「鋼鉄くらげ」さんのページ

本屋でパッと見かけて試しに読んでみた漫画。

しかし、その感想は今ひとつで、まず何より設定から失敗している。そんな印象を受けました。

主人公が通う学校には「階段部」と呼ばれる部活があり、その部活は校舎内の階段や廊下を走り回り、そのタイムを競い合うことを活動の主たる目的としている。確かにここまでは問題無いと思います。しかし、問題なのは学校内での「階段部」の立ち位置にあります。

当たり前のことですが、校舎の廊下や階段を走ってはいけません。理由は簡単。他の人にあぶないからです。これは社会通念とも言える当然のルールです。「階段部」を物語の舞台として選ぶためには、まずこの暗黙の了解となっている基本ルールを打破しておく必要がありました。しかし、この作品はそのルールを克服することなく、そのまま物語を始めてしまいました。丁度、すぐ爆発する事が明白な爆弾を抱えて走り出すように。

例えば、この学校(もしくはこの世界)では、「階段部」が学校中(もしくは日本中)で高い人気を誇っていて、誰もが憧れる超メジャーなスポーツであるとか、そういった風に、ある程度肯定化された状況を物語の舞台として整えておかないと話が進まない設定だったんじゃないかと、そんな印象を受けました。

便宜を図る上で、物語に都合の良い設定を作る事は問題視されるべき事ではない、とそんな事を考えさせられる作品でした。

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[投稿:2010-11-13 14:28:54] [修正:2010-11-13 14:32:36]

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