「臼井健士」さんのページ

総レビュー数: 439レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年06月18日

フランス革命を学ぶには「ベルサイユのバラ」を読め。
三国志演義を理解するためには「横山版三国志」を読め。
そして、源氏物語を理解するためには・・・この漫画というのは教師の「合言葉」だろうか?

ただ、この漫画は上記の2作品とは異なり、「戦争」を話の中心に置いていない。
だから、勉強にはなるのだろうけど男性は特に話にのめり込みにくいと思う。
絵柄も「少女漫画そのもの」で美しいのかもしれないが、登場人物一覧を見てもなおキャラの認識が難しい。
源氏物語の漫画・・・は意外に少ない。これ以外では今、江川先生が連載しているのがあるにはあるが、そちらは性描写が激しくて一般向けとは言えない。
「女たらし」の代名詞的存在の「光源氏」だが、この漫画ではむしろ幼い頃に死に別れた「母親」の愛情を求めて幾つもの恋に彷徨う孤独な魂が全編を通して哀愁漂う物語となっている。
ただ・・原作は判らないが、この漫画で光源氏が若紫にしたことは強姦ではないのか?

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[投稿:2010-11-23 13:00:16] [修正:2012-01-03 09:28:45] [このレビューのURL]

女子中学校を舞台にしたまったり日常系漫画。
掲載雑誌がモロ「百合」の漫画雑誌なので、展開的にソッチ系統かと思いきや全くそういうことはない。いや・・全くないということはないか。
少々はある・・・・・(笑)。

「けいおん!」と雰囲気的には同系統で、中学を舞台にして楽器演奏をしなくなったら「この作品」になる・・・ような気もします。
後、四コマ漫画ではなく、一応は一話完結型。

絵は可愛く、上手いほうだが、喩えていうなら
「クリームが山盛りのショートケーキ」みたいなイメージ。
つまり「脂分が多い絵」ということですね。

登場人物の年齢が13・14歳が大半を占めて、男子は皆無。
ほとんどの子が「まだお子ちゃま」な雰囲気を漂わせている点がポイント。
でも女の子が子供でいられるのはこの辺の世代が最後。
逆に言えばこの時間は非常に短いんだってこと。

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[投稿:2011-07-24 22:42:10] [修正:2012-01-03 09:27:14] [このレビューのURL]

この世の境目に生きるものたち「妖怪」を見ることのできる少年が、それ故に受ける受難の日々を描く・・・・・・。

こう書くと、今市子先生が描かれている「百鬼夜行抄」と似た印象だが、実際に読んでみると両作品は「非常に近いジャンル・雰囲気・キャラ立て」であることが判る。

ただ、百鬼夜行抄の主人公・律が特殊能力など持たず(妖怪が普通に見えてしまうという点が夏目と同じくらい)、「基本的には起きる事件の主体ではない」のに対して、この作品は主人公が祖母から妖怪を操り統べる「友人帳」というアイテムを受け継いでいるという点が大きな違い。
よって夏目のほうは毎回の事件に律と比して主体になれる分だけ「積極的な関わり」をしている印象。

用心棒の妖怪が周囲にいたり、親族が主人公が妖怪が見えることのルーツにもなっていたりと、両作品の共通点は多いです。

ただ、読み切りとしての扱いで掲載されたお話が多いので、
「毎回毎回、夏目が妖怪が見えたため周囲の人間から疎外されてきた過去」
を冒頭に「前フリ」のように入れるのは「続けて読んでない新規読者への配慮」とは理解しつつも、こうしてコミックスとして発売された後にまとめ読みしてみると、続けて読んでいる人には
「ややうっとおしい」印象がしてしまいます。

それと上記はあまりにも「夏目の孤独」だけを強調してしまうという結果も招いてしまっています。

百鬼夜行抄の律もロクに友人もいないなどしているのですが、この作品ほど「孤独感を強調されている」というわけでもありません。
両主人公の性格的な違いもありますが・・・・とりあえず上記2作品を「読み比べてみれば」私の言いたいことが分ると思われます。

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[投稿:2011-12-04 20:02:04] [修正:2011-12-04 20:02:04] [このレビューのURL]

近頃、ちょこちょこと本屋の書評で見掛けるようになった「野球漫画」。
だが、主人公は26歳の左投手。高校でドラフト入団も指名は最下位。契約金は僅かに1,500万円だった。
8年経って1軍に中継ぎ投手として定着するも年俸は僅かに1,800万円。
一流どころは1億円がザラの華やかな世界に身置きながらも本人曰く「全然ダメ」な状態。

プロ野球選手は現役時代が「花」。現役時代にいくら稼げるのか?
現役を引退したら翌年は年収が100万円台になったなんて話はいくらでもあった。

これはヒーローが華々しく活躍する野球漫画に非ず。
2流半の男がどうやってプロが鎬を削る厳しい世界で金を稼ぐかに特化した「裏舞台野球漫画」である。
「グランドには銭が埋まっとる」は故・鶴岡一人監督の名言だそうだ。
どの世界でも生き残りは厳しく「ばら色の人生など、何処にもない」のだ。多分。

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[投稿:2011-12-01 23:03:32] [修正:2011-12-01 23:03:32] [このレビューのURL]

アニメ化に続いてメディア展開された小説「マリア様がみてる」の漫画版。
・・・・・・なのだけれど、ストーリーは基本的に小説版と同じだから、問題はやはり絵になると思う。

小説版でひびき先生の美麗な挿絵を見慣れていると最初はどうしても違和感を感じてしまう。
キャラによって絵がひびき版と近いのと離れているのとのギャップが激しい。
山百合会の主要メンバーでは祐巳・由乃・聖・祥子は挿絵に似てない。しかし、それ以外のキャラは比較的「ひびき版」に近いと思うのだが。はしょり過ぎのアニメに幻滅された方にはいいかもしれません。

但し、一度「全8巻」で完結したはずなのに再開して9巻って何?
編集側に行き当たりばったり感がします・・・・・。


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[投稿:2010-06-18 23:48:42] [修正:2011-10-30 16:55:05] [このレビューのURL]

未完のままに放置状態だった「修羅の門」。14年ぶりに連載再開した。
反響はそれなりにあった模様でヤフーにまでニュースが掲載されるほど。

ブラジルでの大会の後から行方不明になっていた九十九は何処に・・・・?
疑問とは裏腹に「話自体は日本での再開」になります。
TV中継の格闘技の試合に出ている覆面選手が九十九と似た技を使うことから九十九ではないかとの噂が立ち・・・・。

多くのファンも以前の展開を忘れている方、多いんではないでしょうか。
コミックスも第一部は書店に置いていないところも多いし。
充電期間が長過ぎで、その間にずっと構想を練っていたとしても、
普通ならもうファンは付いて来てくれないレベルです。
後、相変わらず神武館の館長の娘は喧しい。

不安が大。先行きの見えない船出で行き着く先は何処だ?

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[投稿:2011-04-17 21:15:09] [修正:2011-04-17 21:18:56] [このレビューのURL]

女子小学生の妊娠・出産を通して現代社会の多々の問題を問う話題作。

11歳の女子小学生・春菜はある日、同級生の男の子と知識のないままに性交・セックスをしてしまう。
春菜はもう初潮を迎えていた。そして相手の男の子も精通を迎えていた。
でも「子供の作り方」までは知らなかった。当然に性的な快感を求めたものではない。
けれど春菜のお腹の中で出会った精子と卵子は結び付いて受胎する。
望まない妊娠ではあったが、周囲の同級生たちを巻き込んで小さな命を守るための子供たちの奮闘が始まる・・・・・・。

小学生の妊娠は現実でもあり得る話ですが、昔はそういった事があっても表には出ないまま隠されてきたのでしょうね。今は情報がオープンになりやすい社会だから、あったら噂になって広まってしまう。
ただ、それでも「小学生同士の行為による妊娠」は珍しいケースだと思う。
大抵は男のほうが年上だと思われるので、男子側が求めない限りは女子小学生の妊娠はあり得ないとも言える。小学生の女の子のほうが誘う・・・・ってのも不自然だし。

さそうあきらさんの絵は版画みたいなタッチなので、こういったテーマで描いているにもかかわらず、「全くいやらしさを感じさせない」のは凄いと思います。
カバーの絵なんかみても正にそう!

だから本当に「テーマに絞ったお話」として読めるのです。
「いやらしさ皆無」で性や命を取り扱えるのはある意味「ファンタジー」でもあるんですが。

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[投稿:2010-09-11 17:56:32] [修正:2010-12-23 00:20:22] [このレビューのURL]

原作小説の漫画版らしいですが、原作は未読です。

高校生の小鳩くんと小佐内さんは「小市民」を目標にしている同志。
日々、平凡に暮らしたい2人の周囲では何の因果か変な事件ばかりが起きて・・・・。

探偵系漫画に一応は属して良いのか?
ただ、主人公カップル(?)の関係は謎!のひとこと。

別に「金田一」や「コナン」みたいに偶然に殺人事件に巻き込まれていく
なんていうことは全くなく、極めて小市民的な日常的事件ですのでご安心を。

作画担当の方の絵の上手さで、ジャケ買いしてしまった身ですが、
意外にも損はしませんでした。

巻末にお菓子のレシピでも掲載する遊び心が欲しいところです。

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[投稿:2010-12-05 17:20:41] [修正:2010-12-05 17:20:41] [このレビューのURL]

作者の出世作にしてジャンプ黄金時代のバトル漫画の代表作。

当初はハートフルストーリーだったはずだが、3巻以降は妖怪バトル路線にシフトチャンジ。さらに「暗黒武術大会」でトーナメント路線になり、ジャンプでも最大級のヒット作へと変貌していった。

但し、少年誌にありがちなお決まりの「勧善懲悪」路線ではなく、人間の暗部などをしっかりと描いた点は評価に値すると思う。
「仙水編」の能力者の存在は後の「ハンター×ハンター」での念能力の原型になったと思われる設定だ。

その後の「魔界統一トーナメント編」で長期化によるバトルのインフレが顕著になり、作者も続けるのがイヤになったのか唐突に終了した。

飛影が妹の雪菜とは母親が違うと話していたはずが、いつの間にか「同じ母親から生まれた双子」ということになっていたり、幽助が魔族だったりなど設定の後付による矛盾が顕著。

但し、トーナメントでの蔵馬VS鴉でのセリフ回し
鴉「さ、お祈りの時間だよ・・せめて楽に死ねますように・・・」(蔵馬にトドメを刺そうとして)
などにセンス感じられ、人気作家になったのも納得です。

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[投稿:2010-12-05 09:57:10] [修正:2010-12-05 09:57:10] [このレビューのURL]

6点 タッチ

サンデー連載作品では珍しくある意味「一世を風靡した」作品。

番付を付けるなら藤田和日郎先生の「うしおととら」を向こうに張って、サンデーの連載作品の中では「横綱」の地位を得ていても何の不思議も無い作品のはずだ。

・・・しかし・・・、実際はどうかと言うと・・「そこまでの作品ではない」というのが正直な感想。
「大関」は勿論のこと「関脇」でもキツイ。せいぜい「小結」くらいだろう。

一体、何故か?
画は見やすくて上手い。序盤はやや描きなれていない印象がするが、中盤から後半にかけて完成期に入って、ほぼ現在の絵柄になっている。
「他のあだち漫画」と比較しなければ、みんな同じ顔のキャラばかりだ(他作品でのキャラデザインの使いまわし)、という欠点も気にはなるまい。
野球を題材に選んでいるが、スポーツはメインではなく、あくまで恋愛メインの青春漫画と考えたほうがいい。
「スポーツ漫画」=「熱血スポ根」という図式を打ち砕いたという点でも先駆者だろう。
だが、肝心のストーリーは起伏が少なく、盛り上がりに欠ける部分が多い。
弟・和也の死という作中の一大事件はあるものの、そのシーンですらもなぜか「淡々とした」印象が強い。これは表現の仕方に問題があると思うのだが、あだち作品のキャラはいずれもあまり感情を剥き出しにして訴えるようなキャラがいない。
だから、何を考えているのかが見えないシーンが非常に多い。
そしてそれは読者の共感も得にくいということに繋がるのではないか。
そうなってくると必然的に話にのめり込みにくくなってくる。

ヒロインの南は最初から達也のことが好きで、もともと2人は両思いだったのだが、そこに南を好きな達也の双子の弟である「和也」(しかも、「劣等性で問題児」というレッテルの兄と比較して弟は「優等生で人格者」だった)という要素があったために当人同士に(特に達也のほうは)「2人の気持ちをハッキリさせる」上で迷いがあった。
その2人の関係を「曖昧なものにする」重石だった和也が死んで舞台から退場したことで結局は達也の迷いを晴らすことになり、必然的に2人の関係を浮かび上がらせることに。

新田・西村、そして原田・・・いずれも男性としての「魅力」では達也以上なのだが、南の気持ちが最初から決まっていて揺るがなかったために「ライバル」にすら成り得ず、単なる「引き立て役」に甘んじた。(しかし・・彼らはその「引き立て役」をプライドを持って甘んじてまっとうしたように思う)
つまり・・・この作品は最初から両思いなのに気持ちがすれ違う達也と南の心が触れ合う(すなわち「タッチ」する)までを描いた作品。
なので、「盛り上がりに欠ける」のもある意味当然のことなのだ。
かと言って「スポーツ漫画」としても盛り上がれるわけではないので、なぜあんなに(アニメ化にしても映画化にしてもドラマ化にしても、そしてスポーツ少女を「南ちゃん」などと呼んでいたことさえも)社会的に盛り上がっていたのかが今考えても理由がハッキリしない。

結論として「ハッキリとした理由もないままに周囲によって祭り上げられた結果、実態以上の過剰な評価が定着した漫画」ということになる。
でも、もう化けの皮は・・・剥がれてもいいでしょう?

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[投稿:2010-12-03 12:36:43] [修正:2010-12-03 12:36:43] [このレビューのURL]