「s-fate」さんのページ

 医療を通じて大小色々な問題をマンガにしたため、すごく幅が広くて読み応えがあります。年齢を重ねないと理解が深まらないお話もあります。その意味でも幅が広い。
 手塚さんの起死回生の作品。しかも漫画界では前人未踏のキャリアを積んだところで、自分の人生で深く関わったテーマを描く。凡百の作家でも自分のやってきたことを描くと通常の何割増しかで面白くなる(若い作家のコミケが出てくる話なんかは顕著だと思います)傾向があるところで、あの手塚さんがこのタイミングで描いた。なんという僥倖。
 発表当時は少年誌で医者マンガなんて、みたいなこと言われたようですが、実は人気が出て当然の条件が揃っていたのではないかと思います。
 病気で困った時の表現は「赤ひげ呼んでぇ」より「こんなときブラックジャックがいればなぁ」のほうが通じるようになってしまいましたよね。それくらいマンガの枠から飛び出した作品だと思います。
 人生に影響は与えていませんが、マンガというメディアは軽く超えているので10点。

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[投稿:2011-06-10 04:23:36] [修正:2011-06-10 04:23:36]

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