「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

幼年誌の「ちゃお」連載にしては思春期に直面する数々の問題を扱うなど展開は悪くないと思います。
ただ、画が幼児っぽいので展開とかえってギャップを感じるのと、なんか読んでて作者の自伝のように感じる部分が多いのが引きます・・・・。
主人公の名前も同じだし・・・。

あと、「ちゃお」で性にまで踏み込んだ展開(生理とか)はよく出来たなと思いますが、最後の最後で未遂に終わったので尻切れの印象が拭えませんね。
セックスしようとして、結局しないまま。流れから言えばするべきシーンでしょう。

同時期の他の連載作品よりは断然良いのですが、それでも全体で見ればこの評価ですかね。

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[投稿:2010-11-27 11:26:19] [修正:2010-11-27 11:26:19] [このレビューのURL]

いい漫画だと思いますよ。後のサンデーの看板作家のひとりになるのも納得出来ます。

バレーボール漫画は女子のもの・・・・・という認識を大きく変えた唯一の「男子バレー漫画」では?
地方予選までで終了したのも、話が大きくなりすぎないうちに引いて英断だったと。
前田に惚れていたマネージャーですが、ラスト近辺を読む限りは佐々木とくっ付きそうな終わり方でしたね。

ただラストが失敗した。1年経ったら、何で健太がでかくなるのよ?
「身長が低くても、体格で負けていてもやれるんだ!」ていうのが全体を通しての作品の主張でしょうに・・・、「背が低くても頑張った健太君に、神様はご褒美で背も伸ばしてくれました。めでたしめでたし・・・・・」と作者は言いたいのですか?

こんな土壇場で(悪い意味で)裏切られた漫画は他にないです。

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[投稿:2010-11-27 11:22:09] [修正:2010-11-27 11:22:09] [このレビューのURL]

医者漫画の最近の御三家「ブラックジャックによろしく」と「医龍」そして「これ」だ。

絶海の孤島での離島医療という点で他の作品と差別化を図っているが、テーマからして地味な印象。
主人公が性格的に「いい人」でのんびりしているということもあって他作品と並べると個性が薄いのかも。
ただドラマ性は高いですし、漫画としてつまらないというわけではありません。
医者漫画はプラックジャックを頂点と考えた場合、非常にレベルの高い作品ばかりの多士済々。
なので並以上くらいの作品では「医者漫画」という枠の中では下のほう・・・ということになってしまうのでしょう。
主張も決して強く前面に出ているとは言えないし。惜しいな・・・・・。

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[投稿:2010-11-23 12:51:20] [修正:2010-11-23 12:51:20] [このレビューのURL]

一部、書店や書評で注目されている作品のひとつ。
「エマ」や「放浪息子」と同じく月刊ビーム連載でした。
ビームは個性的な作家・作品が多く、絵が一般向けな見易く可愛らしいものを描ける方が少ないのですが、前述の2作品と併せて「例外のほう」ですね。

絵がオリエンタル的な外国の雰囲気を漂わせる・・・とでも申しますか、魅力あります。
が、オムニバス方式の短編集という位置付けですので外国が舞台で騎士や姫が登場するかと思いきや、日本の小学校の子供が出てきたり、普通の高校生女子が主人公だったりと話が飛びますのでひとつひとつのお話で印象に残るものと残らないものとの落差が激しい。

作家としての実力はある方だと思うのです。この才能をどう表現するのが最良なのか?
なんか、作者ご本人も含めて「お試し中」みたいな感じがします。
最適な方向性が定まったら躍進しそうな予感がしますね。

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[投稿:2010-09-11 18:02:15] [修正:2010-09-11 18:02:15] [このレビューのURL]

作品は「これ」のみの一発屋だが・・・・そこには事情があったようだ。

連載終了の頃に作者の知り合いが「もう漫画は描かないのか?」と聞いたところ、
「編集のほうからの注文が多く、描きたいモノが描けなくなったので、もう漫画家はやめる方向で話を進めている」と返答があったそうです。あれから十数年、確かに新作をお見かけする事はないようです。

とにかく「悪」を倒す「正義」のヒーローのはずが、馬鹿馬鹿しいまでの展開の数々。
読者に伝わるであろう「テーマ」や「主張」などは皆無と言ってよく、逆に言えば「そんなもの考える必要性すらなく(笑)笑い飛ばしてしまえる」ある意味「正しいギャグ漫画」だったかと思います。
全6巻はちょっと短すぎだが、ギャグ漫画は時間の経過でギャグが風化するなど賞味期限が早いので「止め時」であったかもとも思う。タイトルにしても内容にしても少年誌で連載し続けるには無理のあるギリギリラインの作品だったし。
ただ・・・ラストがちょっと納得がいきませんね。もう二度と再開は無いだけに余計にそう思います。

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[投稿:2010-07-25 07:58:16] [修正:2010-07-25 07:58:16] [このレビューのURL]

「とんちんかん」とは全く別ジャンルで一応成功作と言えると思います。
ただ絵が稚拙というか、「とんちんかん」はギャグなので下手でもさほど気にならないのですが、シリアスな話だと話の真剣さと絵のギャップが酷いと感じてしまう。作者自身もその点は気にしていたのか文庫版では昔の絵を加筆修正していましたね。
好きな話は「老人たちの反乱」「砂漠のナイチンゲール」「娘泥棒」「兄弟のキックオフ」「コンクリートジャングル」など。後半のほうがいい話が多かった。最終話の「死神失格」もあわや消滅かというところで、死神くんを理解する上司から弁護が入ったのも良かった。月刊誌連載だったからこそそれなりの質で描けたのかも。これが週刊誌だったら連載自体続かなかった作品と思う。
続編を描くなら「とんちんかん」よりはこちらですね。

作者が読者受けを気にしすぎているのも、読者の側から見たらちょっと興ざめする原因。

作中である意味、連載漫画の恒例行事とも言うべき「キャラ人気投票」は行われなかったが、その代わりに「話自体の人気投票」が実施された。

コミックスによると、ネタに詰まった作者が「一体、どんな話が読者受けするのか知りたい」という目的の本に実施されたようだ。
作者&編集の予想を上回る数の投票があった・・・こと自体は企画自体の成功・・・と言えるのかもしれないが、その内情をわざわざコミックスで読者側に暴露せんでもなあ・・・。
「単に作者の都合か」と知ったら、少なからず落胆する人はいると思う。

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[投稿:2010-07-16 06:35:36] [修正:2010-07-16 06:35:36] [このレビューのURL]

前作の最後で会長に大敗北を喫し、耳と指を失ったカイジ。耳と指はくっ付いたものの、借金の額はさらに膨らみ、とうとう金融組織の手に落ちて(・・・つうか、自分から捕まりにいった・・・)、地下の強制収容所にて強制労働の日々となります。
期間は15年以上。劣悪な衛生環境とキツイ労働は死を招き、倒れていく亡者仲間を見て脱出のためにギャンブル勝負に身を投じていくのですが、プチ権力者の「班長」のイカサマでさらなる底辺に追い込まれてしまう。その班長のイカサマを逆手に取っての「大逆襲作戦」が前半。
そして・・・1人脱出してから自分と仲間たちの借金を完済するために裏カジノで「沼」と呼ばれる高額パチンコ台を攻略するのが後半です。

前半の「チンチロ」はまだ何とか読めましたが・・・・後半はかなりテンポが悪くなったという印象。
パチンコで引っ張りすぎです。後、これは自分がパチンコをやらないせいというのもありますが、ルールが良く判らなくなったのが楽しめなかった一番の原因。「黙示録」のジャンケンは誰でも理解出来たのが素晴らしかったのですがね・・・・。
あれだけの大勝をしながら、手に入れたのは「自由」のみ。お金はカイジの元には全く残らず・・・・で、最後には敵であるはずの金融機関の「手下の男」からも情けを掛けられる始末。ホント「大物」なのか「根本的にダメ人間」なのか判断に困る男ですね。

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[投稿:2010-07-16 06:25:06] [修正:2010-07-16 06:25:06] [このレビューのURL]

フリーザ編で止めれなかったため、評価を大幅に落とした。
あそこで止めておけば名作の評価は揺るがないものだったのに・・・・。

鳥山先生の画力と画面の構成力に関しては超一流と見れば分かる。
問題はストーリーとキャラだ。鳥山先生は明らかに大きな伏線をいくつも張って、それを終局に向けて収束させていくというような展開のさせ方ができない方で、「ストーリーものの長期連載」になってくるとその弱点が隠せなくなってくる。フリーザ編より後が正にそれ。その点上手いのは「幽遊白書」富樫先生や「ジョジョ」の荒木先生だ。
強さのインフレが起こるのも頭を使った「頭脳戦」を考え出すことが出来ないためで、その点でも後者の2人に大きく劣る。

さらにヒドイのはキャラの扱い。「スランプ」のときからだが、名前からしていい加減だ。キャラの名前は作者がそれぞれ愛着を持って名付けるはずなのに、この方の描くキャラはみんな既存の名称をそのまま転化したものになってしまう。ヤムチャや天津飯の後半の扱いのヒドさを見るとキャラに愛着が感じられない。

鳥山先生は人気ゲーム「ドラクエ」シリーズのキャラデザインも担当されていますが、シナリオも鳥山先生が担当されていたら、絶対にあんな名作にはなっていなかったはずです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-11 22:50:41] [修正:2010-07-11 22:50:41] [このレビューのURL]

「ラブロマ」のとよだ先生の新作です。
36歳の小学校教師が妻の出産の直後に唐突に現れた宇宙人によって過去の世界に拉致される。
彼等は地球を侵略に来た宇宙人。けれど、彼等には独自のルールがあり、「愛」を持っている生命体を侵略することは叶わない。
そこで、人類が愛を持った生命体であることを主人公が過去の世界、この場合は主人公が小学校3年生の時代で示さねばならない。

「友達100人を作ること」
リミットは小学校卒業まで。

それが直行、ほんのちょっと前までは妻の出産に立ち会っていた36歳の小学校教師が行わねばならないことだった。
謎の宇宙人でナビゲーターの「道明寺さくら」(桜餅から命名)を従えて、過去の世界で友人作りに勤しむ直行。

元の世界では生真面目で融通の利かなかった彼も、過去の小学生の世界では戸惑うことの連続。
「子供の社会」では大人の世界では当たり前のことすら決して当然ではないのです。
そこには彼等だけの独自のルールがあり、理屈だけ正しくても心を通わせた相互理解は有り得ない。

大人になってからは多くのクラスメートたちとは疎遠になり、そして二度とは会えない相手も多々いる。
大人になってからはそれが当然と受け止められることさえも、夢にも思わなかったあの頃。

「人類滅亡回避ミッション」という大風呂敷を
友達作りという日常風景に潜り込ませる作者の手管。
喩え100人分の物語が紡がれなかったとしてもだ!(笑)、見逃すわけにはいくめーよ!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-07-08 21:33:31] [修正:2010-07-08 21:33:31] [このレビューのURL]

「広島のある日本のあるこの世界を愛するすべての人へ」(コミックス冒頭より抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
思うに「原爆」をテーマにした漫画って見掛けませんよね。
「はだしのゲン」以外は。

「戦争」をテーマにした作品は多くあるが、世界唯一の被爆国として「ヒロシマ」「ナガサキ」にテーマにした作品がなく、もっと世に出ていて然るべき・・・と考える一方で、いろいろと制約が多いのだろうか?とも思ったものだ。

で、最近になってようやく見つけた「はだしのゲン」以外でヒロシマをテーマにした作品がこれ。

舞台は広島に原爆が投下されてから十年後からスタートする。
すなわち終戦から10年の年月が経過している昭和30年。
広島は少しずつだが復興が進み、そこに住む人々も表面上は明るさを取り戻しつつあるかに見えた・・・・。

13歳で被爆した皆実は、そのときに父と姉と妹を亡くした。
生き残った母親と、疎開先に難を逃れていた弟と、家族は3人になってしまい、弟は疎開先の叔母夫婦の養子となって離れ離れ。今は会社勤めの傍ら、母と2人暮し。

表面上は何気ない日常生活の中に戻ったようでありながら、「あの記憶」は度々皆実を苦しめる。
被爆直後に苦しむ多くの人々を見捨てて走った瞬間を!
死に切れぬ人々の怨嗟の声を!

銭湯で同世代の女性の身体に残る火傷の跡を見るたびに逃れられない悪夢に囚われ続ける自分がそこにいた。

衝撃的なシーンがあるわけではない。
感動的なドラマではない。
歴史上の偉人伝でもありえない。

映し出されるのは「九死に一生を得た」はずなのに、死の恐怖に怯え続ける多くの命のうちのひとつだ。

憧れの同僚から想いを告白され、ようやく幸せを手にすることが出来ると思った時、「10年前に皆実を連れて行き損なっていた死神の大鎌」は戻ってきて皆実を捕らえた。

広島の街に貼り出される「原水爆禁止世界大会」を知らせるビラが夕凪に虚しく飛ばされる。
人は「失敗によって学ぶ生きもの」「学習する生きもの」だと思う。
けれど、幸せを前にして逝くことを強いられた女性を目の前に「人は戦争をもって、原爆を持って学んだのだ」と、口にできようか?

皆実が血の海の中に命を沈めても、夕凪は吹き終わっても話は終わらず・・・・・・・。
「悲しみは止め処ないのだ」。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-06-18 21:40:53] [修正:2010-06-18 21:40:53] [このレビューのURL]

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