「gundam22v」さんのページ

総レビュー数: 644レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年12月06日

日本独自の暦を作り出した渋川春海にスポットを当てた話。
有名ではない人物ですが、その奇特かつ静謐に見えて起伏のある人生に惹きつけられました。

原作小説が様々な賞を受賞して、映画化もされて一時騒がれた作品。現在は沈静化している中で漫画連載は続いて昨年末完結。その原作付属の強みと円満終了出来た感じの珍しい作品で素晴らしい出来です。原作に足した掘り下げ部分も巻末あとがきで毎回原作者から褒められているくらい関係が良好なのもこの作品が力作な証かと。漫画としてのクオリティが高く、算術や天測が頻繁なだけに表現の強みがあります。

春海のキャラが妙に弱々しく見える部分が特に序盤は多くイライラしましたが(ここが唯一の欠点かも)、読み進むにつれて成長することで、その部分も彼の謙虚さや優しさとして受け入れられるものになりました。歴史もの特有の時代推移により、中盤から終盤に特に強みがある作品なので、完結した今こそこの漫画版もさらに評価されても良いのではと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-01-08 19:40:04] [修正:2016-01-08 19:40:04] [このレビューのURL]

1話完結が基本の職業物語で最初から最後まで面白いです。
画力が最初からあって多少崩れますが最後まで
高いまま。キャラデザも親しみやすいです。
内容がサービス業の薀蓄の解説だけじゃなく、人の生き方
、人と人との関わり方まで触れる内容まで進んで哲学にも
入っていて読んでいて刺激を感じました。
この辺に関しては他の薀蓄系と違い考えを変えるだけで良いので即効性もあります。
話も最初はオチが読みやすいのからちょっとした捻りが加わって、後半の方が熟成感がありました。

最初はただのマスコットヒロインかと見えた涼子が主人公
になって、最上・水無月・朝霧という三者三様の先輩一流コンシェルジュと触れ合い、自分のコンシェルジュ像を確立
するという大きな物語が存在している辺りも読み進めてどんどん面白くなったと思います。最上主人公でヒロイン涼子でスーパーコンシェルジュ話で進んでたらマンネリ傾向になっていた
でしょうが、最上の存在感を抑えて他のキャラ話も交えて
涼子を中心とした良い成長群像劇になったかと。
仲間との協力や雰囲気が良いのでただの職場って感じじゃなくてアットホーム感があったのも良いですね。
雑誌関係で急遽の終了だったようですが綺麗に畳んでいるので
質が高いまま終わったと思います。
付録4コマも結構面白くてキャラ達の掘り下げに貢献していました。

欠点は政治の話になった時に明らかに特定の主張をする
キャラを賛美して(対論は示さない)、その逆は容赦なく貶してる感じだったことです。現実のモデルとなる人をかなり酷似
したまま出しちゃうのでここへの偏り感は残念になりました。作者はブログで炎上事件を起こしたことも
あるらしく勇み足気味らしいですが(ガッシュの作者を誹謗中傷してしまったようですが)。しばらくするとこの手の話をグッと抑えたこと(この漫画の推す某政党が政権交代されるほど不人気だった時事が大きかったと思われる)、それ以外上記の普遍的な価値話は良く出来ていたので欠点は低めに見て、職業もの1話完結型を探している人、特にサービス関係に興味がある人にはオススメしたい漫画です。十分完結しているので第二部的なプラチナム以降は話の内容、質的にも蛇足だと考えます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-03-02 18:25:02] [修正:2015-06-22 01:23:52] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

野球は好きなのに野球漫画はあまり読まない。どうしても嘘臭く作りもの感が拭えない。そんな自分でもこの作品は満足出来るほど、理論と実践のバランスが良く作りこまれていた作品だと思います。主人公がプレイヤーではなく監督の異色作品なのですが、それだからこそ理論・戦略・戦術・頭脳戦要素が非常に多いです。

それでも心理戦漫画にありがちな誰かが最初から全てを読み切っていたとかになる訳じゃなく、予想外の展開が起こり、その度に策を練り直す作業をするのでリアル感があがりましたね。采配の要素があっても、それが全てじゃない力勝負に委ねる限界も描かれており、野球の奥深さが描けていたと思います。試合のパターンも多彩で大量先制してから、追い上げられて最後はヒヤヒヤとか他スポーツ漫画じゃ滅多に見られないものがあったりします。

試合以外にも理論的な練習、学校人物の周辺関連の話も面白く、高校野球の表層じゃないシビアな舞台裏を描きながら、バランス良く話が進んだと思います。主人公のポッポ監督がダントツでキャラが立っていましたが、他キャラも派手さはありませんが、個性はあったと思います。浦沢直樹氏に兄弟弟子らしく、作風や絵が良く似ていますが、画力もあり作品が必要以上に汗臭い感じにはならないで個人的には良かったです。ただこういう漫画の仕方ないところですが、全国大会行ってからは因縁・伏線などに乏しく、会場から動かずにゲストキャラと連戦状態になったので熱量が落ちたかなという感じはありました。ただそこでしか描けないものだってたくさんあったのでよく粘ったとは思います。

全44巻と非常に長いですが読み応えがあり、面白さも安定して綺麗に完結した珍しい長編漫画です。野球・心理戦漫画として最高峰の面白さがあります。ただ野球ルールくらいは一応は知っていて、観戦出来るくらいの最低知識は必要でしょうね。それくらいの知識があれば、物語を楽しみつつ野球通レベルまで引き上げてくれるかと。個人的にはもっと有名になっていても良いのではと思うほどの近年漫画の名作だと思います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2015-05-30 13:22:29] [修正:2015-06-13 19:15:32] [このレビューのURL]

9点 CLAYMORE

同作者の「エンジェル伝説」時代より画力は連載中格段にあがって行きながら、独自のファンタジー世界観に合致しています。あの当時からのシリアス面でのグッと来る描写、熱い描写はこっちでも健在で、ダークファンタジーの中希望の灯を感じる根は王道という素晴らしい作品です。バトル漫画でもありますが、迫力があって描き込みが多いのに見やすいのも助かります。ストーリーの最初は「評判ほどか?」という感じですが、テレサ編衝撃の結末から一変します。そこから出発したと言って良いほどで魅力的な仲間達、話の広がり、随所になされる豊富な伏線の回収など目が離せませんでした。少しはダレかけましたが一気読みだと大丈夫なレベルでした。これだけ過酷かつ色々あっても、終盤が秀逸展開(主人公以外がラスボスを倒すのに喜びを感じる意味でも凄い)かつ大団円なのも読後感が良かったです。連載がとても長かったですが(13年程度はやや長すぎ感はあるが)絵はスタミナ切れしない、話も綺麗に纏まるという意味で少ない作品です。ここでの評価が高いのにも納得で自分もまた一票を投じたい名作だと思います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2015-03-13 05:01:26] [修正:2015-03-13 05:01:26] [このレビューのURL]

9点 銀と金

福本先生得意の頭脳戦・心理戦漫画。初期作ですがおそらく最高傑作では。時事的に古い話題が多いですが本質的な部分は現在
にも通じると思います。
画力は拙いしキャラデザに癖がありますがすぐに慣れて来ま
した。全11巻とは思えない密度やテンポの良さとダブル主人公的な銀さんと森田の魅力こそこの作品の本質だと思います。打ち切りのようですが一区切りしてますし、戦い続ける銀さんと引退した森田のままで居てほしいなと思いますので綺麗な終わり方の範疇かと。個人的に麻雀のルールを知らないので途中の麻雀編を雰囲気
理解だけで終わったのが残念ではありましたが(麻雀を扱う福本
作品は読めないでしょうね)。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-08-10 03:49:31] [修正:2014-08-10 03:50:06] [このレビューのURL]

多くの人が語ってくれていますが、内容面はすごい
です。これだけ話広げて伏線バラまいて回収して全17巻って
ところに凄さを感じます。スケールも
銀河レベルの宇宙戦争を本気
で描き切りました。
画力も相当高いのですが、絵柄と
女性キャラの裸が多いのが癖があります。特にヒロインのリプミラ
の髪型が他の女性キャラ以上に古いなと思われる理由かと。

それでも内容は本当に王道を踏みつつ、先が読みにくく、
伏線や謎はちゃんと解答して、個性あるキャラ・
熱さ・笑い・涙・全てが詰まった
SF冒険漫画として燦然と輝いています。
SF設定も多彩ですが、話に軸をおいて盛り上げるためにのみ道具として簡潔に説明して使うという姿勢もあくまで漫画という媒体においては成功だったのではないかと。

面白い漫画探してるという人には時代の壁がありますが、
読み進めると越えられると思っているので是非読んでみて
欲しいです。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2012-12-08 15:08:52] [修正:2012-12-09 18:44:59] [このレビューのURL]

才能は凄いですが素人状態のエヴァ
のシンジのような主人公がストリートファイトに飛び込み
成長して行く漫画です。

作者の経験や格闘技術論の解説が随所に入るのですが、それがボコボコ殴り合ってる漫画と違って考えさせられるのが上手いです。
個人的にはそれが入ってもテンポもちょうど良いし、
なるほど、なるほどと目から鱗で読んでました。
こういう形式の漫画は珍しく非常にインパクトを感じました。

画力が高く、起伏や展開のあるストーリー、キャラも良くて先が気になりますし没頭出来ます。読む前はもっと殺伐としてるのかと思うとなんだかんだで主人公を支えてくれる人達が出てきますし、少なくともこの漫画に出る不良はほとんどが筋は通す連中なので不快感は少ないです。こういうジャンルの漫画ですが作風に優しさがあります。街で喧嘩する人間に対しては変に美化せずキッパリと否定的な結論に至ったのも良かったと思います。

主人公は後半はともかく前半はエヴァのシンジから影響が強すぎる
と感じるのと最後がちょっとすっきりはしない終わり方だと
思いました。でも読み易くあっという間に全巻読めたこと、
格闘やってる人への敬意が湧いたことを考えても
この漫画はもっと評価されても良い名作だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-11-09 02:31:00] [修正:2012-11-09 02:32:52] [このレビューのURL]

9点 ARIA

一話完結の未来異星世界を舞台にした日常系癒やし漫画。
前作「AQUA」を読んでいる時から面白いとは思ったのですが、
こっちの方がパワーアップしていますね。コマ割り、
台詞回し、風景描写とかこの漫画センスが高いなと自信を持って言えます。ただの延々と続く日常ものじゃなく、成長や移り行く時を描写しているのが印象的ですし、
一本の筋が通った形で終わりました。前半で独特の世界観、イベントの説明を終了した感じで、後半はキャラの掘り下げや成長を描写していますがそれが非常に上手いです。ただの綺麗な物語で終わらずブラック面にも足を突っ込みますが、深刻にならないで
説教臭くならないように優しい雰囲気は維持されています。画力は相変わらず高いだけじゃなく、最後に行くまでさらに加速して、丁寧なのに劇画的にはならない良い塩梅で終わった稀有な作品かと。
ダラダラやれそうなのにこの巻数で収めたのも良かったですね。
日常系の一話完結話や女性漫画家の作品では合わないのが多い自分でも楽しめた辺り幅が広い作品で人に勧めやすそうです。前作「AQUA」は読まなくても楽しめますが、読んだ方が終盤に繋げてくるので感慨が違って来ます。唯一主人公灯里(彼女の魅力は本作
の長所で強く描かれる)の師匠・先輩のアリシアが引退はともかく作中出てこない誰かと結婚までしたのは釈然としませんでした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-09-10 06:46:57] [修正:2012-09-10 06:58:50] [このレビューのURL]

9点 RED

キャラ、画力、演出、群像劇的描写から
全体が見えてくる手法、メッセージ性、バトル描写、人間模様全部詰まった凄い作品だと思います。アメリカ負の部分の象徴なインディアン政策に焦点当てた漫画って題材が唯一レベルですし、復讐をテーマに西部劇を描き切った大作かと。

ラストで復讐の先にある
主人公レッドが揺らがずに本懐を遂げたというカタルシスと復讐が結局何も残らず報いすら受けた無残な最期(魅力的なヒロイン二人から愛されていたので余計惜しく見えるのが上手い)
という両面を提示したのも考えさせられました。

こういう題材なので重く暗いですが、ちょくちょくコミカルな
シーンを入れる辺りに上手さを感じて読みやすかったです
(それでもエグい演出多数ありますが)。

唯一気になったのは、ラストシーンでヒロインスカーレットの子孫で主人公レッドの生まれ変わり的なキャラと親友イエローの子孫が出会うという演出意図は分かりますし感動はあります。しかし互いの相方が身内キャラだったので、悪い意味での余りものカプ感が強かったです。ここはスカーレットとイエローは生存で、アンジーとチリカは死亡演出が素晴らしかったためそのまま死んでいた(これが実は生きてたは…)、スカーレットとイエローの相方は不明で必要十分だったと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-08-28 16:32:22] [修正:2012-08-28 16:32:22] [このレビューのURL]

不良漫画ってことで敬遠していたことを後悔
するくらいの名作だと思います。不良漫画色もありますが、格闘ギャグ漫画色、恋愛含めた青春漫画色が薄めている方かと。
主人公達も言うほどの不良活動はしていませんし。

作者のセンスが巧みで、ギャグ&シリアスがしっかり出来ている
から読んでて飽きません。ギャグはたまに抱腹ものがあります
、シリアスも胸が熱くなるシーンがあります。

キャラの個性が素晴らしく、主人公コンビはもちろん、ギャグ
でいつも笑わせて、たまにキメる時は感動
さえさえてくれる名脇役の今井のようなキャラ
まで輩出していますし(彼主役の外伝話も作られましたしね)。

10巻入るくらいまではまずまず面白いかくらいだったのですが、
そこから最後まで勢いがついて最後まで失速することなく、綺麗
に38巻を完走したのは稀な作品でしょう。
不良漫画苦手って人にもおすすめしたい名作です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-01-10 20:49:31] [修正:2012-01-10 20:49:31] [このレビューのURL]

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