「gundam22v」さんのページ

7点

画力も表現も及第点で、基本一話完結の構成も良く出来た
山岳救助漫画です。5巻くらいまでは話題になって、賞貰えるだけ
あるなと質が相当高く印象に残る山の厳しさを物語る救助
話でした。助けられない人間の数が多いのもリアルで心に
残ります。主人公の三歩の底抜けに明るく優しいがときに
厳しさや暗さを内包、天然かと思ったら緻密な
計算をしている的なキャラが魅力的でこれで物語
を引っ張れてるのはたしかです。シビアな物語も多いのに
緩衝されます。

しばらくしてから人情話、周辺キャラ話にシフトして、それはそれで今度は山の魅力を語って面白いのですが、最初の頃からするとインパクトで失速したな感は出ますね。
話のパターンもちょっと読めて来るのが増えます。
三歩を他キャラから間接的に語るシーンが中心になったのも熱量が
落ちたかなと。浮世離れした三歩をヒロイン久美が尊敬
して行くものの、山岳救助の師弟的な感じ
に終始して安易に恋愛にならなかったのは良かったですが
(この辺人間関係の機微も広く描けている)。

しかし15巻くらいで三歩の周辺に事件が発生で
酷いことになって衝撃を与え、三歩が限界登山に挑戦するという
最終章になって緊迫感が出てきます。日本アルプスに限定
されていたのが、世界の山へという形ではじまり最終巻で賛否
両論のようですが、また衝撃の結末で物語を終えました(個人的には肯定です。心に残りました)。

もっと巻数絞れたかな、人情話は上手いけどもっと登山の技術論
にも踏み込んでも良かったのではとは思いますが、良作漫画
だったのはたしかです。この漫画を読むと山は良いなと思いますが、シビアな面が濃いので行きたくなくなる気持ちも生じてしまいますね。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-10-27 14:29:45] [修正:2012-10-27 14:33:23]

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