「gundam22v」さんのページ

歴史を題材にした2短編の漫画です。
両編は別物のようで、戦国→太平の世という時代
の移り変わりを巡る人々という点では共通性があり、
それは現代にも通じる非常に良いテーマだと思います。

この作品の特筆すべき素晴らしさは題材が史実にそれなりに
忠実なのに(脚色もありますが、作者の勉強の深さが分かります)
、先が読めない・面白いという条件を充たしたマイナー
的分野(メジャー分野では知り過ぎているので薄れる)からのチョイスが絶妙であることです。

前者は佐竹氏が関が原敗北後から、現在の秋田市を作り上げた
人事、土地の革新が題材で、そこで繰り広げられる人間模様
、世代対立、知略戦が本当に面白いです。後者より話の深み
という点では上なのではないかと思います。
綺麗ごとではないまさに雪の峠を越えるような痛み、辛さが
が実感できるものでした。

後者はそれに比べると落ちますが、少女ハルナと疋田
文五朗(史上最強とも言われる師上泉よりはマイナーですが、
かなりの剣豪)の交流の面白さや、それが剣が兵道からスポーツ
化して行く過程が描かれる良い作りでした。

キャラ魅力はこちらの方が出せてたのではないかと思います。
疋田文五朗について興味を持ち色々調べたりしましたし。ラストが史実の名場面、文五朗の伝えられる言動にしっかり繋がる作り、過程、伏線になっています。ただ、こちらは作者の特性上動きある絵が苦手なのに、そういうシーンが多かったことが欠点を感じました。

両方の話が纏まっており、1巻作品では最高クラスに
面白い作品なのではないかと思います。読んでいない人には是非
おすすめです。

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[投稿:2011-01-22 05:14:05] [修正:2011-01-22 05:14:05]

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