「鋼鉄くらげ」さんのページ

まず一言で言えば、「重い」作品です。はっきり言って読んで楽しむための漫画ではありません。読んで悩み、苦しむための漫画です。

この作品が重いのは、決して埋まらない溝を、常にそのテーマとして書いているからだと思います。新生児編では、素直に受け入れられない親の葛藤を。ガン医療編では、死を間近にして決して完全には救われない患者の苦悩と、死を間近に控えた患者を真に理解出来ない医者の苦悩を。精神科編では、決して拭いきれない社会が持つ偏見とそれに苛まれる患者の苦悩を。

結末も、読んでいてすっきりしないのは、決して一つの問題が無事に解決した訳だからではなく、ただ一区切りついただけだからです。完全には救われていないのです。それが、この作品の持つ重さの正体なのではないでしょうか。

白でも黒でもない終わり方を受け入れることが出来るかどうか。それがこの作品に対する評価の一つの分かれ目だと思います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2007-11-26 22:59:47] [修正:2007-11-26 22:59:47]

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