「鋼鉄くらげ」さんのページ

ある作家の短編集を読む時に、人は皆様々な理由でその短編集を読むかと思われますが、その中の一つに、その作家がこれまでに歩んできた足跡を知りたいという動機があります。

一概にそうとは言い切れませんが、短編集というのはその大半が、その作家がデビューするまでの下積み時代に描いていた作品群の集まりです。(特に少年・青年誌作家にとっては。)と言う事は、そこに掲載されている作品群そのものが、作家自身がこれまでに歩いてきた足跡そのものであり、これまでを振り返って感じられる、確かな成長の証そのものとも言える訳です。

さて、長々と前置きを語っておいて肝心のこの作品群ですが、正直に言うと、全く面白くありません。というか、ヒドいレベルです。正にデビュー前の新人が描いた作品といった印象で、非常に荒削りです。欠点や問題点、改善点その他諸々を挙げようとすれば、それはもう幾らでも羅列することができるのですが、それにも関わらず評価が4点とまずまずなのは、例えば数学の追試で赤点ギリギリの答案を前にして、所々部分点を付けていって、何とか追試での赤点を免れさせた教師の恩情のような感覚からです。正当な評価をするとしたら、おそらく2点から3点の中間辺りだったんじゃないかと思います。

畑先生に好感を持っていて、畑先生がこれまで歩んできた足跡に興味がある。
そういう人にしかオススメしづらい短編集です。

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[投稿:2010-08-18 13:20:14] [修正:2010-08-18 13:20:14]

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