「gundam22v」さんのページ

総レビュー数: 644レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年12月06日

7点

画力も表現も及第点で、基本一話完結の構成も良く出来た
山岳救助漫画です。5巻くらいまでは話題になって、賞貰えるだけ
あるなと質が相当高く印象に残る山の厳しさを物語る救助
話でした。助けられない人間の数が多いのもリアルで心に
残ります。主人公の三歩の底抜けに明るく優しいがときに
厳しさや暗さを内包、天然かと思ったら緻密な
計算をしている的なキャラが魅力的でこれで物語
を引っ張れてるのはたしかです。シビアな物語も多いのに
緩衝されます。

しばらくしてから人情話、周辺キャラ話にシフトして、それはそれで今度は山の魅力を語って面白いのですが、最初の頃からするとインパクトで失速したな感は出ますね。
話のパターンもちょっと読めて来るのが増えます。
三歩を他キャラから間接的に語るシーンが中心になったのも熱量が
落ちたかなと。浮世離れした三歩をヒロイン久美が尊敬
して行くものの、山岳救助の師弟的な感じ
に終始して安易に恋愛にならなかったのは良かったですが
(この辺人間関係の機微も広く描けている)。

しかし15巻くらいで三歩の周辺に事件が発生で
酷いことになって衝撃を与え、三歩が限界登山に挑戦するという
最終章になって緊迫感が出てきます。日本アルプスに限定
されていたのが、世界の山へという形ではじまり最終巻で賛否
両論のようですが、また衝撃の結末で物語を終えました(個人的には肯定です。心に残りました)。

もっと巻数絞れたかな、人情話は上手いけどもっと登山の技術論
にも踏み込んでも良かったのではとは思いますが、良作漫画
だったのはたしかです。この漫画を読むと山は良いなと思いますが、シビアな面が濃いので行きたくなくなる気持ちも生じてしまいますね。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-10-27 14:29:45] [修正:2012-10-27 14:33:23] [このレビューのURL]

昔風の絵ですが丁寧かつ出来るだけ軽い感じで刑務所の中
の日常というものを実際
入所した作者が描いており、読んでいて勉強になります
し面白いです。世間から隔離されまくった
謂わば異世界を描くことに終始して、大概この手の作品にある政治色がないのも好感が持てます。

当然ですが無言の圧力的にやはり刑務所の中は
おそろしいという感じも十分描けており、これ読んで
実際入りたいとはとても思えるものでないので、「入りたいな」
的感想を見るとやっぱ首をかしげます。
なんだかんだで囚人もそんなキツくなさそうに見えてみんな出たい
という本音が見え隠れしているのが印象的でした。
全1巻で手に取りやすい本だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-10-20 02:00:34] [修正:2012-10-20 02:00:34] [このレビューのURL]

サッカー漫画は初めてですがこの漫画はかなり良いと思いました。
現実的な度を越えないように意識しつつ(マルコとかたまに
越えているのもありますが)、技術論や戦略の解説が
わかりやすく随所に入って素晴らしいです。

代表合宿辺りからはここまで作者は詳しいのかと思うほどで
展開も一気に盛り上がります。
サッカーのルールを一通り知っている必要は感じましたが
(ここを初心者に説明するコーナーがあればもっと間口が広がった
のに)、それ以上の人にはお薦めです。

全25巻ですが「ファンタジスタ」とは何か、それを如何に
戦術に絡めるかというテーマも
明確に答えを出して、テンポ良く進んで纏まっているのは好評価かと。画力・作風も良い意味でサンデー連載らしく癖がありません。
主人公と変に馴れ合わない近藤みたいな灰汁の強いキャラも描けててキャラの幅広さも感じました。ヒロインが姉という珍しい
作品ですが琴音姉さんは格好良く可愛いです。

ただキャラの入れ替わりが激しい中で読者が
追い続ける主人公の轍平は
魅力が出し切れなかった感じはします(基本キャラはサッカー馬鹿で好感が持てるのに急にキレて喧嘩っぱやくなったり、無駄な挑発・失言をしたりして違和感を感じるシーンがありました)。

物語最初とイタリア編で五輪に入るまで辺りが読めるレベルですがちょっと低調でしたね。キャラの描き分けもちょっと甘かった
感じもしました。
それでも総じてお薦め出来る良作サッカー漫画なのは間違いありません。女性サッカーの活躍が話題になり、男子サッカーも着実に世界と競う力を付けてきている現状ならばもっと多くの人に関心
を持たれても良い作品ではないでしょうか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-10-19 07:59:58] [修正:2012-10-19 08:05:12] [このレビューのURL]

7点 銭ゲバ

金のためなら殺人を含めてなんでもする
成りあがり物語を描いた作品。
先のストーリーが読めない、衝撃的展開とアシュラとの
違いですが構成がしっかりしている感があり話も纏まっています。
現在含めてもここまで荒んだ作品ってそうそうないですね。

公害問題とかこの時代を感じさせますがそれでも興味深かったです。金に振り回される人間の本性や愛に対する餓えなどのメッセージ性はアシュラよりも分かりやすい感じもします。
後者は被りますが。

ただ主人公の殺人がいくらなんでも多すぎますね。ここまで
殺人鬼になると時代が中世で餓えという死活問題が
絡んだアシュラと違い
主人公への共感は難しいと思ってしまいました。
生い立ちは悲惨ですが非難されてしかるべきとなってしまい
ます。
誰でも彼と同じとまで作品は言いますが、そこまでじゃないだろ
という結論にどうしても感じてしまいました。困ったらすぐに
殺すということに話が頼った故にこうなったのではないかと。

作品の完成度はアシュラより上だと思いますがこの部分で
互角かなと思ってしまいました。絵柄や画力の古さの我慢は
前提として当然必要になりますがお薦め出来る作品です。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-10-13 06:35:44] [修正:2012-10-13 06:35:44] [このレビューのURL]

応仁の乱(一番日本が荒廃してた頃かも)時代頃の
日本での人肉食少年が主人公の物語です。
当時発禁になったらしく
生まれ前後から非常にショッキングな描写で…。

映画化で気になって作品調べたら興味湧いたので読んでしまい
ました。画力はさすがにかなり
古い漫画で拙い面はありますが、
描かれたテーマは今の漫画にはないものが見えます。

ストーリーが勢いで描いた部分も大きくてゴチャゴチャ
や超展開(アシュラや母が人外のしぶとさ)していますが、
場面・場面は引きつける演出、セリフが巧みです。

特に法師が真理をついた良いこと言ってるんですよね。
途中からアシュラが人として目覚めたからこそ人を殺して
しまう(餓えだけじゃなく幸せそうな家族を見ると
トラウマ刺激が入って来る。ただし人は食べなくなっている)皮肉な描写。ただ食がないから人を殺すのも仕方ない
じゃないかという話よりもっと深いと感じました(映画は
そこに話を帰結させてしまっています)。

知名度低いですが悲惨な終わり方をした本編後の完結編(別冊
で入手可)まで
読んだ方が良いです。皆のその後や法師の人の道しるべを示した
最期には感動しますしアシュラが
それで救わた終わり方で印象が違いますから(映画は若狭が
その役ねじ込んた感が強く無理があったと思います)。

ヒロインの若狭がヒロインらしくなく、アシュラを救えない
様子、人肉食に堕ちて彼女を聖母視してたアシュラを絶望
させるシーン、二人の男の間で迷って愛より利をとる(そう批判できないと思います。それほど食は深刻ですし)描写も古い漫画なのにやるなと感じました(映画はここも何故か改変しています)。

拙い点は多々ありますが、映画を見た人も見てない人も是非一度は読んで考えた方が良い漫画かと思います。



ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-10-12 02:01:46] [修正:2012-10-12 02:02:54] [このレビューのURL]

こんな作品よく思いついたなって発想が凄いですよ。
もっと知名度出て欲しい作品ですね。
ツンデレな(ツンデレ要素もありますが
タイトル通り暴れん坊要素の方が強いと思います)清少納言主役のコメディ物語なんて誰が思いつくかと。
キャラが立ち、話として安定感がある日常ものです。平安
文化については毎回解説してて面白かったですね。
トリビア的には勉強になります。

絵柄とキャラ付けとか言葉使いとか行動が現代的に改変して
ますが、一方で当時の本当の風習とか史実との違いとかは4コマでちゃんと解説されています(ある種言い訳ですがこれがあるから史実との違いをちゃんと意識するのは大きいです。4コマ自体が面白い)。枕草子、当時の歌も引用とかで作中出て来ます。
史実じゃ面識がない紫式部なども出て来てどうなるかと心配しましたけど、なんとか噛み合わせて作品に厚みが出ています。

その辺は年代とかイベントとか順番変えたり色々やりながら、話に筋を付けて最終巻の巻末年表みるとそこそこ
拾ってて驚きました。全7巻でダレることなく清少納言の
出仕から引退まで華やかに(史実じゃ最後は暗そうですからこの作風なら改変して良かったです)描いて終わったので高評価が付けられると思います。欲を言えば枕草子が300段越えるくらいあったのだから、もっと引用量を増やした方が清少納言主役としては
良かったかなとは思いました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-09-30 09:21:57] [修正:2012-10-02 17:41:17] [このレビューのURL]

超能力を題材にしたバトル要素ありの定番漫画ですが、
「惑星のさみだれ」は読んでいてどうしても気持ち悪さを
感じた(主人公とヒロインが特に)のに、
こっちは全1巻ということもあり癖が
相当抜けて無難に描かれてたと思います。

相変わらず無意味なパンチラが多過ぎるのは気になりましたが、
設定や展開も1巻でよくここまで詰め込みつつ纏めたと感心
しました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-10-01 16:55:06] [修正:2012-10-01 16:55:06] [このレビューのURL]

めぞん一刻とモロじゃないけど想起させる点が
あるのは欠点ですが、人型パソコンを題材にした人外
との恋愛をテーマにするとなかなか重厚に描いていましたね。
中だるみもなく8巻で終わるのも好ポイント。

絵が上手く、小ネタも面白かったり、ヒロインのちいが
初期データから成長して可愛くなって行くのが微笑ましかった
です。

何より一番引かれたのがそのちいの謎が絵本ネタ絡めて
どんどん分かっていく部分でした。特別なパソコンなのは
最初から示していましたが、ミステリアスに描いて惹きつけます。
少しホラー気味です。

最終的に綺麗に謎が解けますけど、主人公にとっては残酷
な辺りも深いですね。まさかあのスイッチの位置に重大な
意味があったとはW
それでも主人公がちいを受け入れるセリフには感動しました
(ちいを作った人のコンセプトが極端すぎるなとも思いましたが)。
こんな可愛いパソコン居たら恋愛しなくなって今後の人間
が大変だなとか思わせるような生殖不可能なものとの恋愛
の難しさを暗に考えさせるような描写があったのも印象的でした。

たしかこれはアニメ版も見たことありますが出来が良かったです。
ただ最後の伏線回収、演出は原作が圧倒的に上だったので、
アニメだけ見た人も終盤だけはこっちも読んだ方が良いと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-10-01 16:45:09] [修正:2012-10-01 16:48:44] [このレビューのURL]

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