「鋼鉄くらげ」さんのページ

確かに序盤は割と楽しめたんですが、終わってみれば、核心となる話が始まるまでが一番面白かったという、何とも映画の予告編のような感想になってしまった作品です。

まぁ、容赦も遠慮も無く、それでいて残酷で的確な、これ以上ないくらいに作り手のこれまでの苦労を一瞬で吹き飛ばす、あの悪魔の言葉を使ってしまえば、「ご都合主義」。
これ以外に、この漫画の欠点を言い表す言葉はありません。

作品全体では入念な下調べや準備を行なっていたかのように感じさせ、さもこれから緻密な計画を基にした、壮大なドラマが展開されるかと思いきや、終わってみれば精神論や、根性論、あるいは愛の力で全ての災厄を吹き飛ばしてハッピーエンドという、小中学生の書いたシナリオのような、しょぼいストーリー展開となった事が、この作品の評価を下げた大きな要因かもしれません。

かといって、論理的に見て破綻も欠陥も無い、完全無欠なストーリーを作る事は、それこそ実現不可能な事ですが、面白い話と言うのは、そういった完全無欠とは真逆の位置にある、ひどく不完全な造形美であると。そんな風に思っています。

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[投稿:2009-10-04 20:28:23] [修正:2011-08-27 22:46:09]

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