「鋼鉄くらげ」さんのページ

総レビュー数: 292レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年10月28日

当たり前と言えば当たり前のことなのかもしれませんが、どんなに面白い作品でも万人にそれを知らせるような宣伝活動を行なわなければ、誰にも知られることの無いままひっそりとその姿を消してしまうわけで、だとしたら、昨今のアニメ作品数の増加も企業側による宣伝活動の一環として見るならば、ある意味では効果的と言えなくもないと、そんなことを思います。

さてこの作品。自分も正直、この作品がアニメ化されていなかったら一生その存在を知らないままだったと思います。

おそらくもっとメジャーな、いわゆる四大漫画雑誌などで掲載されていたら、今の何倍も人気になっていたんじゃないかと思いますし、そう考えると、本当に、「面白い漫画」ってのは一体何なんだろうなとそんなことを思います。

今にして思えば、90年代にジャンプで掲載されていた作品群も「ジャンプに掲載されていたから(メジャー雑誌で多くの人の目に付く機会があったから)」より多くの人にそのタイトルを知られて「売れる」作品になっていったわけで、だとしたら、もちろんその一方でマイナー雑誌に掲載されていたが故に、本当は面白かったにもかかわらず人目に付くことのないままひっそりと連載を終了してしまった作品も無数にあっただろうなと、そんなことを考えます。

と、ノスタルジーな文章はここまでにしておいて、肝心のレビューですが、こういう日常ものは「感性の相性」だと思っているので、正直自分が面白いといって相手も面白いと感じるかは分かりません。自分が着たい服を選ぶときと似たような感覚だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2023-08-12 21:08:33] [修正:2023-08-12 21:08:33] [このレビューのURL]

前々から色々なところで話題になっていたので興味はあったものの、基本コミック派なので単行本が出てから読めばいいやと思っていた矢先に、連載休止になってしまったという知らせを聞いて、半ば読むことを諦めていたこの作品なんですが、奇跡的にコミック化されたということで、即購入して読んでみました。

で、その感想はというと、物凄く個性的というか、独特というか、不思議な空気感を持った作品でした。

ただその魅力を言語化するのは少し難しくて、何というか、色で言ったら「〇〇色」のように具体的な色名で表現できるようなものではなく、ある特定の原色を明度・彩度ともにある程度の割合で変化させたパステルカラーのような色合いをした魅力なので、その面白さを一言では明確には表現しづらい作品です。しかし、読む人を惹きつける不思議な魅力を持った作品だと思います。

連載休止中ということで、何とも言いにくい状況ではあるんですが、個人的なことを言えば、作者本人がその力を存分に発揮できる環境で物語を描くことが出来れば、それが作品にとっても幸せなことにつながるんじゃないかと思っています。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-10-09 21:30:45] [修正:2022-10-09 21:30:45] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

(ネタバレあり)
前々から方々で話題になっていたこの作品なんですが、いざ実際に読んでみると確かに上巻は面白かったのですが、下巻の終わり方が雑というか、話の収集が付けられなくなって無理矢理話をまとめ上げたみたいな終わり方で、非常に消化不良な印象を受けた作品でした。

元々作者がどういう話を想定していたのかは分かりませんが、個人的にはもっとシンプルに、タイムループを繰り返していじめや家庭問題を解決していき、最後には全て丸く収まるハッピーエンドを目指す物語みたいなもので良かったんじゃないかと思います。そして、そう考えると途中でタイムループが出来なくなったのは結構な悪手だったような気がします。

そしてその一方で、では「原罪」とは何か、という問題に直面しますが、いくつか考えられる中で総合的に言えるのは、「タコピーが物語の登場人物たちを幸せに出来なかったこと」で、結局タコピーは物語全体を通して(直接的には)何の役にも立てなかったことが、この作品が示す「タコピーの原罪」なのではないかと私は考えています。

ただ、そういった視点に立った時に、タコピーひとりが犠牲になって物語がハッピーエンドみたいな今回の結末は個人的にはあまり好きではないので、結論を言うと、この作品のオチは好みじゃなかった、ということになります。

何というか、描きたいシーンとアイディアが先行してしまい、そこから先の過程が不完全だった、みたいな作品でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-07-22 21:22:06] [修正:2022-07-22 22:22:14] [このレビューのURL]

一言でいうと平和的解決を図った作品。

元来、少年漫画における恋愛漫画というのはどうしてもハーレム状態になりがちで、その中でも特に「最終的な相手を誰にするのか」という問題は、物語そのものを評価する上でも重要なファクターとなるばかりでなく、一歩間違えれば今までファンだった読者の人たちからも非難の総攻撃を食らいかねない危険性の高い問題だったからこそ、一昔前は結局誰も選ばない「俺たちの戦いはこれからだエンド」が常用されていたわけです。

そうした歴史的な背景と、今回この作品がとった解決方法を照らし合わせると、実に平和的な終わり方をした作品だったなと、そんなことを思いました。

具体的にどう終わったのかについては、ネタバレになるので触れませんが、多分この終わり方がある意味で最良であり、最善な終わり方だったと思います。

ただ自分としては、最終的な相手として誰を選んだのかというのは正直どうでも良くて、それよりも、物語の「流れ」を考える上で、その相手を選んだことが物語全体の流れを通して正当なものになっていたのか、の方が重要だと思っています。

その意味で考えると、今回のこの作品の初期ルートの終わり方は、正当なものになっていたと思いますし、話全体の流れから見ても不自然な終わり方ではなかったと思っています。

とは言え、「自分の好きなキャラはこの人だから、この人が幸せになってくれないと嫌だ」みたいな気持ちも分からないではないので、そういう人たちの気持ちも考慮したからこそ、今回のような終わり方にしたのだと思います。

ちなみに今回の評価点は、ところどころ8点以上のお気に入りエピソードはあるものの、全体的な面白さとしては振り幅が結構大きいので、無難なところで7点を付けたという感じです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-09-26 20:49:04] [修正:2021-09-26 22:31:03] [このレビューのURL]

(6巻までのレビューです)

映画の方は観ていないので、そちらの方と比べてどうだったかとかは分かりませんが、漫画単体として見るならば、分かりやすいまでの直球王道少女漫画です。

見た目が地味で目立たない娘(こ)が、クラスや学校で話題の超イケメンから仲良くされている(ただしチヤホヤされているというわけではない)という、百番煎じで、もはや水みたいな王道展開の作品です。

とは言え、やはり人気が出て映画化されるくらいの作品なだけあって、話は結構面白いです。

何というか、少年漫画が見た目も派手で大きな建造物を造るような過程だとしたら、少女漫画は可愛らしくて繊細なドールハウスを組み立てていく過程といったような、そんな、心の機微を丁寧に積み上げていくようなストーリー展開をする気がします。

6巻まで読んで、現状結構面白いので、7点台後半の印象なのですが、少女漫画はいつも終盤の展開が怖いので、どういう結末を迎えるかで評価が大きく変わりそうな気がします。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-08-01 21:22:08] [修正:2021-08-01 21:40:06] [このレビューのURL]

「物語が長く続く」ことと、「物語が面白い状態にある」ことの、どちらが物語にとって幸せなことなんだろうというのは、ある意味では永遠に答の出ないテーマの一つなのかもしれません。

ただ、これらの二者択一は少し残酷なことかもしれませんが、決して両立し得ないことだと自分は思っています。というのも、おそらく物語というのはその物語の大枠や全体像みたいなものを考えた時から、その物語を最も面白く表現できる「話の長さ」は既に決まっていて、あとはその範囲内に物語を上手く収めることができるかどうかという問題になっている、と考えるからです。

そして、例えば恋愛漫画だったり、冒険漫画だったり、ギャグ漫画だったり、日常漫画だったり、多種多様なジャンルの漫画がある中で、それらの漫画も突き詰めてしまえば、面白さを最大限に表現できる物語の長さの最適値みたいなものは、各ジャンルによってある程度決まっているものなのではないかと、様々な漫画を読んできた中でそんなことを思っています。

そんな前振りを経ての今回のこの作品の感想ですが、見事に面白さのピークを保ったまま物語を終えることができたと思っています。心情的には9点くらいの読後感なんですが、さすがにそれはちょっと身内びいきが激しすぎるので、少し気持ちを抑えて現実的に7点を付けました。

実際のところ、かなり好きな作品だっただけにもうちょっと続いてほしかった気持ちもあるのですが、面白いうちに終われることは幸せなことだと思うので、まぁ仕方が無いかなと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-03-06 18:50:46] [修正:2021-03-06 19:37:13] [このレビューのURL]

7点 怪獣8号

(このレビューは第1巻のみのレビューです)

表紙絵からすると「チェンソーマン」みたいに血とか内臓とか色々なものが飛び出るおどろおどろしい内容の作品なのかと思っていたのですが、意外とポップでコメディチックな内容の作品でした。

ただ、現状面白いかどうか(面白くなるかどうか)は全くの未知数な状況なので、今後の展開次第といったところだと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-02-05 19:01:47] [修正:2021-02-05 19:01:47] [このレビューのURL]

この作品の凄いところは、どう見ても出オチ、気まぐれ、思い付きみたいな感じで作った話でも、きちんとそれなりにいい感じな話にまとめ上げて、なおかつそれを次の面白エピソードの繋ぎへと変えてしまう点にあると思っていて、そしてその集大成と言えるのが、どう見ても出オチの思い付きとしか思えなかった1巻1話のエピソードを、最後には感動の大団円にまとめ上げてしまったという、その強引なまでの力技には正直感服せざるを得ない気持ちになりました。

それにしても、気が付いたら10年近い付き合いとなったこの作品なんですが、その中でも特に印象に残っているエピソードは1巻5話の釣りのエピソードです。(確か)アニメにもならなかった何てことないエピソードなんですが、自分はこの何てことなさが物凄い好きというか、このどうでもいいような話に作者の物語作りのスタンスが現れているような気がして、今でも凄く気に入っています。

なお、点数に関してはところどころ8点以上のお気に入りエピソードがあるものの、全体的には結構な振れ幅があったので、この点数を付けました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-10-03 18:48:08] [修正:2020-10-03 18:48:08] [このレビューのURL]

もうすぐ「平成」が終わり、新たな元号になるのと同じように、おそらく歴史というのは、そうした一年ごとの小さな変化の積み重ねであり、また人々が生きてきた証そのものなのだろうと思うのと同時に、今この時代「平成」を生きてきた自分たちの時代が、何十年、何百年、何千年後の人類からしてみたら、果たして、一体どのような時代としてどのように記憶され、また記録されていくのだろう。

そんな、悠久の時の流れの壮大さと無常さを感じさせてくれるような、とても不思議で広大で、そして寂寥感の漂う作品です。

2017年秋季にアニメ化された作品で、人類文明崩壊後の世界を探索するという、その空気感というか世界観がとても自分好みな作品でした。絵の描写力に関しては確かに不十分な印象もありますが、それを上回る発想力というか構想力みたいなものがとても独特で魅力的な作品でした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-12-23 18:30:00] [修正:2020-03-15 18:02:07] [このレビューのURL]

実際のところ、別冊少年マガジンでこの作品が連載されていた時は全く面白いと思えず、1話か2話くらいまで読んだだけで、あとはそのままスルーしていました。

しかし先日アニメ化されたということで試しにこの作品のアニメ版を観てみたのですが、これが予想以上に面白く、改めて原作を読みなおしてみると自分がこれまでこの作品に対して抱いていたマイナスイメージがまるでウソのように面白い作品だったという、自分でもびっくりな手のひら返しとなってしまいました。

たまにこういう、1巻1話の連載スタートの段階から爆発的な面白さを持った弾丸のような作品ではなく、じわりじわりと読者の心に根付いてくるような強かな面白さを持った作品が現れてくるので、物語ってのは油断できないなって思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-11-03 18:02:57] [修正:2020-03-15 18:01:42] [このレビューのURL]

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