「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

歴史大河ギャグ漫画とでも呼ぶべきか。

「幕末の英雄たちの活躍を描くために」その原因となった大本を辿っていくことからスタートしたら関ヶ原の戦いからになってしまった(笑)
「関ヶ原の戦い」以降の日本史の登場人物たちを全員ギャグキャラにしてコテコテのお笑いを連発させる手段が冴え渡る。

内容は深謀にして詳細。ハッキリ言って実在の人間の歴史的事実をここまで詳しく描けた書物を他に知らない。
特に他の歴史漫画ではまず扱わないであろう「田沼時代からペリー来航の直前まで」の詳しい描写には舌を巻くばかりだ。
全部のギャグの元ネタが判ったらスゴイが、判らなくても楽しめるのはもっとスゴイ。

日本史好きは必読と断言します。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-12-04 15:27:53] [修正:2010-12-04 15:27:53] [このレビューのURL]

弓月先生は昔は少女漫画なんか描いてた頃もあったんですが、それから歳月が経ちいつの間にやら「方向転換」ですかな。

掲載している雑誌が青年誌ということもあるんだけれど、エロでダラダラと長期連載している感が否めない。
そんな15年以上も続けるような作品(!)ではないはずなのだが、掲載誌自体がたいしたことないので、「この程度の作品」が看板みたいな扱いになってしまっているのだろう。

長期連載は「引き際」が難しいのだが、これはたとえ上手く終わらせられていたとしても大した評価は付かなかったことだけは確実でしょう。勿論、引き延ばしの現在はさらにダメです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-11-27 11:20:45] [修正:2010-11-27 11:20:45] [このレビューのURL]

「ドラゴン・ボール」と並ぶ鳥山先生の代表作。
「ペンギン村」という架空の世界で繰り広げられる個性的な登場人物たちによるSFコメディ。

ジャンプ黄金期を支えた作家の中でも鳥山先生は作家としての画力とセンスは群を抜いていたことが良く判る。宮下あきら・高橋陽一・車田正美等いずれも「ヒット作」はあるも、「その作品」しか描けないため、後に自分の作品をリバイバルしたりして食い繋ぐしかなかった。しかし、鳥山先生はそんな事をする必要も無いほどに「絵描き」としての実力が突出している。

作品として完璧なほどの世界観の構築がされていることに驚く。連続したストーリーではなく、基本的には1話完結なので、鳥山先生の弱点である「先を見据えたストーリー展開ができない」ことも目立たない。
一時期「ウンチ」が多数登場・・・は普通の漫画なら「下品」「低俗」で終わるはずなのに、なぜか鳥山先生の温かみのある絵柄はそれを意識させないという稀有な才能。

こんな素晴らしい才能を後に「ドラゴン・ボール」の引き伸ばしで食い尽くした「ジャンプ編集部」の大罪を許すまじ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-11-23 12:52:44] [修正:2010-11-23 12:52:44] [このレビューのURL]

前世から現世と移り変わっても続く7人の男女の愛憎劇・・・。

同じ場面も視点を入れ替えることによって、そして夢を利用して度々「前世」と「現世」とをリンクさせることで話を盛り上げ感動的な展開を演出している。
登場人物を役者とするならば、男優がそして女優が極上の「演技」を見せ、時に叫び、時に罵り、時に泣くことで現実を超えたドラマチックな展開を紡いでいく。

作者自身「全く先のことを考えずに描き始めた」というのに、最終的に何の「破綻」も「矛盾」もなく終わらせた手腕は天才的。
画の美しさも特筆で幻想的な雰囲気が作風と良く合っている。
少女漫画に留まらず、SFファンタジーでは1・2を争うであろう傑作。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-11-21 19:04:52] [修正:2010-11-21 19:04:52] [このレビューのURL]

読み切りで最初に連載された短編のコメディ調の雰囲気は少女漫画にしては珍しいくらいの男性でも読みやすい漫画。
「見得」と「他者からの羨望の眼差し」だけが生き甲斐だった雪野が有馬と出会って、恋を知り愛へとステップアップしていく過程は決して平坦な道のりではなかった。
そこに周囲の友人たちの存在が加わり、当初は敵対関係だった相手でさえも「雨が降った後には」頼れる味方になった。

連載が続いていく以上、最大の山場が「有馬の過去」であろうことは連載当初から示唆されており、避けては通れない問題だったが、やはり初期のコメディ路線は影を潜めシリアスな展開の数々は正直見てて息苦しかった。
能力や個性ではどの登場人物も優れていたという漫画も珍しいが、彼らは彼女らは皆「それ以外の大切なもの」を求め、悩み、葛藤し、激しくのたうった。いつも常に前向きな気持ちを失わなかった。だからこそ全ての登場人物が大きく成長できたのだと思う。決して能力の高さだけで手に入れた幸せではない。

最終回のラストで「ああ 面白かった。疲れた-」って言って死ぬのが夢なんだという雪野のセリフ。
手に入れた幸せも永遠のものではなく、「いつか終わりが来るもの」と意識して生きていることがよく分かった。別れを恐れない強さは多くの愛を知っている故ではないかなとも思うのです。

ただ・・・成功・成功ばかりの仲間たちの人生は読んでる側には薄っペらいと感じられるのは確かだし、前半と後半の雰囲気がまるで別物なので初期の作風に惚れた多くの人をガッカリさせたことは否めまい。

津田先生は「長編」より「短編」のほうが上手い方ですね。
長編になると「初連載」というハンデを除いても「風呂敷を上手くたため切れていない」。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-11-18 23:51:57] [修正:2010-11-18 23:51:57] [このレビューのURL]

高校野球漫画ですが、主人公が「監督」なのは他に類を見ないかも。
かつての球児として母校を引っ張りながらも、審判の判定に不服を唱えて暴力事件の末に学校を去った主人公。
詐欺同然の商品を売るセールスマンとして頭角を現しながらも、罠に嵌められて気が付けば留置所の中。
そんな彼を救ったのは、今は母校の校長となっていたかつての野球部の監督。
校長は見る影もなく、廃部寸前の母校の野球部の建て直しのために彼を監督に招聘しようとしていた。

試合の場面よりも練習や高校野球の舞台裏を重視した構成になっています。
選手の他県からの野球留学。父母会や高野連との軋轢。高校野球の利権を食いものにしようとする大人の欲望。
そういった裏舞台を描くことで、爽やかさなどは廃し、リアルさを前面に押し出した展開となっています。

選手がその分、地味で印象に残らないのが難点なのですが、目的は「甲子園出場」と絞られた分、緊張感高まりました。
野球漫画としては非常に出来のいい部類かと思われます。
作者の画は「浦沢先生の画(初期)」に似ています。
だから青年誌連載といえども非常に見やすく、読みやすいのです。
野球漫画好きなら目を通しておいて損なしです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-10-31 13:58:35] [修正:2010-10-31 13:58:35] [このレビューのURL]

パワーとムチャクチャさにおいては前作「お父さんは心配性」を超えたあーみん三部作の第2弾。

変態忍者3人組(←と、書いたけどホントの意味での危険人物は「極丸」のみ。極丸と比較すれば「危脳丸」はまだ可愛いもんだ。満丸は無害。)にいつも手を焼かされる師匠が憐れでならない。面白いんだけどね。

特に面白かった回は・・・・
一.1巻。夏休みの計画表を作るも極丸はお姫様と結婚する予定を立てていて、それを阻止しようとする師匠と他の2人は極丸の挑発に乗って「予定通りに行動しながら、極丸を追いかける事に」。三味線を奏でながらの追撃(笑)とか、座禅を組みながらの疾走とか、有り得ない・・・(笑)。最後はキリシタンの神父を助けての大団円(笑)・・・・・って、どうやったら「そういうオチ」に結び付くんだ(笑)、という疑問はどうぞ実際に見れば全て分かります(笑)。
二.1巻。危脳丸が「奇病・さしすせ疽」に冒される話。「さしすせ疽」を顔にして身体測定のピンチを乗り切ろうとする展開に爆笑しました。
三.1巻。白鳥城のお殿様の誕生会で唐突に登場してテーマソングを歌う作者「あ?みん」。「原稿料あげろ -っ」「しめきり延ばせーっ」「毎年友だちがお盆の時にしめきりなんてあんまりだーイェーイ」(笑)と か自らの窮地をネタにしてしまう自虐的な作りに感動。
四.2巻。突然登場して準レギュラー化した「元・ニセ歯医者改めニセ商売人」の出てくる回はどれも最高で した。ターミネーターが危脳丸よりも偉くなった途端、先輩風を吹かせて危脳丸イビリを始める・・とかも、掌の返し具合がたまりません。

3巻はややパワーダウンか。最終回の前の話で「ターミネーター」が死ぬなんてシリアス展開になったのに・・・師匠とお姫様は全然、悲しんだ描写が無いまま放置された(笑)。最後の最後で「実は生きてた・・」って前回の感動(?)が台無し(笑)。しかも最終ページは「3人組」として紹介されてターミネーターはやっぱり無視(笑)。

作者は「変態漫画家」扱いにイヤ気が差して、筆を折ってしまわれたそうですね・・・。少女誌でこんな「破壊的なギャグ漫画」を描いていた方は・・・・記憶に無いです。後に続く方もいないでしょう。そこに「岡田氏の非凡さ」を見たいのだが・・・。全3巻は短いですが、これは間違いなく「買い」です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-12 20:33:09] [修正:2010-09-12 20:33:09] [このレビューのURL]

5点 ONE PIECE

今更ながらだが、「ワンピ」の評価を。

現在のジャンプの看板作品。確かに絵も上手いほうだと思うのだけれど、最近は初期と比して「描きこみ過ぎ」で返って見辛くなっているような印象も受けます。

それと、長い。
伏線を山ほど張っているのは判るのですが、それが一体いつ解決するのか?
ホントに全ての伏線を回収し切れるのか?そして、完結まであと何巻費やすのか?
・・・等、疑問が次々と上がってくる。下手したら80巻くらいはいくんじゃないのか?


で、現在の長期連載が最初から作者の予定の範疇だったのか、それともジャンプお得意の編集部の都合による「引き延ばし」によるものなのか?で、評価は変わってくると思う。

仮に前者なら完結に向けてまだ何とかやっていけそうだが、後者だとしたら破綻は時間の問題だろう。
ジャンプは、鳥山先生の才能を食い潰した轍をまた踏もうとしているのかと思うと、全く懲りない体質に嫌気が差してくる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-12 20:11:20] [修正:2010-09-12 20:11:20] [このレビューのURL]

フランス革命について知りたければこの漫画を読め、という位に世間で認知されている古典的名作。

男装の麗人を主人公とするところはいかにも少女漫画だが、内容は繊細にして深謀。
太陽王・ルイ十四世を頂点とするブルボン王朝の斜陽期に皇太子・ルイ十六世に嫁いだオーストリア皇女にして女帝マリア・テレジアの娘、マリー・アントワネットの数奇な生涯を描く。
アントワネットの浪費だけが、フランス財政を破綻させたわけではなく、財政不振はルイ十五世時代から続いていた慢性的なものだったのだが、彼女は特権階級を憎む民衆からその象徴のように捉えられていたためより憎まれていたということだろう。
ただこの漫画から学んだのは「失敗には普遍性があるけれど、成功には普遍性はない」ということ。
時代や場所に違いはあれど、失敗する要素には共通点があるということだ。
「浪費」「専横」「無知」「女」「戦争」・・・・いずれも「大きな力」を持つほどに責任が重くなり、その責務を認識できぬ者には歴史は情け・容赦なく鞭を打ってきた。
これに対して成功する人間というのは「とんでもないやり方」で成功していく人間が出てくるからな・・。
現代に生きる我々も決して落ちてはならない「落とし穴」と認識しよう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-31 07:46:07] [修正:2010-07-31 07:46:07] [このレビューのURL]

原作の面白さは言わずもがなですが、大人になった今改めて読み直してみると、秘密道具のネーミングなんてホント「ダジャレのオンパレード」ですよね(笑)。
Y字型のロウソクで「Yロウ(賄賂)」とか(笑)、飲むと冒険が次々と体験できる「アドベン茶(アドベンチャー)」とか(笑)。馬鹿馬鹿しいけど藤子先生のこのセンスが結構好きだったりします。「以前に登場した道具を使えば回避できるピンチがいくつもあるのに・・・」と考えたことは多々あれど(笑)、秘密道具の名称が各話のタイトルになっている以上、各話において「それ以外の道具」を使用するのは基本的に反則となりますので(笑)、見て見ぬふりをする義務が(笑)あります。

映画版の大長編は普段は敵役の「スネ夫」と「ジャイアン」が味方というところが大きなポイントであり大きな謎(笑)。レギュラー陣に「出来杉君」を加えれば大幅な戦力アップが計れたのに、それをやってしまうと他のメンバーの出番がなくなるので(下手したらドラえもんも要らなくなってしまう)できなかった(笑)
それにしても「大長編シリーズ」も最初は陸・海・空(宇宙)と舞台のネタに苦労しなかったのに、「のび太と竜の騎士」で地底世界を舞台にした話を展開したら、その後は舞台に苦労するようになってしまったなという印象が強い。藤子先生が亡くなった後も大長編だけは原作が続いたがハッキリ言って「駄作」。
最期に「のび太とパラレル西遊記」だけ原作漫画がないのは惜しいと思います。
何でないのでしたっけ?。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-31 07:38:06] [修正:2010-07-31 07:38:06] [このレビューのURL]