「gundam22v」さんのページ

「岳」、「神々の山嶺」と並んで三大登山漫画と呼んで良い作品だと思います。この作品の抜けているところは画力です。現代的で初期から上手くて、途中からは画集レベルになっています。これは登山漫画としてはかなり重要なところかと。三大漫画の中で登山の技術論は巻末に用語解説があるように一番詳しいのではと思います(後半は減って来ましたが)。ストーリーは史実人孤高登山家加藤文太郎を主人公として、現代に彼が産まれたら的にアレンジした感じです。タイトル通りかなり暗い作品ですが、惹きつけられるものがあり、話題も現代だからこその時事が盛りだくさんで先が気になり、読むスピードが速くなりました。
欠点としては時系列が分かりにくいかなり癖の強い表現が多いです。序盤は良い意味で王道的なんですが、すぐに周囲人物に不快・善人っぽいのに一転堕ちてしまう人に溢れて、主人公が孤高どころかいじめ、振り回されている可哀想な人に見えてしまうことですね。「岳」の主人公三歩の方が泰然としてよほど孤高の人ではありました。この辺が人によっては途中で切ってしまってもおかしくないとは思いました。しかし、後半から主人公の理解者も出てきて、作風的にもある程度丸くなったなとは思います。結末も史実とは違いますが、アレンジ舞台設定なので許容出来る加藤文太郎という人物に思いを馳せさせるものでした。

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[投稿:2015-05-22 01:06:57] [修正:2015-05-22 01:22:51]

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