「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

「りぼん」連載の作者の自伝的な日常漫画。

静岡県の清水市を舞台にしている模様。
最初は物語の展開に対して「自分で突っ込みを入れていく」という手法が珍しく、それが非常に面白かった。

だが、段々と人気が出て連載が長期化・アニメ化までされるようになったら、話が作者の昔の体験談ではなく、完全にオリジナルの創作にシフト。
そうしたら明らかに面白さがダウンしました。

漫画も続けるだけ続けたけど、そろそろ惰性になってきたかと思われたところで連載終了。但し、アニメは「サザエさん状態」となり、年をとらない主人公たち登場人物の活躍が延々とループすることになりました。

このヒットが意外なのは「りぼん」出身で、特に絵も上手くない著者が
「一番の出世頭になった」点だと思います。

矢沢あり・吉住渉・水沢めぐみ・柊あおい・池野恋という同時期活躍のメンバーでさえここまでのヒットは飛ばしていない。
「伏兵」の名に相応しいが、今やこちらが「本命」だ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-01-09 14:32:14] [修正:2012-01-09 14:32:14] [このレビューのURL]

作者の愚行と作品の内容は分けて考えるべきなのかもしれませんが、絵の汚さは見るに耐えません。

これも「所詮は低年齢向き(それも男の子のみ)」なので、ある程度の年齢を超えた人間が真剣に読むようなものではない。打ち切りは当然で喜ぶべきことだったと思うのだが、何を狂ったのか単行本が再販売され始めた。
あの打ち切りは何だったの?「青少年への影響を考えて」「事件を重大と認識して」が聞いて呆れる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-01-07 00:03:03] [修正:2012-01-07 00:03:03] [このレビューのURL]

戦国時代の合戦史上でも毛利元就の「厳島の戦い」、武田信玄と上杉謙信の「川中島の戦い」と並ぶ三大合戦にも挙げられている
「桶狭間の戦い」に至るまでの道筋を駿河の今川義元側を中心とした視点で描いていくというこれまでにない作品。

他の方も言われていることだが、信長に討たれたために今川義元に対する後世の評価は厳しく、
「徳川家康」以前の「東海道一の弓取り」が、「凡将」あるいは酷いものになると「愚将」とさえ言われかねない程。
今川義元の実像については「誤解」ばかりが広く喧伝されてしまっているともいえる。

曰く「胴長短足の風体で、馬にも満足に乗れず輿に乗っていた」
曰く「京都の公家のような格好をしており、お歯黒を付けていた」
曰く「大軍で行軍しながら油断して信長に討たれた」等。
これらの多くは後世の創作による逸話らしい。それが信長を賞賛するための踏み台とされて、あまりにも広く世に喧伝されてしまった。

そんな義元は今川家の分国法に当たる「仮名目録」を定めた父・氏親の五男として誕生し、決して将来を約束された身ではなかったが、
この義元の教育係を務めたのが京都から今川家に招かれていた「大原雪斎」に教育を受け、武将としての資質が覚醒していく。
父・氏親が死去した後に家督を相続した兄・氏輝が病弱で、ほどなく死去した後に起こった家督争いで側室の子供である兄を成敗して、
ようやく歴史の表舞台に登場する。

一方、隣国の尾張国でも「津島」「熱田」という商人・寺社勢力を取り込んで勢力を拡大させつつあった男がいた。
織田信長の父「織田信秀」である。この信秀と義元は度々干戈を交えているのだが、決着を付けることなく信秀は病死し、
因縁は息子の信長に引継がれていく。

一般的に義元の西への行軍は京都に上洛して天下に号令するためであったとする説だが、その割に道中の浅井氏・六角氏・北畠氏などに対する
外交の形跡が見られないため、将来的な布石かはともかく、この作品で語られているような「単なる領土拡大のための侵攻」だった模様だ。

いわば義元・信長共に「戦国大名」としての脱皮の末の「桶狭間合戦」という位置付けである。
けれど、軍師「大原雪斎」存命ならば、義元の命運もまた違ったであろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-01-04 22:11:13] [修正:2012-01-04 22:11:13] [このレビューのURL]

車田先生の原作で前フリがされていた前聖戦でのペガサスとハーデスの因縁を描く、聖矢のアナザーストーリー。
舞台を前作から遡ること2世紀。18世紀の欧州で、冥王・ハーデスの復活の兆しが見え始める頃。
孤児院で暮らす3人の少年・少女たちがいた・・・・・・。

絵が車田先生よりも繊細且つ細かいのですが、「エピソードG」の作者よりもよほど丁寧かつ上手いです。
車田先生の原作ではハーデス軍の「108星」いるというスペクターの大半が未登場だったり、自己紹介もなくやられたりしていたのですが、
この作品でしっかりと登場を果たしてくれるのは嬉しい限りです。
勿論、巻末の「分解装着図」も新規で多数追加。

物語としてはゴールドセイントたちの出番が非常に多く、
結末としては「牡羊座」と「天秤座」の2名しか生き残れないと前作から知れているのですが、
彼らがそれぞれ具体的にどのような最後を迎えたのかが判ります。

バトルがメインで文字数がページに少ないため、かなり早いスピードで読めてしまうのも特徴です。
少なくとも「同人漫画」レベルではありません。
本家とは別の立ち居地は既に獲得済みと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-03 09:28:09] [修正:2012-01-03 09:57:54] [このレビューのURL]

6点 BILLY BAT

浦沢先生の最新作。

今回は戦後の1947年を舞台に国鉄総裁「下山定則」の轢死にまつわる、所謂「下山事件」を縦軸に日系2世の漫画家「ケビン・ヤマガタ」を語り部として紡がれる。

乗っけからの引き込みの数々の謎の散りばめかたは見事。
けれど、浦沢氏の作品はこの散りばめたいくつもの謎が終局に向かって集結してくる段階で
謎同士が「頭をぶつけ合ってごっつんこ、ごっつんこしてしまう」ことが多い!

つまり仲良く最終の頂まで駆け上る仲間として並列して存在し合えないのですね。
だから最後付近で交通渋滞を起こしてグダグダなまま終了・・・というケース多し!

この作品もスタートダッシュは見事だが、多くのファンが心配しているのはそこだろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-25 08:20:24] [修正:2012-01-03 09:57:01] [このレビューのURL]

「うしおととら」と比較すると、どうしても見劣りしてしまいますね。
「うしおととら」のときのように素直に感動出来ないシーンが多いです。

鳴海がゾナハ病の発作を抑えるために、無理矢理にでも相手を「笑わさなければいけない」という設定にそれが象徴されていると思います。話の流れの中で素直に感動を受けるのではなく、強引に感動させられるような展開の数々・・・・。勝が属していたサーカスもそうです。「集団」としての存在意義が、人を自然と楽しませるのではなく、意図的に「人を楽しませようとすること」が目的というところに顕著。

主人公が別行動をとっているので展開が遅いのも難点です。鳴海の成長が比較的自然な流れなのに対して、勝の成長は強引。黒賀村でのモテまくりも解せません。小学生に中・高校生の女子が夢中になったりなんて山田南平先生の「オトナになる方法」だけで十分でしょう・・・・って感じですよ。ホント。

なにせ前作でいきなり「歴代漫画の頂点を極めるような作品」を出してしまったため、いくら藤田先生でもそれを超えるような作品を描くのは難しいだろうなと思っていました。だから他の漫画家たちのような、才能の枯渇が原因で「トンデモナイ駄作」になっていないだけでも十分評価出来ると考えたほうがいいですね。20巻以上続いているヒット作を2本持っている作家だって珍しいはずですし。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-31 07:29:52] [修正:2012-01-03 09:56:23] [このレビューのURL]

故・石ノ森章太郎先生のライフワークと呼んで差し支えのない大作。

死の商人グループ「黒い幽霊団」によって世界の各地からさらわれた九人の男女。
新時代の戦闘要員としてサイボーグとされた彼らが自由と平和を求め反乱を起こす。
世界各地で起こる戦争・紛争の影で暗躍する「黒い幽霊団」との果てしない戦いが続く・・・。

前半は「黒い幽霊団」との戦いだったが、後半は神話・伝承へと話がシフトしていったために話が難解になったのが難点か。名シーンはやはり「地下帝国ヨミ編」のラストを挙げざろうえない。
宇宙に飛び去った「黒い幽霊団」を葬るために単身送り込まれた009。そして、009を救出するために宇宙に向けて飛ぶ002は「もう間に合わない」と叫ぶ001に言う。
「間に合わない・・・・かもしれない・・しかし、苦楽を共にした仲間を見捨てるわけにはいかない・・・最後の一秒までチャンスにしがみ付いてやる。そして、その一秒が過ぎたら・・そのときはどうか神よお力添えを。生まれて初めてあなたに祈ります・・・」
スラム育ちの002が生まれて初めて神を信じる瞬間が印象的。

引力圏を脱出した002は009を爆発の中から救いだすが、ロケットの燃料不足から大気圏突入を余儀なくされる。009は自分を見捨てるよに懇願するが、002はそれを拒絶し2人は流れ星となって地球に落ちていく・・・。002は009に聞く「ジョー、君は何処に落ちたい?」
そして地球では2人の姉弟が落ちていく「流れ星」を見ていた・・・・。
姉は流れ星に願いをかける「世界中の人々が争うことなく、平和に暮らせるように」と。

完璧だ・・・。ここで終わっていたら文句の付けようがなかったのだが

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-12-11 17:59:52] [修正:2012-01-03 09:44:19] [このレビューのURL]

漫画家を目指す方には必読とも言える藤子先生の自伝的作品。

それにしても、上京して手塚先生に続く形で「トキワ荘」に集まった面々は後の漫画界の重鎮ばかり。
赤塚不二雄と石ノ森章太郎の両先生がコンビを組んでたことがあったなんて、この漫画で知った。

次々と起こる事件も、漫画を中心としながらも「青春ストーリー」として悪くなかった。
プロになった後に原稿を落とされたことがあったんですね・・・藤子先生ですらも。

みんなが売れっ子になって成功・成功ばかり・・・かと思いきや、トキワ荘で仲間たちのリーダーだった「テラさん」こと、寺田ヒロオが不遇なまま終わったというのが・・・何とも・・・。

どうもアシスタントを大量に雇って、大量生産していくという編集側の方式を寺田さんは受け入れられなかったことに端を発するらしい。
商業主義に対する反発・・・・。
「漫画は子供たちに読ませるに正しいものではなくてはいけない」
と考えていたという寺田ヒロオの主張は、決して間違ってはいないと思えるだけに一層、今の世の中にこそその「志」が受け継がれていて欲しいと思えてならない。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-31 07:16:01] [修正:2012-01-03 09:39:23] [このレビューのURL]

7点 YAIBA

確か小学館漫画賞を受賞していたと思ったのだけれど、そのときの審査員のひとりにあの「石ノ森章太郎」先生がいらっしゃって、面白いと絶賛していましたね。

マンネリ化しているコナンよりもスッキリと終わらせているのも好印象。話としてはもっと続けることだってできたはずだが、敢えてそれをしなかったのだろう。
見所はかぐや編のかぐやとの対決。そして地底王国での戦い。最後にヤマタノオロチ上での鬼丸との決戦を挙げたい。次々と出てくる鬼丸一味の怪人がユーモラスで良い。

ゲッコーが封印を解いた「魔王剣」は武器として出色の存在感があったと思う。
「邪悪な心を吸収して破壊力に転化する」という特性には刃も最後まで苦しめられた。

「かぐや編」では魔王半月剣までの使用に止まったのは、後に「鬼丸」が使用者となったときに最大の「魔王満月剣」を放つという布石だったのですね。

「ヤマタノオロチ」もスケールの大きさではとてつもない存在。日本列島自体が竜になる・・・!という展開も確かに日本列島の形を確かめたら竜ソックリだよな、と妙に納得してしまった。

それを操って世界を焼き尽くそうとする鬼丸のセリフも無茶苦茶な迫力があった!

ただコナンの次作で「YAIBA2」とかやり出さないかが唯一の不安点。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-11-06 00:25:49] [修正:2011-11-06 00:25:49] [このレビューのURL]

幕末の日本。腐敗する幕府の中にも逸材はいた。勝海舟が幕引き役を務めたことは知られている。
榎本武揚は幕府残存勢力を率いて函館に転進。五稜郭で最後まで抗戦し続けた。

だが、その影で一人の武士の存在が歴史の闇に消されていた。
幕臣・小栗上野介忠順その人である。
幼い頃から神童と名高き二千五百石取りの直参の旗本の出。海舟に比すれば家柄は比べるべくもないほどに上。
その海舟とともにアメリカ国へ通商使節団の一行として太平洋を渡った。

当時の日本は開国以来、金が流出し、それが国内の物件高を招き、国益を損なっていた。
小栗はその金との交換比率の改善に心を砕いた。
諸外国に下手に出る風潮が幕府内部に蔓延していたときに、この男は恐れず「No」と言ったのだ。
「ノー!」と言える日本人。それが小栗という男だった。

だが・・・海舟とは元々の身分の違いもあったのだが、あくまで幕府の臣であろうとする小栗とでは反りが合わなかったらしい。
この作品でも海舟は小栗の実力を認めながらも、決して好んではいないという描かれ方をされております。
また、対馬がロシア船に占拠されて島民が殺害された等のエピソードはこの作品を読むまで知りませんでした。

反幕府勢力としては薩摩藩とは当初は強調体制だったためか、関係を描かれている場面が多く、
逆に「長州藩」や「土佐藩」「会津藩」は少なめです。
しかし・・・上野介の顔が全然残っている写真と似ておりませんな。
実際はもっと若々しかったようですが・・・・・・・・・・・・・。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-10-27 23:28:29] [修正:2011-10-27 23:28:29] [このレビューのURL]