「gundam22v」さんのページ

総レビュー数: 644レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年12月06日

[ネタバレあり]

ほぼ知られていない労働監督基準官を主人公として、ブラック企業的な労働問題を題材として、解決して行く一話完結型作品。今のご時勢だからこそ必要な題材を分かりやすく、話としても面白く、毎話終了ごとに豆知識解説でまとめて親切です。主人公の正義感に好感が持てましたし、ツンツンとした中でも可愛げを覗かせる場面もありました(顔自体はそこそこ美人)。相棒的なオッサン監督官も有能な良キャラです。ただ最終回だけは完全に打ち切りみたいな感じで主人公の欠点だけ描いて(痛い性格的欠点や男性関係での不誠実さまで出てくる始末)、人員が足りないんだ(この現実を提示するのは良いですが)と無断欠勤して終わるので後味が悪かったです。全体として良い漫画ですがさらに話題も増えているだろうし、この結末がスッキリしないので、完とされていますが続編が出て欲しいなと思いました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-08-21 06:05:27] [修正:2015-08-21 06:05:27] [このレビューのURL]

獣医を題材とした医療漫画。獣医版ブラックジャック。獣医系漫画ではおそらく随一ではという情報量、分かりやすさがあり(人間との比較を述べるシーンも多く人間医療理解にも役立つ)、ほぼ一話完結でそれを交えた後味の良い物語を提供して行きます。

画力も可愛いキャラ絵ながらそれなりに高く、シンプルにどんどん上達(意外にキャラの描き分けが上手く、多数のゲストキャラを含め絵で見ただけで区別出来るほど)。主人公ドリトルを獣医はビジネスと言い切る人間(キャラ的にブラックジャクのそっくりさん的ですが)に据えた故の、ときに厳しいペット業界の実態、環境、ペットを通した人間描写など説得力があります。

前半は定番オチに強引に運ぶ一面があり、食傷気味になる部分がありましたが、後半は周辺キャラが増えて来て、題材を拡げてオチは同じようでも一話完結のレベルが格段に向上してきました。

最終巻で謎だった主人公の過去を種明かしして、綺麗に話をまとめて終わるところも好印象。総合的に近年研究までカバーした獣医漫画最高の作品であろうと思いますが、強引にだろうがペットを治療して、飼い主自身の問題までを救うというさすがに同じようなオチが多すぎる部分(特に前半は繰り返し。この辺本家ブラックジャック、美術品ブラックジャック的なギャラリーフェイクは工夫が上手い)だけは残念なところでした。全20巻が結構長く感じてしまいますから。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2015-08-21 05:43:54] [修正:2015-08-21 05:43:54] [このレビューのURL]

民間での科捜研という珍しい舞台での一話完結型をこなしながら、本筋的に主人公縁が巻き込まれた猟奇殺人事件の謎を追うミステリー。画力はありますが、絵柄に結構癖があって慣れるのに少々時間がかかりました(顔がみんなちょっと濃い。縁が某教授的な阿部寛激似なのは笑える)。

鑑定の豆知識を盛り込みながら面白く、本筋部分でも話の引きつけや伏線張り(謎解き以外の人物関係や描写も含む)と回収が上手でした。話が進むにつれ登場人物にも愛着が持てて行きます。引き伸ばしなく綺麗に終わっている部分も好印象。ただ主人公原動力たる故人への愛が安易にヒロインに傾いてるように見えてしまう部分(すべて終わって時間経過後日談でそうなっているなら納得したところはあるのだが)、黒幕が読みやすかった部分(実は生きているだろとすぐに読めた。露骨に怪しい人がそのまま犯人でしたに近く、ヒントも多すぎでかなりベタベタだったと思う)、物語の鍵だった主人公の失われた12時間が緻密じゃなかった(これを丁寧に埋めていくことを期待していたのだが)という核心には多少不満が残ってしまいました。それでもあまり知名度がないのが不思議なくらいミステリー漫画として楽しめる良作だったと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-08-03 23:03:18] [修正:2015-08-03 23:03:18] [このレビューのURL]

名将真田幸村(信繁)は存在自体は超有名なのですが、大坂の陣だけの活躍のため、生涯全体はマイナーという感じだと思います。その辺を掘り下げ描いた作品で、画力と演出に誇張は激しいが迫力がある、作者が得意らしいハードボイルド調の格好良いキャラ達と見せ方(北斗の拳作者の元アシと聞くと納得)、誇張演出をのぞくと解説などが随所に入り、まずまず史実に準拠しつながら、1冊で上手く描けていたと思います。最初の冬の陣での活躍を描いて、生涯を振り返り、夏の陣へと突入という構成も良かったです。来年の大河ドラマ主人公ですが、この作品で予習としては十分かなと思いました(逆に1年間ドラマでやるのは相当難しいかも)。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-07-11 03:51:55] [修正:2015-07-11 03:51:55] [このレビューのURL]

「大関ヶ原」の外伝で本編で描かれなかった部分の補完短編集。こっちの方が本編より面白かったと思います。三成配下渡辺新之丞との逸話などこの作品で初めて知って感動、驚きを感じるところが多かったと思います。本編を読んでない人でも外伝だけでも読めるし、薦められると思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-07-11 03:30:08] [修正:2015-07-11 03:30:08] [このレビューのURL]

大宰治の名作を現代にリメイクした作品。原作未読ですが出来は
かなり良いのではと思います。画力は相当高いです。主人公の歪みっぷりが半端なく、容赦なく転落して行くので、読んでいて気持ち良い類の作品ではありませんが、大宰の私小説遺書要素の濃い作品だけに痛々しさは作り物感が薄く一読の価値があるかと。

原作は今だと読みにくいものがあるので、現代かつ漫画というこの媒体は貴重だと思います。巻数も3で短く纏まっていますし。誰もが名は知っている大宰を深く知る上でも、作中にある結婚直後の一番心が安定してた時期に、教科書にも掲載されている晴れ晴れとした「走れメロス」を執筆したのだなとか思うのも感慨深かったです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-07-03 00:27:45] [修正:2015-07-03 00:27:45] [このレビューのURL]

イギリス都市伝説設定を用いながら刑事もの要素を入れつつ、バトル漫画として昇華させた作品。作者の前作より画力があがっているところやイギリス都市伝説は勉強になり面白かったです。

あとは地味に纏めた感じでしたが、引き伸ばしなく
おそらく打ち切りでしょうが綺麗に全9巻で締めたのは良かったです。

前作から見てもダークな設定、雰囲気になりながらも芯の部分じゃ王道少年漫画を捨ててない作風は継続しており、今回も活きていたと思います。

上司刑事のセクハラ行為がギャグにもならない不快さだったのともう1つパンチがあればと思うところはありましたが、手堅い良作だったと思います。作者の次回作名作「レミゼラブル」も完結後読む予定ですが楽しみです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-06-29 00:19:03] [修正:2015-06-29 00:19:03] [このレビューのURL]

「岳」、「神々の山嶺」と並んで三大登山漫画と呼んで良い作品だと思います。この作品の抜けているところは画力です。現代的で初期から上手くて、途中からは画集レベルになっています。これは登山漫画としてはかなり重要なところかと。三大漫画の中で登山の技術論は巻末に用語解説があるように一番詳しいのではと思います(後半は減って来ましたが)。ストーリーは史実人孤高登山家加藤文太郎を主人公として、現代に彼が産まれたら的にアレンジした感じです。タイトル通りかなり暗い作品ですが、惹きつけられるものがあり、話題も現代だからこその時事が盛りだくさんで先が気になり、読むスピードが速くなりました。
欠点としては時系列が分かりにくいかなり癖の強い表現が多いです。序盤は良い意味で王道的なんですが、すぐに周囲人物に不快・善人っぽいのに一転堕ちてしまう人に溢れて、主人公が孤高どころかいじめ、振り回されている可哀想な人に見えてしまうことですね。「岳」の主人公三歩の方が泰然としてよほど孤高の人ではありました。この辺が人によっては途中で切ってしまってもおかしくないとは思いました。しかし、後半から主人公の理解者も出てきて、作風的にもある程度丸くなったなとは思います。結末も史実とは違いますが、アレンジ舞台設定なので許容出来る加藤文太郎という人物に思いを馳せさせるものでした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-05-22 01:06:57] [修正:2015-05-22 01:22:51] [このレビューのURL]

「岳」、「孤高の人」と並んで三大登山漫画と呼んで良い作品。漫画通にはその中でも最も評価が高い感じの作品です。個人的にもミステリー要素を取り入れつつ一番バランスがとれた登山漫画かなとは感じました。しかし、終盤のたたみ方は最も美しく良く出来ていたとは思うのですが、それまでの盛り上がりなどはやや乏しく、途中まであんまり面白くないなと個人的には思ってしまいました。女性がまるで男顔な濃い画風にも癖を感じました。逆に食事シーンはやたら美味しそうです(グルメ漫画より美味しそう)。三大登山漫画は長所と短所含めて互角の良作という感じだと思います。主人公の魅力と一話完結型なら「岳」、登山技術(前半)、画力と長編ならではの変遷なら「孤高の人」、比較的短編、バランスと終盤の締めなら「神々の山嶺」という感じだと思います。もちろん全ての作品がおすすめです。ただどれもこれ読んで山に行きたいと素直に思うような感じではないシビアさがあります。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-05-22 01:19:31] [修正:2015-05-22 01:19:31] [このレビューのURL]

「エレメントハンター」が面白かったのでこれも読んでみたいとデジモン知識皆無で読んだ作品。前作長所を継続した感じで今時珍しい少年漫画の王道。特に画力はキャラデザも好みで素晴らしいです。バトルもモンスター使役系の定番ですが迫力があります。デジモンファンへファンサービスが豊富らしいですが、自分みたいな皆無でも話は理解出来ました。キャラの掘り下げは前作よりも良くできており、感情移入が高まりしましたね。全4巻で特に詰め込んだ感も少なく話を纏めていました。「12歳前後だろ?」とビックリするくらいキャラの思考、言動がしっかりしている訳ですが、年齢層がその辺高めなのも幼稚さがなくて良かったです。

ただ前作より熱くなり過ぎて寒さを感じちゃうようなシーンも多かったかなと。バトルで突然歌詞とかが出てきたのも特にデジモンファンじゃないと寒さ感じるのは残念なところ。そして最後に後日談がWEB公開らしく(現在は見れない)それがないと散々伏線みたいに言ってたイレギュラーな主人公が2ケ月前のデジモン世界に導かれた理由が分からないのは痛い部分です。あと絵は本当に上手いのですがバトルがやや見にくいのはストレスを感じました。総合的には前作と変わらず良作といったところだと思います。王道少年漫画を現在水準の絵でみたいならという感じの作品です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-05-13 03:06:02] [修正:2015-05-13 03:06:02] [このレビューのURL]

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