「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

真っ向勝負のガール・ミーツ・ガールを描く百合漫画。
この絵の上手さ・可愛さ・美麗さがなければこの世界観は描けまい。

地味めな高校生・真理子が女子校1年生の2学期、それまで話したこともなかったクラスメイトのあっこに
話し掛けられた。おしゃれや化粧品に詳しくて、友達が多くて、賑やかで、
自分とは正反対で・・・・・・・・・・・。
最初はあっこが自分に近づいてきた意図が分からずに戸惑うばかりだった真理子。
けれど彼女と付き合ううちに自分がそれまで知り得なかった新しい世界を知り、
新しい自分を見出していく。切っ掛けを与えてくれたのは彼女。
いつしか2人は親友に。正反対の性格がどうして惹かれあったのだろう?

そこから始まる2人が結び付くに至った理由とは何か?
それを解き明かすための物語。
ボーイ・ミーツ・ガールが「冒険の始まり」であることは多くの作品で証明されている純然たる事実。
では、「ガール・ミーツ・ガール」は何の始まりなのか?

「恋は友情を前提とするもの」なのか。
それとも「友情の延長線上に恋が存在する」のか。
では「愛情」は?
女同士であろうと、親友であろうと、惹かれあう気持ちは止められず、好きな気持ちは抑えられないのだ!!!
たとえいつの日か終わりを迎えるときが来ようとも、共に過ごした日々は生涯の宝となって胸の奥のしまわれることだろう。

男子を追い出しての青春に一喜一憂するも良し、悶々とするも良し。
陽炎の如き儚さを少女たちの愛らしさの中に見るも良し。
さて、一堂。最後までお立会い!である。

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[投稿:2010-12-04 23:27:55] [修正:2012-01-03 09:45:37] [このレビューのURL]

医者漫画の中では怪作と言って良いのでは?
初期は正に「北斗の拳のケンシロウがブラックジャックをやる漫画」で話の作りもブラックジャックの模倣的なものが多かったが、中盤以降は話も作画も安定して巨悪も背景に絡んで完全に他の医者漫画と差別化することに成功した。ハッピーエンドの話ばかりではないのも良いと思う。脇を固めるキャラもいい味を出している。
「医者=ひ弱なイメージ」を完全に覆した、心身共に屈強な男が主人公の医学漫画。
「ハードボイルド医学伝説」(笑)は嘘ではなかったことに驚いて欲しい。

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[投稿:2011-10-30 16:50:13] [修正:2011-10-30 16:50:13] [このレビューのURL]

幕末の日本。腐敗する幕府の中にも逸材はいた。勝海舟が幕引き役を務めたことは知られている。
榎本武揚は幕府残存勢力を率いて函館に転進。五稜郭で最後まで抗戦し続けた。

だが、その影で一人の武士の存在が歴史の闇に消されていた。
幕臣・小栗上野介忠順その人である。
幼い頃から神童と名高き二千五百石取りの直参の旗本の出。海舟に比すれば家柄は比べるべくもないほどに上。
その海舟とともにアメリカ国へ通商使節団の一行として太平洋を渡った。

当時の日本は開国以来、金が流出し、それが国内の物件高を招き、国益を損なっていた。
小栗はその金との交換比率の改善に心を砕いた。
諸外国に下手に出る風潮が幕府内部に蔓延していたときに、この男は恐れず「No」と言ったのだ。
「ノー!」と言える日本人。それが小栗という男だった。

だが・・・海舟とは元々の身分の違いもあったのだが、あくまで幕府の臣であろうとする小栗とでは反りが合わなかったらしい。
この作品でも海舟は小栗の実力を認めながらも、決して好んではいないという描かれ方をされております。
また、対馬がロシア船に占拠されて島民が殺害された等のエピソードはこの作品を読むまで知りませんでした。

反幕府勢力としては薩摩藩とは当初は強調体制だったためか、関係を描かれている場面が多く、
逆に「長州藩」や「土佐藩」「会津藩」は少なめです。
しかし・・・上野介の顔が全然残っている写真と似ておりませんな。
実際はもっと若々しかったようですが・・・・・・・・・・・・・。

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[投稿:2011-10-27 23:28:29] [修正:2011-10-27 23:28:29] [このレビューのURL]

「闇金」。法律で定められた利率以上の法外な金利での融資貸付を生業とする金融業者である。
いつの世にもどんな場所にも「金遣いにだらしない人間」という奴はいるのである。

丑嶋社長が営む「カウカウファイナンス」には今日もあちこちから借金をしまくり、
もうこれ以上の借金が出来なくなった不良債務者たちが集まる。
社会の底辺に位置する彼等に丑嶋社長は金を貸す。

利息は「10日で5割」という法外なもの。それでも連中は金を借りていく。
他に貸してくれるところがないからである。

金の使い道はそれぞれ。大抵がギャンブルの借金返済だったり、ギャンブルの軍資金だったりする。
そしてそれらは大抵はアブク銭となり、彼等の借金は増え、やがて非情なまでの追い込みが入る。

彼等の共通点は「現実を見ずに自分たちの都合のいい想像の世界に逃避している」ということ。
ギャンブル狂いの主婦も、見栄っ張りなOLも、ニートの男も、自分に都合の悪い現実は直視しようとしない。
それが坂を転げ落ちる原因である。
丑嶋はそんなクズ連中から情け容赦なく金を奪っていく。「身から出た錆」。連中に対する同情は不要。
なぜなら連中は「借金することがクセ」になってしまっているから。
「馬鹿は死んでも直らない」というが、正にその通りである。

これはまだ馬鹿でない人間を転落させないための「現代の転ばぬ先の杖」とも言うべき書物。
「心に痛みを感じて読めたなら」まだ人間だ!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-04-17 21:10:50] [修正:2011-04-17 21:10:50] [このレビューのURL]

日本の首相であるところの「小泉ジュンイチロー」(笑)が世界の首脳たちと自国の利益を巡って麻雀でまさかの卓上戦争を繰り広げるというトンデモ漫画。

麻雀漫画は麻雀のルールを知らない人間を読者から排除してしまうという点でそもそもが「特殊ジャンル」の扱いであった。

だが、この漫画は例外で麻雀のルールを知らなくても全く関係なく読めてしまう点がスゴイ!

世界の首脳たちはモロに「現実の人物」(笑)
ロシアのプーチン大統領が、アメリカのブッシュ大統領が、英国のサッチャー首相が、北朝鮮の将軍様(笑)が、超一流の雀士として我等が小泉ジュンイチローの前に立ちはだかるのである。

さらに第二次世界大戦で密かにベルリンを脱出して月に逃れていたナチス総統「アドルフ・ヒトラー」との人類の命運を懸けた対決を余儀なくされる。

漫画史上に他に類を見ないであろう「大胆なコマ使い」こそがこの作品のキモである。
超バトルマージャン&自民党応援作品として「独自の地位」を確立!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-17 17:37:18] [修正:2011-04-17 17:37:18] [このレビューのURL]

久米田先生のブレイク作。
「南国アイスホッケー部」はあまりに出来がアレだったため、せいぜい三流漫画家で終わると思われていた方も実は多かったのでは?

ところが、久米田先生は他の漫画家の多くが最初はヒットは出せても連載作品を続けるうちに才能やアイデアの枯渇で衰退していく中、一人逆の道を行く。

すなわち連載を重ねるほどに進化し、優良作品を出すという異端の漫画家である。

これにはそもそもの最初の連載の「南国」の出来栄えが悪く、これ以上は悪くなりようもなかったことも幸いした。
後はドンドン良くなるだけだった。

改蔵も初期はまだ「南国」の影を引きずった下ネタが若干見られはするものの、中盤以降は下ネタと完全に決別し、あるあるネタという
「重箱の隅をつつくようなネタの銃弾爆撃」を仕掛けるという作風を確立。

ギャグ漫画で「新しい笑いのパターン」を確立したって凄くないか?
全26巻も続けられたこともギャグ漫画では異例。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-31 13:46:32] [修正:2010-12-31 13:46:32] [このレビューのURL]

9点 7SEEDS

まずは「恐るべし、田村由美。」
内容的には「少女漫画」なんていう括り自体が「無意味」に思えてくるSF巨編。

舞台は「BASARA(バサラ)」と同じく、文明の滅びた未来の日本。
いや、時代としてはもっと先で、文明どころか人類そのものが滅亡したといってよい未来の地球。
こうなることを予想していた現代の各国政府首脳は、「春・夏・秋・冬」という季語の名前を持つ人間をそれぞれの季節ごとに数名ずつ集め、冷凍冬眠させて来るべき「人類滅亡後の世界」で目覚めるように手を打っていた・・・・・・。

さいとうたかを氏の「サバイバル」の未来版というと分かり易いか?。
あれをもっと原始時代風にして「少女漫画」と「SF」のエッセンスをミックスするとこうなる。
生き残った人々を襲う自然の猛威・野生の動物(怪物?)・地殻変動に火山噴火・・・そして・・チームの仲間が次々と死んでいくことによって「ひとりぼっち」となる孤独。

相変わらず田村先生は「少女漫画」でありながら、そんな枠組みを軽くブチ抜いていくような作品を描かれる。とにかく先の展開が全く読めない。置かれている立場からして、登場しているキャラたちにもそれは全く読めないだろうし、ひょっとしたら描いている田村先生ですら読めていないかもしれない。

それにしても現代における「人類の天下」なんて「地球の寿命」から考えれば、ごく僅かな期間に過ぎず、あれほどまでに発展していた文明が滅びたらまた原始時代に逆戻りする・・・っとていう正に「栄枯盛衰」の持つ不思議さ。

そして・・・・それ故に、「再度栄えることもできるのかもしれない」と、胸の奥に湧き上がる大いなる「希望」!。
「希望持たずに生きるは、生ける屍に等しい」と理解する。

男性読者の方、田村先生の作品を読めば「並の少年漫画」なんてブッちぎる面白さに驚愕しますよ。
男性こそ「この世界」を体感するべきだと思います。
興味を持っていただけた方は「まずはBASARA」からどうぞ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-18 22:23:22] [修正:2010-12-18 22:23:22] [このレビューのURL]

武田勝頼を描いた漫画はおそらく現在に至るまで「この作品」だけだと記憶している。

ハッキリ言って「戦国の英雄のひとり」である父・信玄よりも、悲劇的な滅亡を迎えた勝頼のほうがその生涯に心惹かれるものがあります。
おそらく多くの方が疑問に感じているのは、なぜ「戦国最強軍団」を父・信玄から引き継いでおきながら、信玄の死後僅か10年で滅亡してしまったのか?ということでしょう。父・信玄の偉大さが際立つほどに「この息子の滅亡」は違和感を持って現代に生きる我々に伝わってきます。

「滅亡」という結果から勝頼は「家臣の言うことを聞かず、たびたび出兵を繰り返しては国力を低下させ、ついには自滅の道を歩んだ愚将・・・・」というような評価が現代において定着してしまっています。
けれど、勝頼は決して駿河の今川義元の後継者「今川氏真」のような暗愚な人物では無かった。父・信玄ですら落とせなかった徳川の支城を陥落させるなどし、織田信長も常にその動向には注意を払っていたし、暗愚な人物ではいくら「信玄の遺産」ともいうべき強力な家臣団があっても10年に渡って国を維持することなど出来ない。

凋落の大きな転機になった「長篠の戦」ですが、どうも諸説あってハッキリしない部分があります。
と、言うのも定説では勝頼が「老臣たち」の無理な戦いは避けて引くように、という忠告を無視して鉄砲隊に次々と突撃をかけたための大敗・・・・ということになっていますが、実は(突撃は)信玄以来の老臣たち(馬場信春・内藤昌豊・山県昌影ら)も「賛成して」の納得ずくのものだったという説があり、この説だと信玄以来の百戦錬磨の老臣たちさえも戦いには勝てると思っていたということになります。とするなら、勝頼1人に大敗の責任を押し付けるような定説は誤りということで、百戦錬磨の老臣たちの上を行く信長が凄かったと言うべきでしょう。

ともあれ、武田は前述の「長篠の戦」以降は急速に力を失っていくことになり、もはや国力からも人材からも単独では織田家に対抗することは困難になっていった。現代の視点からの結果論だと言えばそれまでですが、この後の勝頼は外交上で大きなミスを犯すことになります。
当時の織田家に対抗する上で織田家にとって不利な点は何か?・・・と考えていくと、信長は常に東と西とに敵を抱えた「両面作戦」を強いられるという点です。つまり総兵力では10万以上の織田軍も武田だけにその10万の兵力を注ぎ込むことは不可能だった。しかも信長の味方は実質・徳川家康だけです。その他は全て敵と言っても過言ではない。そこで武田としては中国の毛利家・四国の長宗我部家・そして背後の北条氏と北の上杉氏、さらにここに石山本願寺を加えた五勢力と連携して東西から挟撃することでまだまだ十分に信長打倒を成し遂げることが出来たはずだ。
しかし・・・・勝頼の判断は不可解。まず父・信玄の死後、宿敵・織田信長が最も警戒し恐れていたことは確実な越後の「上杉謙信」と何故か同盟を結んでいない(←理由不明)。信玄の死後の反織田信長連合の盟主はどう考えても謙信しかいないのに、勝頼が謙信を頼った形跡は見当たらない・・・。そうこうしているうちに上杉謙信も深酒が過ぎたためか、柴田勝家率いる織田軍を蹴散らしたのにあっけなく世を去ってしまう。信長にとっては限りなく幸運で、勝頼にとっては不運である。
問題は実子のいなかった上杉謙信の後継者を巡って、謙信の甥「景勝」と北条氏康の息子で当主・氏政の弟に当たる「景虎」との間で戦いが始まったことだ。北条と同盟関係にある武田としては当然のように氏政の弟に当たる「景虎」に味方し、景虎勝利の暁には武田・上杉・北条による「甲・越・相三国同盟」が成立することを期待したはずだ。そうなれば、背後を気にすることなく織田と対陣することが出来、捲土重来の最後のチャンスだったことだろう。

だが・・・・現実には勝頼は景勝からの「黄金の贈り物」に目を奪われて兵を引いてしまう。景虎は景勝に攻められて自害し、弟を見殺しにされて怒った北条家との同盟も破棄、両国は敵対関係になる。「越・甲同盟」は成った・・・。しかし、本来なら「三国同盟」になるはずだったことを考えれば「目先の黄金に目が眩んで自滅の一手を打った」と言って間違いあるまい。この同盟を結んだ景勝は織田家の甲斐侵攻の際は、一向宗の門徒と交戦中で勝頼に援軍を派遣出来ず・・・・・で全く同盟として機能しないまま終わり、結果として景勝だけが得をしたという勝頼にとって無意味なものに。

最後は10万の兵を以って、織田・徳川・北条の3家から同時攻撃を掛けられて滅亡していく勝頼。
哀れなのは、5万は一応居た最後の武田軍が離散に次ぐ離散で新築の「新府城」を焼いて北へと落ち延びたときにはなんと数十名に激減していた(!)という信じられないような事実。まるで櫛の歯が欠けていくように昨日まで勝頼の身辺で支えてくれていた家臣たちから見放されていく様は、日本史上を見渡してみても他に類を見ない。
父・信玄の従姉弟で娘婿でもあった「穴山梅雪」は徳川家康の甲斐侵攻の道案内役を務め、同じく信玄の娘を娶っていて勝頼の義弟に当たる「木曽義昌」は新府城建築の過酷な労役から勝頼を怨み織田家に寝返って滅亡の引きがねを引くことになるなど、本来なら最後まで仕えるべき身内であるはずの親族衆が、いの1番に裏切りに走っているのが大きな特徴だ。信玄の末の弟で「影武者役」でもあった信廉も戦わずして勝頼を見捨てて織田に降伏。

最後の最後まで付き従ったのが「小山田信茂」と「真田昌幸」(真田幸村の父)なんですが、勝頼は譜代ではない真田よりも小山田を信用したほうがいいという家臣の忠告を聞いて真田と別れて小山田の居城・岩殿城へ入ろうとするも小山田の裏切りに遭い、とうとう進退窮まって自害することになります。
で、このことから「悪者」としての評価が定着した「小山田信茂」なんですが、実は彼はもともと武田家の家臣ではなく「郡内一国の主」で武田とは単に「同盟関係」にあっただけという説があります。
とするなら彼の行動は自国を守るための領主としての当然の行為であって「裏切り」でも「謀反」でも無いということになります。また、彼が勝頼一行に鉄砲を撃ちかけたとされていることも、資料としてはどこにも確認は出来ないそうです。名門・武田家の最後を美化するために「悪者にされてしまった」可能性は大だと思います。
それと勝頼と別れた真田昌幸ですが・・・・こっちもヤバそうです。と、言うのも昌幸は勝頼が自害した翌日付で北条家からの「仕官承諾書」を受け取っているのです(!)。つまり、昌幸も前々から「裏切り」のための行動を取っていたということの何よりの証拠になります。勝頼側近が心配した「譜代ではない真田をあまり信用されては・・・・」の心配もおそらくは当たったことでしょう。

どちらにしてももう勝頼にとっては「八方塞がり」だったわけで、旧暦の真冬の山中で寂しく死んでいく勝頼一行を父・信玄がどのような気持ちで見ていたのかが非常に気に掛かるところです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-12-07 21:16:34] [修正:2010-12-07 21:16:34] [このレビューのURL]

ガンダムでまともに観たのはファーストだけなんですけれど、なんだかんだと言っても後々のロボットアニメに与えた影響は絶大。

その漫画版の中で「正統」なのがこれでしょう。
もっと早く描くべきだったとは思うのですが。
アニメを基本的にはベースとしながらも漫画版だけの独自シーンが多数追加されており、ファンならずとも見逃せませんね。

ストーリー的にはファーストは「シャアの復讐劇」に尽きると思う。
父「ダイクン」を政敵・ザビ家に殺され迫害されたカリスマの忘れ形見。
従順という名の仮面に隠された素顔はザビ一族の謀殺を目論む策士・・・・・・。
しかも決して「己の策に溺れぬ慎重さと狡猾さとを併せ持つ。」

戦場を駆け抜ける「赤い彗星」にある者は畏怖し、ある者は憧れにも似た念を抱き、またある者は彼の神話を形成するための生け贄となった。

亡き母の面影を持つ女性・ララァと出会いながらも、奇しくも彼と同じ感情をララァに寄せるライヴァル・アムロとの戦いの末に彼女はシャアを庇って戦場に散った。

ライヴァル・アムロとの決着も妹・セイラの仲裁により付ける事は叶わず、最早シャアに残されたのはザビ家の血統を絶つことだけだった。

戦艦・ザンジバルと共に敗戦が濃厚な要塞を脱出しようとする「ザビ家の死に損ない」に世話になったことの敬礼と共に引導を渡す。

「ガルマ、姉上と一緒に天国で仲良く暮らすといい!」

かつて自分が謀殺した「死の直前まで自分を信じ切っていたお坊ちゃん」に対するせめてもの彼なりの「侘び」のつもりだったのか?

アムロ以上に作品を牽引したのは「敵にしても味方にしてもその心を窺い知る事が出来ない赤い彗星の孤独」にあったのだ。

カリスマは死なず。後の世にても騒乱の引き鉄となる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-12-05 10:08:36] [修正:2010-12-05 10:09:25] [このレビューのURL]

剣道漫画の最高峰はどう考えてもこれだろう。
他に思い浮かぶのは「しっぷうどとう」「一平」「ポニーテール白書」くらいしかない(笑)
確かに面を付けての試合中にキャラの表情を出すのは難しいと思うから、剣道漫画の数自体が少ないのも仕方ないことなのかもしれない。

ただ、1番の原因は「六三四の剣」の存在ではなかろうか。
いきなりこんな(出来のいい)漫画を描かれたら、同じジャンルで後発の漫画家は勝負できませんよ。
驚きは作者には全く剣道経験が無かったということ。それでよくまあ、あんな迫力のある試合のシーンが描けたものだ。
青春漫画としても文句のない出来ばえ。
ライバルの名前「修羅」ってスゴイ・・・ホントに付けられるのか?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-04 23:59:27] [修正:2010-12-04 23:59:27] [このレビューのURL]