「鋼鉄くらげ」さんのページ

間違いなく「過程」を楽しむタイプの漫画だと思うこの作品。

この作品のミソは次の二点。
1 見た目超優等生のメガネちゃんが、実はバリバリのヤンキー。
2 見た目バリバリのヤンキーが、実は元超優等生。
このギャップがこの漫画の面白い所であり、ミソであると私は感じます。

ストーリーとしては全体的に勢いまかせで、ヒネリや伏線も何もないキャラ漫画ですが、その分キャラクター一人ひとりの面白さや魅力が際立っているので、安定した面白さは持っていると思います。

しかしやはり、読んでいて痼り(しこり)として残るのが、物語の最後の結末部分です。果たして、どうしてこのような結末になったのかという事を、あくまで自分の推論として述べさせてもらいます。

まず結末の要点を整理しましょう。

自身の正体と家庭の事情が原因で学校に来る事ができなくなってしまい、引いては卒業式はおろか、大学進学も諦める事になってしまったヒロイン足立花。卒業式の日、品川大地は答辞を読み上げていく中で、この三年間、自分は足立花に振り回されながらも、彼女がいた事で自分の高校生活三年間がいかに輝いていたのかを改めて気付かされ、自分にとって足立花という存在がいかに大きなものだったのかを改めて知り、そこで初めて涙を流すのだった。
そして、四年後。品川大地は母校、紋白高校の教師として働いていた。そして学校行事の社会科見学が迫ろうとしていた時に、ふと休憩がてらにトイレに入っていると、そこに突然、あの足立花が現れた。丁度、初めて二人が登場したあの時(第一話)と同じように。
こうして、二人は四年振りに、今度は先生と生徒として、無事に再会を果たすのだった。

と、まぁこんな感じではないかと思いますが、おそらく、作者の頭の中ではこのラストシーンの方が先にあったために、ああいう流れになったのではないかと思います。
(つまり、分かりやすく言えば、本来予備校編は連載当初から予定されていた話ではなく、連載をある程度引き延ばすために、後から作られた話だったのではないかと。見た目ヤンキーの品川が実は、元有名中学校の在校生だったとか、しかも全国一位の知り合いがいるとか、いかにも後付けっぽい設定ですし。それに、もし仮に足立花の家庭問題が無事に解決し、足立花も品川大地も二人無事に揃って紋白高校を卒業してしまうと、作者が描きたい理想の結末が描けなくなってしまいます。足立花が高校を「卒業」してしまう訳ですから。)

ただまぁ個人的な感想を言えば、これまでの過程を考えると、その結末(品川が殿大に出たにも関わらず母校で教師をやっていて、そこに四年ぶりに高校を中退した足立花が現れたという結末)はちょっと無理があったんじゃないかとも思います。何にしてもこの漫画は結末よりも、その途中を楽しむための漫画ですので、そこに整合性を見出そうとする事自体、ヤボな事かもしれません。

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[投稿:2011-06-21 14:21:02] [修正:2011-06-21 14:24:37]

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