタには困らなさそうだが、長期ヒットできるのかは微妙だと思います。
イマイチ「起爆性に乏しい作品」というのが総評。化ける可能性も現状では低い・・・・。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-07-21 12:28:49] [修正:2022-05-10 10:26:27] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

現代日本の東京・渋谷。ここには色々な夢を抱いて多くの人間が集まる。
だが、その中で持ちうる才能を見事に開花させて成功への道を駆け上がれる人間は一握りだ。

ここに一人の「女の子」がいる。
恵まれない生い立ち。辛い過去。高校の時に東京に来てその時、駅のホームから電車に飛び込もうとしていた。
それを止めてくれたのが今働いているバーのオーナー。一見ヤクザかと見紛うような容姿。
しかし、気落ちする少女を自分の経営するバーに連れてきてその日のステージに立つ外国の歌手の歌を聞かせてくれた・・・・。感動。只、只、感動。只管、感動。少女は死を思い止まった。
それから自身もあの人のように人に感動を与えるような歌を歌いたいとバーで働きながら歌手を目指すようになる。でも道は厳しかった。オーディションは何回受けても落選。SNSのフォロワーも200人ほどしかいない。
自信を失っていた。

さて、ここにもう一人「男」がいる。
風変わりな風貌でコスプレマニアと間違えられる。何処からともなく渋谷の街に現れて、ハロウィンの群集に巻き込まれて酒を飲まされ酔い潰れて転がっていたところを通り掛かった歌手志望の少女に助けられる。
その男は目を覚ますと自分の名前を名乗った。「姓は諸葛(しょかつ)、名は亮(りょう)」と。
スマホも携帯もインターネットも知らないその男は歌手としての自信を喪失していた少女に語りかけた。

「私があなたの軍師になります。」

少女は知らなかった。
この風変わりな風貌の男はその昔、英雄・曹操を赤壁で一敗地に塗れさせ、呉の孫権の軍師・周愈をして「何故、天はあの男を自分と同じ時代の同じ場所に生まれさせたのだ?」と嘆かせ、死して尚、魏の司馬 懿仲達を恐怖の余り逃亡させた、人類史上でも五指、いやおそらくは「三指に入る天才戦略家にして戦術家」なのだということを!

その慧眼は、少女の歌を三度聞き世に出るべき人物であり、自らが君主と仰ぐべき人物であると捉えた。
世の中には多くの才能がありながらそれを発揮させることなく終わってしまう人間がいる。
「才能さえあれば必ず世に出られる」は真実か?
多くの人間は「どうやれば成功への道筋を自分の人生に付けられるのか」が分らず悩んでいるのである。
少女には歌を歌い、人を感動させる力があった。
だが、どうやってそれを世の人に知らせればいいのかが分らなかったのである。
悩める六等星の輝きを放つ少女を導くこの男の字(あざな)を「孔明(こうめい)」と言った。

三国志のファンならばこの男の能力について多くを語る必要はあるまい。
史上、武力や暴力で人を畏れさせた人間は枚挙に暇がないだろう。そんなことは誰でも出来ることだ。
だが頭脳が、圧倒的な知略が人を畏怖させた人間は史上片手で数えるほどにも居まい。
その数少ない「知略が人を畏怖させた男」が自分の進むべき道が分らず悩める少女を「全身全霊で助ける」と誓ったのだ!
少女は知らない。
この男からその言葉を引き出したことは「100万人の軍勢を味方に従える」より尚、有り得ない幸運であることを。

以下、続刊。
「六等星の弱き輝きの少女、一等星の眩い輝きを放つまでの物語」の開幕である。
さて、皆様、お立会い!である。
注意:読者の方は、この物語でこの先いかなるピンチが訪れようと、どんな困難が立ち塞がろうと「大船に乗った気分で緩やかな気持ちで読み続けていただきたい」です。何せ作戦参謀が「現代日本に対抗できる人材がひとりもいないことが確実な方」なので、焦る必要も心配する必要も全くございません!全て「孔明様にお任せ」であります。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2022-05-10 10:24:27] [修正:2022-05-10 10:24:27] [このレビューのURL]

直球ラブストーリーで「ラブコメ」ではない。
それはまず絵柄を見ても分る。この絵では「ラブコメ」をやるのは無理。「絵が泥臭過ぎる」ってこと。
ラブコメの絵はもっと華やかさとか軽さが重視されるだろう。
なので「全然、笑えるとかパニックで事件が起きる」などということはなく、部活動を主体とした青春ラブストーリーが描かれる模様。逆に最近ではそれが珍しい。

こう書くと、何かジャンプでは過去にいくつもあった打ち切り作品のひとつみたいな雰囲気はする。
20年以上前の黄金期に掲載されていたら継続するのは難しかっただろう。
唯、今は令和の時代で昭和でも平成でもないので、ジャンプ連載作品のレベルもその当時よりは明らかに下がっているし、勢いはないので他の連載作品との相対的比較で生き残れるかもしれない。
主人公とヒロインのやっている部活の種目が違うというのも異色。
まあ男女混合の競技は少ないから問題ないのか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-05-08 07:06:57] [修正:2022-05-08 07:06:57] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

「ワンピース」の主人公のルフィがハンターするような物語。
主人公の容姿があまりにも劣化版ルフィで、流石にオリジナリティが無さ過ぎる。
さらに物語は「ハンター×ハンター」みたいに未開の地や財宝を探し、それを記録する(物語にする?)。
おいおい、大御所の二作品を掛け合わせて劣化したらこんな作品になったみたいな見本じゃないか。
確かに「過去の名作を掛け合わせると新しい作品が生まれる」ことも稀にあるよ。完全なオリジナルなんて無いとも言うし。
でも、ここまでトレースするのはないでしょう。劣化してのトレースだから性質が悪いよ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-05-07 20:43:56] [修正:2022-05-07 20:43:56] [このレビューのURL]

無人島漂流ミステリー。
高校生が旅行中に事故で無人島に漂流する。男の子一人の無人島生活にやがて同級生で同じ事故に遭った女の子と男性教師1名が加わる。

救助を待ちながら水を探したり食料を探したりして何とか生き延びていたが・・・主人公だけ突如霧に巻き込まれたと思ったらいきなり大海原で救助船に救出されて生還できた。
が、無人島で共同生活を送っていた女の子は行方不明。
そして・・・・男性教師は行方不明にはなったいなかった!
これは一体どういうことだろうか?無人島で過ごした時間が丸々無かった事にされてしまっていた。
全ては夢だったのか?否、そんなはずは・・・・・・。
謎を解き、ヒロインを救出する為の旅が始まる!

単なる無人島サバイバルではなく、ミステリー要素を含んでいるのが特徴です。
主人公の妹、10歳までおねしょしていたというナイスキャラ!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-05-07 20:41:38] [修正:2022-05-07 20:41:38] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

簡単に言うと「赤ちゃんと僕」(「花とゆめ」連載)の少女版。

お母さんが2番目の子供が小さいうちに亡くなって、お父さんと3人家族という設定は同じ。
ただ「赤ちゃんと僕」は男の子の兄弟なのに対して、こちらは女の子の姉妹になるというのが大きな違い。
内容も女の子が主人公のため、「赤ちゃんと僕」よりも断然、恋愛の要素が強くなっている。
小学5年生からスタートした主人公の「杏」がラストでは母親になるまで、掲載雑誌がマイナーな「デザート」だったため全10巻で非常に展開が速いのだが、テンポよく話は進む。

意外だったのは杏が結ばれた相手。
普通の少女漫画なら「初恋の相手とくっ付いてめでたしめでたし」という安易なラストで終わるだろうが、この漫画はラスト付近では現実的な展開になり、普通なら報われないまま終わるであろう当初の杏の初恋の男のライバルに軍配が上がった。

初対面では杏は好意的どころか「苦手」「怖い」とすら思っていた関川と中学校の3年間を通して少しずつ心を通わせていくという展開がいいと思います。
杏に彼氏(鮎川)がいることを知りながらも杏以外の女の子のことを考えられない関川の純情。
人の恋には敏感でも自分のこととなると鈍感で、関川の想いに気が付かない杏を見守り続けるうちに、気持ちには気付いてもらえないものの「苦手意識」と誤解からくる「恐怖」は消えて、安心して手を繋げるまでになった。このときに誤解が解けていたことと成就はしなかったものの「告白」で杏に気持ちを伝えていたことが、後の再会時杏の気持ちを変えることに繋がった。

杏にとっては「初恋の相手」でも杏に寂しい思いばかりさせる鮎川が杏の目の前から去ったとき、ずっと自分のことを大切に思い続けていてくれる男性がいたことに気付いた杏。
自分を愛してくれる人の気持ちに応えるのも「ひとつの恋のかたち」なのだと思えるようになったとき、自分を幸せにしてくれる「ただ1人の人」と出会えていたことを意識できるようになった。
不器用な表現しか出来なかった関川も再会後はストレートな気持ちを杏に伝えられるようになったところが成長の証。
関川は「一生大切にする」と誓って杏を妻としたことだろう。
杏は鮎川とはセックスの経験はなかったので、関川が「初めての相手で、生涯唯一の男性」となる。
昔、鮎川とのセックスを「恥ずかしくて想像もできない」と言っていた杏が同じく初めてであったであろう関川と結ばれ、愛を知っていったのだ。
13歳のまだ関川と出会ったばかりの頃の杏が「自分の処女を捧げることになる男性が関川なんだ」と知ったら、到底信じないことだろう。
男女の縁の不思議を感じる展開だ。

数年後に生まれた2人の間の子供は女の子か?。髪の毛の色から関川の血を引いていることが判る。
亡くなった杏の母親にとっては孫にあたるその子に「くじらの親子」の話をしてあげる杏。
両親の駆け落ちによる結婚から数十年の年月を経て世代を超えて語り継がれていく想いがそこにはあった。
妹・桃の「小さなお母さん」であった杏が本当の母親になるまでのお話。
鮎川を好きになると同時に関川のことも好きになっていた。
2人の男の子に同時に恋をしていたことを後年の杏は懐かしく思い出せるようになっただろう。
きっと娘にお父さんとの恋物語を語ってあげるのでしょうね。

杏は意識していないのだが、実は杏が好きになった2人の男性、鮎川と関川はいずれもお父さんに似ているのだ。
外見が似ているのは「鮎川」のほうだが、内面的に似ているのは実は「関川」のほう。
杏の母・真弓も当初はぶっきらぼうでしゃべらないお父さんを怖がっていたのだが、やがて少しずつ
「本当は怖い人ではない。優しい人なんだ」と知って好きになっていった。
その点でも、出会った当初は関川が怖くて震えていた杏が少しずつ普通に話せるようになり、やがて手を繋いだとき
「自分の心を覆っていた不安が淡雪のように溶けて安心できるようになった」ことと共通する。

これらが無理矢理な印象は受けず、かえって杏を1番幸せにしてくれる相手だったのだと読者に気付かせてくれたと思い、ベストエンドかと。
欲を言えばラストシーンに子供の父親と杏の妹である「桃」も登場させてほしかったことか。

杏の両親が出会い、愛し合って結ばれるまでを描いた番外編の感動は同じ題材で描かれた「赤ちゃんと僕」のそれよりも数段上だと思う。

とにかく作品自体が作者の最高傑作。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-05-07 20:32:40] [修正:2022-05-07 20:32:40] [このレビューのURL]

キーワードは「貧乏」とそれに伴う「せこさ」だと思う。似た漫画は他にない(笑)。

決して「下品」な漫画ではなく、連載当時は「おぼっちゃまくん」と並ぶコロコロの看板だった。
四コマ漫画にしたのもある意味英断だ。愛犬のペスを「捨て犬」として拾わせて、与えられる餌を混じって一緒に食おうとするハゲ丸のアウトローな生き方が「小学生の持つ無自覚な悪意」と共振して(笑)ヒット作になり、調子に乗ってアニメ化までされてしまった。
ただ、大人になってから読むと笑えないと思う。小学生の感性には合ってもその小学生が「大人」になってしまうと・・・やはりね・・。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-07-03 09:20:59] [修正:2022-05-06 14:19:23] [このレビューのURL]

5点 風光る

同タイトルの野球漫画ではなく「新撰組漫画」のほうですね。

男装した少女が新撰組の一員となって沖田総司と恋仲に・・・・なんていかにも女の子が妄想しそうな展開で、ちょうど大河ドラマも「新撰組」をやっていた関係で相乗効果で一時は話題にもなっていた。
ただ、「壬生の狼」が迫力のないコミカルな集団に成り下がっている感は否めないな。

それに史実で「新撰組」はいずれ時代の動乱の中に徳川幕府と共に滅びていくものだと判っているだけに、どんなに和やかな展開になろうと、沖田との恋が進もうと「嵐の前の静けさ」に過ぎないのだ。
ラストが悲劇的なものと判っているだけに作中で「知らないことになっている」新撰組の面々が憐れでならない。新撰組も維新直前の数年は裏切りと「厳しい掟」による内部粛清の繰り返しだったという。元々、武士ではなく農民崩れの集団が「より武士らしくあろう」とした結果の悲劇だったのだろう。
その悲劇をコメディタッチの作者が描けるとは思えないのだが・・・・。
沖田もいずれは病死・・・・。新撰組も瓦解する。それを知らぬセイは「自分の存在の基盤」を失っても生き抜くことの出来る強さを持っているだろうか?
(完結したので追記)
何と足掛け23年にも渡る「少女漫画版・新撰組顛末記」が完結した最終の45巻。

私はこの漫画を連載開始時から知っているのですが、始まったとき
「男装した女の子が沖田総司と恋仲に」なんていかにも少女漫画的な発想で、こりゃ適当に十数巻で終了だなと思ってました。
事実として、同じことを考えた方は多かったのじゃないかな。
この作品、当初は「沖田とセイの恋」が主題で、「新撰組」自体はメインではなかったはず。
が、連載が進むに連れてこの基本が変わってしまう。
メインのはずの沖田とセイの恋よりも「新撰組自体の栄枯盛衰」がいつの間にかメインとして話が進むようになり、当初の沖田とセイの少女漫画的なやり取りは端へと追いやられることになってしまった。
所謂「主客転倒」が起きた珍しい事例である。

背景には前述の連載開始時に一部の読者が抱いた「少女漫画家に新撰組の栄枯盛衰の悲哀」を描けるわけが無いというある意味「挑発にも似た渡辺先生への侮り」に対し、先生が「本気でそれを覆してやろうとした」ことだと思う。
何とこの45巻の巻末でご本人が述べているように「1,000を軽く超える文献に実際に当たって読み込み」、「下手な歴史家以上の知識をインプット」することが出来た模様だ!
これは一少女漫画家として「驚異的なレベル」と言ってよく、何せ本人がこの45巻の冒頭のカバーコメントで「自分で自分を(よくやった!と)褒めてやりたい」と手放しで言っているほど。

つまり片手間などではなく本気で取り組み、完全に「少女漫画レベルを軽く超越する題材の研究をした」ところまで到達してしまったようだ。
その結果、当初は十数巻でお茶を濁すことも出来たはずの作品を全45巻・23年の年月を掛けて描き、一応(最後の沖田の死亡後がやや駆け足でダイジェスト的にはなったものの)新撰組の栄枯盛衰を描き切ることが出来たのだ!

但し、問題として前述の「主客転倒」が起きた為、当初から「沖田とセイの少女漫画的なラブロマンス」として作品を見ていた多くの女性読者が期待していた方向とは作品として全く異なる着地をしてしまったのだ。

以下「何でこうなった?」の疑問点が挙がっている。
1.沖田との間に子供が生まれず、何で土方との間に子供が出来るの?
→沖田はそもそも重病で子作りは出来ない。結婚した時点で沖田もセイも子供を望むことは無理だとお互いに理解していたはず。よって、沖田の子供をセイが産むことは出来ない。その時点で沖田死後のセイが後を追うことは予想できる。それを回避するのが「代理父」ということでの土方になるわけだが、もう新撰組の面々も多数が戦死しており、主要な生存者は土方しかいなかったので消去法になった面は否めない。子供作ってやるから生きろ!で強姦するのは現代的な価値観で見ると不自然だが、江戸時代の価値観は現代とは違うはずで、女性蔑視が感じられたとしても時代からすればむしろ普通という面はあるはずだ。沖田の死後、1年以上経過してからの妊娠の発覚であるので、沖田との子供でないことは間違いない。

2.散々、男になろうとしていたセイが結局は「女」に戻ってしまうのでは意味が無い。
→これについては「時代が明治と言う新しい世の中に変わった」ことが答えだと考える。江戸時代は「男尊女卑」で女性の地位が低かった。だが、江戸時代が終わり明治の代になって、これからは「女性であっても身を立てていける時代」となった。だから、新しい時代に生きるセイはもう「男に拘る必要性もなくなった」ということだろう。

3.何で土方が父親なのにセイの産んだ男の子が沖田に似ているの。
→これはもう、死んだ沖田の執念か、嫌がらせ(土方に対する)としか・・・(笑)。自分の最愛の女性と子作りさせてあげたのだから「土方さんはそれで十分でしょ。だから子供は私に似るようにしますね(笑)。」ということとしか考えられん。沖田の魂が生まれた男の子に乗り移ったのだろう。

こうしてセイは明治の世を無理矢理生き抜かされることになるが、私はセイはその後も明治・大正と行き続け、最終的には「昭和天皇の即位」を目撃して昭和の初期に孫を抱くまで生存できたと見る。
それはつまり「新撰組最後の一人(生き残り)になった」という意味であり、土方がセイに与えた「罰」にもなるということだろう。
即ち「新撰組最後の一人となって、世の移り変わりを見届けよ。」という、ある意味「最も重い罰」を最後の最後に土方はセイに与えたとも解釈できる。
なので、作品として「少女漫画版・新撰組顛末記」と見るなら「星5つ」で十分だと思う。
但し、前述のように本来の「沖田とセイのラブロマンス」を期待していた多くの読者を省みなくなったので、そちらを期待していた読者の評価が低くなるのもまた当然だと思います。
上手くバランスを取れなかったのか?いや、バランス取ろうとすると結局「どっち付かず」になるのが常。
ある意味「私は少女漫画版・新撰組顛末記を描きたかったのよ」が先生の回答だろう。

この45巻でむしろ不満に感じるとしたら前述の内容ではなく
・「沖田の死後がダイジェスト版のように省略されている感がする」点。
・「巻末に変などうでもいい番外編」が入っている点。
の2つだと思います。
番外編なんて入れるくらいなら、もっと沖田の死後の新撰組を丁寧に描いたほうが良かったでしょう。
或いは番外編を入れるなら「その後のセイの人生」を描き、私が予想したように孫を抱いて「昭和の到来を目撃する」ような話にしたほうが良かったと思います。

とにもかくにも、連載開始時に私が抱いた「新撰組の栄枯盛衰を描けるわけない。」という予想は覆された。
その点だけは全45巻の大長編の完結を以って「間違いない」と保証したい。

セイ視点で見るとこの「風光る」とはどんな物語なのか?
様々な解釈があるだろうが、私は「セイの男運の悪さの遍歴」に尽きると思う。
セイが頼りに思ったり、信頼を寄せたり、恋愛感情を抱いた男は悉くセイを置いて遠くにいってしまう(大抵の場合は死亡する)のだ。これはセイの父親と兄も含めての話である。そしてセイは一人ぼっちになってしまうのだ。
セイ自身も45巻で遂にそんな自らの境遇と運命に耐えられなくなって、自殺を考えるようなところまで追い詰められてしまう。
が、この土壇場、最後の最後で「遂にセイを置いていかず、終生セイに寄り添ってくれる男性」が一人だけセイの傍に残ってくれることになったのだ!それがセイの胎内から生まれ出た一人息子の「誠」だったという皮肉な話。
この「男」だけは、セイの傍から離れず臨終の時までセイを大切にしてくれることになる。
セイにとって「自分の傍に寄り添ってくれる唯一の男性」が、「血を分けた実子の息子」は全くの想定外で、そもそも沖田と子供が作れず沖田と死別してから「子供を産む」など考えもしていなかっただろう。
こうしてセイを付きまとった「男運の悪さ」を最後の最後で振り払い、セイは寄り添ってくれた息子の為だけに自死を思い止まって生き続ける道を選んだのだ。
それを理解して本編のラストシーンのセイの笑顔を見れば、この物語が「紛れも無いハッピーエンド」であると判るはずだ。

真に「人生とはままならず(思い通りにはいかず)、望んだものは追い求めても手に入らず、絶望して自暴自棄となり、死を選ぼうとしたその時、あれほど手に入れたいと思って手に入れられなかったものがアッサリと手に入れることができた。」
人生のままならさを味わいつつ、それでも「幸運は確かにあった」と感じるセイ。
一応、誠は「富永家の跡取り」になるので、セイとしては亡き父・母・兄に対しても「申し訳が立つようになった」ことも忘れてはならない。時代劇の「水戸黄門風」に言うと「亡くなったお父上、お母上、兄上もきっと草場の陰で喜んでいることでしょうな。(BY黄門様)」という状況ね。(あれ?「土方姓」は名乗らせないの?と思うでしょうが、「土方家の跡取りではない」、という点がセイなりの土方への「仕返し」でしょう。これは「強姦されて妊娠させられたことへの仕返し」ではなく、「最後の最後に仲間だと信じていた新撰組から、お前は女だから俺達の仲間じゃない!と放逐されたことへの怒りと恨みつらみ(笑)による仕返し」でしょう。セイとしては「それくらいの仕返し」は当然しないとという話だ。)

最後にラストに不満のある方に言うとしたら
「この作品は、セイが沖田の後を追って死ななかったことのみを以って良しとすればよい。」ということかな。
自殺するセイも戦場で男として討ち死にするセイも見なくて済んだだけで十分でしょう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-12 20:00:56] [修正:2022-05-06 14:00:34] [このレビューのURL]

週刊少年ジャンプ打ち切り漫画作品の中で「斬(ざん)」程は酷くはないが有名なのはタイトルのせいかも。

レースを題材とした作品だが、絵がとにかく未熟で背景が少なく描きこみ不足が顕著。
ジャンプの読者層ともレースという題材がミスマッチのような気がするし、実力不足は顕著。
これで連載させるのは人材が育っていなかった証拠ですかね?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-05-06 13:48:49] [修正:2022-05-06 13:48:49] [このレビューのURL]

0点

まず絵がプロレベルに達していない。それでも物語や舞台設定に魅力があれば違うであろうが、
その舞台設定や物語を冒頭に主人公が本を朗読しながら説明するって何ですか?

しかも「明らかに日本語の使い方のおかしい箇所」がチラホラ見受けられます。
だから読んでて喉に魚の小骨が引っ掛かったような納得できない感じがします。

「???」と言うような訳分からんクエスチョンマークが頭に浮かぶような。

打ち切られたのは当然でしょう。ジャンプ編集部が連載にOK出したのが謎。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-09-01 13:00:31] [修正:2022-05-06 13:47:09] [このレビューのURL]