「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

明治初期に幕末の京都で伝説の人斬りとして名を馳せた「緋村抜刀斎」を中心とした新時代になっても続く事件の顛末記。

フィクションだから幕末を舞台にしてしまうと描くのが逆に難しくなってしまうから・・・という理由で
新時代の「明治」を舞台に持ってきた。だから架空の事件をバンバン起こせるし、入れられる。

主人公の過去の人斬りとして倒幕派に加担していたという因縁があちこちで事件の呼び水になるという大まかな話の流れです。
新撰組の生き残り3番隊組長・斉藤一が登場したりと幕末ファンを多く取り込んだと思われます。
但し、2番隊組長・永倉新八は作者本人も登場させたいと言っていたにも関わらず未登場に終わりました。

連載当時に流行していた「エヴァンゲリオン」を作中でキャラのモチーフに何度も使うなど、
作者に初連載作品として「経験の少なさ」「余裕のなさ」を露呈しているかのような箇所が多々見受けられます。

「人誅編」はとにかく暗い話で、薫を殺したような描写を出しておきながら、
「結局は生きていました」で終えてしまったのは作品としての限界でしょうか。

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[投稿:2011-04-17 21:08:29] [修正:2011-04-17 21:08:29] [このレビューのURL]

日本の首相であるところの「小泉ジュンイチロー」(笑)が世界の首脳たちと自国の利益を巡って麻雀でまさかの卓上戦争を繰り広げるというトンデモ漫画。

麻雀漫画は麻雀のルールを知らない人間を読者から排除してしまうという点でそもそもが「特殊ジャンル」の扱いであった。

だが、この漫画は例外で麻雀のルールを知らなくても全く関係なく読めてしまう点がスゴイ!

世界の首脳たちはモロに「現実の人物」(笑)
ロシアのプーチン大統領が、アメリカのブッシュ大統領が、英国のサッチャー首相が、北朝鮮の将軍様(笑)が、超一流の雀士として我等が小泉ジュンイチローの前に立ちはだかるのである。

さらに第二次世界大戦で密かにベルリンを脱出して月に逃れていたナチス総統「アドルフ・ヒトラー」との人類の命運を懸けた対決を余儀なくされる。

漫画史上に他に類を見ないであろう「大胆なコマ使い」こそがこの作品のキモである。
超バトルマージャン&自民党応援作品として「独自の地位」を確立!

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[投稿:2011-04-17 17:37:18] [修正:2011-04-17 17:37:18] [このレビューのURL]

「放浪息子」「青い花」の連載で知られる志村貴子氏の短編集。
「放浪息子」の初期とも言える2004年頃から2009年にかけての漫画になりますので、作品ごとの絵の変化が見て取れます。

彼女の行間を読ませるというか、全てを語らないという手法は「短編」よりも「長編」でこそ発揮されるような気がします。
だから、一編一編はあまり記憶に残らない出来栄えかも。

最近の著書の巻末の後書きに「スケバン風女の子」が度々登場していることから、
次回作でテーマにしようと考えているのかもしれませんね。
要チェック!です。

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[投稿:2011-02-13 20:07:26] [修正:2011-02-13 20:07:26] [このレビューのURL]

本屋で平積みされていて目立っていたので読んでみました。
意外なほどに面白かった。

これといって美人でもなく、取り得もない普通の女子高生の「七美」が高校に入学してから出会った矢野はクラスの中心的存在。
「お調子者」を絵に描いたような彼を当初は苦手に思っていた七美だが、彼が抱える心の傷(昔付き合っていた女性が別の男と事故死した)・複雑な家庭環境を知り、徐々に惹かれていく。

両思いになって付き合い始めるものの、矢野の心にはかつての彼女が居続けて、一度は「別れ」を選ぼうとする七美。
矢野の親友で七美を密かに思い続けていた生真面目な「竹内」も巻き込んでの三角関係。
やっと2人には幸せが・・・と思う間もなく、今度は母子家庭の矢野の母親の離婚による転校・遠距離恋愛、矢野の母親の闘病生活の末の(矢野の言動が引き鉄となっての)自殺・・・・・・・と、「外部からの要因」によって2人は引き離されそうになる。矢野に次々と困難が襲い掛かる中、傍に居て欲しい「七美」はいない。

で、現在は高校・大学を経て「社会人編」に突入中。
それぞれに大人となった中で矢野は行方不明の音信不通。
七美は自分の事を5年以上も想い続けてくれていた竹内と付き合うようになるが・・。

読みやすかったのは、90年代以降の少女漫画にありがちな「セックス」を前面に打ち出していないため。
実際、矢野と七美は高校時代を通して一度も結ばれてはいない。(二度失敗)

でもそこが穿った見方をするならば、七美が結ばれる最初の相手が「矢野」と最初から決定しているようで不満点。
どっちかというと、報われて欲しいのは「竹内」のほうなんで。

「竹内に大切にされることの幸せを七美が知る」
・・・というラストも悪くないんじゃないかなと。
竹内が七美に振られた後に、「余った他の女」とくっ付くなんてのは勘弁願いたい。

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[投稿:2011-02-13 19:55:20] [修正:2011-02-13 19:55:20] [このレビューのURL]

20世紀初頭の欧州が舞台。アパートの大家さんをしている少女「ジゼル・アラン」。
お嬢様育ちの彼女が気まぐれで始めた「何でも屋」。
探偵ごっこ・・・・かと周囲の住人は困惑するも、意外や意外で事件は起こり、依頼人はある・・・・。
住人で家賃滞納者のエリックを相棒にして、少女の一風も二風も変わった日々を綴る。

森先生のエマと時代は近く、絵柄も似ていますね。
こちらのほうがより細かい感じはしますが。
キャラもまだ顔見せに近い状態で、背景もよく判りません。
あくまで「今後に期待」という段階。

長期連載出来るのかどうか?この1冊だけで判断するのは難しいですね。
とりあえず、一応「第1巻」と帯にありますので。
2巻以降に「乞う、ご期待!」ですね。

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[投稿:2010-12-18 12:45:18] [修正:2011-01-17 21:48:33] [このレビューのURL]

4点

山岳レスキュー漫画。
但し、主人公が公的な機関に属している人間ではなく、山岳ボランティアという設定が意外。

展開は遭難者を救出するというお話が主。
そこには山での危険が悲惨な結末を時に起こすことを示唆する。
「雪崩」
「転落」
「凍死」
が危険の大きな原因。

それを承知で人は何故山に登るのか?
山は危険と共に人に大きな恩恵を与えてくれるのかもしれない。
そして今日も世界各地で人は山頂を目指す1歩を踏み出すのだ。

但し、画が洗練されていないことと題材で、どう考えても一般向けではない。
展開も基本的には各話「皆同じ」であるし。

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[投稿:2011-01-08 13:53:36] [修正:2011-01-08 13:54:51] [このレビューのURL]

激レベル高いアニメ版からの逆輸入で読んでみました。
なんと、アニメ版は原作2巻の新人加入のエピソードからスタートしていたんですね。
それまで1冊半に渡って、ハチマキを中心としたデブリ回収チームの背景が語られます。

只、アニメ版で「半課」などと揶揄されるほどの半端者の集まりという感じはしません。
熱血かつ単純なハチマキの夢に向かってのステップ・アップとも挑戦ともいうべき物語です。
作画ではアニメ版のようが明らかに上ですが、原作の作画をアニメが超えるなんて珍しいと思います。

やはり来るべき人類の活躍の地としての宇宙という面と、孤独な空間としての宇宙という両面を描く点が魅力でしょうか。

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[投稿:2010-10-31 14:02:47] [修正:2010-12-31 16:36:40] [このレビューのURL]

7点 八犬伝

ようやく文庫版全八巻を読了。現在のところの唯一の「南総里見八犬伝」の漫画と思われます。
原作は江戸時代の作家・滝沢馬琴になります。コミックスにも原作者として名前がしっかりと出ています。

物語は現在の千葉県の房総半島に本拠を持つ里見家の盛衰を、伏姫のお腹から飛び出した八つの玉を持つ勇者を中心に展開されます。
信長や家康が生まれるよりもずっと前の時代が舞台のためにイマイチ馴染みが薄いのが難点でしたが、王朝絵巻を思わせる絵柄で最後まで描き切ってくれました。

勢力としてはハッキリ言って「弱小」の部類に入れてよい安房の里見家が今日人々の間に知られているのは、ひとえに「この物語」の存在のおかげと言ってよい。
薬師丸ひろ子主演で映画化もされましたが、どちらかというと映画を思い出す人が多いことでしょう。

怨霊・玉梓の里見家滅亡の計画は伏姫が命を賭して生み出した八人の勇者をも引き合わせる。
彼等はそれぞれが周囲の環境の変化によって家族を失い、故郷を追われて流浪の身となりながらもやがては運命の糸に導かれて集結していく。
武家らしく「刀」が作中に於いて「神器」のような扱いになっており、大きなキーワードだった。
集結した八犬士たちの活躍によって関東諸将による安房・里見家討伐は阻止される。

話のスケールとしては地方の一豪族にまつわるものであり、日本全国に広がっていた戦国の世を集結に導くような話の大きなものではないので、根本的な危機は解決されていないのだが、江戸時代にすでに現在で言うところのRPG(ロールプレイング)的な要素を含む物語を完成させていた原作者と、それを見事に現代に甦らせた作者の力量に感服といったところだ。

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[投稿:2010-12-04 23:47:22] [修正:2010-12-31 16:35:29] [このレビューのURL]

森脇真末味作の漫画ではなくて、「性教育漫画」の女の子バージョンですね。

女の子が主役なので、やはり年相応に恋愛要素が重視されています。
しかし・・・この漫画に登場する「男の子」は憎たらしいですな。女の子をからかう場面なんか特に。
と、感じつつも「でもこういう男子」って何処にでもいたような・・・とも思うのです。
男の子は女の子よりも体格的な成長が遅いのでその分精神的な成長も遅くなる傾向にあるのでしょうか?
ま、勿論個人差はあるでしょうが「自身の未熟さ」に気付けないことはこのくらいの年齢の不幸ではないかと思います。逆にそれにこの年で気付けたなら、後々にかなり違ってくるとも感じます。
その辺りが「柴田」と「田島」との差なんでしょうね。

他の漫画(少女漫画は特に)はもっと「性」に関する問題も作中で取り上げていいと思います。おそらく現実では問題として表面に浮かび上がってくる頃であろうに、作中でその時期を舞台としながらも、それを取り上げる作品は少女漫画であっても少ない。ジャンルとしてもまだまだ未開拓の分野として今後ヒット作を出せるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?。

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[投稿:2010-12-20 23:07:28] [修正:2010-12-31 16:32:56] [このレビューのURL]

久米田先生のブレイク作。
「南国アイスホッケー部」はあまりに出来がアレだったため、せいぜい三流漫画家で終わると思われていた方も実は多かったのでは?

ところが、久米田先生は他の漫画家の多くが最初はヒットは出せても連載作品を続けるうちに才能やアイデアの枯渇で衰退していく中、一人逆の道を行く。

すなわち連載を重ねるほどに進化し、優良作品を出すという異端の漫画家である。

これにはそもそもの最初の連載の「南国」の出来栄えが悪く、これ以上は悪くなりようもなかったことも幸いした。
後はドンドン良くなるだけだった。

改蔵も初期はまだ「南国」の影を引きずった下ネタが若干見られはするものの、中盤以降は下ネタと完全に決別し、あるあるネタという
「重箱の隅をつつくようなネタの銃弾爆撃」を仕掛けるという作風を確立。

ギャグ漫画で「新しい笑いのパターン」を確立したって凄くないか?
全26巻も続けられたこともギャグ漫画では異例。

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[投稿:2010-12-31 13:46:32] [修正:2010-12-31 13:46:32] [このレビューのURL]