「s-fate」さんのページ

江戸川乱歩の作品のマンガ化はいくつかありますが、これは絵で視点を変えてみせる手法に出た面白い作品です。
 怪人二十面相というと江戸川乱歩が子供向けに描いたものだったと思います。だから作品内で読者と同じ年齢層の子供を登場させて大活躍させ、作品との一体感を味あわせて本に夢中になってもらおうとするために少年探偵団という設定を作ったのだと思います。
 しかしこの作者は明智小五郎と小林少年の関係を客観的に見てなんとなく妖しいものととらえています。確かに、探偵を業としている限り奥さんに火の粉が降り掛からぬようベッタリは出来ない。仲は良いけどあまり一緒にはいなかった設定だったと思います。でも結果として奥さんの目の届かないところで少年を沢山職場にはべらせていることになる。なるほど明智は妖しい趣味を持ってそうなオッサンだ・・・。と、小林少年をやたらかわいく描いてみせるだけで名作をあらぬ方向へ解釈させることに成功してしまっています。
作品自体は真面目に時代背景を考慮に入れて描かれており感心するほどですが、だからこそ余計そのギャップが面白い。
絵は背景は素晴らしく、人間はイマイチ(特にオッサンたち)だと思いますが、明智ショタコン疑惑を言葉を使わず表現したところに不覚にもウケてしまったので6点。この作品にはマンガならではの面白さがあります。

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[投稿:2010-05-06 21:33:07] [修正:2010-05-06 21:33:07]

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