「鋼鉄くらげ」さんのページ

[ネタバレあり]

色々と話題なので試しに二巻程読んでみたのですが、成程、これは確かにツッコミ所満載の漫画です。

<設定・世界観について>

よく考えては、いる。よく考えては、いるんだけど、どうしてもそれが結局は作者一個人の頭の中だけのことでしかない。という印象がどうしても拭えない。

「公権力」の名の下、生命の価値を再認識させるために無作為に選んだ人間に死の通知を行なう。作品中ではその法律による効果が至る所で見られるようになった。なんて事を言っていますが、普通に考えてこんな考えや政策は、ただの独裁であり、どう考えても有益な効果なんて出る訳がありません。

そもそもこんな法律が法律として成立している国は法律そのものが死んでいます。法律よりも人為的な強制力の方が勝っているからです。

<個別のストーリーについて>

全く24時間という設定を生かしきれていません。せっかく制限時間を設けているのに、肝心の最後の数時間をナレーションだけでさらっと流されてしまったら、死んだ人も浮かばれずに、見ている読者も「あれ?もう終わり?」みたいな気持ちとなってしまいます。

「人間の死=感動を呼ぶ」という安易な発想から作った作品としか思えません。本当に人が、特に、大切な人が死ぬというのは、どういう事なのか。それさえもきちんと考えずに、「こういう設定なら感動を呼ぶだろ」みたいな安直な考え方で作品を作らないで欲しいと思います。

不慮の事故であったり、不治の病であったり、理不尽な現象に巻き込まれて大切な人を亡くした人達の気持ち。そういった人達の「心」をまるで解かっていない、ただの頭でっかちな作品のように感じました。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2008-11-01 22:07:01] [修正:2008-11-01 22:07:01]

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