「鋼鉄くらげ」さんのページ

総レビュー数: 292レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年10月28日

読んでいる間は6点と7点の間をゆらゆらと浮遊しながらも、読後感の良さから7点を付けてしまう。そんな、ほんのりとした気持ちにさせてくれる作品です。

異世界人や宇宙人など、いわゆる非日常の登場人物が主人公の元にやってくる、いわゆる押しかけタイプの漫画の多くは

異世界人や宇宙人→ボケ役   (非常識人)
主人公(地球人)→ツッコミ役   (常識人)

の関係性となっているパターンが多いのですが、この漫画は少し違って、

主人公の部屋で地縛っている幽霊の女の子→ツッコミ役    (常識人)
幽霊の女の子がいる部屋で生活している主人公→ボケ役   (変態紳士)

という、一般的なパターンとは全く逆のパターンになっています。そこがこの作品の特異性であり、読んでいて面白いところなのではないかと思います。何にしても、この作品は主人公の変態っぷりと、幽霊の女の子のツンデレっぷりが絶妙で、読んでいてとても面白いです。

読んでいて頭を使わず疲れない。寝転がりながらダラダラと気楽に読めるようなタイプの漫画なので、息抜きにはもってこいの作品だと思います。

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[投稿:2012-05-25 22:45:50] [修正:2012-05-25 22:56:27] [このレビューのURL]

2巻で、この作品の推薦コメントを書いていた伊坂幸太郎先生には申し訳ないんですけど、自分は全然面白くありませんでした。というより肌が合いませんでした。その原因を簡単に説明すると、

この作品はまず、ある日の夕方、子供とおじさんが見知らぬ男たちに誘拐されてしまいます。そこで、残された家族は不思議な術の力を使って、世界の時間を止めて二人を助けに行きます。そこまではいいんです。問題はそこからです。誘拐犯のアジトを突き止め、攫われた二人を助けようとしたその時に、部屋の外から見知らぬ男たちが次々と現れ、助けに来た家族へ続々と襲いかかっていくんです。自分は、このシーンが納得できませんでした。

おいおい、ちょっと待ってくれと。時間を止めてるんじゃないの?
なのに何で、他の人たちがその停止空間に侵入してくんの?
しかも何でそこから「管理人」とかいう訳の分からない木の怪物みたいなものが出てくるの?

そのあと話を読み進めていっても、これらの疑問に対して納得のいく解答は得られず、『神ノ離忍』だの、『止者』だの訳の分からない専門用語が次から次へと連続攻撃をかましてくるので、みるみる内に自分の中の「読む気メーター」が下がってしまいました。

まぁ確かに。停止された時間空間内に他者が侵入することはできない、なんてことは一言も言っていない以上、停止空間内に他者が入ってきても何らルール違反ではないとは思いますが、何と言うか、そういうのはせめて今起きている誘拐事件を一段落させてからやってほしかったというか。基本ルールを理解している段階でいきなり例外ルールを見せられても、読む側としては混乱するだけです。

そんな、時間停止に関する物語の前提条件が納得できない時点で、もう既に九割方この作品に対する興味を無くしてるんですが、更に言えばキャラクターの方にも全く親近感が湧きませんでした。拉致された男の子とニートのおじさん。時間停止の術を使えるおじいさんに、その辺のことを何も知らないおじいさんの孫娘。そして拉致った敵はヤクザのような、若しくはチンピラのようなガラの悪そうな男たち。何とも華が無い登場人物たちです。この登場人物のラインナップで、自分の中の「読む気メーター」は完全にゼロに枯渇してしまいました。

釣りをする場合、何を釣るかによって餌の種類を変えるものですが、自分と言う魚は、この作品が吊るしてきた餌には感興が湧かなかったようです。

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[投稿:2012-05-25 22:46:35] [修正:2012-05-25 22:51:16] [このレビューのURL]

「物語の完結」には二つのパターンがあると思っています。一つは、作者の意に依らない外発的な動機が起因となって引き起こされた「物語の完結」。つまりは「意図しないタイミングで終わらせた強制的な幕引き」です。そしてもう一つは、作者の意に沿う自発的な行動過程の結果によって導かれた「物語の完結」。つまりは「作者の描きたいものを最後まで描き切ったトゥルーエンド」です。(但し、必ずしもハッピーエンドとは限りません。ハッピーであれ、バッドであれ、作者が真に望む結末こそが、物語の真の結末であると考えるためです。)

そういった意味合いに当てはめて「物語の完結」を考えるならば、この作品は間違いなく正しい意味での「物語の完結」。つまり先程の例で言えば後者の、作者の望む形として物語の結末を迎えることができた作品だと思っています。

まず初めに断りを入れておくと、自分はこの作品の原作を読んだことがありません。なのでこのレビューは、漫画のみでの評価になっています。

元は冲方丁先生の原作がベースとなっているこの作品ですが、一個の漫画として見た場合でもその完成度はかなり高いです。何より、漫画としての面白さを漫画家(描き手)自身がとても良く分かっています。

それはつまり、画面全体の「空間」の使い方であったりだとか、各コマごとの「流れ」や「呼吸」の配分方法であったりだとか、漫画を面白く見せる上で重要な要素を漫画家自身がとても良く理解しており、かつそれを上手く体現させるだけの技術も持っています。

別マガ6月号で無事に完結し、最終巻が来月発売だということなので、また最終巻が出たあとに、最初から最後まで一気読みすると、本誌で読んでいた時とはまた違った印象になるのではないかと思います。ただ、途中、(グロいという意味で)結構過激な描写が出てくる場面が多々あるので、そういうのが苦手な人には少しキツい作品かもしれません。ですが、それも表現であり、演出の一部だと割り切ってしまえば、かなりの緊張感を持って物語を楽しむことができる作品なのではないかと思います。

「原作×漫画家」が「プロ×素人」であったためにこれまで数多くの駄作が歴史上積み上げられていきましたが、この作品は正に「プロ×プロ」によって完成したプロフェッショナルな作品だと思います。

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[投稿:2012-05-11 22:00:44] [修正:2012-05-11 22:04:39] [このレビューのURL]

Y=0x+4の方程式は簡略化するとY=4になり、これをグラフに表すと、x軸から4進んだところにあるY=4の平行な線が、一本どこまでも続いているグラフになります。

この漫画もちょうど、そんなY=4のグラフのような作品で、最初から最後まで何ら寄り道することなく、ひたすら旅の目的地である京都まで一目散に進んでいき、そして、無事に最終回を迎えたという、何とも味気も色気も無いストーリー展開になりました。

そんなY=4のようなストーリー展開をどう思うのかは人それぞれだと思うのですが、個人的にはもう少し何らかのハプニングやストーリーの起伏みたいなものがあっても良かったんじゃないかと思います。

ただ、もしかしたらこの作品を描くために、作者が東京から京都まで自転車で走りながら取材をしたのかもしれないと思うと、その苦労が色んな意味で悲しいです。

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[投稿:2012-05-11 22:01:25] [修正:2012-05-11 22:02:09] [このレビューのURL]

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